微かな音声が戸口の隙間から漏れて空気に溶け込んだ。  
雑貨と看板を掲げた店の階上へと続く煤けた木戸は固く閉ざされている。  
その閉ざされた扉の前に誰かが立ったならば、若々しい音色のすすり泣くような調べを聞いたかもしれない。  
 
「ああっ ヴェルナー……」  
二階の一室で、大きな事務机に縋りつくようにして、かろうじて全身を細い腕に支えている少女、リリー。  
その背中を覆うように。彼は立っている。まるで華奢な体躯をすべて奪ってしまうかのように。  
「はあっ……!」  
リリーが頤を反らしてのけぞった。太くもなく細くもない腕は、後ろから彼女のスカートの中をまさぐっていた。  
「どうしたんだ リリー?」  
彼――ヴェルナーはにやにやと意地の悪い笑みを浮かべる。いつもの、意地悪な顔。  
「はあっ……は……あっ……」  
「そんな声出しちまって、お前 ほんとにイヤらしい体してるんだな」  
「あふっ! ひあっ!!」  
リリーはたまらず肘を着き、机に倒れ込むように寄り掛かった。女の”核”を摘まれた体はもう腰が立たなくなっていた。  
「ここなんかもうビチョビチョじゃないか。見てみろよ リリー、おツユがこんなに溢れかえってるぜ」  
「いやあっ……ヴェルナー言わないでぇっ……!」  
肌を紅に染め、荒く息を吐きながら、リリーは必死にかぶりを振る。  
だが、そんな彼女を嘲笑うかのように、ヴェルナーの指はピチャピチャと淫猥な音を響かせて、  
内股を滴る液体はますます繁く、滝のように溢れて太ももを伝わり落ちていった。  
 
「ああっ……もう、許してよお……」  
か細い喉笛が上下して、リリーの震えるような、今にも泣き出しそうな声を奏でた。  
気が狂いそうな焦燥  
頭の中が灼け焦げてしまいそうな愉悦  
それは激し過ぎる血潮のたぎりとなって、リリーを、逃げ場のない場所へと追い込んでいく……。  
「お願い……もうっ……」  
「もう、何なんだ?」  
「――――!」  
リリーの顔が俄かに上気する。か細いうなじがわなわなと震えだした。  
「だから、もう、何だって?」  
「人で……なし……」  
弱弱しく睨め付けるヴェルナーはそ知らぬ顔で、例の意地悪い微笑を浮かべていた。  
 
その指先はリリーの花園を浅く散策して、蜜のつぼみをいっそう艶やかに潤おしている。  
それが不意とつぼみの先端に触れる度、リリーの胸を鋭い刺激が刺し貫いて、  
下はじゅんと女の部分が水気を含んで湿っていった。  
 
「ああ……もっと……」  
「もっと……何だ?」  
意地悪くヴェルナーの動きが止まった。  
「どうした、はっきりちゃんと言わねえとやめちまうぞ リリー」  
「……もっと……欲しい……」  
「何が欲しいんだ? ちゃんと言ってみろよ」  
体がか細く震えだして。リリーは絶叫した。  
「もっと、もっと私の其処を弄って欲しい! 私のあそこを虐めて欲しい……!  
私もう、イキたいの! ヴェルナーに私の其処を弄られてイキたいのよぉっ!!」  
「よく、言えたな」  
ヴェルナーの指の動きが一気に加速した。  
人差し指と中指を亀裂の中に滑り込ませると、親指で激しくクリトリスを擦り上げる。  
「ひいっ! ひあああっ! 駄目ぇっ! 駄目になっちゃう! 駄目、駄目ぇ――っ!  
あっあっあっ ああああああああああっ!!」  
リリーの体が一際大きく仰け反った。ビクンビクンと波が寄せては引くように痙攣しはじめる。  
其処はもう洪水のように溢れて、床にちょっとした水溜りさえつくっていた。  
ヴェルナーの視線を浴びながら、リリーの意識は大波にさらわれたように、愛液の海の底へと沈みこんでいったのだった。  
 
 

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