「出来たー！！」
「なんだ朝から騒々しい…って、生臭っ！？ロロナ…何をしたんだ？」
「あっ！師匠、見て下さい！新しいパイを作ってみました！！」
「またパイ作りか…
(しかしこの異臭は……恐らく味はまたとんでもなさそうだな…)」
「そうだ、味見を……あれ？ほむちゃーん…どこに行っちゃったんだろう？」
「ホムめ、逃げたな…」
「しょうがないな〜…はい、師匠！味見してください！」
「(やはり矛先は私に向くのか…)
まあ待て、普通に考えて味見は自分でするものじゃないか？」
「えっ！？いやぁ…あの……私は…し、師匠に食べてほしいんですっ！」
「(よくもまあぬけぬけと……しかし、こう真直ぐに潤んだ瞳で頼まれると…)」
「はい師匠、あ〜ん」
「(あ、あ〜んだと！！ロロナめっ…これでは抗えんではないか！仕方ない一時の我慢だ…)
……ロロナ、口移しなんてどうだ――うぐっ！！」
「もう！変なこと言わないで下さい師匠！」
「……(く、臭い！！匂いのままの味だ…だが可愛い弟子の為…)
……ぶっ！げほっげほっ！！無理だ！コレは既に食物では無いぞ！み、水！」
「え〜…やっぱり失敗なのかなぁ…ステルパイベルグ…」
「…ロロナ、お前このパイに何を入れた…？」
「
・小麦粉×２
・水×１
・ステルクさんのせいえき×１
」
「食べ物を粗末にするのは良くないと思います」
「うわぁっ！？ほむちゃん、いつの間に！？
…っていうか粗末にしてないもん！ちゃんと師匠が一口で食べてくれたもん！」
「おい…！」
「そう言う事を言っているのではありません
珍しい材料が手に入ったからと言って、いつもパイに入れる何の生産性の無い事を言っているんです」
「うっ…ち、ちゃんと役に立つもん！
私が将来パイ屋さんを作った時に、ちゃんとメニューに出すもん！」
「おい…それは初み――」
「この様な食材にすらなれない物体を店に並べるわけにはいけません
そんなモノ捨てて来なさい」
「でも、もしかしたら美味しく出来る調合があるかもしれないし…」
「どう足掻いても無駄です、それが守れないならパイ調合を一切禁じますよ」
「それはお前が決める事ではな――」
「う…うわぁぁん！ほむちゃんのバカーー！」ｶﾞﾁｬｯﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ
「あっ、マスター何処へ……もう勝手にして下さい」ﾌﾟｲｯ
「私が一番の被害者なんだが……とりあえずホム、お茶をくれ」