エリーはいつも、ボルトの店「船首像」の水槽の魚をからかうのが好きだった。  
こつん、とガラスを叩くと逃げていくのが面白くて、ここに来ると  
ついいつもやってしまうのだ。ユーリカに止められたこともあったが、  
ほとんどもう日課のようになっていた。  
が。今日、いつものようにこつん、とガラスを叩いたら。  
なんと、一匹の魚が腹を見せて浮きあがってしまったのだ!  
(うわ、ど、どうしよ…!)  
「こらーっ」案の定、ボルトに気づかれてしまった。  
「きゃーっ!」エリーは思わずボルトの剣幕から逃げ出してしまう。  
「なんてことしやがる!! こいつらはなあ、俺の…俺の…っ」  
エリーは遠巻きにへこへこと頭を下げていたが、最初は怒りに燃えていた  
ボルトの目がみるみる潤むのが見えた。  
「…ちくしょうっ今日はもう店じまいだっ。みんな帰れ帰れっ」ボルトは袖で  
ぐいっと顔をこするとエリーごと他の客も閉め出してしまった。  
 
(どうしよう…私、大変なことしちゃった…)  
エリーはおろおろしていたが、やはりきちんと謝らなければならないと  
思い、もう一度「船首像」の扉を押した。  
がらんとした店内。ボルトは水槽から死んだ魚を引き揚げたらしく、  
水槽のあたりから点々と水がこぼれていた。その跡をエリーがたどっていくと、  
ボルトの自室らしき所にたどり着いた。  
エリーがのぞき込むと、ボルトが一心不乱にナイフを研いでいる背中が見えた。  
「ボルトさん、だめ! 早まらないでーっ」  
エリーは思わずボルトに飛びついて羽交い締めにした。  
 
「わ! 何だ何だっ」ボルトはナイフをとり落として素っ頓狂な声をあげた。  
「ボルトさん、さっきは私、ごめんなさいっ。そんなに大切なおさかなさん  
だったなんて私…知らなかった…ワケでもないような気がするんだけど…  
でも、でも、おさかなさんの後を追って死ぬなんて絶対絶対ダメですーっ!」  
「な、何い?」ボルトは一瞬あっけにとられた。その後ははは、と笑い出した。  
「あんた、俺が死のうとしてると思ったのか?」  
「え? 違うんですか?」  
「違うよ。よく見ろ」エリーはボルトの前に死んだ魚が置かれているのを見た。  
心中ではないらしい。すると…。  
「た、食べるんですか?」信じたくはないがエリーはおそるおそる聞いた。  
「それも違ーう!! お嬢さん、この部屋を見て気づくことはないかい?」  
 
あらためてエリーは部屋を見回した。部屋にはたくさんの木彫りが置かれていた。  
船や水夫、魚、鳥、馬や千年亀…。「木彫りがいっぱい…」  
「そ。俺はこれからこいつの形見に木彫りを作ってやろうと思っただけだよ」  
「そうだったんですか。私、てっきり…」  
「船乗りのひまつぶしにゃよくある趣味さ。アイツに…フラウ・シュトライトに  
やられちまって、船に乗れなくなってから本格的になっちまったが」  
「すごい…これなんかまるで、生きてるみたい…」エリーはその一つを手に取り、  
自分の木鶏にも生かせる技術を盗めないかと観察する。  
ほめられてボルトは悪い気はしなかった。  
「いつか俺の店の前に自分で作った船首像を据えるのが俺の夢さ」  
「船首像…っていうと、女神像ですか…」  
エリーはカモメの彫刻をためつすがめつしながらあいずちをうつ。  
「そ。だけどどうしても女は上手く彫れないんだよ。野郎はいけるんだがなあ」  
「じゃあ、私がモデルになりましょうか」  
「ああ、そうだな…って、ハ?」あまりに何気なくエリーが言うので  
ボルトは一瞬聞き流しそうになった。  
 
「私、モデルになります。おさかなさんにいたずらしちゃったお詫びに…。  
わ、私なんかじゃ女神像にはほど遠いっていうのはわかってますけど、  
練習ぐらいにならなるかも…」  
やっと自分にできるお詫びが見つかった、そう思ったエリーは  
ボルトに詰め寄った。「おいおいいいのか? 女神像っていや…その…」  
エリーは顔を赤らめた。  
「はい。い、いいんです」言いながら、ボルトの言葉に拒否が含まれて  
いないことを感じたエリーは決意がにぶらないうちにブーツから脱ぎ始めた。  
「お、おい…」ボルトが目を白黒させている間に、エリーはボルトの前に  
一糸まとわぬ裸体をさらした。  
 
「ど、どうですか? ええと、女神像ってこんな感じでしたっけ?」  
エリーは部屋の中にあった柱に背中をつけて腕を後ろに回す。  
「ああ、そ、そうだ…」ボルトの目は扇情的なポーズをとるエリーに  
釘付けだった。薄い肩、小ぶりだがつんと張り出した胸、細くくびれた腰…。  
船首像に求められる豊満さはなかったが、整った姿態は一つの芸術ではあった。  
一瞬ボルトは今の状況を忘れてその体に食らいつきそうになる。  
がすぐに、エリーはモデルになると言ったのだ、ということを思い出して  
ナイフと大きめの木ぎれを手に取って食い入るようにその体を見つめる。  
もちろん死んだ魚を彫る気など霧消してしまった。  
 
ボルトの木彫りは船乗り流なので、デッサンなどとらずにいきなり木ぎれを  
彫り始めては時折前後左右、あらゆる角度からエリーの体を見つめる。  
その真剣な視線がエリーには陽光のように熱を持っているように思えた。  
真剣な瞳で体のすみずみまで見つめられてエリーは体の芯が熱くなるのを感じた。  
(やだな、ボルトさんはそんなつもりで見てるんじゃないのに…)  
木を荒く削りながら力仕事で汗ばんできたボルトはシャツを脱いだ。  
エリーはその脇腹を大きくえぐったひきつれた傷跡に目をみはるが、  
作業に熱中したボルトは気づかない。裸になると筋肉の動きがよくわかるため、  
彼の手足に時々ぎこちない動きがあるのは、その傷跡に未だに残る痛みを  
かばってのことなのだとエリーにはわかった。  
 
ふと、突然エリーの体にボルトの手が触れた。  
「あっ…」エリーは声をあげたが、変わらず真剣な目つきのボルトは  
気づかぬ様子で彼女のボディーラインを汗ばんだ節くれ立った手でなぞる。  
(あ、これもモデルの仕事…なんだ)  
そう思ったエリーは声をこらえるようにした。  
ボルトの手はエリーの体をはい回り、時折木ぎれへと向かう。  
エリーは声こそ必死にこらえていたが、体の芯から熱い蜜が流れ出して  
脚を伝うのを止めることはできなかった。  
(声を出しちゃダメ、声をだしちゃダメ…)自分に言い聞かせているうちに、  
エリーはなぜ自分が声を出してはいけないのかを見失っていた。  
ボルトが彼女の脚を伝う蜜に気づいて、彼女を明らかに愛撫し始めてからも。  
 
ボルトは先ほどまで木彫りに熱中していた熱をそのままエリーに振り向ける。  
白い肌をくちづけで紅く染め、小さな乳房の頂点を形よくとがらせ、  
柱に寄りかかっていた背中を横たえて思うまましなわせる作業は  
全く流れ的には同じようなものだった。  
そして彼女の蜜であふれた秘所を指で彫り抜いていく。  
そこはボルトが指を動かすたびにいやらしく収縮し、新たな蜜をあふれさせる。  
「んっ…ふぅっ」彼女の秘所はぴちゃぴちゃと水音を発していたが、  
エリーはまだ声をこらえて吐息だけを荒くしていた。  
「なあ、いいのかよ?」  
すでにこのままではおさまらないほど股間のモノがいきり立って  
しまっているボルトはエリーに聞いてみるが、エリーは何も答えず、  
ひたすら目を閉じて息をつめては荒い吐息を吐き出していた。  
エリーが否定しないのをボルトは肯定と受け取ることにした。  
すでに熱くなった彼のモノを取り出して一気に貫く。  
「んんっ」  
 
コトここに及んで、さすがにモデルの範囲を逸していることにエリーは  
気づきはしたものの、こうなった原因もまた自覚できたので  
エリーは協力的だった。  
ボルトは彼女の中をじっくりと味わう。ずる、ぬちゅっ、二人の間を  
彼のモノが抜き差しされるたびにいやらしい音が響き、  
ボルトとエリーの快感を高めていく。  
「ん…ぁふぅっ…」エリーはボルトの腰に足をからめようとして、  
そうすると彼の傷跡に触ってしまうことに気づく。  
(こんな大きな傷…船乗りやめなきゃいけないワケだよね…)  
エリーはその傷をそっと指でなぞる。  
「その傷が気になるか?」ボルトは困ったような顔をする。  
エリーはかぶりを振り、その傷跡にくちづけ、そのまま  
彼の汗ばんだ胸にもくちづける。  
 
そのくすぐったい感触に引き金をひかれたように、  
ボルトは腰の動きを早めていった。  
汗ばんだ体がぶつかり合う湿った音と二人の荒い吐息が部屋を支配する。  
「はあ、はあ…」「んんっ…あ、あぁ…」  
ボルトのモノが出入りするたび、エリーの快感は跳ね上がり、  
ついに声をこらえきれなくて呼吸のたびにあえぎ声を漏らし続けた。  
「ああっ…あ、ああん…ッ」  
「い、いいよ、お嬢ちゃん…ッ」エリーの中はぐいぐいとボルトを締め付け、  
抜き差しのたびに快感が数段飛ばしに増していく。さらなる高みを求めて  
ボルトはエリーを何度も何度も突き上げ、波のように引いては  
また突き上げる動きを繰り返す……。  
 
「ウッ」短い叫びと共にボルトは彼のモノを引き抜き、  
手を添えてどくどくっと飛び散る彼の欲望を出し切った。  
 
「すまなかったな…」ボルトはエリーに謝った。エリーはまだ息を切らしていた。  
「い、いえ…それより…おさかなにいたずらしたの、  
これで許してもらえます?」エリーは上目遣いに尋ねた。  
エリーがまだ水槽の魚のことを気にしていたとは思わなかった  
ボルトは苦笑した。  
「もちろん。また店に来いよな、もうモデルはしなくていいからさ」  
ボルトはくしゃっとエリーの髪を撫でると、下だけ着こんで後ろを向き、  
先ほど彫り上げた小さな女神像の仕上げ彫りをし始めた。  
「ええ、またお世話になりますね」  
いいながらエリーは元通り服を着て、そして通りへと出ていった。  
 
-おしまい-  
 
 

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