ごくり。  
エリーは思わず息を飲んだ・・・  
今、目の前に、すべての錬金術士のあこがれ、錬金術の総本山であるケントニスのアカデミーの門がある。  
「ようやくここまで来た・・・!でも、ここからが新しい自分の始まり・・・」  
エリーは今、輝かしい未来への大いなる一歩を踏み出した・・・  
 
ザールブルグのアカデミーとは、また違った荘厳な雰囲気・・・  
ロビーを往き交う人々も、皆輝いて見える・・・  
「す、すごい・・・ここが・・・ケントニスのアカデミー・・・」  
エリーはただ呆然と立ち尽くしていた・・・  
 
その人たちの中に、ひときわ美しい金色の髪をした麗しき美女がいる・・・。  
「あ、あの・・・、こんにちは!」  
思わず見とれそうになるのを抑えて、エリーは挨拶した。  
すると、その美女は振り返った。予想通り、いや、予想以上の美女だった。  
「こんにちは。・・・あら?あなた、どこかで・・・」  
その美女は考えるような仕草を見せると、やがてぽんっと手を叩いた。  
「思いだした!あなた・・・確か、あたしが立ち寄った村で瀕死の病気に冒されていた子よね?  
名前は確か・・・エルフィールちゃんだっけ?」  
「えっ・・・?それって・・・?」  
エリーは耳を疑った。まさか、あのときの命の恩人に、ここで出会えるなんて・・・  
「で、では、あなたが、マルローネさん・・・?」  
突然、エリーの瞳から涙がこぼれたのを見て、マルローネはびっくりした。  
「ど、どうしたの?」  
「あ、ありがとうございました!あたし、あなたにお礼がしたくて、ここまで・・・来たんです・・・」  
「あらあら・・・」  
エリーはマルローネの胸にすがって泣き始めた。そして、その頭を優しく抱きしめるマルローネ・・・  
 
「エルフィールちゃん・・・あたしはそんなお礼を言われるようなことはしてないわ。」  
エリーが顔を上げると、マルローネはにこっと微笑んだ。  
「だって、困った人がいたら、助けるのが当然じゃない。それに、それができる力を持つのが、  
錬金術・・・そうでしょ?」  
「でも、あたし・・・」  
「しょうがないわね・・・ふふふ・・・」  
マルローネは再び自分の胸に顔を埋めて泣くエリーの頭をそっと撫でた・・・  
 
翌日・・・  
エリーはベッドの中でふと考えた・・・  
「マルローネさん・・・すごく綺麗な人だったな・・・」  
思わずエリーの頬が赤くなる・・・  
昨日はあんな恥ずかしいことをしてしまったが、あの姿勢でいると、なぜか不思議と落ち着いた気分になれた・・・  
「マルローネさん・・・ちゃんとしたお礼がしたいな・・・」  
エリーはすぐに飛び起きて、身だしなみを整えると、再びアカデミーへ向かった・・・  
 
「ほう・・・このアカデミーは、あなたには場違いなのではないでしょうか?」  
「うるさいわねっ!マイスターランクはそんなに暇なところなの?」  
マルローネとメガネの錬金術士が言い争っている。  
 
しばらくして、エリーはマルローネに近づいた。  
「マルローネさん、今の人って・・・?」  
「ああ、嫌な場面を見られちゃったわね。あいつはクライスっていって、マイスターランクの研究生  
なんだけど、あいつ、あたしの顔を見るたびに、嫌味をたらたらと言ってくるのよ!  
あ〜っ、むかつくっ!」  
エリーは言葉を返した。  
「マルローネさん、あの人のこと、好きなんですね♪」  
マルローネは飛びあがらんばかりに驚いた。  
「なっ、何言ってるのよ!誰があんな奴・・・!」  
マルローネは顔を真っ赤にした・・・  
(そうだわっ!マルローネさんへのお礼は、これにしよっと♪)  
 
「すみません!ちょっと用事を思いだしたので、今日はこれで失礼しますね!」  
「えっ?ちょ、ちょっと・・・」  
呆然とするマルローネを後目に、エリーは宿へと戻っていった・・・  
「さあ、さっそく、準備開始!」  
 
 
がさごそ・・・  
さっそくエリーは自分の手荷物を漁り始めた。  
「え〜っと・・・、あっ、あったあった♪これこれ・・・ふふふ・・・。」  
エリーは薄ら笑いを浮かべた・・・。  
「よし、この『死にまねのお香』と、それに『ガッシュの木炭』。この二つがあれば・・・」  
エリーの頭の中で、恩返しのプレゼントの計画はすぐに練られた。  
あとはただ、実行あるのみ・・・  
 
「マルローネさん、こんにちは!」  
エリーが元気よく挨拶すると、マルローネはにこっと挨拶した。  
「こんにちは、エルフィールちゃん。どうしたの、そんな楽しそうな顔して?」  
「うふふ。実はですね、マルローネさんに、あのときのお礼がしたくて、プレゼントを用意したんです。」  
「えっ?そ、そんな!あたしはお礼目当てにやったわけじゃないわ!」  
「いいえ、マルローネさんがそうでも、あたしはお礼をしないと気がすまないんです。受け取っていただけますか?」  
「えっ?そ、そう?それじゃあ・・・でも、何か悪いなあ・・・」  
マルローネは照れ臭そうに頭をポリポリ掻いた。  
「で、マルローネさん、今からあたしの宿の部屋に来ませんか?」  
マルローネはしばらく考え込んだ後、にっこりと微笑んだ。  
「わかったわ!じゃあ、後で行くから、待っててね♪」  
「わあい♪じゃあ、楽しみにしてますね!」  
エリーはマルローネに挨拶して別れた後、その足でクライスの元へ・・・  
 
「クライス先輩、こんにちは!」  
「おや?あなたは確か・・・、エルフィールでしたよね。こんにちは。」  
マルローネには冷たい態度を見せるクライスも、かわいい後輩に対しては穏やかな表情で挨拶を返す。  
「先輩、あたしの名前を知ってるんですか?」  
エリーの驚きに、クライスは平然と答える。  
「ええ。あなたはザールブルグでも有名人ですからね。そのうわさはここケントニスにもはるばる伝わってきてますよ。  
何でもイングリド先生の優秀な愛弟子で、私の妹弟子でもあるとか。それに・・・」  
「それに?」  
「あなたが入学してから、ザールブルグの総人口が2倍になったとか。しかも、出産ラッシュで街の教会が連日大混雑と、  
そう聞いてますよ。」  
「ははは・・・」  
エリーは苦笑した。  
「それで、私に何の用です?」  
クライスの質問に、エリーはこう切り出した。  
「あの、実は、マルローネさんから、仲直りをしたいから、クライスさんを連れてくるように言われたんですけど・・・」  
「ほう・・・」  
クライスはしばらく考え込んだ後、エリーにこう告げた。  
「わかりました。すぐに行きましょう。では、案内してください。」  
「わっかりましたあっ!」  
エリーは張り切って答えた。  
 
エリーの部屋の前で、二人は偶然会った。  
「あれ?何であんたがここにいるのよっ!」  
「何って、人聞きの悪い・・・。私は、あなたに呼ばれてここにきたのですよ?」  
「えっ?あたし、あんたのことなんか、呼んでないわよ?」  
「おかしいですね・・・。エルフィールさんから、そう聞いたのですが?」  
「・・・・・・!まさか、あの子・・・・・・!」  
マリーはすぐさまドアをどんどん叩いた。  
「ちょっと、エルフィールちゃん!これはいったいどおゆうこと!?開けなさい!」  
すると、中からエリーの暢気な声がした。  
「どうぞ〜♪開いてますよ〜、お入りください♪」  
その声を合図に、マルローネとクライスは部屋になだれこんだ。  
「ちょっと!これはいったいどういうこと!?あたしの名前を使ってクライスまで呼び出すなんてっ!」  
エリーがにこっと微笑んだ。  
「こういうことです♪」  
エリーは、マルローネの鼻先で『死にまねのお香』の蓋を開けた。  
すると中からもわもわと煙が立ち込め、部屋じゅうに充満する。  
マルローネとクライスはまたたく間に意識を失った・・・。  
ただ一人、『ガッシュの木炭』を鼻につめていたエリーは無事だった。  
「くっさ〜!でも、これで第一段階は成功ね♪続いて第二段階は・・・」  
エリーは二人をベッドの上に上げると、一枚一枚丁寧に二人の着衣を脱がしていく・・・  
マルローネとクライスは全裸になったまま、並んで眠っている・・・。  
「わあ♪マルローネさんって、せくしい♪」  
足のほうからマルローネの裸体を見上げたエリーは、ふとそうつぶやいた。  
「それでは二人とも、ごゆっくり♪」  
エリーは二人の着衣を持ったまま、部屋の外に出た。  
 
「困った子ね・・・」  
エリーが部屋を出た後、マルローネはすぐにむくっと起きた。  
「何をするかと思えば・・・やれやれ・・・」  
クライスも体を起こす。  
二人とも、エリーが服を脱がしている間、ずっと起きていたのだ。  
マルローネもクライスも高位の錬金術士である。そんな彼女らがこのような初歩的な術にかかるはずもない。  
 
マルローネは、テーブルの上に置き手紙があるのに気づいた。  
開けてみると、そこにはこう書いてあった・・・。  
『あのときのお礼に、至福の快楽をプレゼントします。思う存分、味わってくださいね♪』  
「・・・・・・。」  
「・・・・・・。」  
二人は何も言えず、ただ呆然とするばかりであった・・・。  
「・・・マリーさん、取りあえず、彼女の厚意に甘えてみませんか?」  
「・・・・・・もう・・・・・・クライスまで・・・・・・」  
そう言いながらマルローネはクライスに抱きつき、そのままベッドに倒れこんだ・・・  
 
激しくもつれあって、ベッドに倒れこむ二人・・・  
 
「マリーさん、あなたはいやらしい、実にいやらしい!」  
マルローネの大きな胸のふくらみに顔を埋めて、クライスが叫ぶ。  
「な・・・、何よ・・・!」  
「私に触られて、ほら、こんなにどきどきしています・・・」  
胸をつかむクライスの手から、マルローネの鼓動が伝わる・・・。  
そのままクライスは手のひらをぐいぐい動かして、揉み始めた・・・  
「・・・やわらかい・・・、しかも、すべすべだ・・・」  
「・・・あ・・・そんなことされたら・・・あた・・・し・・・あんv」  
やがて彼の手のひらは、舌に取って代わられた・・・  
先っぽの赤いつぼみをついばみ、舌で転がす・・・  
「いやあん・・・v」  
「あなたの体つきも、実にいやらしい・・・」  
 
マルローネの胸の谷間から、クライスの顔が覗いた。  
「クライス・・・どうしたの?いつもは、嫌味ばっかりなのに・・・」  
クライスは照れたように、視線を宙に浮かせた。  
「本当に美しいものを目の前にしては、嫌味を言う気にもなれません・・・」  
マルローネの顔が真っ赤になった・・・  
(クライスも、あの嫌味がなければ、あたし好みのいい男なのに・・・)  
(マルローネさんも、もう少し落ち着きがあれば、すごく素敵な女性なのに・・・)  
お互いの想いを唇に乗せて、今、二人の唇が重なり合う・・・  
 
「ん・・・・・・」  
マルローネの舌を、クライスの唇が挟みこんで、ちゅーっと吸うように舐める・・・  
「む・・・むぐ・・・」  
マルローネの舌が無理矢理クライスの唇をこじ開けると、その中にある彼の舌に絡みついた・・・  
(もう・・・離さない・・・)  
二人の舌が絡み合って離れない。まるで二人の心のように・・・  
 
そのままクライスの腰が、マルローネの両足の間に滑りこんできた・・・。  
マルローネの秘部に固いような、しかしやわらかいようなこりこりしたものがぶつかった。  
(これは、もしかして・・・)  
マルローネに考える時間も与えずに、それはマルローネの秘裂に分け入ってくる・・・  
「ひあっ!」  
脳天に強烈な一撃を食らったような感触に、マルローネは思わず唇を離した。  
「ああああああ・・・」  
「マリーさん・・・くっ・・・うう・・・」  
今、二人の間に、絞り取られるような快楽が吹きぬける・・・  
 
「マリーさん、動かしますよ・・・」  
クライスの腰が動き始めると、マルローネは激しく身をくねらせる・・・  
「ひあっ!ふああっ!くあっ!」  
クライスの茸の傘がマルローネの膣壁を強くこすると、ますますマルローネは身体を真っ赤にして悶える・・・。  
その二人の結合部からは、次から次へと腋が泡だってしみ出てくる。  
「うああっ!うあああっ!」  
クライスも思わず叫び始めた・・・  
 
二人の本気のSEXに、帰ってきたエルフィールも思わず魅入ってしまう・・・  
「す、すごい・・・。こんなに激しいなんて、思いもしなかったわ・・・」  
エルフィールの存在に気づかずに、二人はただひたすら男と女になっていた・・・。  
いや、オスとメスになっていた・・・。  
「クライスううううぅぅっ!!!もっと!もっと愛してえっ!!!あああああっ!!!」  
「マリーさん!・・・マリーさん!愛してますううううっっ!!!うっ!うううっ!」  
「ああああああああっ!!!あたしの中に、入って・・・くるううううううううっ!!!」  
突然、二人の結合部からしみ出す腋が、白く濁った液体に代わった・・・  
そのまま、二人はぐったりと横になった・・・。  
「お二人とも、本当は、誰よりも、お互いのことを愛しているんですね・・・」  
エルフィールは少しうらやましい気持ちで、二人の寝顔を見つめていた・・・  
 
 
ケントニスで意気投合したマルローネとエルフィール・・・  
 
二人はザールブルグに戻り、二人でアトリエを経営することになるのです。  
 
「マリーさん、この間受けたコメートの依頼はOKですか?」  
「もちろん、ばっちりよ♪エリーの特効薬のほうはどう?ばっちり?」  
「はいっ!」  
「ほぎゃあ!ほぎゃあ!」  
「あら、もうこんな時間!赤ちゃんにミルクをあげないと!」  
「うふふ♪かわいいですね♪」  
「もう!誰のせいで、こうなったと思ってんの?」  
「いいじゃないですか。本当に好きな人との間に出来た赤ちゃんなんですから。」  
「そ、そりゃそうなんだけどね・・・。ところでエリー。」  
「はい、何ですか?」  
「エリーには、好きな人はいないのかなあ〜?」  
「そ、それは・・・」  
 
今日も二人(+一人)の元気な声が聞こえてきます・・・♪  
 
おしまい  
 

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