床にひっくり返って目を回しているノルンに対して
「やっぱりネコだったか・・・」
とは、飲んでるものをマタタビ酒から竜ごろしに変えていたデルサスの言葉
「あ、ノルンってば今日下着白だ」
とはバクアマドンもといジャージャー丼を注文し始めたリィタの言葉
「おいおい、お前たち仲間が倒れてるのに気楽に食事を続けるか?
それとデルサス酒を飲むのもいいがほどほどにな、リィタもたまには野菜定食を食え。」
「へいへい、わかったよ。でもまぁノルンに関しては、なぁ?」
「まーね、心配する必要はないって言うか、クレイン君が必死で介抱してるみたいだしねぇ・・・
あと野菜定食はおじさんがそこまで言うし、5人前追加お願いね。」
「普通はその仲間を手伝うものだと思うが・・・まあいい。
リィタ、5人前は食べすぎだせめて3人前にしろ。ついでにクレイン、水必要か?」
ようやく、ノルンを介抱してるクレインに気を向けつつそんな言葉をかけてくれた。
「おーい、ノルン聞こえてるか?聞こえてたら返事しろ・・・だめだな、
おじさん水もらえますか?とりあえずいったん起こして水飲ませてから上に運ぶんで。」
そんなクレインの心配とノーマンの心遣いなど知らずに床で伸びてるノルンは
「ウニャ〜赤ぷには通常のぷにぷにの3倍のスピードなのニャ〜」
といったわけのわからないこと呟いてる。
「ほらよ、水だ。二日酔いはのど渇くからなやかんごと持ってくか?」
「ありがとう、それじゃノルンのこと運んでから取りに来るんで・・・ほらノルン行くぞ立てるか?」
「ニャア〜足なんて飾りニャえらい人にはそれがわからんのですニャ。」
相変わらずよくわからない言葉を呟いているノルンの状態から、自力歩行は無理だと
判断したのだろう、おもむろにノルンの背中と膝の関節あたりに手を入れて一気に持ち上げた。
俗に言うお姫様だっこという奴だ。
本人は何気ないつもりだったのだろうが、しかしクレインがノルンを持ち上げた瞬間
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふ〜ん」
リィタが呟き周囲の気温が2度ほど低下した・・・不運にも近くにいたフィンがボコボコにされていた。
それに気付いたデルサスは思わず距離をとろうとして失敗、足を彼女にしっかりと踏まれていた。
デルサスは冷ややかな笑みを浮かべているリィタの顔を見ながら
「まったく、クレインの奴・・・意外ともてもてなのにさっぱり気付いてやんないから俺がこういう目に
遭うくぁWせDRFTGYふじこLP;@:」
何かを言っていた様だが、後半はほとんど何を言ってるか聞こえなかった。
ノルンを抱えたまま拠点に戻ってきたクレインは、腕の中の少女を起こさないように注意を
払いながら静かに階段を下りベッドにゆっくりと彼女を横たえ、酒場に戻りノーマンから水を
もらいに行った、いや、行くはずだった、だが何かに引っ張られる感触に気付き、先程ベッドに
横たえさせた少女に視線を向けると、しっかりと自分の服の袖をつかんでいた。
「やっぱりか、ほらノルン手を離してくれないと水が取りに行けないだろ。」
しかし、その言葉に重ねるようにして、ノルンは
「クレイン、一緒にいて欲しいニャ。ちゃんと手も握っていて欲しいニャ。」
おそらく寝言なのだろう、しかしそんな願いを無視できるほど悪魔でも鬼畜でもないクレインは、
そのベッドの脇に腰を下ろした。自分の傍らで規則正しい寝息を立てている少女からは――酒ではなく、マタタビで酔ったせいだろう――日光の香りがほのかにした。
座ってるだけで何もする事がないせいだろうか、ついついノルンの方に目が向いてしまう、
そのとき、ふと頭の上について時々ピクピクと動くノルンをノルン足らしめる由縁の
1つであるネコ耳が目についた。
(そういえば、以前レクターさんものすごい勢いで触りたがってたなぁ・・・触らせてもらえた
ときなんか恍惚の表情だったっけ、そんなにいいものだったんだろうな)
そんなクレインの考えを看破するかのように、ピクピクと耳が動く、まるで「触ってくれ」と
言ってるような気さえしてくる。そしてクレインはさんざん考えて、
(う〜ん、少しぐらい大丈夫だよなぁ・・・とりあえずノルンも俺のこと信頼してるみたいだし)
そんな結論に達した。
「じゃあ、ちょっと触るぞノルン。」
と、本人に聞こえるかどうかといった小声でそう呟くとノルンの右のネコ耳へと手を伸ばした。
フニフニフニフニフニ