今日は6月18日。 
エリーの誕生日! 
しかしエリーは、浮かない顔をしていた…。  
「ウニュウ…何で私の誕生日は日食の日なんだろ…。 
毎年毎年嫌になっちゃう!ヒク!」 
あたり所のない怒りをぶちまけるエリー。 
それを見てオロオロする妖精さん達。 
ここはアトリエ内。 
エリーは妖精さん達とテーブルを囲みながら、 
色々な人からのプレゼントを開けていた。 
「しかも、ダグラスなんか誕生日すら覚えていなかったのよ!何よアイツ…ヒク!」 
エリーは少しぶどう酒に酔っているようだった。 
「こうなったら…」 
エリーは何を思ったのか、プレゼントの類を全て錬金術壺に入れて、 
その上から産廃Aを振りかけ始めたのだ! 
「お姉ちゃん!やめて!」 
必死に止めようとする妖精さん達。 
しかし…「ウイ〜ヒク!みんなから貰ったもので何が出来るかな?」 
エリーはスッカリできあがっているようだった…。 
エリーは壺の中の物をグルグルとかき混ぜると、 
「ウフフ…仕上げの隠し味♪」 
とかなんとか言って塩を振りかけた。 
すると…  
ドッキャーン! 
すさまじい爆発が起きた! 
「ウキャア!」 
エリーは一瞬で酔いが覚めた。 
「だから止めてっていったのに〜!」 
顔を真っ黒にして妖精さん達がエリーを諫めた。 
「ウグウグ…だって…。」 
顔を黒くさせながらエリーは泣き始めた。 
「びえーん!」 
「お、お姉ちゃん!」 
妖精さん達はまたまたオロオロとしてしまった…。 
何か泣き止ますきっかけはないかと、妖精さん達がアトリエ内を見渡すと… 
「…ん!お…お姉ちゃん!あれを見て!」 
妖精さん達は錬金術壺の方を一斉に指さした。 
「えぐっ…どうしたって言うのよ…え!?」 
エリーは振り向いて見て驚いた。 
そこには目が開けられない位まばゆい光を発しながら空中に漂う、 
一つの球体があったからである。 
「こ、これって…何?」 
エリーは首を傾げながらその球体に触れてみた。 
その球体はほのかに暖かく、まるで人肌のようだった…。 
エリーはこの球体をしばらく眺め… 
「よし!いい事を思いついたわ!」 
と言ってその球体を抱えて外へ飛びだしていった…。 
「ま、待ってよお姉ちゃん!」 
妖精さん達もエリーを追いかけていった…。 
 
ここは妖精の木広場。 
日食により日中も真っ暗なので、誰一人として人はいなかった…。 
「よし!やっと着いた!」 
エリーは走るのを止めると、広場に腰を降ろした。  
「お姉ちゃん!待って!」 
妖精さん達もトコトコと追いかけてきた様だ。 
「フフフ…見ていて!とっても凄いことをするんですから!」 
エリーはそう言うとあの球体を空に放した! 
ドンドン上空に上がっていく球体。 
すると…ピカ! 
まばゆい光と共に、エリー達の世界を照らし始めた! 
「お姉ちゃん!何これ?」 
妖精さん達は今一理解できていないようだった。 
「ヘヘ…どうやら人工太陽を作っちゃったみたいなんだ♪」 
エリーは陽気に言った。 
その頃、街中では蜂の巣を叩いたような状態になっていた。 
「天変地異の前触れじゃ!」 
と言って倒れ込む老人。 
「洗濯物が乾くわ〜!」と、喜ぶ主婦の人…。 
それは、王宮の中でも同様だった。 
「アルテナ様のご来光だ!」 
「いや!悪魔の魔法だ!」 
慌てふためく人々。 
しかしそんな中、 
〈こんな事出来るのは奴しかいない!〉 
と思いながらエリーを探す一人の青年がいた…。  
 
フウ…誕生日を祝い直さなきゃ♪」 
エリーは上機嫌で、妖精の木広場の草むらに寝転がっていた。 
すると…コン! 
エリーは突然後ろからげんこつを食らったのだ。 
「痛ったーい!誰?」 
振り向くとそこには… 
「おい、このバカ!おまえ、自分が何やったか分かっているのか?」 
ダグラスだった…。 
「何やったって…日食で真っ暗だったの空を明るくしただけでしょ!」 
エリー強い口調でダグラスに返した。 
「おまえの自分勝手な行動でどれだけの迷惑が出ているのか、知らないのか?」 
ダグラスはあきれ顔で言った。 
「…迷惑なんてかけて…」 
エリーは視線を落とした。 
「いや、暗闇を好むコウモリとかの生物はどうなんだ? 
年に一度この日だけは一日中空を飛び回れるからな。 
お前はそんなコウモリの楽しみを奪ったことになるんだぞ!」 
ダグラスらしからぬ的を当てた意見に、エリーは無言になってしまった…。 
「しかもそうポンポンと自然の現象を自分達の思い通りに変えて 
いいと思っているのか!? 
お前は錬金術で色々なものを手助けするんじゃなかったのか!?」 
ダグラスの痛点を的確にえぐる指摘に耐えきれず、エリーはついに 
「…私の誕生日すら覚えていなかった人に、そんな事言われたくないもん!」 
と言い捨てて、泣きながらアトリエの方へ走って行ってしまった… 
「おっおねーちゃーん!」 
「オイちょっと!あの変な球体、どうするんだ!」 
ダグラスはエリーに向けて叫んでみたが、答えは帰ってこなかった…。 
その後、すぐに人工太陽はその輝きを失い、燃え尽きてしまった。 
そしていつも通りの日食の闇がまた世界を包み込んだ…。 
 
 
「ヒクッ…エグ…。」 
ベッドの中で泣いているエリー。 
昼間、ダグラスに言われたことで大変傷ついているようだった。 
〈ダグラスがあんな奴だったなんて…〉 
失望感で胸一杯になるエリー。 
時計はすでに深夜11時をまわっていた…。 
するとその時! 
ドサ! 
アトリエの前に何かが置かれる音がした。 
「…?なんだろう?」 
不審がりながらも玄関の扉を開けるエリー。 
するとそこには… 
「ウワ〜!きれいだな〜!」 
ドンケルハイトの花束がそこに置かれていたのだ! 
しかも花の間だからたくさんの蛍が飛びだしてきたのである。 
しばらくそれを眺めていたエリー。 
そしてそのうちに… 
「クス!ダグラスらしいや!」 
と、笑い始めたのであった。 
「ねえねえお姉ちゃん、何でこの花束がダグラスさんからだと分かったの?」 
不思議がる妖精さんたち。 
その花束には手紙など付いていないし、 
包み紙にも何も書かれていなかった…。 
なぜエリーはこの花束がダグラスからのって分かったのだろう? 
「それはねっ・・・ドンケルハイトの花言葉って『謝罪』なんだよ・・・。」 
 

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