利き腕はとっくに握力を失い、布切れで剣の柄を縛って固定していた。  
 それでも最後の一人となった盗賊がやけくそに突っ込んできたのを冷静  
に受けさばき、返す刃で斬り伏せる。  
「これで全部か……!?」  
 メルはふらつき倒れそうになるのを踏ん張りながら、鬼気迫る眼光を周  
囲に走らせ、気配を探った。  
 頭上を樹々の枝葉で厚く覆われた薄暗い森には、息も絶え絶えの盗賊達  
があちこちに累々と横たわっている。起き上がってこれそうな者はいない。  
「つ、つええ……」  
 倒れている盗賊の誰かがそう呻き、がっくりと気を失った。  
 
 ユーディー、クリスタと離ればなれになってしまったメルは、何とか盗  
賊達から逃れて二人を探そうとしたが、重い装備が災いして追いつかれ、  
大勢に取り囲まれてしまった。  
 だが、メルは怯まず、剣を鞘走らせることを選んだ。  
 壮絶な戦闘が繰り広げられたのだった。  
 盗賊達の考えは皆同じだった──  
(この人数で負けるはずがない)  
が、信じられない事が起こった。  
 森の郷で生まれ育った上、リサの村を襲ったモンスターの大群を単独で  
屠ったこともあるメルは、凄まじい奮戦の末、ついに追ってきた彼らをこ  
とごとく返り討ちにしてしまったのだ。  
 
 動くものが無くなった辺りの様相を見回すと、  
「……やった──」  
と、メルは初めて身体の力を抜き、ガックリと片膝をついた。  
 もはや身体は限界を超えていた。骨、筋肉、内臓──あらゆる器官が悲  
鳴を上げている。途中から呼吸を整えられず、肩で息をしていた。脚もガ  
クガクになり、気力を保って立っているのがやっとだった。あまりの疲労  
に視界が霞み、今にも意識が飛びそうである。  
 
(鎧が……鉛のように重い……)  
 メルが装備しているのはユーディーがわざわざ溶鉱炉を使って精製して  
くれたアインホルンだったが、今は皮の鎧すら勘弁ねがいたい程だった。  
(ごめん、ユーディット……後で必ず回収するから……)  
と、メルは心の中で謝罪しながら、震える指先で鎧の各部位の留め具を次  
々と外し、純白──今は汚れきっていたが──の鎧を脱いだ。  
 金属製の鎧を脱ぐと、ぐっと身体が楽になった。  
 ホッと息をつき、剣と盾、そして衣服という軽装になりながら、疲れで  
鈍った思考を何とか働かせる。  
(これで──あとはユーディットとクリスタと合流して──絶対に三人で  
この森から脱出する──絶対に三人で──)  
 と、その時。  
 メルの背後で殺気が膨れあがった。  
「シュベートシュラーゲン」  
「──!?」  
 振り返る暇もなく。背中に激しい衝撃を受けたかと思うと、次の瞬間、  
メルは宙を舞っていた。  
「!!??」  
 勢いよく飛ぶメルの体の先に迫る樹の幹。  
「くっ!」  
 とっさに体をひねり、左肩でカバーに入る。  
 鎧を脱いでいるのに気付いたのはその直後だった。  
 遅かった──激突! 「グハアッ!」  
 左肩に砕けんばかりの衝撃を受けながら、ドサッと根元に落ちた。  
「あ……ぐ……!」  
 背と左腕の激痛に悶絶しつつ、メルは自分がいた場所へ視線を向けた。  
 そこには異様に大きな塊が──否、それは人間だった。  
 山のようにそびえ立つ巨躯。凶悪そうな眼が奥底で光る魁偉な相貌。蛮  
人のような荒々しい雰囲気をまとい、尋常ではない太さの鉄棒──これで  
メルを打ったのだ──を片手で楽に持ち上げている。  
 怪漢と言って差し支えないその男は、ニタリと笑みを浮かべた。  
 
「ぐへへへ、今のは完全に入ったな」  
と、怪漢は辺りに低く響く野太い声で言った。  
「あ……う……くぅっ……」  
 メルは剣を縛り付けている手で左肩を触った。  
 ズキッ!  
「っっっ!!」  
 脳天を打ち鳴らす痛み。  
(骨が!?……でも……!)  
 痛みに苦しむ一方で、メルは冷静に打算していた。  
(これぐらいの痛みなら……まだ戦える……!)  
 歴戦の経験から、この痛み具合ならまだ大丈夫だと素早く判断すると、  
メルは気丈にもすぐに起き上がろうとした。全身の筋肉は緊張していたが、  
なぜだかそれほどダメージを感じられなかったからだ。  
(こいつがおそらく最後だ……まだ保って、私の体……!)  
 歯を食いしばって起き上がり──  
 カクッと倒れた。  
「え?」  
 身体に力が入らない。腕も脚も、強張ったままのびてしまった。  
(……!?)メルの表情が驚愕に変わる。(なんで……これは……!?)  
 メルは気付いた。いつの間にか、身体が麻痺状態に陥っていたのだ。興  
奮していてすぐに分からなかった。しかし、どうりで痛みをそれほど感じ  
なくなったはずだ。  
「ぐへへへへ。どうだ、俺様の必殺技の味は。あんまり良すぎて、全身が  
痺れちまっただろう!」  
 そう言いながら、怪漢は余裕たっぷりに大股でメルに近づいてきた。  
(必殺技……こいつ……背を取られた事といい……図体がでかいだけじゃ  
ない……くそっ動け! 動いて私の体!)  
 戦慄を憶えながら、メルは必死になって体に活を入れた。何とか上半身  
だけ起こすと、その姿勢で剣を構える。  
「動いて……動いて……!」  
 
「まだ戦う気か、いいぜいいぜ! ぐえっへっへっへ!」  
 あざけ笑いながら眼前まで来た怪漢は、メルに手をのばした。  
「ううっ!」  
 胴体をひねり避けようとしたが、無論避けられるはずもない。腕をあっ  
さりと掴まえられてしまった。  
「くっ……離せ──っきゃあ!」  
 怪漢はメルの両腕の手首をごつごつとした大きな手ひとつでいっぺんに  
掴んでしまい、自分の目の高さまで吊し上げた。女性の中では上背がある  
方のメルだったが、この怪漢と比べるとまるで子供だった。  
「げへへ。捕まえたぞ女剣士。この瞬間を待ってたぜ」  
「──!」メルはハッとした顔つきで怪漢を見つめた。「まさか貴様……  
私が疲弊するのを待っていたのか……!?」  
「そうよ。お前がのしちまったこいつ等は」  
と、怪漢は顔を周囲に巡らせて倒れている盗賊達を顎で指し示した。  
「俺様の手下どもよ。俺様が頭目だ。囲んだ時は、すぐに捕まえられると  
思ってたんだがな……まったくとんでもねえ女と巡り会ったもんだ」  
 怪漢の目線がメルの顔から下がってゆき、疲労と緊張で上下運動が収ま  
らない胸に注がれた。ユーディットとクリスタが悔しがるバストである。  
「だが、こんな活きのいい女をいただけると思うと、まんざらでもねえ。  
残りの二人を置いてお前を追っかけてきて正解だったってもんだ」  
「──くっ! どこを見てる!?」  
「どこだって? 決まってるじゃねえか!」  
 怪漢はもう片方の手でメルの胸ぐらを掴むと、一気に下腹部まで服を引  
き裂いた。双つの美乳がはちきれたようにまろび出てきた。  
「きっ──きゃああああっ!」  
「おっ、女らしい声もちゃんと出せるな」  
「貴様……痺れてさえいなければっ……!!」  
 メルは眉を吊り上げて怪漢を睨みつけたが、怪漢はまったく意に介さず  
顔を近付け、メルの胸の間にある深い峡谷に鼻を突っ込んだ。  
 
 ぞぞぞっと、メルの背筋に悪寒が走り、羞恥のあまり顔に火が点く。  
「なっ──やっ──やめろ! その汚い面をくっつけるな……!」  
「うえっへっへ、たまんねえ柔らかさと匂いだ。特にこの汗まみれになっ  
た女のきつい体臭は堪んねえな。  
 お味の方はどうかな?」  
 怪漢が舌をべろんと出すと、粘液が汚らしくだらだらと垂れ落ちた。  
 メルは怯えた目でそれを凝視し、「や、やめろ……」と嫌悪に戦慄した。  
「ふぉれふぉれ」  
 唾液まみれの舌が遠慮なしに乳房を嬲る。  
「べぇ〜ろ、べぇ〜ろ……ぐひひ、しょっぱさの中に含まれる、何ともい  
えない甘酸っぱさ。い〜いねえ、ぐひひひひ!」  
「ひっ……ひいっ……!」  
 豊潤に膨らんだ丘は舌に圧されるままに滑らかな窪みを描いて沈み、ま  
た元のかたちに戻る。丘にいくつものぬらぬらとした道ができるのにそう  
時間はかからなかった。  
 ナメクジが這うようなその行為に怖気を震うメル。  
「やめろ……気持ち悪い……くそ……」  
「ん? 感度がいまいちよくねえな。痺れが深すぎるか」  
 怪漢はそう独りごちると、懐から小さな袋を取り出して中から薬草らし  
い葉っぱを1枚抜いた。それを口に含んでクチャクチャと咀嚼すると、  
「ほれ、口を開けろ」  
と、口に含んだままメルの顔に寄せてきた。  
「ひいっ!」メルはおぞましさに悲鳴を上げた。  
「やっ、やめろーっ!」  
(こんな奴と……冗談じゃないわ!)  
と、怪漢の口から遠ざかろうと必死に体に力を入れた。今出せるあらんか  
ぎりの力を振り絞る。  
「嫌よっ! 嫌っ!」  
 だが、メルの意志が四肢を動かすことはなく、徒労に終わった。そんな  
事をしてる間に怪漢に顎を掴まれて固定され、無理矢理に口をこじ開けら  
れる。  
「痺れがいい感じに和らぐ薬だ。口移してやるんだ、大人しくしやがれ」  
 
「嫌っ──誰が──ああっ、ひぃっ……!」  
 怪漢の醜い顔がじりじりと目と鼻の先にまで迫り、唇の先端が触れ合っ  
た。メルは絶望と怖気に凍りつき、惑乱し、鼻を塞ぎたくなる悪臭が漏れ  
てくる怪漢の口元を見つめることしかできなかった。  
 唇が重なった。  
「──!!」  
 あまりのショックにメルの瞳孔が広がる。  
 怪漢はペースト状になった薬草を舌でメルの口中に運び、さらに喉の奥  
へ押し込んだ。  
「んぐ、んぐっ!」  
 メルの喉がわななき、怪漢の唾液でまみれた薬草を飲み下していく。行  
きがけの駄賃とばかりに怪漢はメルの歯を舌を粘膜をなぶり、絡ませ、お  
ぞましい体液を流し込み、口腔を存分に犯した。  
 唇の間から溢れた唾液がメルの顎を伝い、胸に垂れ流れていく。  
 むちゅっ……むちゅっ……むちゅっ……むちゅっ……  
 怪漢はメルの口唇をたっぷりと時間をかけて嬲った。舌技などと呼べる  
ものではない、盗賊らしい粗暴な貪り方であった。途中メルの体を地面に  
下ろし、覆い被さってさらにディープキスを執拗に続ける。  
 穢らわしい口と舌で一吸いされる度に、あまりの嫌悪感と息苦しさ、そ  
してショックでメルの理性が焼け爛れてゆき、もうひとつの炎──闘志の  
火勢が衰えていくのを抑えることができなかった。  
 しばらくしてようやく怪漢は顔を離した。  
「──ぷふぁっ……はあ……あ……は……あぁ……!」  
 雄の唇が離れた後も、メルはしばらく口を半開きにし、胸を大きく上下  
させ、だらんと横たわったからだをぶるぶると震わせていた。紅潮した顔  
には官能と暗澹さが入り乱れている。  
「ん〜何だ何だ、お前、もう感じちまってるのか!? げへ、げへへ!」  
「はあ……はあ……ち、違う……!」  
 
「違うかどうかは、お前のからだに聞いてやるぜ」  
 怪漢はそう言うと、唾液でどろどろに濡れた乳房をこね回した。  
「いやらしくてかった乳だな、おお? 乳首がこんなに勃ってやがる、ぐ  
えへへへへ」  
 怪漢は両乳首をつまみ、ギュウッと引っ張った。  
「いたぁ──あ、あ、あぁ……!? そんなにつねらないで……!」  
 堪らずにメルのからだが反応したが、その動作は妖しく、官能的だった。  
痛みよりも甘美な疼きが全身を走ったからである。  
 メルはそんな自分自身に驚いた。  
(そんな……何を感じているの私……!?)  
 怪漢が続けてもっと強く乳首を引っ張った。かたちのよい乳がゴムのよ  
うにのびる。  
「おお、なんてたわわに熟れた乳だ。のびるのびる」  
「いたぁ……はぅ……いたぁ……! やめて──ああっ……!」  
「ぎゃはは、それにしてはあんまり痛そうじゃねえな。痛いってのは、こ  
ういうのを言うんじゃねえか?」  
 怪漢はぐいっと乳首を捻り上げた。  
「ひぎぃっ!!」絶叫するメル。「痛い! む──胸がちぎれるっ……!!」  
「そうそう、それだ」  
「やめ、やめてっ! 嫌っ──あああ! あうぅっ……ちぎれちゃうっ!」  
 メルの悲鳴が段々と大きくなっていく。怪漢が乳首をつまんだまま、ど  
こまでのびるか試しはじめたのだ。さすがに、メルの脳にまで尋常ではな  
い痛覚が伝わりはじめてきた。  
「ひぎっ! い、痛いっ──ち、乳首……乳首が潰れちゃうっ……! ひ  
いっ……やめえ、やめてええっ!! いぃやぁっ……」  
 

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