第二部 開花〜イングリドとヘルミーナ〜  
 
ドルニエの元を訪れたリリーの高い声は、ベッドの中で参考書を読んでいた  
イングリドとヘルミーナの興味を引いた。  
 
「?リリー先生の声?」  
「めずらしいわね、こんな時間にドルニエ先生の部屋にいるなんて。」  
「何話してるんだろうね。」  
「さあ。イングリドの出来が悪いって相談してるんじゃないの?」  
「はぁ?ヘルミーナの根性が曲がってるって話よ、きっと。」  
「なんですって?!どっちが・・・・!」  
「しっ。なんかリリー先生、泣いてる??」  
「えっ。・・・ほんとだ、なんか泣いてるみたい。」  
「どうしたんだろう・・・。」  
 
二人、壁に耳を付けて隣室の様子を伺う。  
 
「ひっ・・・あっあっだめっもう、変なの!私、変になっちゃう、先生っやめて・・・もっと・・・」  
 
「あ!!!」  
「え?!」  
 
信じられない気持ちで、お互いに顔を見合わせる。  
この声が、どんな声なのか、なんとなく想像はつく。  
大人の恋人が行う秘密の儀式。  
 
「せ、せんせっ何か、何かきます!あっだめだめだめ、あっあっあっ、あーーーーーーーーー!!!」  
 
ひときわ高い嬌声に、ヘルミーナの胸が高鳴った。顔が熱い。胸が苦しい。  
なのに、壁から離れられない。なんかおなかのあたりがムズムズする。  
 
「ヘルミーナ・・・なんか、あたしヘン。」  
見ると、イングリドは顔を真っ赤にして床にへたりこんでいた。  
 
ヘルミーナはだまって、引き出しの中から小さな瓶を取り出し、香炉に火を入れ、上から数滴たらした。  
これをくれた時のイルマの顔が思い出される。  
 
あれは春、教会の帰りに、キャラバンにランドーを買おうと立ち寄ったときだった。  
「あらヘルミーナ、ちょうどよかったわ。リリーにあげようと思ってたんだけど、  
 なんか笑い飛ばされちゃったから、ヘルミーナにあげるわ。キャラバンの女の人が特別なときに使う香油よ。」  
「どんなときに使うの?」  
イルマが意味ありげに微笑む。  
「んーヘルミーナにはまだ早いかもしれないけど、大好きな殿方と一緒に寝るときとか、一人の時でも、  
 なんかムズムズしたときに使うのよ。」  
「ムズムズって?」  
「そうねえ、ドキドキして、おなかのあたりがムズムズしたとき。  
 ま、どちらにせよ大人になってからだわ。この香油はね、女の秘密の香油なのよ。」  
 
大人にはなってないけど、今がその香油を使うときだという確信があった。  
イルマのキャラバンの中の香りとアルテナ教会の香りを混ぜたような不思議な香りがゆっくりと漂いはじめた。  
クセになりそうなエキゾチックな香り。  
しばらくすると、動悸がおさまってきた。  
そのかわり、頭の中にもやがかかったような、熱にうかされたようなフワフワの感覚が身を包む。  
 
「ヘルミーナ・・・なに?この香り。」  
「イルマお姉ちゃんにもらったの・・・。大人の女の人の香り。」  
「なんか、身体に力が入らない・・・」  
「んもう、だらしないわね、イングリドは」  
 
そう文句を言いながら、へたりこんでいるイングリドを抱えてベッドまで運ぶ。  
が、ヘルミーナも足元がおぼつかなく、イングリドと共にベッドへ倒れこんだ。  
 
「痛っ!重いわよ、ヘルミーナ!」  
「あんたが重かったのよ。」  
「なんですってぇ?!」  
「うるさいわね、ちょっと黙りなさいよ!先生たちに聞こえるわよ!」  
「・・・・。」  
 
ひときわ高くなるリリーの嬌声を聞きながらじっと声をひそめる。  
お互いの呼吸、動悸が一つになる。  
まだ幼い二人の少女はいつしか自然とお互いの下半身を押し付けあっていた。  
 
「暑い・・・」  
「脱いじゃおうか・・・」  
 
普段なら。まともな思考能力が残っていたら。  
暑いなら窓を開けていたはずなのに、二人とも何の疑問も持たずに全裸になった。  
そして暑いのなら、離れていればいいのに、お互いの肌の感触が心地よすぎて汗ばみながらも離れられない。  
 
そして。  
ムズムズする下半身を押し付けていたヘルミーナが身じろぎをした瞬間、  
生まれて初めて包皮から顔を出した小さな突起がこすれ、  
これまた生まれて初めての感覚を二人の幼い少女に与えたのだった。  
 
「ひゃうん?!」  
「何、これ・・・」  
 
その感覚を気に入ったヘルミーナが立て続けに動く。  
自然とイングリドも腰を振っていた。  
 
まだ毛も生え揃わぬ割れ目から滲み出た愛液を潤滑油に、ひたすら体を上下させるうちに、  
イングリドのふくらみかけた胸の頂点がヘルミーナのそれとこすれる。  
 
「んっふぅっ・・・んはっ・・・き、気持ちいいよぉ・・・」  
「ああん・・・イングリド・・・もっとこすってぇ」  
 
二人は夢中でお互いのクリトリスを押し付け、こすりあった。  
甘い疼きが強くなり、突如ヘルミーナの意識が宙に開放された。  
耳鳴りに似たぼわーんとした感覚。  
クリトリスは痛いほどに勃ち、未だ未使用の秘穴が収縮していた。  
閉じた瞼が軽く痙攣している。  
「・・・んふぅ・・・・」  
大きく息を吐き、意識を戻す。  
それが絶頂だと本人は知らぬまま、絶頂に達したクリトリスは  
すでに刺激に耐えられないほど尖っていた。  
 
「イングリド、もう痛いよ、そこ・・・」  
「はぅ・・・あん・・・そんな、こと、言われたってぇ・・・」  
「やだやだ、痛い!」  
 
ヘルミーナは未だ絶頂に達していないイングリドの体を強引に引き剥がした。  
「・・・・」  
恨めしそうに見るイングリドにヘルミーナはしかたなく、  
「わかったわよ、あたしがそこ、こすってあげるから・・・」  
そう言い、手のひらで股間をこすりはじめた。  
 
「ひゃっ・・ああんっ・・さっきよりすごいよぉ・・・」  
 
二人で動いていたためもどかしかった時より、数倍も強い刺激が敏感な突起に与えられる。  
耐え切れず腰を跳ね上げた瞬間、ヘルミーナの細い中指が、  
処女膜を傷つけることなくぬるんと埋め込まれた。  
 
「はぁぁぁぁ!そ、そこ!すごいっなにそれっあ、あ、だめっっあっあああああっ」  
 
イングリドの体が弓なりにしなり、がくがくと痙攣した。  
ヘルミーナは、先ほど自分が味わったあの浮遊感よりも強烈な感覚を、  
を今イングリドも味わっているのだと確信していた。  
偶然探り当てた穴の用途はイマイチわからないものの、  
次は、自分もあの穴に指を入れてもらおう、と心に決めながら、  
ヘルミーナは火照った体を冷やそうと窓を開け放った。  
 
充満していた香が通りに流れる。  
実は、香は1滴でよかったのだ。  
強すぎる香りは男を知らない少女達に絶頂を教えただけでは飽き足らず、  
10ヶ月ほど後、相次いで近所に赤ん坊を誕生させることになるのだが、それはいいとして。  
広場まで届いたその香りを嗅いで、妖しく微笑む女が1人いた。  
イルマ・ヴァルター。  
「さて、使ったのは誰かしらね・・・誰にしても面白いことになるわ。」  
そうつぶやいて、イルマはその褐色のしなやかな体を起こした。  
「うぅ・・・締まる・・・」  
「まだダメよ。もうちょっと我慢して頂戴。」  
キャラバンに敷いた敷布の上に仰向けになった男に言いながら腰を上下に動かし始める。  
「もうダメだよ・・・」  
「しょうがないわね・・・下から突いて。  
 ・・・そうよ、そのまま・・・んふっいいわ・・・ああん・・・」  
腰を回しながら、イルマの体がのけぞる。  
「んふぅ・・・中に出して・・ああんイキそう・・・はぁん・・・イクぅ・・・」  
そのまま敷布の上に倒れこむように寝転び、放出の余韻に浸る男に艶然と微笑みかけた。  
「よかったわ、とても・・・。ご褒美に今度、面白いことさせてあげるわね・・・テオ。」  
 
また、続くのか・・・はやっぱり謎です。  
 

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