店の前からドヤドヤと数人の声が聞こえてくると同時に、  
ディオは自分の背に位置している棚のグラスに手をかけた。  
先ほどまで酒場の窓から差しこんできていたオレンジの陽光はすでに弱まり、  
表の通りでは仕事帰りであろう男達の声がしきりに響いている。  
酒場を営む彼にとってはこれからが本格的な稼ぎ時であり、  
連日この『飛翔亭』には疲れた身体を酒で慰めようと訪れる者が絶えない。  
また、この酒場はアルコールを楽しむ場所のみならず、  
様々な依頼を提示していることでも有名だ。  
そしてその依頼の中には、時間と金を持て余している富豪の  
ある種、道楽めいたものも含まれていた―――。  
 
ドン!  
木製のドアを乱暴に開けて、なかなかに締まった肉体をした男が  
数人、酒場に足を踏み入れてきた。  
「マスター、こいつらで間違いないか?」  
 
その中の一人がディオにそう言って、肩に担いでいた女を床へ下ろす。  
ごろりとその場に寝転がらされた女はさして抵抗も見せず顔を天井へ向ける。  
どさ。どさっ。  
女が床へ放り出された時と同じような音が2回繰り返された。  
見ればそれらも女のようで、3人とも同じぐらいの年齢、似たような服装で身をつつんでいる。  
「街の外れの工房に住んでいる錬金術師、マルローネとエルフィール。相違ないだろう?」  
ディオはカウンターを周って、転がった女の顔を確認していく。  
顔に触れられても女達に反応は見られず、時折苦しそうな呻き声をあげるだけだった。  
「ふ……む、間違いない。しかしあんたら、いくら依頼だからって、  
 こんなお嬢ちゃん達に手荒なマネをするのは関心しないがな」  
「なぁに、命に別状ないって。  
 ちょっと俺らの言うこと聞いてくれなかったからおネンネしてもらっただけさ」  
咎めるようなディオの言葉にも、男は軽く笑うだけだった。  
立ったままだった連れの男達にカウンターの椅子を進め、自らも腰を落ち着ける。  
「依頼した内容は2人ではなかったか? その娘さんは…」  
カウンターの内側で、状況を今まで静観していたクーゲルが静かに口を開いた。  
 
問われた男は、上着のポケットに手をつっこんで銀貨を数枚彼の前へ差し出しながら答える。  
「あぁ、なんか一緒につるんでたから連れてきちまった……  
 同じようなカッコウしてくるし仲間と思ったんだ。それより酒頼むわ」  
カウンターの上に置かれた数枚のコインを一瞥して、  
クーゲルはオーダーされたものを用意していく。  
「この娘は確か、アニスとか言ったな。最近この子達を手伝っていると聞いたが…」  
ディオは3人を確認し終え、カウンターへ戻っていく。  
男達の相手をしているクーゲルを見やり、  
「おい、依頼主のご婦人に連絡を」  
と告げると、彼は何も言わずに奥へ引っ込んだ。  
「どうしたんだ?」  
酒を呷りながら男がディオへ疑問を投げる。  
「いや、依頼主の願いでな……依頼が達成されたら連絡してくれと頼まれていたんだよ。  
 報酬は彼女が用意するそうだ」  
「ふぅん……まぁいいか。一杯やりながらそのご褒美を待つとするかね…」  
まだ気を失ったままの3人を見ながら、男はグラスの酒を喉へ流し込んだ。  
 
 
「こ、これはどういうことですかっ!?」  
気がついた時にはすでに店の中には数人しか姿が見えず、  
さらには身体の自由を奪われていたことに3人は少なからず焦りと困惑を覚えた。  
エリーが目の前に立って自分を見下している女性に怒号を投げかける。  
少女とは言えども、強い怒りを示すその視線はなかなかに迫力があったが、  
煌びやかな宝石が満遍なく散りばめられた扇子をぱたつかせながら、  
ふくよかな身体をした貴婦人は何食わぬ顔でそれを見つめている。  
「どういうこともこういうこともないザマス!  
 街中で爆弾を爆発させるような人間がいたら安心して暮らすことができないザマス!!」  
ほぼ紫色に見える濃いルージュが塗られた口から唾液を目一杯とばして、  
婦人はエリーに負けじと声を張り上げた。  
先日、所持していたギガフラムをマリーが誤って街中で爆発させた騒ぎは  
ザールブルグで知らない者がいないほど有名な事件である。  
今まで幾度も住民に危険を感じさせることがあったマリー達だが、  
今回のことで彼女達を以前から問題視していた人間がついに実力行使に出たのだ。  
 
「あなた方のおかげで私達は睡眠不足の日々が続いているザマス!  
 毎日毎日、ボンボンドカンドカンと爆発音を聞かされるこちらの身になってほしいザマスー!」  
床に座らされたまま両手を後ろ手で縛られ、  
まるで罪人のような扱いに3人は憤慨していた。  
「あれは研究過程で仕方のないことなんです!  
 街のみなさんに危害を加えるようなことはありません!!」  
エリーの後ろで身体を折ったままだった、癖のある短い髪をした少女が一息に言葉を吐き出した。  
「あら? あなた、新顔ザマスね……あなたもこの落ちこぼれ錬金術師達の仲間ザマスか?」  
彼女のの澄んだ深青色の瞳を携えたその大きな目を覗きこみながら、  
婦人は怪訝な表情を浮かべた。  
「先輩たちは落ちこぼれなんかじゃありません!  
 マイスターランクまで修了してる立派な錬金術師ですっ!!」  
「……あなた、お名前は?」  
身体の自由を奪われていながらなお強気な少女に興味を持ったのか、  
婦人が片方の眉を吊り上げて名前を問う。  
「アニス・リュフトヒェンです!  
 錬金術の教師を目指してザールブルグに勉強に来ました……!!」  
 
すごむアニスの視線を受け流しながら、婦人が鼻をならす。  
「フン、威勢があるのはいいザマスが、  
あなたもこの娘達のお仲間ならロクなもんじゃないザマス……それで」  
喋り疲れたのか、婦人はそこで一度言葉を切って3人の顔を見まわした。  
アニス達もつられて息を飲みこむ。  
「あなた方はザールブルグから出て行ってもらうことに決まったザマス。  
 これは街の意見ザマス」  
「なっ……ふざけないでよオバサン!」  
今にも跳びかかりそうな勢いでマリーが口を開いた。  
「勝手に決めないでよ! 私はアカデミーの力になるために戻ってきたんだから!」  
「爆弾娘が何を言うザマス! あなたがいなくなってからはそれはもう  
 平和だったザマスのにまた戻ってきて!」  
「そんな……そんな言い方って!」  
エリーが悲壮な声で嘆く。命の恩人であるマリーを悪く言われるのは  
自分がそれを言われる以上に辛く悲しいことなのだ。  
「錬金術に危険はつきものなの! それを恐れているようじゃ進歩はありえない!」  
「何が進歩ザマスか! 人様を勝手に危険に巻きこんでおいて!」  
 
「まぁまぁあんた達、そう熱くなりなさんなよ…」  
どんどんエスカレートする輪の中へ、カウンターの中からディオが控えめに声をかける。  
すでに彼女達を気にするほど客はいないものの、  
こうカン高い声を店内に響かされては気が滅入るに違いない。  
依頼を受けた男達も女性達に背を向けている。  
「ディオさん、こんな依頼あんまりじゃないですか!?」  
マリーが憤慨してディオに突っかかる。  
普段でさえ危なっかしい彼女が怒りで顔を赤くして怒鳴る様は  
宮廷直属の騎士だったクーゲルさえ怯ませた。  
「むう……しかし、ご婦人も客なんでな……」  
「私は出ていかないから! 誰が何を言おうと、私はザールブルグが好きなんだもん!」  
「そうですよ先輩!小さな失敗なんて気にすることありません!」  
カウンターに座っていた数人の中の1人が、アニスの相槌を聞いて溜息をつく。  
「……街中で爆発を起こすことが小さな失敗か?」  
「さぁな。俺達みたいな頭の悪い人間にはわからんよ」  
バンッ!  
 
いきなり叩かれたカウンターが大きな悲鳴を上げてビリビリと振動する。  
男達は反射的にぎょっと肩を縮ませた。しかし彼らの表情は瞬く間に驚愕へ変わる。  
カウンターを泣かせたもの――婦人の手――を見ると、  
その手の中には黄金色の光を放つ金属が握られていたからだ。  
「こ、こりゃ、金じゃねぇか!」  
「すげぇ! こんなデカイの初めて見たぜ!」  
男達が色めき立つのも無理はなかった。  
一般人にはおおよそ目にすることはできない大きな金塊を婦人が懐から取り出したのだ。  
「なるほど、これが今回の報酬って訳か。それなら有り難く頂戴…」  
「これはあなた方に出したんじゃないザマスッ!!」  
金塊に手を伸ばそうとした男を一喝して制すると、  
婦人は再びマリー達へ向き直った。  
「今一度聞くザマス。どうしても出ていかないと言い張るザマスか?」  
「当然です!」  
そうエリーが答えて、後の2人も力強く頷く。  
思った通りの答えだったのか、婦人は彼女らに何も言わずにカウンターの奥を見た。  
 
いきなり睨まれたディオがビクリと身体を竦ませる。  
「主人! 今日一日ここを貸しきりたいザマス!!」  
その場にいた誰もが一瞬、呆気に取られた。  
今までの話の流れとは全く関係のない言葉が夫人の口から聞こえたからだ。  
だが当の本人は1人、ニヤリと薄い笑みを浮かべている。  
「2人分の宿賃には充分過ぎるほどザマス。たまには夜を楽しんでくるといいザマス」  
ずい、と目の前に差し出された金の山に圧倒されながら、ディオが口を開く。  
「ど、どういうことかねご婦人? いきなりそんなことを言われても…」  
「もとから今晩はここを貸し切ってパーティーを開く予定だったザマス!  
 場所を提供してほしいザマス!」  
「いや、しかし…」  
「何ザマスか! これでも足りないっていうザマスか!? 強欲な主人ザマス!!」  
「そ、そういう問題ではなく…」  
「私は客ザマス!! 客の頼みを聞くのが客商売じゃないザマスか!!」  
「ぐ…ぐ」  
 
婦人の有無を言わさないその迫力に首を横に振ることもできず、  
ディオとクーゲルは半ば追い出されるように飛翔亭を後にした。  
いつもは人がごった返しているせいか狭く感じる酒場内も、  
この場にいる数人には広く感じられる。  
「あの……とりあえずこの手、解いてくれませんか?」  
静かになった空間では、決して大きくないアニスの声でさえ響いて聞こえる。  
しかし、そんな彼女の控えめな願いはキツイ視線に殺されてしまう。  
「それはダメザマス」  
「どうしてですか? 今からパーティーするのなら私達がいたって邪魔になるんじゃ…」  
「邪魔になんてならないザマスよエルフィールさん。今日の主賓はあなた方ザマスから」  
勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、婦人はゴージャスな扇子を懐へ仕舞った。  
「どういうことよっ! 私達はパーティーなんかに呼ばれてないわ!」  
「お黙り! 爆弾娘!  
 この街から出て行かないというなら、出て行きたくなるようにしてあげるザマス!」  
婦人は強く言いきってから、カウンターの男達を見た。  
 
マスターもいなくなってすっかり居心地の悪くなった酒場から  
出て行きたい衝動にかられながらも、目当ての報酬をもらうまでその場を動けずにいた  
男達がようやく、といった感じで顔を上げる。  
「そろそろ貰えるものを貰ってお暇したいんだがね。酒も尽きてきたしな」  
「もう少し待つザマス。あなた方に支払う報酬は今用意するザマス」  
顔をしかめた男の前にあったグラスを手に取り、婦人はマリー達の前へ移動を始める。  
座りこんだままの彼女達に目線を合わせるように自らも屈み、  
互いの視線の交わる高さまでグラスを持ち上げて注目を促した。  
「あなた達も錬金術師なら、これが何だかわかるザマスね?」  
そう言って婦人が取り出したのは、掌に収まるほどの小さな入れ物だった。  
その入れ物の中から漂ってくる独特の香りに気づいたアニスが小さく呟いた。  
「それは……魅了の粉……」  
「あら、正解ザマス。あなた、なかなか優秀みたいザマスね」  
即答したアニスに関心しつつ、婦人は片手に持ったグラスの中へそれを流し込んだ。  
瞬く間にその粉はグラスの中の酒と同化して、無色だった液体に鮮やかな色をつけていく。  
 
「そして、これザマス」  
次に婦人が手に持って見せた小瓶には、3人とも見覚えがなかった。  
「これは先日遠方から来た旅商人から買ったものザマス」  
小瓶の中身をトポトポとグラスの中へ注ぎながら、婦人は説明を続ける。  
「うちのペットのエリザベスちゃんが間違ってこれを口にしたんザマスが、  
 3日3晩ずぅっと腰を振り続けて困ったザマス…」  
すっかり混ざり合った液体をマリーに見せつけて、婦人はイヤらしい笑みを浮かべた。  
「あなたにはこれをプレゼントするザマス」  
「う、うそぉっ! や、止めてよっ……そんな得体の知れないものをっ…」  
「得体は知れてるザマス。強力な媚薬ザマス!」  
「マ、マリーさんっ!」  
「先輩っ!?」  
「んぐっ……!!」  
鼻をつままれ、口先に無理矢理グラスを突き付けられたマリーに逃げ場はなかった。  
甘い香りのするその液体が喉を通り過ぎるのと同時に、言いようのない熱さが身体を包み込む。  
「人間にはどの程度効くか楽しみザマスね…」  
 
「なっ……なんなのっ……こ、これ……っ!?」  
全身の感覚が急激に敏感になったように思える…。  
自分の両脚がほんの少しぶつかっただけなのに、大きく淫らな波がマリーの背筋を駆け抜けた。  
「あふぁッ!?」  
婦人がふぅっとマリーの耳に息がかけるのと、彼女が甘い声を上げるのはほぼ同時だった。  
「だ、大丈夫ですかマリーさんっ!?」  
慌てるエリーと言葉を失くしているアニスを満足そうに見て、婦人は男達に告げる。  
「さぁ、報酬は用意できたザマス。  
 まだ1人分だけザマスが、他の娘達もすぐ同じようにしてあげるザマス」  
「……まぁ途中から薄々はわかっていたが……やっぱりこういうことか」  
「こういう報酬も面白いザマしょ? 素行は悪いザマスが生きはいいザマス」  
「へへへ……確かに。悪くないな……うん、悪くない」  
下卑た笑みを浮かべた1人の男がやおら立ち上がり、身体の火照りを抑えきれず  
その場で身悶えしているマリーへ歩み寄っていく。  
「あの金髪の娘は俺が貰うが、いいだろ?」  
 
「まぁ、一番はお前にやってもいいか……後で使うから綺麗に扱えよ?」  
「わかってるって。さぁって…と」  
男はズボンを弛めながら、全身にまとわりつく淫らな感覚と懸命に戦っている  
マリーのすぐ横に腰を下ろした。  
「や、止めてっ!」  
これから起こるであろう淫猥な行為を想像してか、エリーの声もかすれてしまっていた。  
アニスに至っては声も出すことさえ出来ずに、ただブルブルとその身を震わせているだけだ。  
「あぁっ……ああぁ……イ、イヤぁ……っ、身体が、熱……い……ぃっ…!」  
明らかに快感から来ている喘ぎを小さく漏らしながら身を震わせているマリーは  
年齢以上に大人っぽく、かつ卑猥に見える。  
まるで異性を誘っているかのように動く細い腰に、隣で見ていた男の喉がゴクリと鳴った。  
「小娘とは思えないほどの色っぽさだな…」  
もぞもぞと動き続けるマリーの脇腹に指を這わせた刹那、彼女の身体が大きく跳ねた。  
「あッ! さ、触らないでよッ!!」  
 
「つれないこと言うなって。こんなに身体は反応してるじゃねぇかよ」  
男の指が、一々反応を示すマリーの身体の上を嬉しそうに駆け始めた。  
くびれた腰を昇り、ローブから合間からはみ出たふくよかな胸を捉える。  
「なかなかの反応ザマスね。これは使えるかも知れないザマス」  
カウンターで次の一杯を作っていた婦人が、絶えず上がる嬌声を楽しそうに聞いていた。  
「ひぁぁ! や、止めてぇ……!! うぅン!」  
「おお、すげぇ。乳はデカイな……」  
「そのお嬢ちゃん、確かに一番いい身体してるな」  
外野から羨むような声が上がった。その身体をいいようにできる特権を与えられた  
男の指が、嬉々としてマリーの双丘を握りしめる。  
大きさと感触を確かめるようにマリーの乳房にゆっくりと男は指を埋めていく。  
瑞々しい弾力と吸い付くような肌が、彼女の肉体の若さを如実に現していた。  
「はぁッ! あぁ……っい、いいか、げんにっ……してよバカッ!」  
否応なしに漏れる喘ぎの合間に聞こえる抵抗に彼女の性格が見える。  
勝ち気な娘が悶える姿は、その男の欲望をさらに扇情した。  
「乳首こんなに硬くして言っても説得力ないぜ?」  
 
「くうぅッッ!!」  
衣服の上からでもつまめるほどに屹立したそれを男がきゅっと摘むと、  
苦しそうな、それでいて艶のある声がマリーの口から上がった。  
「いいねぇ。俄然ヤル気になってきたよ。俺ぁ」  
「くぁっ……! さわらな、触らないでよヘンタイ! 馬鹿ッ……バカッ!!」  
「いつまでそんなこと言ってられるかな。こっちはどんな塩梅だ?」  
乳房に揉みあげていた手が一つ、マリーの股間へ伸びる。  
さらに強烈な快感が我が身を襲うことを想像して、マリーは息を飲みこんだ。  
「ひっ……!」  
「ダ、ダメェ! それ以上マリーさんを…」  
「できたザマス。さっきからピーピーうるさいあなたにプレゼントザマス」  
懇願するエリーの背後から、彼女の可愛い鼻を摘み上げた婦人は  
マリーと同じように手に持ったグラスの中身を飲みこませようと促した。  
「あっ……うぅ! ん……!」  
 
なまじマリーの姿を見ていたエリーにとって、  
グラスの液体は畏怖の対象に他ならない。  
自分も同じように乱れてしまうことに恐怖を感じずにはいられなかった。  
(辱めを受けるくらいなら……いっそこのまま…!)  
口を閉じて抵抗を続けるエリーの頭にそんな考えが過ぎる。  
顔を真っ赤にしてもなお耐える彼女に根負けしたか、  
婦人はエリーの口からグラスを離した。  
「ふう、なかなか頑張るザマスね、あなた……」  
困ったような、呆れたような表情でエリーを見つめて、婦人が言う。  
(た、助かった……?)  
息苦しさから開放されて安堵していると、いきなり両足を持ち上げられたエリーは  
その場にごろりと転がらされた。  
身体をくの字に曲げられたエリーに覆い被さるようにして、婦人が口を開く。  
「そんなに飲みたくないのなら、下の口に飲んでもらうザマス」  
「えっ…?」  
 
ビリィ!!  
エリーの疑問の声と、彼女の股間の布地が破かれる音が上がったのはほぼ同時だった。  
下着ごと引ん剥かれたエリーの股間に、婦人の手のグラスから液体が注いていく。  
「きゃあぁぁっ!!」  
「暴れるとこぼれるザマス! じっとしているザマス!」  
エリーの腰に片腕を巻きつけるようにして動きを固定すると、  
婦人は残りの液体を全てエリーの膣内へ注ぎこんだ。  
「ううぅ………!!」  
冷たい液体がエリーの膣内を満たす。  
それらが膣壁から徐々に吸収されていることに彼女はまだ気づいてはいなかった。  
「さぁ、あなたはどんな姿を見せてくれるザマスか……」  
「あッ!?」  
ドクン、と一際大きな痙攣がエリーの身体の内側で起こった。  
それから数瞬と経たずに、股間からジワジワとした疼きが涌きあがってくる…。  
「(なっ……なにこれ? こ、恐い……っ!)」  
「せ、先輩……っ」  
 
「ひッ……あああぁぁ!!!」  
その時、甲高い嬌声がその場にいた全員の耳を貫いた。  
その声を上げた主に目を向けると、身に着けたスパッツをびしょびしょに濡らして  
絶頂に至ったマリーの姿があった。  
脚をヒクヒクと小刻みに震わせて絶頂の余韻に浸る彼女の瞳から流れる涙は、  
どのような感情から生まれ出たものだろうか。  
「おぉ……派手にイッたな」  
股間を弄り続けていたのか、男の手はテラテラと濡れ光っていた。  
彼の手に付着していたのはおそらくマリーが分泌した愛液だろうが、  
床に垂れ落ちたそれも合わせて見たその量は、尋常なものではなかった。  
「爆弾娘は喘ぎ声も騒がしいザマスね」  
耳を塞ぎたくなるような大きな声に、婦人は顔をしかめながらエリーを開放する。  
そして、先ほどから口を開かない残りの1人へ  
最後のワインを用意するために、カウンターへ向かった。  
くしゃり、とその場に崩れ落ちたエリーは自分の身体の異変に気づき出していた。  
 
マリーの絶叫が引き金になったのか、熱く、うねるような『何か』が  
身体の中を蹂躙しているのが解かる。  
「あぁ……!」  
今のエリーには、ぎゅっと目を瞑ってそれが去ってくれるのを祈ることしかできなかった。  
液体を服用した直後のマリーと同様、いやそれ以上に激しく、エリーが身をよじる。  
「(何なの……!? 熱い……身体が、熱い!)」  
そんな彼女の状態を見た男達が、目配せをして頷きあった。  
徐に席を立った2人の男がエリーの傍へ近づいて行く。  
2人はエリーの両脇に座り、彼女のスレンダーな身体を一瞥した。  
「まだまだ肉付きはお子様だが、これはこれでいいかもな」  
「俺はこういう方が好みだ」  
そう言い合ってから、エリーに向かって伸びた手を片方の男が制した。  
「まぁそう焦るなよ。もうちょっとこの娘、拝んでみようぜ」  
「あん? なんだってそんなこと…」  
そこまで言って制する男の意図に気づいたのか、ニヤニヤと笑みを浮かべて男は頷いた。  
 
今正に自分の身体に触れようとしている男がいるというのに、  
エリーの身体の疼きはさらに激しくなっていく。  
「(わ、私……見られてる……! エッチなところ、見られちゃってる……!)」  
「お嬢ちゃん、我慢できなくなったら俺達に言いな。  
 それまで気持ち良くするのはお預けだ」  
「ははは、そうだな。おねだりするなら触ってやってもいいぜ?」  
じろじろと、エリーの身体の隅々まで視線を廻らせて、男達は薄ら笑いを浮かべている。  
見知らぬ男に触れられたくないという自我と、  
身体の疼きを抑えたい衝動に駆られ続ける本能がエリーの中で渦巻いていた。  
「(ああ……もう、駄目……でも、こんな人達に触れられたくない……  
 ……でも、気持ち良く……なりたい…!)」  
露わになった股間を隠すために膝を閉めるだけで、エリーの身体は快楽の波を作り出す。  
局部から直接吸収されたワインの効果は絶大で、未発達な彼女の秘部からは  
粘り気を持った液体を止めどなく溢れ出させていた。  
 
「なぁお嬢ちゃん、そろそろ俺達我慢できなくなってきたから  
 このまま何も言ってくれないならあっちの姉ちゃんに行っちゃうぞ?」  
男に指した方向には、股間を刺激されてもはや男の思い通りに声を上げている  
マリーの姿があった。  
普段の彼女とはまるでかけ離れたその艶かしい表情は、  
エリーに羨望の思いを抱かせるほどに、イヤらしい『女』のものだった。  
「………て……」  
「うん?」  
「……て、ください……」  
只でさえ小さな声、その上顔を背けてはいたためにエリーの声は  
男達にとってとても聞き取りづらいものだった。  
「ちゃんと聞こえるように言ってくれよ」  
「……ぁ、さ、触って……ください」  
 
 
「あぁ! あはぁッ!!」  
「うおっ……すげぇ締めつけだなおい!」  
すでにマリーの口から男を否定する声が上がることはない。  
完全に肉欲の虜になっている今の彼女は、  
仕草、喘ぎ声といった全ての行動が官能を示していた。  
ベトベトに濡れた彼女の股間には男のモノが深く埋めこまれており、  
多すぎるほどの淫液が男の律動を滑らかにしている。  
「うああぁっ……!! イイっ! イイよう……ッ!!」  
身体を完全に快楽に支配される気持ち良さに涙を流しながら、  
マリーは名前も知らない男の肉棒を咥えこんでいる。  
「うぁん! いいぃ……あう!」  
「気持ちいいか?」  
思考を停止させるほどの快感が、マリーの全身を駆け巡る。  
肉付きのいい臀部に男の腰が当たる度に、パンパンと小気味良い音が響く。  
「気持ちいいぃ……! ああっ! 気持ちいいッ!」  
 
「くっ……この尻たぶが……最高だ……っ」  
男の手がマリーの尻肉をぐっと掴む。  
汗で湿ったマリーの肌を滑って、男の指が谷間にある蕾に触れた。  
「あひっ! お、お尻ぃ・……お尻っ! だめぇ!」  
腰を浮かされ、上から抑えつけられるように膣内を突かれて、  
マリーは幾度目になろうかという絶頂を迎えようとしていた。  
「いひっ! イ、イ、イクゥ! また、またぁイクゥッ!!!」  
「も、もう限界か……っ?」  
「あぁ―――っ!! イクッ!!! ………ッ!!」  
膣内にあったモノを急激に締めつけ、マリーの身体は本能で男に射精を催促する。  
「うお!」  
どぷぅ!  
きつく締めつけてきた彼女の膣内に、男は欲望を全て流し込んだ。  
それはかなりの量で、マリーの膣内からはその白く濁った粘液が  
2人の繋がった間から漏れ落ちるほどだった…。  
 
 
「さぁ……できたザマス。待たせたザマスね」  
なみなみと揺れるグラスを持って、婦人はアニスへ歩み寄る。  
男達に蹂躙される”先輩”達の姿に、顔を蒼白にして絶句していた彼女は  
婦人に存在に気づかない。  
「そんなに見とれなくても、あなたも今同じようにしてあげるザマス」  
アニスの顎に指を添え、くいと手前に引くと、  
大した抵抗もなしに簡単に顔を向けてきたので婦人はやや拍子抜けした。  
「あなたはお利口みたいザマスね。そうやってくれればこっちも楽ザマス」  
「わ……た……し……」  
「さっきまでの威勢はどうしたザマスか?  
 まぁ、あの子達と知り合ったのが不運だったと思ってあきらめるザマス」  
婦人がグラスを口許へ持っていくと、そこで初めてアニスが抵抗を見せた。  
「う……ぁ、い、いや……です……」  
つい、と首を背けてはみるが、それは普段のエネルギッシュな彼女からは  
想像できないほどに力ないものだった。  
 
「あなたまで抵抗するザマスか? 仕方ないザマスねぇ……じゃ、あっちの子みたいに  
 下のお口で飲んでもらうことになるザマスよ?」  
そう言って、婦人はアニスのローブの裾をひらり、とまくった。  
「ひ……」  
男なら思わず舌なめずりしてしまいそうなほど、健康的で雪のような白い脚が晒される。  
「そうザマス!どうせならあなたには、後ろの口で飲んでもらうザマス!」  
「う、うし…ろ……?」  
「ここザマス」  
ぴと、と婦人の指が座ったままのアニスの尻をかき入り、菊座へ当たる。  
楽しむような婦人の表情と、絶望的な自分の立場にアニスは愕然とした。  
「あ………あ、ぁ……っい、やぁ……っ」  
ちょろ…。  
悲痛な呻きと共に、アニスの股下に水溜りができていく。  
アンモニア臭を伴ったそれを見た婦人が眉をひそめてアニスを見つめた。  
「あら、しょうがない子ザマス……お漏らしなんかして。  
 あなたが素直に私の言うことを聞けばいいんザマス」  
いつの間にか流れ出した涙が、アニスの頬を伝って落ちる。  
しかしそんなことも気にできないほどに、彼女は追い詰められているようだった。  
「わか、わかりまし………の、飲みます……ぅ、ぅぅ……」  
 

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