「ポウさま、いかがでしたか。お料理はお口に合いましたでしょうか」  
ミーツェが心を込めて作った夕食を食い散らかし、満腹になったポウは  
ちゃぶ台の前に床にあぐらをかいた格好で、不機嫌そうな顔をしている。  
「ポウさま?」  
「こんな魚ばっかりの料理、口に合う合わないも無いだろっ」  
ふん、とそっぽを向き、ミーツェの淹れてくれたマタタビ茶をごくりと飲んだ。  
しばらく顔を背けていたが、ミーツェが何も言い返してこない事が少し気になり、  
ちらりと彼女の方に目をやる。  
「……」  
悲しそうにうつむいているミーツェの瞳はうるみ、涙がこぼれそうになっていた。  
「あ……、いや、その。うん、まあまあ、かな」  
自分が酷い事を言ったにもかかわらず、目の前で女性が悲しそうにしているのを  
見るのはどうにも忍びない。ポウは作り笑いを浮かべると、ポリポリと頬を掻いた。  
「そうですか!? 嬉しい、じゃあ明日もお料理頑張りますね!」  
明日も魚料理確定か、と、げっそりしたポオは肩を落とした。  
その後、鼻歌を歌いながら食器を片付けるミーツェの後ろ姿を眺めている。  
「全く、おままごとじゃあるまいし、楽しそうにしちゃって」  
魔法銃の使い手、その名を知らぬ者はいない(と本人は思っている)閃光のポウ。  
「閃光のポウの名を聞けばモンスターだって裸足で逃げ出すってのに、何なんだい、  
 今のおいらのこの家庭的な有様は」  
住み心地の良い家で、魚ばかりとは言え、お腹が空けば温かい食事が用意される。  
部屋はきちんと掃除されているし、服も帽子も毎日きれいに洗濯してもらえる。  
「ダメだダメだ、こんなぬるま湯につかったような生活! そもそも、一ヶ所に  
 落ち着くなんて、ポウさまのガラじゃないだろう」  
温かい家庭は、とても居心地が良い。うっかりするとそう思ってしまう自分を  
認めたくなくて、ポウはぶんぶんと首を振って立ち上がった。  
 
「ポウさま?」  
「寝る」  
「はい、今すぐお布団を用意しますね」  
茶碗を片付けている手を休め、ミーツェはてきぱきと布団を敷き始めた。  
「今日もお日様に当てておきましたから、ふかふかですよ」  
「ん」  
確かに、ふかふかの布団は気持ちが良い。ミーツェに礼を言おうと思ったが、  
「いやいや、ここで甘やかすとつけあがるんだ」  
ぐっとこらえ、おやすみの挨拶もせずに布団に潜り込んだ。  
お日様の香りのする布団の中で、ポウはすぐにうとうとし始める。  
「ポウさま?」  
「ん? んー」  
しばらくして、片付け物を終えたミーツェに名前を呼ばれたが、むにゃむにゃと  
つぶやき、目も開けずに寝返りを打つ。  
「ポウさま、ポウさま」  
「何なんだよ、うるさいなあ」  
肩を揺すられ、目を覚ましてしまう。  
「あ、あ、すみません、ポウさま。あたしも寝かせて頂こうと思って、その」  
「何だよ、寝たいんだったら勝手に寝ればいいだろっ」  
「はい、失礼します」  
許可を得て、ミーツェはそっとポウの隣りに入って来た。  
「あの、それで、ポウさま」  
「何だよ、まだ何かあるのかよう」  
寝入りばなを邪魔され、ポウはつっけんどんな態度になる。  
「いえ、あのですね。その、あたし達、夫婦になって……きゃっ、夫婦になって  
 もう一週間も経ちますよね」  
ミーツェはポウの隣りで恥ずかしそうに身体をくねらせた。  
 
「あの、幸せな儀式から一週間……」  
「あの、ゆーうつな儀式から一週間か」  
目の前にピンク色のハートが飛んでいるミーツェと、どよどよとした重く黒い空気が  
渦巻いて見えるポウだった。  
「それでですね、あの、まだあたし達、夫婦の、その、何て言いますか、あの、  
 ふ、夫婦のち、契りを果たしていないじゃないですか」  
きゃあ、と可愛い悲鳴を上げて、自分の顔を両手で覆う。  
「契り? 契りって、ピジョンブラッドを交換したじゃないか。あの、めんどくさい  
 試練とか言うのをこなして」  
フェルトに何度も『小さいの』呼ばわりされた事を思い出し、微妙に腹を立てる。  
「いえ、あの、そうじゃなくて。そういう事じゃなくて」  
ミーツェが身体をすり寄せ、落ち着き無くポウの服の袖をつまんだり、離したりする。  
「あのですね、あたしとポウさまは、もう夫婦な訳ですから。えっと、そういう、  
 その……、夫婦の営み、と言うか……」  
どんどん声が小さくなっていくミーツェ。  
「何だよ、ミーツェはおいらとエッチがしたいのかい?」  
無神経に言うと、ぼん、とミーツェが顔から火を噴いた。  
「いえあの、そういう事じゃなくて、あ、そうなんですけど、でも」  
「ふーん。ミーツェってエッチなんだねえ。おいら知らなかったよ」  
「違います、あの」  
「そう言えばおいらにもずいぶん積極的だし、胸も大きいし服装も大胆だからねえ。  
 もしかして、もう経験とかあるのかい?」  
まるでセクハラおやじのようにニヤニヤすると、ミーツェは真剣な目でポウを見つめた。  
「いえ、あたしは、ポウさま一筋です。ポウさまが初恋の人ですし、この身体、  
 他の誰にも触れられた事はありません」  
真っ直ぐな瞳に、わずかに悲しさの涙が滲んでいる。  
 
「あっ……」  
慌ててあやまろうと思ったが、その時、ポウはひらめいた。  
(そうだ、女の子は初めての思い出とか大事にするからな。ここで酷い目に遭わせたら  
 おいらに愛想を尽かして離婚とかするかもしれない。そうしたらおいらは晴れて  
 自由の身じゃないか!)  
鬼畜な考えだが、おいらの自由には代えられない。許せミーツェ、と心の中で  
つぶやきながら、  
「ふん、まあ、どうでもいいや。おいらは寝っ転がってるから、したいんだったら  
 お前が一から十までおいらに尽くすんだぞ」  
布団をはねのけ、大の字になった。  
「はい、分かりました。あの、上手にできないかもしれませんが、頑張るので  
 よろしくお願いします」  
ミーツェはわざわざ布団の上に正座すると、手をついて深々と頭を下げる。  
「あの、それで、まず何をしたらいいのでしょうか」  
「そうだな、服を脱げ。そうしたらおいらの服も脱がすんだ」  
「はい」  
他人に肌を見られた事のないミーツェが、初めて人の前で自分の手で服を落とす。  
命令には逆らえない、そう分かっていても、頬が熱くなり、指の先は震えてしまう。  
「何だよ、もたもたするなよ。全くグズなんだからなあ、ミーツェは」  
ポウはわざと意地の悪い口調でミーツェをなじった。  
「は、はい、申し訳……ありません」  
恥ずかしさのあまり涙がこぼれそうになるのをこらえ、上着を肩から滑らせる。  
腰の布をほどき、スカートを脱ぎ、それから下着を脚から抜く。  
「……」  
体型について悪口を言ってやろうかと思ったが、服を着ている上からでも分かっていた  
豊かな胸、その頂点でつん、と上を向いている可愛らしい乳首、細くしまった  
ウエスト、すらりと伸びた形の良い脚に見とれ、ポウは言葉を失ってしまった。  
 
「あの、申し訳ありません、お見苦しい身体で」  
見苦しいと言う言葉からはほど遠い、美しくきめの整った肌。  
「ん、いや、まあまあ……、かな」  
「本当ですか、ありがとうございます」  
まあまあ、と言ったからには誉め言葉ではない。それでもミーツェは恥じらいと  
わずかな涙を目に浮かべつつ微笑んだ。  
「う」  
自分にしつこくしてくるから疎ましいと感じているだけで、もともとミーツェは  
見目良い少女だった。きれいな娘が頬を染め、自分の為に肌を晒している。そんな  
姿を見て、ポウの男は過敏に反応してしまった。  
「では、ポウさまの服を、ぬ、脱がさせて頂きます」  
恥ずかしいのか、ポウの顔をあまり見ないようにして、ミーツェはポウの服を  
優しく脱がせてゆく。  
「ポウさま、ばんざいして下さい」  
するり、と上着を脱がされる。  
「それから、おしりを上げて下さい、あ、ああっ」  
ズボンと下着を脱がせると、固くなりかけた物が顔を出した。  
「あ、あう、あわわわ」  
初めて見る男性の部分に驚き、ミーツェは半泣きになってしまう。安心させるような  
優しい言葉をかけようかと思ったが、ミーツェに愛想を尽かされる作戦実行中の  
ポウは、あえて厳しく当たる事にした。  
「どうしたんだい? これから、これでお前を可愛がってやるんだぞ。そんなに  
 怖がっていたら、夫婦の営みどころじゃないなあ〜」  
わざと恐怖心を煽ってやるが、  
「は、はい、申し訳ありませんでした」  
ミーツェは涙をこらえ、おずおずと指を伸ばす。  
 
「あの、それで……、どうしたらいいんでしょうか」  
指を伸ばしたが、ポウの肝心な部分に触れる事ができない。  
「どうしたら、って。そんな事も分からないのかい?」  
「ごめんなさい……」  
これじゃ夫婦の営みどころではない、そうなるとお前は嫁失格だ。そう言い捨てて  
行為を中断してミーツェを突き放してやろうと思ったが、中途半端に勃たされた物は、  
更なる刺激を求めている。  
「仕方ないなあ、おいらが教えてやらなきゃ何もできないのか。握ってしごいて、  
 その後口にくわえて舐めてもらおうか」  
「あ……、う、はい」  
具体的に指示され、ミーツェはぎくしゃくとそれに従う。  
「にっ、握っ……て」  
手を丸め、まるで羽根が触れるかのようにやわらかくポウのそれを包む。  
「そんなんじゃダメだよ、もっと強く、それで上下に動かして」  
「えっと、あの、はい。上下に……、それで、な、な、な、舐め……」  
開かれたポウの短い脚の間に身体を入れると、ミーツェはゆっくりと首を下げる。  
たどたどしく手を動かしながらピンク色の舌を出し、必死の思いでポウの先端に  
近付けるが、最後のほんの数センチの距離を縮める事ができない。  
「何やってんだよ、早くしろよっ」  
「は、い……」  
恥ずかしさで赤くなった頬に涙がこぼれ落ちる。それでもミーツェは思い切って  
ポウの物を舐め上げた。  
「いたいっ!」  
「ええっ? あ、ごっ、ごめんなさい!」  
ネコミミ族の舌は、猫と同じくざらざらしている。男に快楽を与える加減が分からずに  
ミーツェは舌でポウの皮膚を強くこすってしまった。  
 
「いったいなあ、何するんだよ」  
「すみません、あああっ」  
ポウが痛がっている部分に触れて良いのか、それとも触ってはいけないものなのか、  
判断が付かずにミーツェは手を伸ばしたり、引っ込めたりする。  
「もういいよ、へたくそ! お前なんかあっち行けよ!」  
せっかく盛り上がりかけた気分を痛みに害されたポウは、ミーツェから離れると  
彼女に背中を向けてしまった。  
「ポウさま、ごめんなさい、ポウさま」  
「ふん、こんなんじゃ、おいらの嫁はつとまらないな」  
さっき快楽に流されそうになって言えなかった事を、やっと口に出す。  
「そんな、ポウさま、ポウさま」  
ミーツェは涙声でポウの名前を繰り返す。  
「しつこいなあっ」  
うっかり振り向いてしまうと、頬を涙で濡らしているミーツェが目に入ってしまう。  
「ポウさま……、もう、あたしの事、愛してないんですか」  
「うっ」  
「酷いです。あんなに情熱的なプロポーズをしてくれたのに」  
「ううっ、それは」  
お前の勘違いだ、そう言おうとしたが、ミーツェに遮られる。  
「お願いです、今度はちゃんと頑張りますから、もう一度させて下さい」  
「あー……」  
たたみ掛けられるとついつい弱気になり、ポウは曖昧にうなずいてしまった。  
「ありがとうございます! 良かった、やっぱりポウさまって優しい」  
涙をこすりながら微笑む。その笑顔に負けて、ポウは再び布団の真ん中に戻ってきた。  
 
「ええと、ぎゅっと握って、痛くしないように舐めるんですよね」  
少し震えている手で、若干やわらかくなってしまったポウの物をしっかりと握る。  
「上下に動かしながら、痛くしないように」  
自分に言い聞かせながら、今度はそっと舌を近付けていく。  
「ん……、く」  
舌を出してそっと押し付け、くちびるを大きく開き、先端をくわえ込む。  
「んっ、んむっ」  
ミーツェがくちびるで締め付けると、ポウの背筋にぞくぞくと快楽が走った。  
「うん、まあ、そんな感じかな。そうしたらミーツェ、そのままで自分の胸と、  
 あそこを弄るんだ」  
ポウを口に含んだまま、ミーツェは不思議そうな顔をする。  
「濡れなきゃ入んないだろ。おいらは何もしないからな、お前が自分で濡らして、  
 おいらの上に乗っかるんだよ」  
「……」  
「したくなきゃいいんだぞ、お前がどうしてもさせてくれ、って言ってるから  
 させてやってるだけなんだからな」  
ミーツェは小さくうなずくと、ためらいがちに自分の胸に手を伸ばした。  
「うっ……、ふう、ん」  
口でポウを刺激しながら、片手は胸へ、もう片方の手は腹からその下へ。  
「ポウさま、は、恥ずかしいですぅ……」  
「いいから、ほら。おいらとしたくないのか?」  
「したい、です」  
控え目に返事をすると、くちびるでの愛撫を再開し、同時に自分の股間へと指を滑らせた。  
 
「く、うっ」  
四つん這いになったミーツェの身体が、ぴくん、と震える。  
「自分でたっぷり濡らしておくんだぞ」  
くちびるを離さずにミーツェはうなずいた。  
「うっ、ううん」  
ときおり悩ましげな声を上げ、羞恥に涙をこぼしながら、ミーツェは最愛の人の前で  
浅ましい姿を晒し続ける。  
「ポ、ウさま……、恥ずかしいです、あたし、こんな……、でも」  
ミーツェがまさぐっている場所から、徐々にぴちゃぴちゃと小さな水音が聞こえて来た。  
「ポウさま、好き、です。やっ、んん」  
同時に、途切れ途切れに甘い吐息が混じってくる。  
「何だ、なかなか感じてるじゃないか。おいらのオ○ン○ンしゃぶりながら  
 オナニーするのは気持ちがいいのかい?」  
「えっ、あっ」  
かああっ、とミーツェの頬が燃える。  
「気持ちいいんだろう、このいやらしいメスネコめ。気持ちいいならいいって  
 正直に言ったらどうなんだい」  
「あっ、あの、は、はい、気持ち……、いいです」  
ミーツェはきつくくちびるを噛む。  
「ふふん。そういうのをなあ、インラン、って言うんだぞ」  
「そんな、そんなっ」  
「あーあ、ミーツェがこんなインランな発情ネコだなんて知らなかったよ。  
 こんなんじゃ先が思いやられるなあ」  
ポウの酷い言葉に口答えもできず、ただ涙を流すミーツェ。  
 
「ほら、口と手が止まってるぞ」  
「は、はい、すみません」  
初めての行為にまごつき、恥ずかしさと快楽が入り混じった不安定な興奮に翻弄され、  
ミーツェはどうしていいのか分からずに、ただポウに強いられた行為を繰り返す。  
「んんっ、ふうっ、ポウさま……、ポウさまも、気持ちよくなって下さい」  
時たま、ぶるっと身体を震わせると、しなやかな髪がほつれる。  
「ポウさま、好きです、ああ、あたし、気持ちよくて、もう」  
固くなったポウの物を口いっぱいにほおばり、ぺちゃぺちゃと舐め回す合間に  
熱っぽく彼の名前を呼ぶ。お世辞にも上手だとは言えないが、最愛の男に  
できるだけの快楽を与えようと心を砕くミーツェの舌使いに、だんだんと  
ポウの気分も高まってくる。  
「そろそろ、挿れてやるか」  
自分が、彼女の熱い場所に身体を沈めたい。そんな欲求を表に出さないように、  
ポウはわざと無関心を装った冷たい声を作る。  
「あっ、はい」  
無心に舐めていた物から口を離し、ミーツェは顎にしたたった唾液を手でこする。  
「えっと、どうすれば」  
「簡単だよ。ここに乗っかって、腰を落とせばいいのさ」  
唾液でてらてらと光る物を手で握り、もう片方の手でミーツェを手招きする。  
「はい……」  
初めての行為を自分から行わなければいけないと言う恐怖感と不安を押さえ付け、  
ミーツェは誘われるままにポウの上に腰を進める。  
「挿れる場所分かるだろ。ほら、早く」  
「はい、あの、あのっ」  
そそり立っている物の先端に自分の位置を合わせると、ミーツェはポウの顔を  
真っ直ぐに見つめた。  
 
先端に濡れた部分を感じ、その感覚をもっと味わいたくて、ポウは下から腰を  
突き上げるようにする。  
「ポウさま」  
「ん?」  
名前を呼ばれ、素直にミーツェの方を向く。  
「愛しています」  
濡れた瞳でにっこりと微笑むと、ミーツェは一気に腰を落とした。  
「うあっ……、あっ」  
ずぶずぶ、とポウがめり込んでいくと、ミーツェはかすれた悲鳴を上げる。  
「いっ、いたっ……、うぅっ」  
それでも身体を前のめりにし、シーツをぎゅっとつかみながら、彼の物を全て  
飲み込もうと腰を揺らしていく。  
「ミ、ミーツェ? そんなに痛かったら、もっとゆっくりでも」  
固くつぶった目からは大粒の涙が溢れている。汗が滲む全身がぶるぶると震えている。  
「いえ、大丈夫です。だって、ポウさまとひとつになれたから」  
涙をこすり、顔を上げる。  
「嬉しいです。幸せです、あたし」  
苦痛をこらえて微笑む顔は歪んで涙でぐしゃぐしゃに濡れ、結った髪はばらばらに  
乱れて頬や肩に落ちている。  
「本当に、幸せです」  
しかし、そんなミーツェを、ポウは本当に美しいと思った。  
「うあっ、いたっ、あ」  
急にポウが身体を起こしたので、ミーツェはまた辛そうな声を上げる。  
「あ、ごめん、えと、その、なんだ」  
いったんお互いに向き合う格好になると、  
「ええっと、今度はお前が寝てていい。おいらがするから」  
もごもごとつぶやいて、汗に濡れるミーツェの身体をぎゅっと抱きしめた。  
 
「ポウ、さま」  
ポウが自分を抱きしめてくれた事が嬉しくて、ミーツェは言葉を無くす。  
「……はい。ミーツェを可愛がって下さいませ」  
ポウが手を離すと、そっと横たわって目を閉じる。前屈みになったポウがゆっくりと  
腰を動かし始めると、ミーツェの瞳から新しい涙がこぼれる。  
「そ、そんなに痛いのかよ。すぐに終わらせるから、少しガマンしてろ」  
「違うんです。あ、痛い……、ですけれど、ポウさまに」  
ミーツェが震える両手を伸ばす。  
「ポウさまに抱かれているのが、嬉しくて」  
戸惑いがちな指先がポウの頬に触れる。  
「そうかよ」  
拗ねたように言うと、ポウはもっと身体を倒し、ミーツェに重なるようにする。  
「はい、とっても、とっても嬉しいです」  
ミーツェが届く限りに手を伸ばし、ポウの身体を抱きしめる。ポウは腰を前後に  
揺すりながら、ミーツェの形の良い胸を手で覆い、優しく揉みしだいた。  
「ポウさま、気持ち……、いいですか?」  
身体を引き裂かれる痛みの中、それでもミーツェはポウを気遣う。  
「あ、ああ」  
自分を包んでいる熱い粘膜、手触りの良い、弾力のある肌。  
「そうですか、……良かった」  
ミーツェが身体を震わせると、ポウがきつく締め付けられ、一気に快楽が高まる。  
「ポウさま、好きです。愛して……います、ポウさま」  
途切れ途切れになるミーツェの声が耳に心地よい。  
ポウの動きがだんだんと早くなり、やがてミーツェの中に大量の白濁液を吐き出した。  
 
行為が終わった後、ミーツェに腕枕でもしてやろうかと思ったが、腕が届かなかった。  
仕方なく、逆にポウの方がミーツェに腕枕をされている。  
「うふふ」  
ミーツェはくすぐったそうに笑いながら、ポウの硬い髪を指で梳いている。  
「何笑ってんだよ」  
「これで、あたしとポウさまは、本当に夫婦なんですね。きゃっ」  
行為の余韻に浸っていたポウだったが、その言葉で急に現実に戻される。  
「あー……」  
頭の中に、今まで会ったきれいなお姉さん、これから会う筈のきれいなお姉さん、  
そしてエデンに残して来た愛しいヴィーゼちゃんの顔が浮かんだ。しかし、その  
女の子の顔はすぐにぼんやりと薄れ、その後に現れたのはミーツェの可愛らしい笑顔。  
「か、可愛いだぁ?」  
「ポウさま?」  
「いや、何でもない」  
自分の頭の中で、自分が勝手にミーツェに付けた形容詞にびっくりする。  
「そうですか。……あたし、少し眠くなってきちゃいました」  
ポウとひとつになれた安心感と慣れない行為を成し遂げた疲労感が全身に満ちている  
ミーツェは、小さくあくびをするとそのまま寝息を立て始めた。  
「ダメだ、こんなのおいららしくないぞ! きっとエッチしたから疲れてるんだ、うん」  
これ以上ミーツェと一緒に暮らしていたら、彼女の魅力から離れられなくなるかも  
しれない。しかも、彼女の魅力に囚われるのも悪くないかもしれない、などと  
一瞬考えてしまった自分に驚き、それを認めたくなくて頭を振る。  
「うん、やっぱりおいらは同じ場所に留まる生活には向いていないんだ。おいらは  
 明日旅に出る、追ってくるなよ、ミーツェ」  
彼女を起こさないように小さな声で告げる。  
「これは旅立つおいらからの最後のプレゼントさ」  
眠る彼女の頬にそっと口づけ、こっそりと布団を抜け出して服を着ると、ポウは  
愛用のナップサックに旅の道具を詰め込み始めた。  
 
 

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