次第に強くなる冷たい雨の中、盛大に水音を立てながら二人が走っている。  
「アデルベルト、早く早く!」  
数歩先を行っていたユーディーが立ち止まり、後ろを向いて手招きをした。  
「待ってよユーディット……うわあっ!」  
急かされ、慌てたアデルベルトはびちゃんと一際大きい音を立て、ぬかるんだ道に  
倒れ込んでしまった。  
「……」  
「ごめん、ユーディット」  
泥水でぐしょ濡れになったアデルベルトは済まなそうな顔をする。  
主人に怒られ、しょんぼりしている気の優しい大型犬。ふいにそんなイメージを  
思い浮かべたユーディーは、アデルベルトに手を差し出しながら微笑んだ。  
「ううん、あたしこそ急がせてごめん。もうお互いびしょ濡れになっちゃったし、  
 これ以上濡れても濡れなくても変わらないよね。ゆっくり行こ」  
「うん、ありがとう」  
アデルベルトはユーディーの手を握り、起き上がった。  
 
足元に気を付けながら進み、手頃な洞窟を見つけた二人はそこで雨をやり過ごす事にした。  
脱いだ鎧と身体中に付いていた泥や雨水を簡単に拭き終わったアデルベルトは、  
ユーディーが準備したたき火の側にあぐらをかき、肩を落としてため息を吐く。  
「どうしたの?」  
ユーディーはすっかり濡れてしまった赤い上着を脱ぎ、それをやわらかく絞った。  
「ううん、また雨降っちゃったなあ、って思って。さっきも泥の中に転んじゃうし、  
 僕の不幸って本当に底なしなんだなあ、って」  
「うーん……」  
かける言葉が見つからず、ユーディーは曖昧な返事をする。  
 
「あ、アデルベルト、まだ顔に泥が付いてるよ。拭いてあげる」  
落ち込んでいるアデルベルトをどうにかして元気づけようと、ユーディーは意識して  
明るい声を作る。カゴの中からやわらかい布を出し、水筒の中のきれいな水を含ませた。  
「いいよいいよ、自分でやるよ」  
「いいから。あたしに任せなさい」  
照れているアデルベルトのすぐ隣りに膝をついたユーディーは、濡れた布で  
優しく彼の顔を拭いてやった。  
「……あたしは、幸せだけどな」  
手を動かしながら、ユーディーはほんのりと頬を赤く染める。  
「えっ?」  
「ん、雨が降ってアデルベルトが転んじゃったから、こうやってアデルベルトの  
 顔とか拭いてあげられるし」  
頬や額を拭き、最後に鼻をなでてから、  
「これ、仕上げね」  
目を閉じて、鼻の頭に軽いキスをする。  
「雨、降ると寒いじゃない? だから、こうやって」  
泥で汚れた布を放り投げたユーディーはアデルベルトの膝の上に横向きに乗ると、  
彼の首に両手を絡ませた。  
「ぎゅってくっつくと、あったかくて気持ちいいし」  
広い胸に顔を押し付け、しっかりとしがみつく。  
「ユーディット」  
「えへへ、アデルベルトにくっつくの、大好き」  
本当に嬉しそうな声を出すユーディーの頭を、アデルベルトはゆっくりとなでた。  
「ユーディットの髪、濡れちゃったね」  
片手をアデルベルトの肩に置いたまま、ユーディーはもう片方の手で彼の硬い髪を  
かりかりとひっかいた。  
 
「アデルベルトも、髪濡れて冷たくなってるね」  
アデルベルトの頭をそっと引き寄せたユーディーは、首を傾けてくちびるを近付けた。  
彼の頬や顎をくちびるの先でついばむように、ちょんちょんと辿っていく。  
「ほっぺも、冷たい」  
彼のくちびるに自分のくちびるを合わせ、そして離す。  
「くちびるも、冷たくなってるよ。あっためてあげる」  
とろけた、甘えるような瞳でアデルベルトを見つめる。それからもう一度、今度は  
舌を絡ませる濃厚なキス。  
「だから……、ね、あたしもあっためて」  
「あ、ああ、うん」  
積極的なユーディーの行動に圧倒されかけていたアデルベルトがごしごしと  
彼女の細い肩をこする。  
「もうっ、違うわよ。こっち」  
困ったような、照れたような顔をしたユーディーは、アデルベルトの手を取ると  
自分の胸に手のひらを当てさせた。雨の湿り気を吸って、黒いアンダーシャツは  
彼女の乳房にぴったりと貼り付いている。  
寒さのせいなのか、それとも興奮してしまったからなのか、すでに小さく固く  
尖っている乳首の存在を感じると、アデルベルトは手のひらでそれを転がした。  
「うっ、ん」  
アデルベルトの腕の中で、ユーディーが身体を小さく震わせる。  
「ね、触って、直接」  
「うん」  
言われるままにアデルベルトがむき出しのお腹に指を滑らせると、  
「きゃっ」  
その冷たさにユーディーが身をすくませて小さな悲鳴を上げる。  
 
「あっ、ごめん」  
アデルベルトはすぐに手を引こうとした。しかし、ユーディーはその手をしっかりと  
押さえてしまう。  
「ううん、平気。あたしがあっためてあげる、って言ったでしょ」  
ユーディーは自分のアンダーシャツの裾を持ち上げた。ぎゅっと目をつぶると、  
思い切って彼の手を自分のシャツの下に潜らせる。  
「ダメだよユーディット、僕の手、冷たいから」  
「いいのっ」  
まだ膨らみきってない乳房に手を当てさせ、シャツの上から小さな両手でそれを覆う。  
「ねえ、アデルベルト、あったかい?」  
胸を包んでいるアデルベルトの手の冷たさに耐え、笑顔を見せるユーディー。  
「うん、ものすごくあたたかいよ、ユーディット」  
そんな彼女を見て、アデルベルトの身体の中心にどくん、と熱い血液が脈打った。  
「今度は、僕があたためてあげるね」  
彼女のやわらかい肌で体温の上がった手で、胸のふくらみをゆっくりとまさぐる。  
「う……ん」  
敏感な部分に触れる度、ぴくり、ぴくりと身体が震える。  
「ね、ねえ……、アデルベルト」  
はあっ、と熱いため息を吐きながら、目に涙を滲ませたユーディーが彼を見上げた。  
「胸、だけじゃなくて、あの、ええっと」  
自分から彼の手を胸に押し付けておきながら、さすがにそこに彼を誘うのは  
ためらってしまうらしい。ユーディーはわずかに脚を開き、腰をくねらせる。  
「あの……、ね? もっと、あの、違うとこも」  
恥ずかしそうな上目遣いでちらちら、とアデルベルトを見上げ、更に脚を広げる。  
 
「ああ、うん」  
その仕草にやっと気付いたアデルベルトは、あたたかくなった手をユーディーの  
太ももに伸ばす。湿ったストッキングをなで上げ、短いスカートの中にそっと  
手を差し入れた。  
「う……んっ」  
手のひらで、内ももをあたためるようにゆっくり、ゆっくり。  
「や、あんっ、アデルベルトっ」  
探るようにゆったりとした手の動きは、まるでユーディーに意地の悪い焦らしを  
与えているようだった。  
「やだあっ、ねえ、ちゃんとしてよぉ」  
はあはあ、と荒い呼吸をしながら、ユーディーは彼の固くなりつつある場所に  
腰を擦り付ける。  
「うん」  
開かれた脚の付け根を覆っている白い小さな下着の中心を、アデルベルトは  
指の先でそっとこすった。  
「んっ、ん」  
もっと強い快楽を期待して、ユーディーは目を閉じ、彼の胸に顔を埋める。  
しかし、アデルベルトはそれ以上の刺激を与えようとしない。  
「アデルベルト、何で? ねえ、もっとして欲しいのに」  
真っ赤になった顔を上げると、こらえきれない涙が一粒頬に落ちた。  
「何で、いつもあたしが『して』って言わないとちゃんとしてくれないの?   
 恥ずかしいんだからね、そういう事言うのって」  
「あ、ああ、ごめんね、でも」  
羞恥に頬を染めているユーディーを見つめるアデルベルトの顔も、彼女に劣らず  
赤くなっている。  
 
「あたしに触るの、やなの?」  
「そんな事ないよ、でも」  
アデルベルトは困ったようにぽりぽり、と頭を掻いた。  
「僕って不器用だろう? もし君を傷付けたりしたらいけないと思って」  
「あたし、平気だよ。少しくらいなら我慢できるもん」  
断固とした表情のアデルベルトは、首をしっかりと左右に振った。  
「絶対、君に痛い思いとかさせたくないんだ。だからさ」  
最初した時は痛くさせちゃったけど、と口の中でもごもごつぶやく。  
「……」  
涙で濡れた目で微笑むと、ユーディーはアデルベルトに強くしがみついた。  
「ありがと。えへ」  
自分を、とても大切にしてくれるアデルベルトの気持ち。その思いを噛みしめながら  
甘えるように頬をこすりつける。  
「でも、本当に大丈夫だよ、あたし」  
ほんのわずか腰を浮かせ、ユーディーは自分の下着をずらした。  
「あたし、アデルベルトに触ってもらうと、すぐこんなになっちゃうから」  
ユーディーはアデルベルトの手を握ると、改めて自分の脚の間に導く。  
「ん、っ」  
そのまま、すでに粘つく愛液であふれている中心に彼の指を当てさせた。  
「ね?」  
可愛らしく首をかしげ、赤くふっくらとしたくちびるを彼に押し付ける。  
「う……、んっ」  
ねばつく、熱い液体を絡ませながら、ようやくアデルベルトの指が動き始める。  
「あっ、き、気持ちいいよう、アデルベルトの指」  
割れ目に沿って指を上下させ、小さな突起の上でくるくると円を描く。  
 
「ユーディット、すごく熱くなってる」  
「だって、だってぇ、んんっ!」  
愛液を垂れ流している狭い穴に指の先端を埋める。軽く出し入れを繰り返しながら  
徐々に深い場所まで沈めていくと、ちゅぷちゅぷと濡れた音が響いた。  
「あ……、もう、ねえ」  
切ない声でねだりながら、ユーディーはアデルベルトの中心に手を伸ばした。  
「これ、ねえ、いいでしょ? ねえ」  
すでに大きく育っているそれを、更に大きくしようと手でしごく。  
「えっと、もう、入れてもいいの?」  
「いいよっ! いいから、早くぅ」  
アデルベルトが腰を上げ、ズボンを脱ぐ動作を待つのももどかしく、ユーディーは  
彼の脚の間にしゃがみ込んで頭を下げる。ぴくぴくと脈を打つ赤黒いモノが  
顔を出すと、片手で髪をかきあげながらその先端にしゃぶり付いた。  
「んくっ、んっ」  
ぺちゃぺちゃと音をさせながら、舌で唾液を全体に塗り伸ばしていく。  
「はあっ」  
根元まで丁寧に濡らすと、口元を手でぬぐって身体を起こした。  
「アデルベルト、好き」  
片手をアデルベルトの肩にかけ、もう片方の手で彼の中心を支えるとそこに  
自分の位置を合わせてゆっくりと腰を下ろしていく。  
「僕も好きだよ。大好きだよ、ユーディット」  
「嬉し……ああんっ!」  
太く、固いモノがずるりと飲み込まれると、ユーディーは嬉しそうな悲鳴を上げた。  
「ユ、ユーディット、痛くない?」  
「痛く……、ないよ、入っただけで、気持ちい……んっ」  
両手をしっかりと彼の首に絡ませて、すぐに腰を上下させる。  
 
「気持ち……い、から、アデルベルトも、して?」  
「うん」  
彼女の身体を愛おしそうに抱きしめると、アデルベルトも快楽を得ようと  
腰を揺らし始める。  
「ああっ、んっ」  
ぶるっ、と全身を震わせ、じわじわと滲んでくる快感に耐えきれずにユーディーは  
きつくくちびるを噛んだ。  
「すごい……、ものすごく熱くて、気持ち、いいよ……ユーディット」  
うっとりした声でつぶやくと、アデルベルトはユーディーにくちびるを寄せる。  
「あたしも……、あたしも、だからもっとして。キスもいっぱいして。もっと」  
くちびるが重なると、ユーディーは自分から舌を差し入れ、彼の熱い口内をまさぐった。  
「くっ、うん」  
ユーディーを突き上げるアデルベルトの動きが、だんだんに速くなってくる。  
「ユーディット、中、気持ちよくて、僕、もう」  
「んっ、いいよ、来て。あたしの中に、いっぱいして」  
アデルベルトはユーディーの太ももを抱えると、自分の快楽に向けて彼女の身体を  
激しく揺さぶる。  
「あっ、すごい……ね、いっちゃう時、キスして」  
「ん」  
返事も短く、アデルベルトはユーディーのくちびるに自分のそれを押し付ける。  
「ふっ……」  
次の瞬間、折れてしまいそうな程にユーディーを抱きしめ、彼女の身体の  
奥深くに熱く濃い液体を迸らせた。  
「くっ……、う、はあ、っ」  
満足そうなため息を吐くと、すぐにユーディーを抱いていた腕を緩める。  
「あっ、ご、ごめん。痛くなかった?」  
「ううん、全然。とっても、嬉しかった」  
ユーディーはくすぐったそうに微笑むと、アデルベルトの頭に腕を回して引き寄せた。  
 
次の日、雨はすっかり上がり、抜けるようなな青空が広がっていた。  
「わあー、いい天気!」  
まだほんのりと湿り気の残っている服を着たユーディーは、洞窟から出ると  
眩しそうに目を細めた。  
「本当だ、良かった……」  
ほっと肩の力を抜くアデルベルトにユーディーが笑いかける。  
「雨が上がった後の空って、きれいだよね。あたし、大好き」  
それから、アデルベルトの方へと手を伸ばした。  
「アデルベルトと一緒にいると、いつもきれいな空が見られるよね」  
「ああ、うん」  
照れた顔をしながら、アデルベルトは自分の手を重ねる。  
「だからあたし、大好きだよ」  
にっこりと笑いながら、ユーディーはアデルベルトの手をしっかりと握りしめた。  
 
(終わり)  
 

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