「むにゃむにゃ...シア、やっとできたよぉ...」
外が白味始め、工房の中に朝の光が差し込む。
部屋の中で無造作に寝転ぶ妖精達と同じくマルローネはその重くなった瞼を閉じた。
胸には先程完成したであろうエリキシル剤の入った薬瓶を右手に握り締めながら...
「はっはっ...はっはっ、はっはっ」
街中を髪を揺らしてマルローネが駆ける。
昨晩、明け方まで合成に励んでいた彼女が目覚めたのは日も高く上がった正午前のことだった。
エリキシル剤完成に喜んだのもつかの間、夜中に友人宅を訪れるのをためらった彼女は朝まで少しの睡眠を取ることに決めた、
までは良かったが案の定彼女は予定の時間を大幅に遅れる失態をしてしまう。
それでも必死の思いで彼女は走っていた。
病床に伏せている親友の家を目指して。
鞄を大事そうに胸に抱え、その中には昨日作り上げたはずの薬瓶が入っていた。
「シアー!シアー!」
「あら?どうしたのマルローネー?そんなに息を切らせて?」
シアの部屋のドアを開けるなりむせ返るマルローネ。
「そ...そん...のより...」
息切れが酷いマルローネは言葉がつながらず、抱えていた鞄をシアに手渡した。
「れで...びょ、びょうき...から」
「落ち着いて、マルローネ。今、お茶を淹れるから...」
ベッドから起き上がり床に立ち上がろうとするシア、マルローネはそれを手で制し大きく深呼吸を繰り返した。
「と、とにかく!完成したのよ、シアの病気を治す...エリキシル剤が」
「...!」
息を飲むシア。
落ち着き始めたマルローネがシアに手渡した鞄を受け取り、その中から薬瓶を取り出した。
「...?」
少し違和感を感じたものの、マルローネはそれをシアに手渡しにっこりと微笑む。
「今日の明け方に出来たんだけど、寝坊しちゃって...」
「あ、ありがとうマルローネ!」
シアは両手で薬瓶を受け取り中の溶液を揺らしてみる。
大き目の薬瓶の中にはピンク色の液体が入っておりラベルは貼っていなかった。
「それ、全部飲んじゃって。量が多いけど...そうすればシアの病気も治るはずだから!」
「う、うん」
確かにマルローネの言うとおり一度で飲むにはその量は多かった。
コップ3杯分ぐらいありそうな量にシアはためらう。
「コップもらってこようか?」
「ううん、大丈夫」
気を使ってくれる親友を止め、シアは薬瓶の蓋を開けた。
中からは甘い匂いが彼女の鼻腔をくすぐる。
「だ、大丈夫よね?」
不安げに呟くシアに対してマルローネは胸を張り、大げさにそれを叩いて顔を近づけ小声で呟く
「私を誰と思ってるの、シア?前回の試験でアカデミートップ成績のマルローネ様よ?」
「そ、そうよね。マルローネーったら昔とは違うもんね。ご、ごめんね、私ったら...」
シアは意を決して両手に持った薬を飲み始める。
ゴク、ゴク、ゴクッ
四分の一程飲んだところで一度シアは薬瓶から口を離した。
「これ、全部飲まないとダメなの?」
「う、うん...そうだけどぉ、ちょっと量多いよね?」
マルローネは首を傾げて頭を掻く。最初に抱いた違和感はそれだったのだ。
昨日完成時には片手で掲げ上げ喜んだことは記憶に残っていた。
通常のグラスより一回り小さいぐらいに感じていたものの、今シアがもっているのは明らかにそれより二回り程大きく感じられたからだ。
「で、どう。シア?」
シアはマルローネに対して微笑を浮かべ答える。
「ふふっ、そんなに早く効き目がでたらびっくりするでしょ?それにまだ少ししか頂いてない...」
言い終える前に彼女は体の異変に気がついた。
おなかを押さえ俯くシア。
「えっ、どうしたの?シア!?」
「...おなかが...」
「大丈夫!?横になって!!」
薬瓶の蓋をしてテーブルの上におくとシアのベッドに近寄る。
突然のことにマルローネは驚いていた。
自分の調べた文献ではエリキシル剤には副作用があることは一言も載っていなかったからだ。
シアはマルローネの言うとおりにベッドに横たわり、腹部を両手で押さえていた。
「シア大丈夫??シア...」
半分泣きながらパニックになっているマルローネはシアの腹部を手の上から優しく撫でる。
「大丈夫?大丈夫?」
覗き見えるシアの顔は赤く火照っており熱を帯びた吐息を吐き出した。
「マルローネー、もうちょっと下...」
「え?この辺り?」
腹部を撫ぜていた手を滑らせ、下腹部へとそれを運び撫ぜる。
「ううん...もっと下辺り...」
苦しそうにシアは言葉を紡ぐ。
「えっと...この辺り?」
マルローネはなおも下に手を落とし、脚の付け根辺りをさすった。
しかしシアは首を振り彼女の手を掴んだ。そして自分の股間へとそれを導く。
「!?...シア?」
マルローネの手があてがわれたのは紛れもなくシアの大事なところだった。
「マルローネ...こんな薬使わなくても言ってくれたらよかったのに...」
「へっ?」
あっけに取られマルローネは間抜けな返事を返す。
「マルローネはエリキシル剤って言ってたけど...これ媚薬でしょう?」
シアは起き上がり先程の薬瓶を両手に抱えた。
「えっ!えええー!!!い、い、いつのまに!??」
驚き戸惑うマルローネ。その様子から見ればわざと仕込んだわけではないことは一目瞭然だった。
シアは不敵に笑いマルローネに先程の薬瓶を渡した。
「私だけ、って言うのは不公平よね?」
普段のシアからは想像できないほど彼女はマルローネに妖艶に迫ってくる。
「あ、あの、あのっ!ほ、ほら、シア?わ、私には、クラ、クライすが居るし!シ、シアもっ」
声が裏返りながらマルローネはシアの申し出を断ろうと口早に否定する。
それでも構わずシアはベッドから起き上がりマルローネの首に腕を回した。
そして彼女の持っている薬瓶の蓋を開け、自分の口に含む。
「ね、ね?シア?ほ、ほら。こ、今度はちゃんとしたエリキシ...んぅ」
マルローネが必死に話しかけるもシアの唇がそれを塞ぎ二人は口付けをする。
首に回されているシアの腕に力が篭り、マルローネの唇を抉じ開けて彼女の舌が侵入する。
しかし舌だけではなく、唾液に混じって口に含んだ媚薬がマルローネの口腔内を満たしていた。
「んっ...んぅ......んん......」
「ちゅぱ...レロ...んんくぅ......ふぁ...ん......」
シアはマルローネの口の中で彼女の舌を見つけ、それを自分の舌で絡め、吸い、舐めあげた。
マルローネはシアの媚薬交じりの唾液を嚥下し、彼女の口付けに酔っていた。
やがて二人の唇が離れ、唾液が糸を引く。
「マルローネ、少しじゃダメでしょ?それ、もう少し飲んで...」
大事そうに持っている媚薬の入った瓶に指を挿す。
マルローネは四分の三ほど残っている媚薬に口を付け、それを一気に飲み干してしまった。
「だ、大丈夫?」
驚いたのはシアのほうだった。
わずか四分の一で自分にこれほどまで効果を与えたものを彼女はその三倍の量を一気に摂取してしまったのだ。
空になった薬瓶がマルローネの手から滑り落ち、フローリングの床の上を転がった。
「ゔ〜シアアァ、しらんないんわよぉおお」
背筋にぞくりと何かを感じながらもシアは満面の笑みで彼女を両手を広げ歓迎した。
「いいわよ、マルローネ。あなたとなら......」
だが彼女はマルローネの豹変振りに後悔することになる。
マルローネは俯いたまま念仏のようにぶつぶつと小言を呟いていた。
「マルローネ?」
変に思ったシアは彼女に近寄り顔を見ようとしたから仰ぎ見た瞬間
「ゔがああ〜!」
急にうなり声を上げてマルローネはシアに襲いかかり、そのまま彼女をベッドに強引に押し倒した。
ばふっと質感の良いベッドの上で二人の身体は重なりそのままマルローネはシアの身体にまたがる。
「あ〜れ〜」
冗談っぽく笑いながら悲鳴を上げるシア。その唇を塞ぐようにマルローネは彼女に口付けをする。
先程とは変わり、マルローネの舌がシアの口を蹂躙し媚薬の甘い香りと味が伝わった。
「んんぅ...ふぅ...はぁ...あっ、あん......ん......」
「はぁ、はっ、はっ...ん、んっ......っ...くっ...」
シアの零れる吐息とは反対に獣のような荒々しい息遣いがマルローネの口から聞こえる。
ビリィィイイ!
生地が破れる音と共にシアの体が露になる。
口付けを続けながらもマルローネはシアの服を強引に破り、脱がせていく。
「んっ!?マ、マルローネッ!?んっ...んふ......ふぁっ......」
あまりの行動に注意を促そうとするもののマルローネの舌は別の生き物のようにシアのものに絡みつき、言葉をさえぎった。
やがてシアはショーツさえも剥ぎ取られあっという間に裸にされてしまう。
マルローネの唇がは蛭のように彼女の口から顎へ、そして首筋にかけて滑り落ちていく。
丁度首の付け根に達した頃、マルローネはそこを力強くすい始めた。まさしく蛭のように...
「あ、マ、マルローネ!だめぇ」
シアは慌てて両手でマルローネの顔を外そうと頑張るものの彼女の力は予想以上に強くコトを達成するまでそこからは離れなかった。
首筋にくっきりと分かるほどの真っ赤な痕がそこに残っていた。
「こ、こんなところにキスマークなんて...服で隠せないじゃない......」
ぷうとすねるシアに悪気がないように微笑むマルローネ。
そしてマルローネは再び動き始める。
彼女の鎖骨辺りを舐め、そのまま腕へ、そして脇へ
さすがのシアもこそばさに身を捩じらせマルローネの頭を撫ぜる。
「そ、そんなところじゃなくて...こっちを...」
彼女はマルローネの顔を両手で掴み自分の胸元に誘導させる。
病弱の彼女は胸の膨らみも同じ年頃の女性に比べると貧相に見えるものだった。
それでも胸の突起は彼女の興奮の度合いを示していた。
マルローネの舌はそれこそネコがミルクを舐めるようにぺロペロと舐め、しゃぶり、転がす。
「あ...あっ...マ、リ...そこっ、いい...んんぅ......」
シアは快楽を訴えて自分の右手の小指を口に含んだ。
まるで指をマルローネがしていることと同じく自分の舌で舐め、時には甘噛みし、しゃぶり始める。
「あぁぁ...マルローネー...ん、ちゅぷ、ちゅぱ...あっ...くぅん......」
シアのそれは硬くしこり立ち、舌先で潰され、指で擦り、抓られるたびに体を捩じらせ快感を訴えた。
やがてマルローネの唇は次なる獲物へ向かって彼女の身体を滑り降りていく。
わき腹からおへそへ、そして徐々にそこから下へと茂みの中を彼女の唇が降り、シアの大事なところまで進んだ。
「だ、だめ...」
マルローネの頭にシアの手があてがわれるがその手にはまったく力が篭っていなかった。
些細な抵抗にも構わずにマルローネの唇は蠢き、シアの大事なところへと到達した。
じゅる...
そこから大量にあふれ出る蜜を音を立てて舐めあげる。
「あぁん!」
シアは快楽に身体を震わせ、嬌声を上げた。
じゅる、じゅるる...ちゅぱ、ちゅぱ...ぺちゃ、じゅぷ...
わざとらしくも音を立てマルローネはシアの蜜を舐め始める。
両手で彼女の脚を掴み、その手は万力のように強く彼女が閉じようとする力を制した。
「いや、マ、マルローネ...音、音たてちゃ...だめっ!くぅん!!」
それでもマルローネは彼女への愛撫を止むことなく続け、時には蜜を吸い、シアは甘い喘ぎを零す。
やがて抵抗のなくなった脚から手を離し、マルローネは手を使って彼女の大事なところを広げて中を伺う。
とめどなくあふれ出る彼女の蜜を舌を差し入れかきだすように、奥へ奥へと舌を差し入れた。
マルローネはシアの大事な部分にある真珠のような小さな宝石を見つけるとそれを被う薄皮を指で剥き露にさせる。
そこへ舌で一舐め...
「ひゃうぅぅ!」
シアの腰が大きく跳ね、そこが彼女の弱点であることを赤裸々に体が語った。
そこに狙いをつけたマルローネは執拗に責め立て、逃げようとする彼女の腰を力強く掴んだ。
「あっ!!あんん!!だめ、だめよっ!...マルローネ...そ、そこっ...だめ、わた、わたし!!...だめっ!」
シアは必死にマルローネの髪を掻きむしり、ベッドシーツを強く掴む。
「...あっあ、ああっ!!だめ、マルローネ...そこ、ばっか...りぃ、だ、んんん!!んっ!あっ、はあん!」
シアの部屋の窓は開け放たれており、外に聞こえる程彼女の嬌声は大きく、身体も激しく暴れていた。
大量に溢れる蜜は零れ落ちシーツを濡らし始める。
マルローネはそこにも指を入れ、内側からもシアの身体を刺激しはじめた。
ただでさえ限界が近かったシアは一気に頂上へと登りつめ、それをマルローネに知らせる。
「あああっ!!マルローネーだめ!!ダメェエエエ!!いく、いっ......イクイくぅ、イっちゃうー!...くー!!」
マルローネの髪から手を離し両手で力の限りシーツを掴むと彼女は弓なりに体を反らし絶頂へと達していった。
ビクン、ビクンと体が大きく爆ぜ、後に小さな痙攣を繰り返した。
股間からマルローネは顔を上げると、口の周りだけでなく全体をシアの蜜で濡らしていた。
シアは惚けながらも彼女の顔をペロペロと舐め綺麗にしていく。
「今度は、私が...」
シアはマルローネに口付けをし、どちらからともなく舌を絡める。
「ん...ちゅぱ...んふん...」
「はっ、はぁ...はっ...」
マルローネの息遣いは最初と同じくまだ荒く、まるで獣の様にシアの舌に吸い付く。
あまりの激しさにシアは自分から唇を離すと彼女の首筋に舌を這わす。
愛撫を続けながら唇を滑らせ、マルローネの服をずらせながら彼女の豊かな胸を舐める。
おかしなことにマルローネからは喘ぎ声や吐息は漏れてこずに彼女は自分のショーツを脱いでいた。
「マ、マルローネ?気持ちよくない?」
首を傾げるシアをベッドに押し倒しマルローネは彼女の足首を掴んだ。
「えっ?」
彼女の脚の間に自分の脚を割って入り、お互いの大事なところが触れ合うこととなった。
「マ、マルローネ?」
マルローネからの返事はなく、彼女は腰をゆっくり動かし始める。
まるでやわらかい布で大事なところ全体を撫で回されるような感じにシアは再び歓喜の喘ぎを漏らすこととなった。
「あっ...ああん!マ、マルローネっ!!わ、私は良いから...んっ!あ、だめっ、感じ...ちゃ...んんっ!」
互いが出す蜜が潤滑油となりその動きは滑らかに、そして徐々に激しくマルローネは腰を動かす。
シアの右足を肩に担ぎ、閉じることも動かすこともできなくなった彼女はただ、マルローネから与えられる快楽に溺れるだけとなっていた。
「やっ!あぁん!!...さ、さっき...イったから、あふっ!!また、ま...きちゃぅぅ!」
部屋にはぐちゃぐちゃといった音とシアの喘ぎ声が満たし始め、徐々に彼女の声は切羽詰ったものに変化いく。
マルローネの腰は一定のリズムで早くなり、また遅くなって再び早く動かす。
それはシアの気持ちを昂ぶらせては鎮め、鎮めてはまた昂ぶらせる。そんな行為で彼女の感覚を操っていた。
「んんぅ!...はぁ、はぁ...マ、マルローネ...も、イかせて...んっ...ああぁん、あ、あふぅ...」
限界の声を上げると彼女の腰はまたもたもたと動きを和らげる、そんな責めにシアは精神的に限界を感じていた。
また絶頂間近になり、シアははしたなくも彼女から激しく腰を動かし始める。
「マルローネ、イカせて!イカせてぇえ!も、もぅ...意地悪しなぃっ、ぃんでぇえ!」
彼女の乱れる姿を見てマルローネはうっすらと微笑すると絶頂へ導くように腰を動かしお互いの蜜が激しく当たりに飛び散った。
マルローネは彼女の求めるように今度は律動を鎮めず一気に頂点へとシアを昇らせた。
「イ、イク..イクイィィっ!ちゃ、ぅん!!んんーー!!」
二度目の絶頂と同時に彼女の大事なところからは大量の蜜がベッドのシーツを汚していた。
まるでそれはおしっこのように染みを作り大きな円を描き始める。
一度目と同じようにかすかに痙攣する腰と薄れていきそうな意識で絶頂の余韻をシアはまどろんでいた。
し・か・し
「シア?私まだ絶頂ってないんだけどね?休憩にはまだ早くないかなあ?」
ぞっとして見上げた彼女の顔は普段のマルローネの優しさをまったく感じさせてはいなかった。
「あぁあぁぁ...」
その頃工房では
「あら?ご主人様ったら昨日のお薬おいたままだよ〜」
妖精が忙しそうに合成を楽しんでいた
おしまい