もう我慢できない。  
初めて会ったときは、名前も知らないカッコいい騎士のような人。  
次に出会ったのは、アトリエ。いきなりだったから怖くて驚いちゃった。  
そして、何回か交流していくと、優しくて少しかわいい人だって分かった。  
一緒にいるとなぜかだんだんとドキドキするようになった。  
幼馴染のジーノ君でもこんな気持ちにならなかったのに。  
でも、先生と、ロロナ先生と一緒にいるときのステルクさんは私といるときとはぜんぜん違った態度だった。  
私といるときとは違う笑顔、違う赤面、違う焦り顔、……、違う顔を何度も見せる。  
辛かった。ステルクさんにはロロナ先生がお似合いのように見えてさらに辛かった。  
心が痛かった。この時、この気持ちが初恋だと知った。ついでに、失恋まで分かった。知りたくもなかった。  
けれど、だんだんと二人ならいいかなって思えるようになった。  
アールズに来たときも、もしかしたらそんな気持ちのが後押しをしていたのかも。  
 
でも、今のロロナ先生は子供になってステルクさんとは正直不釣合い。  
今なら、私のほうが釣り合うかも。今なら、隣に立っても可笑しくないかも。  
今なら、あの時の思いをぶつけることができるかも。  
……ふふ、まずはメルルちゃんからステルクさんを離さないと。  
もしもの話だけど、ステルクさんは優しいから、万が一、メルルちゃんが好きになったりしたら大変だもんね。  
私とステルクさんでもギリギリなのに、ステルクさんとメルルちゃんなんて犯罪だもん。  
ステルクさんのことだからベッドまで行けば楽に行けちゃうかも。真面目で優しいもんね。  
うん、責任とってくれそう。  
ステルクさん――  
 
「ねえ、メルルちゃん。癒しの加護、癒しのエキス、漲る生命力の特性のものあるかな?」  
「ええと、……ちょっと今ありませんね。何かに使うんですか?」  
「すごく元気になるお薬かな」  
「わあ、新しいアイテムですね。トトリ先生。私にも今度教えてください!」  
「ふふ、メルルちゃんがもう少し大人になったら教えてあげるね」  
「トトリ先生のいじわる」  
「じゃあ、少し出かけてくるね。お留守番頼んでいいかな?」  
「はい! 私は当分、アイテム作りをしていますし」  
「メルルちゃん、ありがとう。行って来るね」  
「お気をつけて〜」  
 
ステルクさん、今度こそ奪いにいきますね  
 
 

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