「エト、一旦退いてくれ、制服を脱がないとまずい」  
 軽く放心していたエトを現実へと戻す一言。  
 このまま始めてしまう事も出来るが、そうするとほぼ確実に制服が駄目になってしまう、液体とか汁とかで。  
「んー、分かった〜」  
 エトは未だ絶頂の余韻が抜けきっていないのか、緩慢な動作で立ち上がりベッドから降り、制服を脱いでいく。  
 やっと身体を自由に動かせるようになったロゼも同様にベッドから降り、制服を脱ぎ始めた。  
 ロゼがためらう様子も無く機械的に制服を脱いでいるのとは対照的に、今までの大胆さが何処かへ消えてしまったように、恥じらいながら、ゆっくりと一枚一枚、途中で何度か動作が停止しつつ脱いでいる。  
 因みに、最初は背中合わせだったのだがさっさと先に脱いだロゼは、振り返ってそんなエトの様子を見ていた、ここまできたら開き直ってとことん楽しむ気のようだ。  
 エトは、自分の身体に纏う衣服の最後の一枚、秘部を隠す薄い純白の布に手をかけ、少しのためらいの後、覚悟を決めたようにして一気に引き抜いた、秘部と布の間に一瞬、透明な液体が伝う。  
 濡れている、その事実の意味する所が何かはよく解らないが、エトはそれを何となく気恥ずかしく感じた。  
 エトが振り返り、お互いが生まれたままの姿になり向かい合った。  
 エトは恥ずかしそうにしながら、遠慮がちに相手を見ている。  
 既にいきり立っている剛直が視界に入った時など、思わず目を逸してしまったりするという、普段からは想像もつかない様子だが、これでも一応乙女なのだから仕方ないとも言えるだろう。  
 対してロゼは全く遠慮無しに視線をエトの全身に滑らせている。  
 引き締まった、しかし筋肉質ではないしなやかな肢体。  
 興奮からか軽く汗ばみ、薄く桃色に染まった肌。  
 ただ大きいだけではなく、重量に負けることなく整った形を維持する胸とその桜色の頭頂。  
 まだ男を知らないぴっちりと閉じた、先程の自分の口付で与えられた絶頂によりぬれそぼっている秘部。  
「な、何か恥ずかしいね」  
 ロゼの無遠慮な視線に耐えられず、胸と秘部を手で隠し、身を捩り少しでもその視線から逃れようとする。  
「気にするな、どうせこれからもっと恥ずかしい事をするんだ」  
 そう言ってロゼはエトを抱き寄せ、ベッドに倒れ込んだ。  
 
「うわっぷ」  
 ロゼが上となってエトを組み敷く、最初とは逆の状態となり、ここで完全に攻守は逆転した。  
「そういえば」  
 いざ本番、と思ったがそこでロゼの脳裏にふと懸念事項が浮かんだ。  
「今日は大丈夫な日なのか?」  
 もし、今日がまさに危ない日だったりしたら色々と具合が悪い、この年で子持ちになるのは不都合だろう。  
「大丈夫って、何が?」  
「……つまりこのまま性行為をしたら子供が出来てしまうような日かどうか、ということだ」  
 予想はしていたが、エトのこういった方面への無知さ加減にやや呆れながらもロゼは説明する。  
「ロゼとの赤ちゃんだったら、あたし欲しいな」  
「ぶっ! お前なあ、もう少し物を考えろ!」  
 エトの発言に焦り、まるで怒っているような口調になってしまう。  
「うっ、そ、そんなに怒らないでよ……」  
「あ、いや、すまん、怒ってはいないぞ、ちょっと焦っただけだ」  
 ロゼは傷付いた表情をしたエトを見て、思わず謝ってしまう。  
 このままだと何処までも話がずれていきそうなので、話を本筋に戻そうとして、おそらくエトが危険日とそうでない日の違いを知らないだろう事に気付く。  
 そこで聞き方を変えてこちらで判断する事にした。  
「エト、この前生理が来たのはいつだ?」  
「え? 生理なら昨日ちょうど終わったけど」  
「そうか、なら大丈夫だな」  
 今日が安全であろう日だとは確認出来た、これでもう今現在の不安要素はロゼの思い付く限りでは無かった。  
 余り頭が冷えているとはいえない、寧ろ熱くて沸騰しそうな状態だから無いとは言い切れないが。  
 しかし、後の事は、余り考えないようにしていた。おそらく酷い目に遭うだろうが、ここまできたら後は野となれ山となれだ。  
 それに、思うがまま相手を蹂躙したいという原始的な欲求が、身体を、心を犯し、侵し、快楽を叩き込み、自らに屈伏させたいという嗜虐心が、押さえられない程大きくなっている。  
 後には、もうどうやったところで引けはしないないのだ、ならば突き進むしかない。  
 ロゼはエトの胸へと手を伸ばす。  
「あっ……」  
 軽く触れられただけだったが、エトの身体は反応し、小さく震える。  
 ロゼは最初は気遣うようにして、弱く、ゆっくりと乳房を揉み、エトの反応を見ながら、次第に強く、激しくしていく。  
「ふあっ、ん、あはぁっ」  
 
 エトの口から洩れる嬌声が大きくなり、頃合か、と思ったロゼはそれまで触れていなかった乳首を指で押し潰すようにして摘む。  
「ひゃっ、や、やわっ!」  
 一際大きくエトの身体が震え、上擦ったような声を上げる。  
 その反応に気を良くしたのか、或いは嗜虐心をそそられでもしたのか、口の端に薄く笑みを浮かべ、寧ろ痛いのではないかと思える程強く乳首ごと乳房を揉みしだく。  
「痛っ、やぁ、ちくびぃ、そんな、だめぇ」  
 痛みを訴えるエトだが、その声は本当に嫌がっているのではなく、催促しているようにもとれるものだった。  
「痛いか? その割りには」  
 口の端の薄い笑みをそのままに、右手をエトの胸から離しその秘裂に触れる、そこは軽く触れただけで分かる程の潤いを帯びていた。  
「ひっ」  
「もう随分と濡れているようだが?」  
 そのままエトの膣内へと指を侵入させる、片手はまだ胸を乱暴に揉んでいる。  
「ふ、ぁぁん! やぁ、指ぃ、入れちゃ、あっ」  
 まだ自慰も知らないエトの内部が拒むかのようにロゼの指を締め付ける。  
(きつい、な。それに狭い、多分、いや間違なく処女だ。よく解さなければ挿入ても痛いだけで終わってしまう)  
 そう考えロゼは人差し指を曲げては伸ばすことを繰り返し膣壁を擦り、襞に沿うように内部に滑らせ、ぐちゅぐちゅと水音を響かせる。  
 それでも足りないと思ったのか、胸の登頂を咥え、強く吸い、口内で舌先を使い乳首を転がし、飴でも舐めるように執拗にしゃぶり、歯で軽く触れ、痛みを与えぬよう甘く噛む。  
「ひぁっ! す、吸ったらぁだめぇ、くぅ……やぁあ、ゆび動かしちゃ、ふあっ! ふっ……んくっ」  
 敏感な三ヶ所を同時に責められ、エトは快楽に身を震わせる。その様子を見て、ロゼは責めをより激しく、強くし、更なる快楽へとエトを誘う。  
 激しい快感は電流となりエトの身体を流れ、思考を白濁させた。  
「ふひゃあっ! やら、らめぇ……そんなに、っあぁ! 強く、んはぁ、しちゃ……や、くるぅ、な、なんかきちゃう!」  
 快感の濁流に飲み込まれ、一際大きくエトの身体が痙攣する。  
「き、うああ、ああぁぁ!」  
 エトの膣内が収縮し指を締め付け、熱い潮がロゼの手を濡らす。  
 
 絶頂に達したエトの呼吸が荒く乱れる。  
「んっ」  
 ぐじゅり、と音を立ててロゼはエトの秘裂から指を引き抜いた。  
「初めてにしてはいやに敏感だな」  
 嗜虐的な笑みを浮かべ、愛液に塗れた指を見せつけるようにエトの眼前に持っていく。  
「全て、お前が出したものだぞ。随分と淫乱なんだな」  
「やっ、ちが、ふむぅっ」  
 エトは羞恥で顔を赤く染め否定しようとするが、ロゼはそれを許さずエト自身の愛液で塗れた指をエトの口に押し込み反論を封じる。  
「ほら、お前が汚したんだぞ、ちゃんと綺麗にしろ」  
「んむ、ぷあっ、や、やらぁ……恥ずかし、ふぐっ!」  
 生温く、微かに酸味の混じった、自らの発情した味。  
 必死に抗おうとするが、絶頂を迎えたばかりの身体には力が入らずロゼの手を払う事は出来ない。  
 朱の差していた顔を更に紅潮させ、目に涙を浮かべイヤイヤと首を振る、しかしその様な仕草は相手の嗜虐心を煽るだけだとエトには知る由もない。  
 ロゼはエトの上半身を抱き起こし、無理矢理顔を上向かせた。  
「んぐっ、ん、んんー!」  
 身体の反射により、エトの意思と関係無く自らの愛液と唾液の混合物を嚥下してしまう。喉を淫靡な液体が通過する、まるで喉の奥まで犯されているような感覚。  
 そこまでしてやっと、ロゼは口の中から、今度は唾液に塗れた指を抜いた。  
「ロゼ、酷いよぉ……やだって言ってるのに」  
 目を潤ませ、顔を赤く染めたまま、力無くロゼの非道を責めるエト。  
 普段からは想像もつかない弱々しさとその表情に、ロゼの嗜虐心が刺激される。  
 ――嗚呼、もう押さえきれない。汚して、喰らって、犯しぬいて、今すぐ自分のものにしたい――  
 ロゼの中の凶悪な欲望が鎌首を擡げる。最早、他の事は考えることすら出来ない、原因となった呪いの事も忘れている。  
 只、一人の顔がふと脳裏に浮かんだ時、微かに痛みを覚えた。  
 だが、それさえもロゼを止めるには至らない。  
「どうなっても知らない、と最初に言っただろう」  
 そう言いながらロゼはエトの上半身を再び横たえる。  
「それに、これまでの事よりこれからの事を気にするべきだと思うが」  
 エトは自分の股間に何か、硬く、熱いものが当てられているのを感じた。  
 

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