「お前は何考えてんだこのアホーー!!」  
「いいじゃん!ぺぺには悪いけど、セラ島に来て私…戦いの素晴らしさに目覚めたんだから!  
お互いの力をぶつけ合い、勝者から学び、時には敗者から学び合う…そこには種族を越えた友情が…」  
「折角オイラが三年も錬金術を教えてやったのに……もう勝手にしろ!」  
ぺぺは帽子を深く被ると、乱暴にドアを閉めて私を外へと追い出した…  
それは久々にアトリエへ訪れた時の事  
本当は、私…  
ぺぺに旅をしながらでも錬金術はちゃんとやってるよ〜ってアバカーンを見せに来ただけなのにな…  
いつもの売り言葉に買い言葉で喧嘩になっちゃった…  
謝った方がいいかな…でももう島にいないし  
ぺぺだけじゃない、リーズ姉さんもカイルも島を出て行っちゃうし…  
ジュリアは本土の騎士団に、フィズちゃんも錬金術を本格的に学ぶ為に本土へ…  
残ったハンスは会っても避けるしビュウなんかは同じ冒険者なのに今年一度も会ってない…  
 
なんでこんな嫌な事ばっかり思い出しちゃうんだろ…私がなりたかったのはこんな……  
 
「――っ!?」  
いつの間にか寝ていた私は辺りの異様な気配に気がついた  
洞窟だとしてもこの暗さは異常……確か前にもこんな風景が…  
「――あっ!?…もしかして……デーモンロードが復活しちゃった…とか?」  
あまり信じたくないその可能性が頭に過ぎった時、私は辺りを目を凝らして見て見る…  
 
暗い靄で包まれてはいるが、鉱物の光で洞窟はまだ微かに見えている  
これなら反撃出来る、そう思い静かに立上がり剣を握った  
 
暗闇の中は、まるで何も居ないかの様に静かだった  
そして響くカツーンカツーンと乾いた音…何が近付いてくる…でもそんなに巨大なものじゃない…そう人くらいの  
「って、ハンス!?なんでこんな所にいんの!?」  
暗闇の中、現れたのはなんとハンスだった  
ハンスはいつもの制服姿で…何の装備もなく現れた…  
「何故って…」  
デーモンロードの黒い靄は確か人を恐怖させる効果あったはず…  
「アニーを苛めにきたに決まってるじゃないか」  
何よりハンスは絶対にこんな事言わない  
 
ハンスは少しずつ近付いて来る  
「アニーは大会の時から人の話を聞かない、聞きたくない  
だからいつも都合の悪い事は見ない振りをしてきたんだろ?」  
…こんなのハンスじゃない  
ソレは私の肩に手を置き、耳元でフッと囁く  
 
「そうやって耳と目を閉じて、何にも干渉しないで生きていきたかったんだよな?」  
…ハンスじゃない…  
そいつは私の頬を指でなぞり唇に触れる  
「だけど、セラ島で三年間いろんな人と関わり合ったせいで、そこにある喜びを見つけてしまった…」  
…ハンスじゃ…  
そしてあまり見せない微笑みを向け  
「だから失う哀しさも知ってしまった…」  
…違う…  
唇を重ねてくる…こんな事、本当のハンスでも…いやなのに…  
「ずっと一緒だった仲間には見離され、置いていかれた」  
……違うもん…  
ソレの冷たい指が首を伝い、服の中へと侵入してくる…嫌なのに、逃げたいのに…  
私はハンスと目が合い逸らせないまま体が固まってしまっている  
「アニー…親に見放され、大好きな祖父に捨てられ、師や友にも拒絶され…」  
「……違うもん…」  
やっと弱々しくも声を出せるが、冷たい指は私の体をどんどん下へ下へと這って行き…  
「最後の一人にも置いていかれた…」  
「そうじゃ…ひゃぅっ!」  
指はついに私の秘所へと到達し、ほぐす様に入口を撫でてくる…  
「アニー、誰にも愛されない可哀想な子だ…」  
「――っ!?違うったらっ!!」  
私は握締めた剣で目の前のソレを切裂いた…  
斬付けた剣は虚空を漂い、ただフワッと風が舞うだけだった  
幻であったことを確認出来て私はホッと肩を下ろした  
 
「そうやって背けたい現実をいつも捨ててきたんだろ?」  
背後から耳元でハンスがそう囁く…  
私が振り返って斬ろうとした時、肩に右手を置かれ左手でハンスは何かを指差した  
「アレも君が認めたくない事だ」  
 
指を差した先にはキルベルトと…居るはずがないアマリリスさんが並んで立っていた  
その光景を目にした瞬間、幻だと分かっていても、私はまた声が出なくなった  
 
ハンスはさっきまでしていた様に、私の全身を愛撫してくる  
そして片手は胸にもう一方は私の性器に固定され、だんだん激しく刺激してくる  
 
嫌なのに、こんな……でもほぐされていく私の秘所は抵抗出来ず、愛液で濡れていく  
舐め回すかの様な刺激を繰り返していたハンスの指が一本、私の膣内へと侵入してくる  
「ひゃぁっ!?ら、らめぇ…動ひちゃ…ああっ!」  
いきなりの刺激に私は声が出た  
そしてそのままキルベルトに助けを求める…例え幻だと分かっていてもキルベルトに…  
「き、キルベルトぉ……たす…けてぇ…お願いっ…!」  
 
でもキルベルトは全く動かない…それどころか私を冷たい目で見てくる  
「残念だったなアニー…キルベルトは君に興味が無いんだとさ」  
「そんな……あぅ…あう…」  
キルベルトの冷ややかな目に晒され私は目に涙が溜まってくる  
何だかんだ言っても、ずっとバカ言っても、ずっと頼りにしてきたキルベルトが…  
しかも隣りには私じゃ敵わないあの人が…  
 
「――ひゃぁっ!!」  
突然ハンスの指がもう一本入ってきて、私の膣内をかき混ぜてくる  
その強い刺激に私は意識がとびそうになり  
「んぁっ!…キルベルト…ダメ…み、見ない…で……」  
必死の抵抗だった  
間近に迫るものをキルベルトには見て欲しくなくて…  
「アニー…嘘は感心しないな」  
「えっ…?」  
「アニーは見て欲しいんだろ?君の全てを見て貰って、キルベルトの全てを見せて欲しいんだろ?」  
「いや…嫌だよこんなの見て欲しく……」  
「アニー…素直になるんだっ!」  
「ひや…ヤダヤダヤダ、見ないでキルベルト――あ゛あぁぁーーっ!!」  
私はキルベルトの前でハンスにイカされてしまった…  
だらしなく力の抜けた私を見るキルベルトは一層冷ややかに感じた  
「こんな…ことして…ひどいよ…ハンス」  
「やっと僕をハンスと認めたか…ふっははは」  
頭がうまく回らない私は、その笑い声がハンスなのか違うモノなのか…  
笑っている人が誰なのか考えることは出来なかった  
ただ、周りの視界がぼんやりするなか…  
キルベルトとアマリリスさんの手が繋がれていたのはハッキリと見えてしまった……  
そして襲いくる痛み  
よく見えないけど、膣内に蠢く何かが入ってきて中をぐちゃぐちゃと犯していき  
私の全身を何かがニュルニュルと這いずり回り、刺激してくるのを感じた  
そのまま体の中も外も汚され、朦朧とする意識の中何度目か達した辺りで完全に意識が途絶えた  
 
 
 
「アニー、起きろ!アニー!」  
私が目を開けると病室のベッドの上だった  
そしてハンスを見た  
「ひゃぁあっ!は、ハンス!?」  
「なんだその態度は…人が折角洞窟の奥で倒れたヤツをわざわざ看病してやっているのに」  
「へ?……私…」  
全部…夢?  
「洞窟の奥では…その…まあ、あまり深く考えるな、今キルベルト達が対策を練ってるから」  
「…キルベルトは?」  
「そうだな…今は武器屋…かな」  
 
 
私はその後ハンスが何を言っていたのか覚えていない  
その夜、私の病室に入ってきた影に誘われて私は洞窟へと向かった…  
 
―fin―  
 
 

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