良い子の顔はしているけれど、知っているのよ「あの子」とのコト。
ガードの固いアナタのマント、最初に脱がせた「あの子」が憎い。
「エリー、居る?頼みたいモノがあるんだけど……」
そう言いながらドアを開き、ロマージュはぎょっと目を丸くした。
工房はやたらと暗く、さらにはアルコール臭が立ち篭めている。
散らかったそんな部屋の中で、エリーはただぼんやりと座り込んでいた。
「ちょ……エリー?」
「あれぇ……ろまーじゅ………?」
怪しい呂律で笑いかけ、エリーはまるで子供のように目元を擦っている。
床に落ちた「ヘビのお酒」の酒ビンを拾い上げ、ロマージュは苦笑した。
「コレは、ちょっとアナタには早かったみたいね」
「ひろい……そんらこと、ないもん……」
上体を傾がせながらも、エリーはロマージュに抗議する。
「ホラ、今日はもう休みなさいな」
「ん〜……」
母親のように背を叩いてやりながら、ふらつく身体をベッドまで誘導する。
まるで手のかかる子供みたい。そう思い、ロマージュは少し笑った。
「服、シワになっちゃうわよ?脱いだ方が……」
言い終わるよりも前に、すでにエリーは寝息をたてはじめている。
「ちょっとぉ……代償は高いわよ?エリーってば……」
ロマージュは苦笑いしつつ、エリーの服を器用に脱がし始めた。
マントを落し、腰のベルトを取り払い、首のベルトに手を掛けて。
「……あら」
ロマージュの瞳の奥に、一瞬だけ剣呑な光が走った。
「子供だと思ってたけど……そうでもなかったみたいね」
首元と胸元についた、鬱血の痕。
それは、初めて会った時よりも膨らみを増した胸へ、幾つも鏤められている。
「いけない子」
言いながら、ロマージュはエリーの胸に触れた。
掌に収まるくらいのそれをゆっくり揉みしだくと、エリーの背がびくりとしなる。
固く勃起しているエリーの乳首を掌に感じ、ロマージュは熱っぽく息を吐いた。
欲情している。エリーも、自分も。
「キスマーク、胸にいっぱい……エリーは胸弄られるのが好きなのね」
唇から笑みがこぼれる。何もおかしくなんてないのに。
衝動と、何故か沸き起こる理不尽な悔しさと。
両方に苛まれたまま、ロマージュはエリーの下肢へも腕を伸ばした。
黒いズボンに滑らせた指は、ほどなくしてエリーの秘所へと辿り着く。
布の上から湿ったそこを撫で上げると、エリーが小さな声を漏らした。
「ん、あ……ふ、ぅうっ……んんっ………」
「可愛い、エリー」
ずるい。ロマージュは、ここにはいない人間に向けて小さく呟く。
唇を噛み締めながら、エリーを追い上げながら。
エリー。可愛いエリー。自分だけの物になればいいのに。
こんな顔、自分以外の誰にも見せたくなんかないのに。
苛立ちながら、ロマージュはエリーのズボンの中へ乱暴に手を差し入れる。
綿の感触の下着の更に下を探ると、エリーの声がまた更に高くなった。
「……ル……、だめ、だってば、ぁっ………!」
エリーの濡れた唇から、言葉が零れる。
それに混じる「あの子」の名を聞きたくなくて、ロマージュはエリーに深く口付けた。
「………、…………」
エリーの身体が小刻みに震える。縋るように伸ばされた手が、剥き出しの肩に爪を立てる。
「…………!!」
嬌声まで全て吸い込んで、ロマージュはようやくエリーから離れた。
荒く呼吸を繰り返すエリーを眺め降ろし、ロマージュは笑う。
「私、諦めなんかしないわよ?エリーちゃん」
笑いながら、ロマージュは秘所を弄んでいた指をゆっくりと舐め上げる。
蜜液で湿った指の味を楽しみながら、ロマージュは汗ばんだ髪を掻きあげた。
「子供じゃないなら、好都合だもの」
呟いて、工房のドアに手をかける。
肩に残るエリーの爪痕に、自分も何か痕を残せばよかったとロマージュは少しだけ後悔した。