雪深い山麓に囲まれた小さな村。中空に輝くダイヤモンドダストと、ステ  
ンドグラスの織り成すライトアップが美しい、その村の名前は、デランネリ。  
 これは彼、デルサスがまだデランネリ村に住んでいた頃の話である・・・  
 
           *********  
 
 暖炉から、薪のはぜる音が聞こえる。  
 暖まった部屋の中、デルサスはベッドサイドに腰掛けていた。  
(はぁ・・・)  
 理由の無いため息と共に、ベッドにごろりと寝転がる。  
 深夜と呼ぶにはまだ早い時間帯だった。けれど、雪村のデランネリ、夜  
の早い冬季はみな自然に眠るのも早くなる。吹き付ける雪の前では、家々  
の交流も少なくなり、眠気が訪れるまでの時間を、自然、いつだってデルサ  
スは持て余すことになる。  
 添い寝の相手でもいれば話は別なのだろうが、そうもいかないときのデル  
サスは、寝しなの悶々とした時間を、ただただ思考と共に潰すしかすべが無  
い。そして、そんな生活に、彼はもう飽き飽きとしていた。  
 彼にとって、ここは窮屈な村だった。  
 住んでいる人間の心根のやさしさは知っていた。自分が恵まれた環境に  
いることも。けれど、いや、だからか境遇が彼を締め付ける。厳格で皆に慕  
われる村長、その息子として、ゆくゆくは次期村長として、あるべき姿をとら  
なければいけない。その重圧からデルサスは逃れ続けていた。奔放に過ご  
すこと、浮名を流すことで。けれど、いつしか染み付いてしまったその生き  
方が、デルサスをデランネリという籠から逃れさせようと促す。  
 いつしか、彼はこの村から旅立っていく自分を夢想するようになっていた。  
 それが、難しいこと、彼を信じている人たちへの裏切りとなることを知りながら・・・  
 
「お兄ちゃん・・・」  
 自室のドアの向こうから、か細い声が聞こえてきた。  
「ん、ファスか・・・」  
 それは、彼の妹の声だった。  
「入っても、いいかな」  
 小さな声での問いかけに向かって、デルサスは身を起こし、いいぜと返  
事。夜着に身を包んだファスがおずおずと部屋の中に入ってきた。  
 そして「よいしょ」、まるでそこが当たり前の自分の場所のように、ベッドの  
上、デルサスの横に腰掛けるファス。「えへへ」とはにかんだ笑顔で見上げ  
てくる。  
「てか、オマエどうしたんだよ、こんな時間に」  
「ん〜、お布団寒くて。お兄ちゃんと一緒に寝ようかなって」  
「はぁ?」  
「一緒にお布団入ったら暖かいよ。ほら、昔みたいに」  
「昔って、おま、一体、いつの話よ」呆れ交じりの声を出すデルサス。  
「駄目・・・かなぁ」  
「ダメに決まってんだろうが。部屋戻れ」  
「お願いしても・・・どうしても、ダメ?」  
「ダメだっての・・・ぅおわ」突然、デルサスの胸に飛び込んできたファスにより、  
制止の言葉は遮られた。ぽす、妹の小さな体を包み込むような形になる。  
「な、一体どうしたんだよ?」  
「・・・いなくなっちゃいやだよ、お兄ちゃん」  
「・・・・・」  
 どうしてそれを、聞きそうになった。けれど、聞かなくても答えはわかるのだ。  
聖職者を目指す特殊能力の所以、なんて難しいものではない。言葉にださな  
くても態度に出てしまう、自分を慕ってくれるこの聡い妹は、そういうのを察した  
のだろう。  
 
 ポンポン、抱いたまま小刻みに震えるファスの肩を叩くデルサス。  
「大丈夫だ。オレは、いなくなったりしねぇよ」  
「本当?」  
「ああ、本当だ」  
 煮え切らない内心を打ち消すように強く、潤ませた妹の瞳を見据えて言  
い放つデルサス。  
「じゃあ一緒に寝て」  
「何でそうなる」  
「・・・だって、朝起きたらお兄ちゃんがいなくなってるような気がして」  
「・・・わぁったよ」とうとう、妹の真摯な瞳と物言いに根負け。「今晩だけだか  
らな」  
「うん」うれしそうにうなずいたファスが、小さな体を、先に横になったデルサ  
スの横にもぐりこませてきた。  
 二人用に作られていない布団は、二人で寝るには狭い。体が飛び出しそう  
になるのを抑えると、自然と二人、寄り添いあうような姿勢になる。  
 気恥ずかしくて背を向けたデルサスは、背中越にファスの体温を感じる。接  
面からの、じわりとした暖かさ、化粧も知らない幼い体から漂う、汗と清々とし  
た石鹸の香り。  
(ああ、クソッ)  
 奥手というわけではない、むしろ、その手の欲求が有り余っているほうのデ  
ルサスにとって、こんなのはある種のドクみたいなものだった。  
 背中を通じて、妹のなだらかな曲面をありありと思い浮かべる。布地の薄い  
夜着は、シルクの向こうの36度の姿を、いともたやすく想像させるのだ。昔の、  
そういった欲求とはかけ離れたモノではなくて、少女として、女性としてのまろ  
びやかさをもった、なだらかなそれである。  
 背徳であるのを知りつつ、いや、だからこそなのか、デルサスの興奮は高まる・・・・  
 
「・・・いいよ」  
 刹那、耳元でささやかれた小さな声。  
「・・・ファス・・・」  
「いいよ・・・だって、初めては、私、お兄ちゃんにあげようって決めてたし」  
「・・・お前」  
 回された手が、デルサスの前で組まれた。細い腕、華奢な手のひら、そ  
れが小さく震えていた。羞恥か緊張なのか。くい、とファスはデルサスの背  
中を抱く。まるで、おのが体を枷にして、デルサスを逃がさないように・・・  
 ここまで慕われて、うれしいという気持ちはたしかにあった。けれど、それ  
以上に、内心複雑なものでいっぱいだった。この子を、ここまで追い詰めた  
のは自分なのだ。だから、自分が何とかしないといけないという気持ち・・・  
(わかった・・・)  
「ファス・・・いいのか」  
「うん、お兄ちゃんなら」  
 念を押したデルサス、寝返りをうちゆっくりとファスに向き直った。  
 文字通り、目と鼻の先、慣れ親しんできた妹の顔がある。目頭にたまった  
涙が今にも零れ落ちそうで、嗚咽をこらえようと真一文字に閉じた口が、た  
まらなくいとおしくて・・・  
 デルサスは、ゆっくりと妹のその小さな唇に、自分の口を近づけていった。  
 軽く触れ合わす、冷たい、キス。お互いの内心の興奮や緊張とは他所に、  
夜気に触れていた唇同士は、冷たかった。だから、まるでそれを暖めあうよう  
に、二人はキスを交し合う。おずおずと差し出してくるファスの朱色の唇を、デ  
ルサスがリードする。  
「ん・・・ぁむ、ぷふぁ・・・くちゅ」  
 ついばむようなキス、そして深く、お互いをむさぼりあうキス。繰り出すデル  
サスの技に、ファスの頬が赤く染まっていく。  
 唇を離す。とろけた表情のファスの唇の端から、てろりと一条、唾液の糸が  
滴り落ちた。  
 
「お兄ちゃん、スゴ・・・私、初めてなのに・・・」  
「馬鹿、まだこれからだ・・・」  
 上着のボタンに手をかけたデルサスは、ファスのそれをゆっくりとはず  
していく。  
 あわせをはだけると、純白に無垢なファスの体が露出する。興奮にすこ  
し赤みを帯びているその体。吸い付くようなやわらかさを持った肌が描く、  
かすかな二つのふくらみ。その頭には、トゥインクルベリーの実の色に似た、  
鮮やかな赤さを持った二つの蕾。  
「ん・・・そんなにじっと見られると、恥ずかしいよ・・・」  
「あ、ワリィ」  
 羞恥のせいか、少し赤みの増した少女の体から、デルサスは視線をはずす。  
 そして、ゆっくりと手のひらを双房にあてがった。  
「・・・ん」  
 触れた瞬間、堪えたような小さな声。  
 手のひらで収まる大きさのそれを、いとおしむように、ゆっくりと揉んでいく。  
乳首は避けながら、押した分だけ沈み込んでしまいそうなくらいに、柔らかな  
肌の上に、指を這わせる。  
 ぴくん、ぴくん、腕を回して抱いたファスの体が、デルサスの中で小さく跳ねる。  
(まだ固いなぁ・・・ま、無理もねぇか)  
 閉じた瞳、押しつぶす声。ファスはデルサスのなすがままだった。  
「・・・ちと激しくいくか」  
「え、お兄ちゃ・・・きゃん」  
 くい、じらして避けていた乳首を人差し指と親指の腹で、柔らかくはさむ。知ら  
ず高められていた感覚の直撃に、ファスの背がぴんと張る。間髪いれずに、デ  
ルサスはもう一方の手を下半身、下着の中にもぐりこませた。  
 
「・・・あ、それ・・・ん、はぷ」  
 静止の声をキスでさえぎる。舌を絡めあう、深いキスだ。くちゅり、唇の  
接合部から、互いの唾液を交換し合う、いやらしい水音が響いた。  
 そのまま、デルサスは片手を進める。さらりとしたシルクの下着の奥。  
手探りでその部分を見つけだす。  
 くち、  
 人差し指の先端が、ぴったりと閉じたその部分の先端に滴る、粘り気の  
ある水に触れる。それをたどるように、指先を閉じた入り口の上でゆっくり  
前後させる。  
「あ・・・ん・・・くちゅ、お兄ちゃん・・・」  
 ゆっくりと、少女の中で受け入れ態勢ができていく。深いキスの中、差し  
出された唇で口内を蹂躙されるだけではない。ファスのほうからも絡み合  
いを求めてきだした。  
 強張っていた体から、自然と力が抜けていく。  
(ま、ぼちぼちかな)  
 頃合と、デルサスは秘貝の合わせを沿わせていた中指の腹を、一番に  
敏感な、覆い隠された部分に伸ばした。  
「ダ、そこはダメ・・・きゅ、はう」  
 秘芯にデルサスの指が届くと、ファスの体が小さく戦慄いた。  
「ん・・・痛いか」  
「痛くはないけど・・・なんか、気持ちよすぎて、ダメだよぅ・・・」  
「そうか、そいつは大いに結構だ」  
 
 愛液でてろてろになった中指での、秘芯への刺激は続く。胸に回してい  
た手を、背中のラインをなぞりながらこちらも下腹部に回すと、同じように  
愛液にぬらす。そのまま、片方の指は秘貝のあわせをこじ開けていく。  
 にちちち、  
 閉じた肉壁は、指の先端すら容易には受け入れない。  
(くっ、さすがに狭ぇな、こりゃ)  
 ゆっくり、間違っても傷つけないように、指を侵入させる。秘芯への強す  
ぎる刺激から逃れようとするファスの体を抱きとめたまま、デルサスは未  
踏地であるその部分に指を進ませていく。  
 関節二つ分、飲み込んだところで、今度はデルサス指を引き抜いていく。  
「ふぁ、ふぁぁ・・・」  
 抜けるようなファスの吐息と共に、飲み込まれていた指が外へ。愛液で  
ぬらぬらになった中指を、再び中へ押し戻していく。秘芯への刺激、そし  
て時折の深いキスを織り交ぜながら。  
 中指の前後の速度が、次第に速まっていく。あわせて、ファスの感情の、  
そして体の高ぶりも。双曲線状に上昇していく、エクスタシーへの階段。  
 ぐちゅ、ぷちゅ、にちゅ。  
 ファスの秘所からは、愛液と摩擦の奏でるみだらな汁音が、高く鳴る。  
「だ、だめぇ、お、お兄ちゃん、私、わたし・・・!」  
「おう、いいぜ・・・いっちまいな」  
「うん、うん!お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」  
 ひときわ大きく、ガラスを思わせるはかない高音で叫んだと同時に、ファス  
の体がピンと張った。そして、  
 ぱたたた・・・  
 中指を飲み込んだままのその部分から迸りが溢れ、白いシーツに水玉を作った・・・  
 
      ******  
 
「つーか、マジで無理すんなって。別にオレのことはいいからさ」  
「うん、大丈夫」  
「いや、つらいのはオマエなんだし・・・」  
「わかってる。でも、このままじゃ不公平だから。わたしだけ気持ちよくして  
もらって」  
「・・・んなこた気にすんなって」  
 エクスタシーのしばらくあと、体を起こしたファスはデルサスに続きをせが  
む。つまりは、はじめてのおわりを、だ。口では煮え切らないデルサスだった  
が、いくら良識ぶったところで、露出したその部分のいきり立ちは隠せないの  
だが。  
「だから、いいよ、来て」  
「・・・ふぅ。耐えられないようなら、言うんだぞ」  
 もうずいぶんと長い間、起ちっぱなしになっているそれが、愛液と迸りでぬ  
れた秘貝にあてがわれた。かさのはった先端を、くにくにとあわせに擦り付け、  
愛液をまとわせる。これでもいくらか、ほんの少しだろうが、ファスの感じる苦  
痛は少なくて済むはず、そうデルサスは考えたのだ。  
 ぱくりと閉じた秘貝のあわせを、指を使ってこじ開けた。くぱり、中の鮮やか  
な桃色が、眼前にさらされる。外気に触れたそれはひくひくと、湿った内面を  
震わせた。  
 
「・・・行くからな」  
 デルサスのそれが、ファスの膣内にもぐりこんでいく。  
「きゅ・・・は!あぅ・・・くん!」悲鳴ににたくぐもった声。痛みで絶叫したい  
のを必死におし堪えているのだろう。ファスの閉じた瞳に涙が沸きあがっ  
てきていた。  
「大丈夫か」  
「うん、いいよお兄ちゃん・・・そのまま」  
 ちちち・・・  
 掻き分け、肉壁をゆっくりと進む、デルサスのもの。  
すると先端が抵抗に触れた。  
刹那、この涙をこらえた表情の、何よりもいとおしい妹に、深い口付け。  
「ん・・・!!」  
 破瓜の痛みが薄まるとは思えなかった。けれど、いくらかでもその痛みを  
分かち合えないかと、強く、強く、ファスの細い体をデルサスは抱きしめた。  
 下腹部に、愛液とは違う、どろりと暖かい液体の感触。先端が抵抗を越え  
たのだ。  
 そのまま、繋がったまま、デルサスは、ただ無言で、妹の頭を撫でてやった・・・  
 
           *********  
 
 その晩、デルサスが達することは結局無かった。処女の証を奪ったあと、  
静かに自分のものを抜いたデルサスは、続きを請う妹をとりなした。破瓜の  
痛みに耐える妹相手に、自分だけ能天気に、そういう気分になれそうも無か  
ったのだ。  
(それにな・・・)  
 いろいろな問題がある。そんなことは最初から分かっていたことなのだが。  
 ようやく寝息を立てた妹の寝顔を横目に、デルサスはゆっくりと、彼女を起  
こさないように、寝床を抜け出した。  
 ほんの短時間、最低限だけ、身の回りのものを詰め込む。外套を着込む。  
窓の外、凍りつく外気を思い、身震いする。けれど、  
(けじめ、つけねぇとな・・・)  
 きっと、これが一番の方法なのだ。彼にとっても、彼女にとっても・・・  
「兄離れ、しろよ・・・」  
 小さくつぶやいたデルサスは、ゆっくりと自室を後にした・・・  
 
 以来、彼、デルサス・デルヴァルドはデランネリ村から姿を消したのだった・・・  
 
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  
 
 
「と、まぁ、このお菓子にはこういったエピソードがあるということになってい  
るわけですわ」  
 ここは、アコースの自称『高級ブレッドストア』。クレインたちはブレアから  
新作パン『白い妹』の紹介を受けていたところだった。  
 ・・・一連の話を聞いて、目を丸くするデルサス。それもそのはず、なぜか自  
分が勝手に菓子のエピソードに登場させられているのだから。それも、あんな  
役で。  
「あ、ちなみにお話はリィタさんから聞いたのを参考にさせていただきましたわ」  
 笑顔のでリィタに話を振るブレア。デルサスの怒りの矛先が、リィタに向けられる。  
「あ、リィタ、てめぇ、有ること無いこと言いやがって!」  
「う・・・でも、有ること無いことってことは、全部が無いことじゃないんだよね。て  
ことは、一部、もしかして実話だったとか?」  
「んなわけあるか!つーか、ゆるせねぇ、こいつはさすがに頭来たぞ!」  
「きゃー、クレイン助けてー。デルサスが怖い〜」  
「そうだ、クレイン!オマエもなんか言え!ほら、フォローとかあるだろうが!」  
「え、オレ?」蚊帳の外だったクレイン、思案顔になってから、「・・・あー、オレ、  
兄弟とかいないから、そういうのわかんないんだけど、ビオラもマレッタもああ  
だから、別にデルサスだけが思い悩んだりはしなくてもいいのかな、とか・・・」  
「お、おま・・・ち、違うだろうが!フォローだよ!フォロー!」  
「・・・そんなこといわれても」困るクレイン。  
 
「・・・にゃ、ノルンはなんだかよくわかんないニャ・・・でも、これ、前のとど  
う違うんニャ?」もくもく、お菓子を食べていたノルンが、怒り心頭のデルサ  
スそっちのけでブレアにたずねる。  
「それはですね、従来の『白い愛人』のレシピに、ティンクルベリーを加えて  
あるんですわ。これで、甘みのなかに、果物の酸味が加わって、よりいっそ  
う完成度の高いお菓子になっているんですわよ」  
「おお、なんだかすごいニャ」  
「ちなみに、見た目もエピソードに併せてあって、このティンクルベリーの  
赤は、その・・・ショジョソウシツ、を表しているんです、って恥ずかしい!何  
を言わせるんですの!」  
「つーか、恥ずかしいならそんな菓子作んな!」  
 アコースの町に、「突っ込み兼いじられ役」なデルサスの悲壮な声が響くの  
だった・・・  
 

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