突然の出来事だった。
森の中で倒れていた私を助けてくれたフェルトと共に向かった湖で、その事件は起こった。
目の前に敵が現れ、自分が狙うべき剣『真紅のアゾット』を振るう……。
「くそっ……ぜんぜん歯が立たない……」
フェルトも、私も、苦戦をせざるを得ない状況に置かれてしまった……。
だからといってあの時……。
あんな行動さえとらなければ……。
「くっ、『エアスレイサー』!」
「ふんっ」
真紅のアゾットを持つ男は軽く手を振ると、私の武器を横へ打ち払った。
そして、鎌は私がいる場所からだいぶ離れた地面に刺さってしまった。
つまり、今の私は……完全に無防備になってしまった……。
その隙を突いて、男が私に向かって走り出す……。
(もうだめだ……!)
そう思った次の瞬間だった。
私の目の前に、何かが飛び出した……。
「……フ、フェルト!!?」
「……」
フェルトの胸の下辺りに、真紅のアゾットが突き刺さり、声が出ないほどのダメージを与えていた。
アゾットが引き抜かれると、赤い血を流しながらフェルトの体が崩れた。
「フェルト!フェルト!!返事をしろ!!!」
ピクリとも動かなくなったフェルトに、必死に呼びかける私……。
いつものように落ち着いてなんていられなかった……。
そのあと、すぐに仲間のグレイが駆けつけてくれて、男はその場を去っていき、グレイと私、そして傷だらけのフェルトがその場に取り残された……。
「これだけ手当てをしておけばもう大丈夫だろう」
「だ、だが、フェルトは……私をかばったせいで……」
気持ちの整理がつかないまま、近くに張ったキャンプの中に私たちはいた。
あれから、フェルトには持っていたすべての回復薬を使い、安静な状態を保っている。
リフュールアンクも持たせているため、怪我の回復も完全に順調だが、それでも、自分のやったことの責任感が抜けていなかった……。
「少し落ち着いたほうがいい。少し、外の空気を吸ってきたらどうだ?」
「……」
グレイに言われたすぐ後にチラッと、フェルトのほうを見てから、頷く。
そのすぐ後に私は逃げ出すように、テントから出て行った。
外には、モンスターがいるかもしれないため、自分の武器の鎌を持って、昼間の湖に向かう。
「フェルトのことを、あんなに傷つけてしまったのに……自分の身のことを考えているなんて……ひどいやつだな……私は」
そういいながら、鎌を地面にさした。
湖の水面がよく見えるところまで歩いていくと、目の辺りが赤くなっていて、涙のあとがついた自分の顔が映っていた。
「……泣いていたのか……」
水をすくい、顔にかける。何度かそれを繰り返した後、もう一度水面を見た。
「……これって……」
自分の二つ結びにした髪に、黒っぽいものがついていることに気づく。
それをきっかけに体のいたるところに、同じ色をしたものがくっついていることに気がついた。
「……フェルトの……血、か」
せっかく洗ったばかりの頬から、また涙がこぼれた。
服の袖でそれを拭いた後、服を脱ぎ、裸になった。
どうせこんな時間だ……。誰もいないだろう。
水浴びでもして、フェルトの血を流してしまおう。
そう思うと私は、ゆっくりと湖の中へ入っていった。
ちょうど髪を洗い終え、いつもどおりの二つ結びにしたすぐ後の出来事だった。
次は体を洗おうと思い、そっと水を自分の肩の辺りにかけたときに、湖の岸のあたりに、人影が見えた。
(だ、だれっ!?)
昼間の男かもしれない。だが、武器は岸の地面にさしたままでしかも、こんな一糸纏わぬ姿で戦えるはずがない。
運のいいことに、武器が見つかっているだけで、岩の後ろに隠すように置いた服はまだ見つかっていないようだった。
ばれぬように近づいて、岸まで辿りつくしか道は残っていなかった。
(……危険ではあるが……)
フェルトのことを思い出した。フェルトは自分の危険を顧みず私の盾になってくれた。
それに比べたら、こんなこと、ちっとも怖くなどない。
音が立たぬように一歩目を踏み出す。
一歩……また一歩と確実に岸へと近づいていく。
そして、あと少しで岸というところまでたどり着いた、そのときだった。
ヅルッ!
コケが生えて滑りやすくなった石を踏んでしまい、見事に真後ろに倒れる。
「なっ……!」
バシャーン!!!
私は、豪快な音を立て、コケた。
「……フィー?」
「……」
まさか……今の声……。
「フ、フェルト?」
怪我が治ったのだろうか。その姿は完全にフェルトであった。
「フィー、そんなところにい……」
途中まで発音したところでフェルトは後ろを向いてしまった。
「……どうした?」
「み、見てないからな!」
「……え?」
その一言で思い出した。自分は今、全裸だということを……。
そのことを思い出した瞬間に急いで自分の体の状態を見る。
足はM字に開脚されていて、まだ毛すら生えていない陰部が丸見えの状態だった。
もちろん私は顔を真っ赤に染めて自分の手で胸と陰部を隠す。
「け、ケガはもう大丈夫なのか?」
話を逸らそうと、怪我の話を持ってくる。
「あ、う、うん……だからグレイに『フィーは?』って聞いたら『外にいる』って言うから……」
さすがに、水浴びをしているなんて考えなかったのだろう。
鎌だけしか見当たらなかったので、ここで待っていればそのうち帰ってくるのだと思っていたに違いない……。
「……その……やっぱり、見たか?」
目をそらしつつ、ものすごく小さな声で聞いた。
「み、見てないって!子供っぽくなんてなかった!」
見られた。無毛だということを知られている。
「……えっと……き、着替えたいから少し向こうを向いててもらえるか?」
「……う、うん……」
フェルトはすぐに後ろを向く。
今度は音を立てることなど気にせずに岩のところまでいった。
純白の下着を広げ、足を通そうと思い、片方の足を上げたときに、お尻のあたりに水がかかるような感覚がした。
「きゃあ!?」
思わず、ふつうの女の子みたいな声を上げてしまう。
「フィー、どうした!?」
振り向くに振り向けないフェルトの声に答えようとする私。
あの感覚の正体は……モンスターぷにぷにだった。
「ぷ、ぷにぷにが……いやっ!」
今度は小さいぷにぷにが陰部目掛けて体当たりをした。
バランスを崩した体にいつの間にか集まっていたぷにぷにがどんどん体当たりをしていった。
そしてどろどろした感覚が裸の私の体を埋め尽くしていく。今まで感じたことのない感覚。
「マナウェイブ!」
突然光る衝撃波が、ぷにぷにを一掃する。
「フィー!だいじょう……」
またフェルトの言葉が途中で止まる。
「ぁ……ふぇる……と……体が……へん……」
まだ、今まで感じたことがない感覚が残っている。
もはや、胸や陰部を隠せる気力も残っていない……。
体はどろどろした液体まみれのままだ。
「フィー……ごめん!俺、もう我慢できない!」
そういうと、フェルトは私の唇を奪った。
「……!?」
私はさらにパニック状態になる。しかもなにやら、股間の辺りがだんだん熱くなってくるような気がした。
「フィーって、胸がないように見えてたけど……着痩せするタイプだったんだな」
「……は、恥ずかしいから、言わないでくれ……」
また目をそむける私。
そんな私の胸をやさしく吸い上げるフェルト。
「ひゃっ!」
「痛かったか?」
「お、驚いただけ……大丈夫……」
エッチなこと。
一人で旅をしていた頃、路地裏ではじめて知ったその言葉が今自分が行っている行為だ。
そんなことを考えながら、胸を吸われ続ける私。
そして、フェルトの唇は、胸の中心。つまり乳首に到達した。
そして、やさしく乳首を吸い上げる。
「ひゃん!?」
「胸、弱いんだな……」
そう言いつつ、股間にも手を伸ばすフェルト。
「そ、そんなところ……汚い……ひゃっ」
乳首と陰部、両方お同時に攻められて、声を出してしまう。
それと同時に陰部に違和感を覚える。
体もぶるっと震えてしまう。
「どうした?」
「……す、少し……その……と、トイレに……」
すっかり忘れていたが、今日はまだ、朝しかトイレにいっていなかった。
なのでこんな夜まで尿意を感じることがなかったのが不思議なくらいだったがその分、たった今私のお腹の負担は一気に上がった。
今すぐにでも出てしまいそうな感じだ。
「だ、だから……早く……トイレに……」
「で、でもこの辺にトイレなんてないし……」
フェルトがきょろきょろしているうちに、ビューっと冷たい風が吹いた。
液体などのせいで、ふつうの3、4倍は一気に体が冷えた私は、一気に限界を超えてしまった。
「あ……う、うそ……み、見ないでぇ!」
ぷしゃあああ……
情けない声を上げてしまう私。
そして恥ずかしい音が辺りに鳴り響く。
「あ……あぁ……」
恥ずかしさのあまり、半分泣きかけてしまう。
それでもまだ、放尿は終わらず、30秒は続いていた。
「いや……こんなの……」
もはや、いつもの自分の面影など全く残っておらず、完全に強気、冷静という皮が剥けてしまった私。
「……ほら、おしっこした後はきれいにしなきゃダメだろ」
「えっ!?」
なんとフェルトは泣いている私の股間に顔を近づけて陰部を舐め上げた。
「ひゃう!だ、だめ……そんなとこ……きたな……ひゃん!!!」
ぷつりと、出ている豆のような部分を軽くかまれた。
痛く感じるはずなのに、私は、とても気持ちよく感じてしまった。
……私は、変なのだろうか。
「フィー、フィーには汚いところなんてないよ……」
「フェルト……フェルトォ!」
彼の名前を呼びながら、私はどんどん気持ちよくなっていく。
「ここがすきなんだね、フィー」
また、さっきの豆のような部分を攻められた。
「そ、そこは……だめ……おかしくなっちゃう……やあぁぁぁ!!!」
フェルトの顔に、ねばねばした液体をかけながら、私は初めて達した。
とっても、気持ちがよかった。
「……そろそろ入れるぞ」
「い、入れるって、何を?」
フェルトは黙って自分の陰部を出し、私の股間に近づける。
「も、もしかして……」
「痛かったら、言えよ……」
「……いいよ、痛くっても……」
なぜか、素直な気持ちになれた。
痛くっても、フェルトと繋がりたいという気持ちに。
「それじゃあ、行くぞ」
「……」
コクリと私が頷くとフェルトの陰部は私の陰部と繋がった。
次の日のお昼、アルテナ教会
「そう、それじゃあ、その人があなたを救ってくれたのね」
「はい」
私の育ての親エーゼリンは、やさしい笑顔で言った。
「それで、あなたはどうしたいのですか?」
「え?」
思いもよらぬ質問に声が出なくなってしまう。
「相当彼のことを気にかけているようだけど、何かあったのですか?
「……はい」
たぶん、彼のことが好きになってしまいました。
私は、心の中でそう呟いた。
私が彼らと旅に出ることが決まったのはその、すぐ後のことだった。
もちろん、彼もそのとき、喜んでくれた。
私は今、幸せだ。