「行ってしまうのか・・・」  
ゲルハルトの目に映るその女性は、申し訳なさそうにうつむいた。  
「ごめんなさい・・・。錬金術は、あたしの夢だから・・・」  
「だからって何でお前が、ここを離れなければならないんだよっ!俺は、俺は・・・、  
こんなにお前のことを、愛してるのに・・・!」  
ゲルハルトの叫びに、女性は涙した・・・。  
「ゲルハルト・・・あたしも・・・あなたのことが・・・大好き!だから・・・わかって、あたし  
達のこと・・・。」  
「いやだっ!俺は・・・俺は・・・リリーを・・・離さないぞ!」  
「ゲルハルト・・・何で・・・何でわかってくれないの・・・?」  
「お前だって、俺の気持ちをわかってくれてねえじゃねえかっ!俺は・・・こんなにもお前のことを  
・・・愛してるのに!」  
ゲルハルトは思いっきりリリーを抱きしめた。  
「二度と・・・お前を離したくない・・・」  
「ゲル・・・ハ・・・ルト・・・」  
いつのまにか、若い二人の唇が、甘く、甘く重なり合う・・・  
 
「今夜は、せめて俺の家に泊まっていけよ・・・」  
ゲルハルトの言葉に、リリーはこくりとうなずいた。  
 
 
武器屋のカウンターの奥に、入り口がある。  
その中には、ゲルハルトの生活空間がある・・・。台所や、客間、それに、寝室・・・。  
リリーはゲルハルトに腕を引っ張られて、中へと入っていく・・・  
「今飲み物を持ってくるからな。」  
ゲルハルトが台所からワインを持ってくると、リリーはいたずらっぽく尋ねた。  
「あたしを酔わせて、どうするつもり?」  
ゲルハルトもにやっと笑う。  
「リリー・・・、俺のこと、好きか・・・?」  
「・・・うん。あたし、ゲルハルトのこと、大好き。もう、あなたのこと考えると・・・  
いてもたってもいられないぐらいに・・・。」  
「だったら、旅に出るなんて、言わないでおくれよう・・・」  
「・・・ごめんなさい。これは、あたしの・・・使命なの・・・。」  
「・・・くっ!」  
ゲルハルトはワインの入ったグラスを一気にあおった。少し自棄気味のその姿勢に、リリーは申し訳なく思った。  
「そうだ!ゲルハルトも、一緒に行こうよ!そうすれば、いつまでも一緒にいられるし・・・ね?」  
ゲルハルトは首を横に振った。  
「だめだ。それはできねえ。ようやく念願の自分の店を手にいれて、商売も順調にきているのに、それを手放すのは  
できねえ。」  
「・・・あたしも同じ。錬金術は・・・あたしの生涯をかけた・・・夢だから・・・」  
ゲルハルトは悲しそうにうつむいた・・・。  
「互いに夢を捨てられない・・・か・・・」  
「そうね・・・」  
「こうなることはわかっていたのかもしれない。結局、これでお別れか・・・。でも、これだけは  
忘れないでくれ。俺のこの想いは・・・嘘じゃないんだ!こんなに好きになったのは、リリー、お前  
だけなんだ!」  
「・・・あたしも!たとえ離れ離れになっても、あなたへの想いは、一生変わらない・・・」  
二人はそのまま、互いの身体を抱きしめあった・・・。  
 
まだ若い二人が、勢い男女の関係になるのは、至極当然のことと言えた・・・  
 
ゲルハルトの寝室のベッドに、リリーが寝っ転がる・・・  
仰向けのリリーの上に、ゲルハルトはまたがると、強い力でリリーの両肩を押さえる。  
「ぐっ・・・んん・・・」  
リリーの口の中に、ゲルハルトの濃厚な漢の味が広がると同時に、リリーの甘い香りも、ゲルハルトの口いっぱいに広がった・・・。  
息が出来ないくらいに、唇を押さえつけるゲルハルトの口・・・  
彼が口を離すと、ようやくリリーは解放される・・・。  
「はあ、はあ・・・、もう、苦しいじゃない!」  
「わ、悪かった・・・。へへへ・・・」  
彼の瞳に、哀愁がこもる・・・  
「リリー・・・愛してる・・・」  
ゲルハルトの手によって、一枚、また一枚と、リリーの衣服が脱がされていった。  
ごくり。  
リリーのあまりに大きく美しい胸に、ゲルハルトは生唾を飲み込む。  
そのまま、ゲルハルトは、その美しい胸に顔を埋めた・・・。  
彼女の・・・鼓動が聞こえる・・・  
初めてのはずなのに、なぜか懐かしさを感じる・・・  
自然と、ゲルハルトは、先端のぷっくりとした乳首に吸いついていた・・・。  
「あ・・・あ・・・」  
リリーの吐息が漏れると、ゲルハルトはそのまま、顔を下にずらしてゆく・・・  
細い腰を通りすぎて、その下の茂みをかき分けると、リリーの女の秘裂が、口を開けて待っていた。  
「リリー・・・どうしてお前は・・・こんなに美しいんだ・・・?」  
秘裂を舌でかき分けると、ひどく濃いリリーの蜜が口の中に流れ込んできた。  
 
ちゅっ、ちゅっ・・・  
「ひああああああああっ!」  
リリーの蜜を吸いながら、時折秘裂の端にある赤い突起を舌で転がす・・・  
「あああああああああっ!」  
リリーは自分から、両足を持って、左右に大きく広げていた・・・  
「お願い!あたしのここを、めちゃめちゃにして・・・!」  
その言葉に、ゲルハルトはうなずくと、彼の男の証を彼女の蜜の吹き出る秘裂へと押し当てる・・・。  
めりめりめり・・・!  
「ひっぐああああああっっ!!!」  
リリーの秘裂が、ゲルハルトの証を根元までくわえ込んだことを確認して、ゲルハルトは腰をリズムよく振りだした・・・。  
今、ゲルハルトの部屋に、一組の男女が愛し合っている・・・  
 
互いの股間から発せられる気持ちよさに、二人は悶える・・・  
「ぐあっ!くあっ!ふあっ!」  
「んあっ!ひあっ!はぅあっ!」  
こうなってしまったら、もう誰にも二人を止める手立てはない。  
ひたすら己の欲望のままに、腰を振りつづけるしかなかった。  
そうこうするうちに、だんだんと波が高くなってゆく・・・  
そして二人は、頂上にたどり着く・・・  
ゲルハルトの証から、愛情の証が吹き出る・・・  
そしてそれは、リリーの秘裂奥深くへと吸い込まれていった・・・。  
 
 
翌朝・・・  
 
ゲルハルトが目覚めると、もうすでにリリーの姿はない。  
「リリー!おいリリー!」  
ゲルハルトは飛び起きて、武器屋の隅々まで探し回った・・・。  
どこにもいない・・・。  
そして外に出て、あたりを探し回った。  
工房にも顔を出すが、ドルニエは、リリーは昨日旅立ったと言っただけだった。  
中もくまなく探し回ったが、やはりどこにもいない・・・  
完成したばかりのアカデミーも、くまなく探し回ったが、ここにもいない。  
ゲルハルトは肩を落として店に帰っていった・・・。  
ふとカウンターを見ると、一切れの紙が挟んであった。  
『親愛なるゲルハルト  
 あなたが寝ている間に、あたしは旅に出ます。あなたを起こしてしまうと、別れが辛くなるから。  
あなたと作った数々の思い出・・・、そして、昨日のことは、あたし、一生忘れません。  
どうか、あなたもお元気で・・・。  
                           あなたのリリーより』  
 
通りに出て、ゲルハルトは天を仰いだ。  
止め処もなくあふれる涙・・・。  
ちくしょう・・・、空はこんなにいい天気なのに・・・、涙が止まらねえよ・・・  
一生に一度の、彼の本気の恋だった・・・。  
後ろで彼を見守っていたドルニエ、イングリド、ヘルミーナの3人も、この悲しい恋の結末に、一様に涙を流していた・・・  
「リリー・・・、我らのために・・・すまない・・・」  
「ゲルハルトさん・・・本気だったんですね・・・ぐすっ」  
「うう・・・、オヤジさん、かわいそう・・・」  
二人の工房でオヤジの話を聞いていたマルローネが涙ぐむと、武器屋のオヤジはポリポリと頭を掻いた。  
「む・・・、まあ、昔の話だな・・・。とにかく、これで俺が童貞じゃないってことが、わかったろ?」  
(ほんとかなあ・・・?)  
エルフィールは一瞬疑ったが、かつてイングリド先生がこれによく似た話をしていたのを思い出した。  
「ところで親父さん。」  
「どうした、エリー?」  
「まだ・・・、その人のことを愛してますか?」  
エルフィールの質問に、オヤジは一瞬どきっとした。  
「えっ?・・・あ、ああ、もちろんだ。俺の生涯の相手は、彼女だけだ。」  
エルフィールの瞳が、ぎらりと輝く。  
「実は・・・」  
エルフィールの話に、オヤジの顔が急に赤くなる。  
「こないだアカデミーにやってきたアニスから聞いたんですけど、アニスのいた南の国のアカデミー、  
校長先生が女の人で、名前は『リリー』というそうですよ?」  
武器屋のオヤジの顔が、急に色めきだつ。  
「ほ、ほんとか?詳しく教えてくれ!」  
「ええっと・・・、同一人物かどうかは知りませんけど、彼女は、独身で、そばにいつも屈強な若い男性  
が控えているそうです。そのためか、彼女に言い寄る男性は皆、あえなく返り討ちにされてしまうんだそうです。」  
「若い・・・男?」  
急に武器屋のオヤジの顔から、血の気が引く。  
「うそだろ・・・?この俺は、あのときの誓いを、かたくなに守っているのに・・・」  
しゅんとして肩を落とすオヤジを見て、エリーは自分の失言を悟った。  
「で、でも、同一人物かどうかはわからないし・・・。そうだ!この際、会いに行ってみましょうよ!」  
 
「お、おいおい!南の国って、遠いんだろ?そんなに気軽にほいほい行けるような距離じゃ・・・」  
「大丈夫です♪じゃーん♪」  
エルフィールは壁に巻いて立てかけてあるじゅうたんを手に取った。  
「これが、あたしの新発明・空飛ぶじゅうたんXです!これなら、どんな遠いところでも、あっという間に帰ってこれますよ。  
さあ、どうします?」  
オヤジは首を縦に振る。さっきの話を聞いて、いても立ってもいられない。  
「俺は・・・リリーに逢いたい!」  
「決まりですね。では、しゅっぱーつ♪・・・その前に」  
エルフィールはアカデミーへ行って、アニスに後のことを頼むと、その傍らに控えるサイードに道案内を頼んだ。  
「サイード、しっかり頼んだわよ!」  
「はっ、お嬢様の頼みとあらば、このサイード、全身全霊をかけて、使命を果たす・・・」  
「だ、だから、そんなに固くならないで・・・」  
そしてアニス達とともに工房に戻ると、エルフィールはじゅうたんを持って、城門に向かった。  
そしてじゅうたんを広げて、オヤジとサイードに乗るように促した。  
「では、しゅっぱーつ!」  
3人を乗せたじゅうたんが舞いあがると、エルフィールは声をかけた。  
「二人とも、しっかりつかまってて!それっ!」  
ものすごい勢いで、じゅうたんは前進を始めた。  
一分後。  
もうザールブルグは見えなくなっている。  
オヤジとサイードは必死にしがみついていた。  
 
そして数時間後・・・  
 
「ここです!間違いありません。ここが、南の国のアカデミーです!」  
サイードがそう言うと、オヤジの鼓動が急激に高まる・・・。  
「さあ、行きましょう!」  
エルフィールの掛け声に、オヤジはアカデミーの中へと入っていく・・・。  
 
「校長先生なら、ただいま、外出しておりますが・・・」  
がっくり。  
先生の一人がこう言うと、オヤジは肩を落とした。  
「それで、どこに行ったのですか?」  
聞くと、リリーは近くの湖にいるらしい。  
「オヤジさん、どうします?」  
「もちろん、行くに決まっている!」  
しかし、その先生はこう言った。  
「怪我しますよ?」  
親身になって言ったその先生の言葉だが、オヤジの想いのほうが勝っていた。  
「ではエリー、行くぞ!」  
「あっ、ま、待ってくださいよう・・・」  
3人はすぐに、湖へと向かう・・・  
 
3人の目の前に、美しい湖が広がる・・・。  
そのほとりに・・・いた。  
オヤジが最後に見たときから、ほとんど体型は変わっていない。  
「うわ、綺麗な人・・・」  
エルフィールも思わず見とれる・・・  
サイードが前に進み出た。  
「校長先生、お久しぶりです。」  
「あら、あなたはサイード。確か、アニスに付いていったんじゃなかったの?」  
「はい。そのアニス様から命じられて、ザールブルグから人を連れてきたんですが・・・」  
校長先生は二人を見て、思わず声を詰まらせた。  
「!!・・・まさか・・・」  
頭ははげあがって見る影もないが、そこにいるのはまぎれもなく、最愛の人・・・  
「ゲルハルト!」  
「リリー!」  
20年以上も前のぬくもりが、互いの身体を包み込んだ・・・。  
「逢いたかった・・・」  
「俺もさ・・・」  
エルフィールは、思わず涙する・・・。そしてサイードも・・・。  
「よかった・・・」  
しかし、そのとき、いきなり大声が響く。  
「貴様、すぐ離れろ!」  
いきなり大きな男がオヤジにつかみかかる。  
「・・・ほう、お前がリリーをたぶらかす、若い男か・・・。いいだろう。決着つけてやる!」  
オヤジと睨みあう若い男を見て、エルフィールは感じた。  
(この二人、そっくり・・・)  
 
「やめなさい、ヘルベルト!」  
リリーが一喝すると、その若い男はすごすごと引き下がった。  
「リリー、その男は誰だ?俺は、俺は!あのときの誓いをかたくなに守りつづけてきた  
というのに・・・!」  
すると、若い男がまた叫んだ。  
「お前こそ誰だ!俺の母さんに何をする!」  
へ?母さん?  
オヤジはリリーを見た。  
「ゲルハルト・・・、紹介するわ。この子はヘルベルト。あのとき・・・あなたとの間にできた・・・  
子供よ。」  
そう言って、リリーは顔を真っ赤にした。今でも脳裏に蘇る、あのときの出来事・・・。  
「・・・あんたが、俺の父さん・・・」  
そして、再びオヤジにつかみかかる。  
「やいっ!よくも母さんを捨てたな!」  
しかし、次の瞬間・・・リリーの平手打ちが飛んだ。  
「馬鹿なことを言うんじゃないわよっ!あなたこそ、あたし達のことを知らないくせにっ!」  
強烈な平手打ちを食らって、ヘルベルトはリリーを見た。  
「母さん・・・、俺のことなんて、どうでもいいんだ・・・」  
ヘルベルトは泣きながら、走っていってしまった・・・。  
 
「随分マザコンなのね・・・」  
エルフィールは呆れた顔で、走り去る彼を見ていた。  
「すいません。あのかたは、昔からああなんです・・・。」  
「サイードが謝ることなんてないじゃない。くすっ。」  
「そ、そうでした・・・、ははは・・・」  
 
 
その夜・・・  
 
ヘルベルトは一人、自分の部屋にこもっていた・・・  
ベッドの上に座って、枕を抱きしめながら、泣いている・・・  
「母さん・・・俺のことなんて、もうどうでもいいんだ・・・」  
そのとき、ドアが鳴った。  
「はい。」  
ドアを開けると、入ってきたのは、さっきのエルフィールとかいう女性。  
「こんにちは。ちょっといいですか?」  
「はい、何ですか?」  
「ちょっとあなたに見ていただきたいものがあって、来たのですが・・・。」  
「それは?」  
「はい。今ここでは見せられないので、ちょっと付いて来てもらえますか?」  
「・・・・・・。」  
ヘルベルトは立ちあがった。そして、エルフィールの後を付いて行く・・・  
 
「ここは・・・母さんの部屋・・・」  
エルフィールがドアを叩くと、中から声が聞こえた。  
「入りなさい。」  
「失礼します。」  
中に入るなり、ヘルベルトは驚愕した。  
「か、母さん・・・!」  
 
そこにいたのは、全裸で激しく絡み合うリリーと、オヤジだった・・・。  
「ヘルベルト、よく見ていなさい!あなたは、こうして産まれてきたのです!」  
リリーの股間に腰を埋めて、激しく振っているオヤジ・・・  
「ああっ!これよこれえっ!いいっ!もっと激しく突いてえ〜っ!」  
「そらそらそらーっ!!!」  
あまりの激しさに、リリーは口から泡を吹いている・・・  
「いいっ!いいっ!イク、いっくうーーーーーっ!!!」  
オヤジが離れると、二人の間に、白いアーチがかかる・・・  
「はあ、はあ、はあ・・・ゲルハルト・・・」  
「リリー・・・俺は・・・」  
20年以上も溜め込んでいた想いをぶつけて、第2ラウンドが始まった・・・  
 
翌日。  
 
そこにいた全員は、目を真っ赤にしていた。  
一晩中、一度も休まずに、二人の行為は続いていたのだ。  
「ゲルハルト・・・また、逢えるわよね・・・?」  
「もちろんだ。」  
別れ際に二人は、熱い口づけを交わした・・・。  
そして、3人を乗せ、再びじゅうたんがうなる・・・  
 
 
リリーの隣で、ヘルベルトがつぶやいた。  
「俺もいつか、ザールブルグへ行ってみたいなあ・・・」  
 
そして、ザールブルグでは、またいつもの日常が始まる・・・  
 
1年近くたったある日、武器屋のオヤジの元に、一通の手紙が届いた。  
差出人は・・・ヘルベルト。  
「どれどれ・・・何が書いてあるのかな・・・?」  
その手紙には、こう書いてあった。  
「弟が、出来ました。」  
 
おしまい  

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