「あ、ああああななたたたた!なにをやっ。っやっていぇてるの!?」  
悪夢のような光景。いや、悪夢で無ければならない光景だった。  
なぜなら、愛するロゼの上で自分以外の女が腰を振っているなどあってはならないのだから。  
「なんだかんだ言ってクールな男は好みだし・・・・  
 いざって時にしっかり護ってくれる人は素敵だから・・・・」  
さらりと言ってのける。クロエに対し、リリアは脳がパンクして呂律が回っていない。  
「こ、好み!?っそそそんな理由でろ、ろロゼをね、寝取・・・うあぁっ・・・」  
「別に減るもんじゃなし、いいじゃない。・・・ぃやん♪またでるぅ」  
「い、嫌あああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」  
リリアは逃げ出すことしか出来なかった。いつもの彼女なら、この魔女を(出来るかは別として)血の海に沈めているところだったが、  
愛する人の裏切りと言う事実が、溢れ出る涙がそれを許さなかった。  
・・・そんなパニック状態だっただからだろう。  
ロゼが虚ろな目をしている事にも、床の“アレ”にも気付かなかったのは。  
「・・・少し落ち着け」  
「ぐえっ!?」  
興をそがれ、クロエは一糸纏わぬままリリアへと近づく。  
「痛たた・・・なんて情けない。こんな時に触手転ぶなんて・・・触手!?」  
そう、床から生えた赤黒いグロテスクな触手がリリアの足に絡みついていたのだ!!  
「くっ・・・こんなものまで用意してるなんて!!クロエさん!所詮あなたは田舎娘と同類!あなたを信じた私がb」  
「・・・・はい、触手くん30cm上昇」  
「きゃあっ!?」  
転んだショックで我に帰ったリリアだったが、這い上がってくる触手に思わず黙ってしまった。  
「言っておくけどロゼ君は浮気した訳じゃ無いよ。  
 わたしもそんな軽い男に興味ないし・・・だから、こんなふうに・・・えいっ」  
「わぷっ!?」  
桃色に光る粉を投げつけられ、リリアは思わず咳き込んでしまう。  
「媚・・・じゃなくておまじないでちょっとばかり正気を。だから心配ないよ・・・?」  
「媚!?待ちなさい、まさか今私にぶつけたのは!?」  
「正気のままなのが残念だけど」  
「ぶつけたのね?ロゼに使ったヤクを使ったのね!?」  
「・・・実は私、女の子でもイケるんだよ。でなきゃウルリカに付き合うなんてできないし」  
「そんな衝撃的な告白は聞いてない!質問に答・・・きゃっ!触手が!これやめてぇ!!」  
いつの間にか密着していたクロエとリリアを結びつけるように、触手が二人に絡み付いていく。  
「意地っ張りで胸の無い子が好み。・・・リリアちゃんって意外と可愛いよね」  
「あら、クロエさんだって十分綺麗よ?吸い込まれそうな闇のような瞳、濡れて艶やかな髪、  
 思わずそそられ・・・って何言ってんの私!?」  
「効果は抜群だね・・・じゃ、はじめようか」  
「や、やめなさいぃ!ああっ!服が!服の中に!!」  
、魔女と触手に捕まったお嬢様にもはや逃げ場は無い。  
「大丈夫、慣れれば気持ちいいよ?それにこの触手、ロゼ君の細胞から作ったの。  
  ・・・いわばロゼ君そのもの」  
「そ、それは背徳的でなかなか・・・っていくらなんでもそれはないわ!  
 でも・・・ロゼなのよね・・・姿かたちが違っても・・・」  
普段から妄想力たくましい彼女である。おまじないに当てられては物を考えることすらかなわない。  
「しばらくしたらロゼ君も混ぜてあげる。・・・・末永くよろしくね?」  
「やっぱり嫌あああぁぁぁぁ!」  
 
リリアの戦いはまだ始まったばかりだ!  
ご愛読ありがとうございました。ガスト先生の次回作にご期待ください!!  
 

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