○ ロロナとクーデリア。とある道中で。  
 
 さして強い的ではなかったが、少々手こずってしまった。  
 
 一息つき、先に進もうとしたのだが、ふとクーデリアが不審な動きをしていたのをロロナは見逃さなかった。  
「くーちゃん? どうかしたの?」  
 右手の人差し指を、左手で強く押さえつけていた。  
「どうもしないわよ。先に行きましょう」  
 しかし、ツンとした態度で先を急がせる。  
「くーちゃんまたなんか隠してるー」  
「またってなによ!またって!」  
 と、ロロナのほうに振り返って抗議しようとしたが――。  
「やっぱり、くーちゃん怪我してる」  
 と言うや否や、クーデリアの指――右手の人差し指だったらしい――を咥えた。  
「ちょっ……なにしてんのよ……」  
 顔を赤らめるクーデリアであったが……特に嫌がる様子でもなく。  
「はい、おわり。私がもっと強い武器とかアイテムを作れればよかったんだけど……」  
 申し訳なさそうに、自分の非を責めるロロナ。  
「あんたはそんなこと気にしなくていいの! 鈍くさいくせに人のこと気にする暇があったら自分の身を守りなさいよ!」  
 ……と大きな声で一気に捲し立てた後――。  
「でも……ありがと……」  
 ロロナに聞こえるぐらいの小さな声で、そっと口にした。  
 

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