〜卒業後〜  
コンコン  
「…はい」  
「こんにちは…お久しぶりです先生…」  
「あら、卒業生が学園に何の用?」  
「…先生が前に言ってくれたじゃないですか、父さんのことを話してくれるって…」  
「言ったかしら?」  
「…もしかして怒っていますか?やっぱりまだ…」  
「…ふぅ、貴方のことをテオフラトゥスの子供としてみる努力はしているわ。でも、こんなに待たされても怒らない程私は優しくないの」  
「あ…そのことか、良かった…じゃなくてごめんなさい!ちょっと先輩…という悪の組織にいろいろ手を焼きまして…」  
「サルファは?」  
「人質に取られてます、でもまだ準備中だからってやっとで暇になって」  
「そう」  
「すみません、早く来たかったんですけど」  
「別にいいわ、待っていたわけでもないし」  
「(…やっぱりまだ怒っているんじゃ…)  
って、先生!?なんですかそれは?」  
「お酒よ。過去の…あの人の話をするのは少し辛いから、お酒くらい飲ませて欲しいわ。それとも貴方も飲みたいの?」  
「いや、僕はまだ未成年ですし…」  
「あら、もう何年も経ったと思ったのに貴方まだ未成年なの?」  
「(やっぱりまだ怒ってる…)…いただきます」  
 
 
〜深夜〜  
「ん…、あれ?ここは…そうだ!イゾルデ先生にあの後いっぱい飲まされて…  
いつの間にか寝ちゃったんだ…、もう外は真っ暗だ。  
先生はどこにいったんだろ?暗くて全然見えないや」  
(ゴソゴソ)  
「え…?先せ…ってうわあぁ!!何をやっているんですか!?」  
「やっと起きたのね…もう起きないかと思ったわ…」  
「そんな縁起でもないこと言わないで下さいよ。それよりもどいてください、上に乗られると今力が入らなくて動けないんです」  
「どうして退く必要があるの?私は貴方の鼓動をこうやって聞いていたいのに…」  
「へ?先生…酔ってるんですか?ってうわわわ、先生…やめて下さいくすぐったいです」  
「先生だなんて…私は貴方の先生になったつもりはないわ。  
貴方こそ酔ってしまったの、テオフラトゥス?」  
「え…、僕は父さんじゃ――んっ……せ、先生…?」  
「あの人は居ない…けど目の前に貴方が見えるの…お願いだからこの幻を信じさせて…」  
 
「せ、先生…でも僕は」  
「あら、抵抗するの?じゃあ抵抗する気をなくさせてあげるわ」  
「〜んん……んっ…んくっ……んっ……ハァ…ハァ…、先生…やめま…しょうよ」  
「まだ強情なのね、これでどうかしら(カプッ)」  
「んわっ…!(…なんだろう、痛い様な…気持ちいい様な…)……ああっ、やめて下さい先生…く、首筋…は…んっ」  
「ふふっ、貴方も強情ね。でももうココはこんなにも熱を帯びてるわよ…(サスサス)」  
「うわっ…!先生、どこを触って」  
「(カチャカチャ)気持ち良くなりたいんでしょ…?(ギュッ)私が貴方を一番分かって……」  
「先生…(このままじゃいけない、けれどなんだろうこの何かを放ちたい気持ちは…)…先生、僕は――…って、あれ?」  
「スースー…」  
「…寝ちゃった…のかな?先生…、先生?」  
「スースー…」  
「(あっ…、寝顔が子猫みたいで可愛い…)これで寝ている場所と握っているモノが違ったらもっと可愛いのに…」  
「……(ギュッ)」  
「痛っ!あれ?起きてる?」  
「スースー…」  
「………しょうがない、部屋まで運ぶか」  
「……意気地無し」  
「へ?今声が聞こえた様な…」  
「スースー…」  
「気のせいかな?」  
 
 
〜移動中〜  
 
 
 
「ふはっはっはっ!ヴェインよ、やっと我が基地の場所が決まった!さあ、早く人質を取り返しに来」  
「先輩、声が大きいです!もう深夜なんだから静かにして下さい!」  
「悪に朝も夜もあるか!…って、確かにあまり大きい声で言うと情報が漏れてしまうな。我がアジトの位置はこの地図に標しておいた、後はこの注意事項を守って進めよ!くれぐれも最初の落し穴で死なんようにな」  
「情報がだだ漏れじゃないですか…」  
「細かいことは気にするな。それよりもお前、その背負ってるのは…なるほど、お前もやっと男になったのだな」  
「ちち違いますよ、僕は何も」  
「みなまで言うな。  
どうせお前のことだ、最初は純粋な気持ちで会いに行ったにもかかわらず時間が空いたことの後ろめたさとその場の凄みで飲んだことの無い酒を飲まされ  
起きたらいきなり襲われ最初は本心じゃないものの段々マナ時では感じたことの無い欲望にかられ最後までいきたかった  
が寝られ相手がいない状態ではどうすることも出来ない知識と度胸を後悔しながら負け犬の様に帰っていく所だろう!」  
「……先輩、見てたんですか?」  
「(なぜこの子の心理まで分かるのかしら)」  
「そんな奥手でむっつりな貴様にとっておきのものがある!これだ!」  
「また秘密道具とかですか?あ…意外に外見は普通の本だ。えーっと、なになに…  
『様々なシチュエーションの女性とヤる方法!!  
ハプニングで起きたそのエロ展開に、貴方が成すべき対応と体位!  
言い寄ってくる女性の調教から眠っている女の子を墜とす手順まで!全て載ってます!  
なお、前半数ページに渡って書かれた性格分岐表を使うことで更に細かく…』  
…先輩、留年してまでこんな本書いてたんですか…?」  
「違う、それは俺様が書いたわけでは無い。裏を見てみろ」  
「えっ?…著者……テオフラトゥス…父さん、こんな本出してたんだ…」  
「(テオフラトゥス…)」  
「こんな本とはなんだ!一部ではテオフラトゥス晩年最高の本とまで言われているのだぞ!いらんのなら返せ(バシッ)」  
「へっ、あ…」  
「ん〜?なんだ貴様もまんざら興味無いわけでは無いのだな。よし、決めた!この本はサルファと共に景品とする!欲しくば我等を倒して手に入れろ!」  
「いや、僕は別に…」  
「ええい、このむっつりが!あの時貴様の中にある感情が芽生えたはずだ!その感情を漢だったら隠すな、貴様の本性をさらけ出せ!」  
 
「…でも僕は…」  
「初めての感情に戸惑うな、思えばお前はレーネは狙わずトニを集中攻撃していたふしがあるからな。  
お前はズバリ、お色気お姉さん萌えだ!だからあのアトリエ内ではダメだったのだ、貴様は」  
「そう…なんですか?」  
「俺様がデタラメを言っているとでも?」  
「…先輩なら言いそうです」  
「考えてみろ、もしあの状況をアトリエメンバーで想像した時、お前は最後まで抵抗したのではないか?」  
「…そう思うと…そうかもしれません」  
「(それは仲間だからじゃないかしら?)」  
「胸を張っていいのだ!そして、タイプの女を前に指をくわえたことを恥じるのだ!」  
「うう…、そう…なの…かもしれない」  
「男なら本能に、性欲に正直になれ!」  
「…はいっ、先輩!」  
「(二人共声が大きいわ…)」  
「ならばこの本を手に入れ、男になってみせよ!さらばだ、ヴェインよ!ふはっはっはっ…」  
「行っちゃった…、よし!頑張ってあの本とサルファを取り返すぞ!」  
「(本は買えばいいじゃないかしら…?それよりもこの子とは当分距離を置いた方が良さそうね)」  
 
 
 
〜fin〜  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『後日』  
「スースー…」  
「また寝ちゃった…先生お酒弱いんだ…。えーっと、本によると…  
『女の子が寝てしまった場合には三通りあり、一つ目は縛り上げて何もせず起きるまで待ち、その後起きた対象に全裸の自分を罵られ興奮します…ハァハァ』…父さん?」  
「『二つ目は、寝ている間にいろいろ悪戯と言う名の愛撫をします。主に効果的な〜(中略)〜などし続け、起きるまで挿入せず、対象が起きた時に罵倒や暴行を浴びながらゆっくりと挿入していきます…ハァハァ』…父さん…」  
「『三つ目は、寝ている間にことを済ませます。ただこの方法は道徳的にも間違っているので推奨出来ません。でも起きて気付いた後の罵倒が…ハァハァ』……」  
「(テオフラトゥス…ドMだったのね…。それにしてもあの子はどれを選ぶのかしら…ドキドキ)」  
「あっ、注意事項があった『なお、どの場合に置いても人の女に手を出したらいけん!それが漢じゃ!』……そういえば先生は父さんのこと好きだったんだっけ…(スタスタ)」  
「(えっ!?)…ちょっと待っ」  
「(ガチャッ)」  
「……(ショボーン)」  
 
 
 
イゾルデM説・完  
 

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