「おい」
エリーの船室の扉にノックというより殴りつけるような音が響く。
既に寝間着に着替えて書き物をしていたエリーは手を止めた。
「ダグラス? 何?」
「おい、ここ開けろよ」ダグラスの声はろれつがあやしかった。
「酔ってるのね、ダグラス。何しにきたの?」
「いいから開けろって……ととと、」
ダグラスのドアごしの声から、たいしたこと無い船の揺れにもまっすぐに
立っていられないほど酔っている様子がかいま見えた。
「わかった。酔い止めの薬でしょ? じゃ、すぐ出すからとりあえず入っていいよ」
エリーがドアを開けるとゆらりとダグラスが倒れかかってきた。
「もうこんなになるまで飲んで!」
エリーは怒ったように言ったが、ダグラスは何も言わずにエリーに倒れかかった。
いや、何か口の中でもごもご言ってはいたがそれは言葉になっていなかった。
「ちょっと抱きつかないでよ…そこの椅子に座って待って…」
言いかけたエリーの唇を急に酒臭いダグラスの唇がふさいだ。
エリーは驚いて首を振って逃げようとするが、頭をしっかり固定されて逃げられない。
両手で体をもぎ離そうとしても全くダグラスは意に介さず、
それどころか彼女の手をまとめて拘束し、アルコール臭のする息と暴力的な舌で
彼女の口中を思うまま蹂躙する。
(いや…!!)
長い一方的な唇へのキスからそのままダグラスはほっそりとした首すじへと
その矛先を変えていこうとする。そのときエリーはやっと、この男は
このまま薬などもらって帰るつもりでこの部屋に来たのではない
ということを悟った。
「やだ、やめてダグラス、私たち友達でしょ!?」
「友達ィ? 俺たちゃもう恋人、だろ? 俺はお前のために
海竜まで倒してやったんだぜ?」
言いながらダグラスはエリーをひっ抱えて寝台に押し込む。
「何言ってるのよ! 関係ないじゃない!」
「お前だって言ってくれたじゃねえか、今年は優勝できるってよォ」
「んっ…!」
エリーの反論はダグラスのくちづけに遮られる。
ダグラスは酒に酔って焦点の定まらない乱暴な手つきでエリーの
寝間着を脱がせようとする。
突然パシィッと平手打ちの音が響く。
やっと手を解放されたエリーがしびれた手で思い切り彼の横面を
はたいたのだ。
だがそもそも彼女の力では大したことはない上、酔って感覚が鈍った男には
痛みもほとんど感じなかったようだった。
だが、女に殴られたという事実には苛立ったらしくふらりと手を振りかざした。
(殴られる!)
とっさにエリーは首をすくめた。だが予期した衝撃は訪れなかった。
「いけねぇいけねぇ、女に手をあげちゃぁいけネェんだよなぁ…」
ダグラスはアルコールに支配されたまま弛緩した表情を浮かべる。
酔って力加減のできないこの男に思い切り殴られたらどうなるか…それを
考えるとエリーはぞっとした。
「ねえやめてよ、ダグラス酔ってるんだよ。薬飲んでよ」
わずかに残っているらしい理性に訴えかけてみるが、効き目はなかった。
「酔って…なんか、ネエ!!」言いざま、エリーの髪をつかんで
また無理矢理に唇を奪う。
「んん…っ!!」
舌をからめて口内をなぶりながらそのままダグラスの手はゆったりとした
寝間着の下にもぐりこみ、エリーの胸をまさぐる。
エリーは、ぞっとするような気持ちとうらはらに初めて感じる快感──
それが快感だということさえ知らなかったが──に戸惑った。
(やだ、何これ…)
ダグラスは大きな手でエリーの小さなやわらかい胸をもてあそぶ。
くりくり、と乳首を転がすように撫でるとエリーの背筋にしびれが走り、
くちづけの下で小さな声をあげてぴくりと跳ねる。
「イヤ、もうやめて、ダグラス…!!」
必死に唇をもぎはなして訴えるが、その声は乱れていた。
「イヤだなんていわせネエよ」ダグラスの手はエリーの下ばきに潜り込む。
「イヤっそ、そこは…」エリーの拒否は全く効き目がない。
最初は手元が狂ったのかパンティごしにしばらくそこをなぞっていたが
やがて気づいたダグラスの手は寝間着ごとパンティを引きずりおろし、
エリーの秘所へと潜り込んでいく。
「ああっイヤぁ…っ」花弁をもてあそばれてまたも未知の快感に翻弄されそうに
なりながらそれでも拒否の言葉を口にするエリーの目に涙が浮かぶ。
が、ダグラスの耳目は酔いと欲望にくらんでエリーの言葉はまるで
音楽のように心地よくさえ聞こえていた。「うわ、キツイな…」
ダグラスは意外に器用な長い指でゆるゆるとエリーの秘所を貫いていくが、
まだ男を知らないそこはきしきしと軋み、ダグラスの指を押し返そうとする。
「痛いっ…痛いよ、ダグラス…!」エリーは苦しげに声をしぼりだす。
「これじゃ入りそうにネエな」突然ダグラスはエリーの脚を押し開き、
その秘所に顔を埋める。
「やだっ何するのっ…あッ」
ダグラスはぴちゃぴちゃと音を立ててエリーの花弁を味わっていた。
時折敏感な芽をむきあげるような動きも入れる。
「あ、ああん…」感じやすい所を責められてエリーの声に吐息が混じる。
エリーの意志に反して秘所からも愛液がにじみだし始めていた。エリーは何とか
この窮状から逃れたい、とダグラスの髪をひきむしるようにつかんでみたが、
その指にも力は入らず、すぐに滑って空しく空を掻くのみだった。
ダグラスは初めて見るエリーのそこに血眼だった。だんだんとエリーが
感じ始めているのがわかってきてからはさらに夢中になって、むさぼりつくす
ようにそこを舐め、その秘所に舌を差し入れて犯した。
「へへ、感じて来たな…」わざとそう言って愛液をズズッと音を立ててすする。
「あぁッ」エリーの目から涙がこぼれた。
「そろそろイイかな」ダグラスは体制を変えて彼の屹立するモノを取り出し、
愛液と彼の唾液で濡れそぼった秘所にあてがった。
「!!やだ、やめてエッ」脚を閉じようにも間に入り込まれて、腰を引こうにも
肩を押さえ込まれてエリーは必死にただ一つ自由になる首を左右に振る。
「遅エよ」ダグラスは全く意に介さずに彼のモノをぐいぐいと押し込んでいく。
「い、痛…、ぁ…うう…」痛みをこらえるのに必死でエリーの声はくぐもる。
「やっぱキツイけど…イイぜ、お前の中…っ」言いながら、ダグラスのモノは
エリーの秘所にぐりぐりと割り込んでいく。
「う…」エリーはただ涙を流すだけだった。やがてダグラスのモノはエリーを
完全に貫き通し、ダグラスはゆっくりと抜き差しを始める。
「はあ…イイぜえ…」ずるり、ぐちゅっ…。エリーが積極的に感じているため
ではなく、女体が自らの体を守るために流す愛液と、ダグラスの先走り液が
混じり合い、だんだんと二人がつながっている部分が潤ってくると、
ダグラスの快感は加速をつけて増していく。
だんだんと滑りが良くなるのに合わせて彼の動きは早まっていく。
体を叩きつける音がずっぷずっぷとリズムを刻む。
「なんだかんだ言ってお前もイイんだろ?」
「…」滑りが良くなってきてしまったこともあって、だんだんと痛み以外の感覚が
自分を支配しつつあることに気づいてしまったエリーは今は必死に声をこらえていた。
「俺はお前の事が好きだ。おめえだって俺のことが好きだからこんな所まで
ついてきてくれなんて言ったんだろう?」
言いながらダグラスはエリーの感じやすい芽を彼女の愛液にまみれた指で擦りあげた。
「あはあっ!」ついにエリーは快感をこらえられず声をあげてしまった。
「あ、あぁ、はぁんっ…」一度堰を切ってしまうとあとはもうひたすら
快感に翻弄されるのみ。彼女の内壁をえぐり子宮を突くような
ダグラスの動きに合わせて腰が浮くのをもう抑えることができない。
「いいぜ、エリー…!」ダグラスはエリーの脚を肩に担ぎ上げて彼女を
二つに折るようにし、彼女の朱に染まった顔と結合部分を眺めながら中をかき回す。
「はぁっ…あ、んうぅっ」エリーはこんな風に無理やりされて
感じてしまっている恥ずかしさと圧倒的な快感にひたすらあえいでいた。
その目からは涙がこぼれ続けていたが、それが苦しみによるものなのか
快感によるものなのかはもうエリーにもわからなかった。
一方エリーを責め立てていたダグラスも次第に追いつめられつつあった。
二人の間から響くぬちゃぬちゃという淫猥な音、目の前で揺れるかわいらしい
エリーの白い双丘、そして快感に歪んだエリーの顔、絶え間なくあげられる
あえぎ声…全てがダグラスの内圧を押し上げていく。
早く彼女をイカせてやりたい、という思いで激しく突き上げれば突き上げるほど
逆にダグラスの方の限界が近づいてくる。
もっと、もっと、ともう夢中でひたすら腰をピストンのように前後させていく…。
「んあああぁっ…」エリーの声が高まり、その膣が彼を一層締め上げる。
「!!くっ…!」
こらえられなくなったダグラスはエリーの中から猛り狂ったモノを抜いた。
それはびゅくん、びゅくん、と収縮し、白濁液をエリーの上に吐き出す…………。
コトを終えるとダグラスはふらふらと自分の船室へ帰っていった。
エリーはしばらく呆然としていたが、今日はもう眠れそうになかったので
きっちりと着衣を整えると、机から何か書きかけていた紙を持ち出し、
船べりから小さく破り捨てる。そのまま夜明け前の海を見つめる瞳は暗かったが、
こんなことになってもエリーはダグラスのことを嫌いにはなれなかった。
(他に好きな人がいたわけじゃ…ないんだし…。ダグラスの言うとおり、
私もダグラスのこと好きだったのかもしれないね…)
白々と夜が明けてくる。
見張りの声が響く。「陸が見えてきたぞー!!」
予定通りなら、陸地が見えればあと数刻で港に入れるはずだった。
(…もうすぐエル・バドールに着くんだ。マルローネさんのいる
ケントニスに私ついに来たんだ…!!)
朝の光はエリーの心にも差し込み、明るく照らしていった。
船が入港してもダグラスはまだ眠っていた。
「二日酔いだと思いますから、起こさないで下さい」
まだまだ旅は長いのだ、いつまでもくよくよしても他に護衛の当てもない。
エリーは腰にひどい違和感を抱えつつも、船の渡り板を降りると
しっかりとした足取りで街をめざして歩き出した。
-おしまい-