その女性……ヘルミーナは退屈していた  
どれくらい退屈かと言うと、調合と採集と本を読み漁る毎日……  
その繰り返しにうんざりするぐらい  
 
いつだったか……1ヶ月前だったか、1人の錬金術師と偶然知り合った  
表情では平静を装ってはみたものの、内心はドキリとした  
まさか、ふらりと立ち寄った街で自分の「同業者」を出会えるとは……  
「同業者」だからこそわかりあえる…試せる…そして、観察する事ができる…  
そう、それは自分の「研究」を試すには、もってこいの相手……  
 
 
その日、その「同業者」が声をかけてきた……  
名はユーディットとか言っていたか……自分には、名など興味もなかったが、  
自分が彼女の「同業者」だと知ると、その子はよく声をかけてくるようになってきた  
(変な子…)これが初めて会った日の第一印象だが、今は違う  
そう、「試す」にはもってこいの相手……絶対に逃がさない……  
 
その一言は、あくまで不意に…そして、彼女を敢えて驚かせる……  
そうすれば簡単に読み取れる 彼女の表情の変化から、本心が……  
 
「ねぇ、アナタは好きな男の1人でもいないの?」  
予想通り、その子…ユーディットはうろたえながらも否定してみせた  
嘘ではない事は一目瞭然 読み取れるのは人生経験のおかげ、とでも言うべきか  
(ふぅん、男慣れしてないのね…)自然と口元が緩むのを、必死で抑える  
ヘルミーナは確信を得た ユーディットは処女である、と  
そして処女ならば、簡単に「堕とせる」と  
今晩は夜通しの作業になりそうだ……  
 
その晩、ヘルミーナは1つの小瓶にかかりきりだった  
世間一般の、甘い認識で言うところの「惚れ薬」  
しかし、ヘルミーナにかかれば全然違ったモノへと形を変える  
媚薬に麻薬、中毒性を持たせた「セックスドラッグ」  
トロリとしたその液体を見る度に、身体が疼く……  
見るだけで、匂いを嗅ぐだけで……どうにかなってしまいそう……  
 
「やっぱり、1人より2人の方が心強いですよねぇ」  
ユーディットは嬉々としながら、ヘルミーナと並んで歩く  
まさか、頼りにされているのだろうか? まったくもって、馬鹿馬鹿しい  
同性と言えど、出会って間もない人間に心を許すなんて……  
ヘルミーナは、改めてユーディットの認識の甘さに呆れ……  
いや、この場合は感謝するべきか? こういうチャンスは望んでも来るものではない  
しかし、案ずる事もなさそうだ……最大のチャンスは向こうから用意してくれたのだから  
 
「ふぅ…ヘルミーナさん、疲れてませんか?」  
額に…おそらくは身体中に、だろうが…汗を滲ませたユーディットが何気に呟く  
「あら、お気遣いありがとう アナタの方が疲れてるんじゃなくて?」  
「あはは…やっぱり、わかります…?」  
「それだけ息を切らしていれば、ね」  
そう言って、あくまで自然に…1つのボトルをユーディットに差し出してみる  
(想像通り、予想通りなら…引っ掛かって頂戴ね……)  
差し出されたボトルの栓を開け、ユーディットは一息に中身を飲み干していく  
「あ…よかったんですか? えへへ、ありがとうございますぅ…」  
可愛げのある仕草で頭を掻きながら、申し訳なさそうにボトルをヘルミーナの手に戻す  
感謝したいのはこっちの方だ…そのボトルの中身を知らないくせに……  
 
どれくらいで効果が出るのか…同業者に効き目はあるのか…  
持続性はどれだけ続くのか…あの量でどれだけ期待できるのか…  
観察内容は多すぎる……それだけ、楽しみが増えるということになるのだが……  
 
案外早かった、とでも言えばいいのか?  
ユーディットの「それ」はあまりに早く訪れた  
もっとも、それもヘルミーナの手の内と言ってしまえばそれまでだが  
「男性経験が皆無だと発情も早いらしい」  
これは後にヘルミーナの研究メモに付け加えられる事になる……  
 
「はあぁ〜〜っ」  
ユーディットの、溜め息 もう何度目かの溜め息がヘルミーナの耳に入る  
(さっさと仕掛けた方がいいのかしらね……)  
ヘルミーナはユーディットの顔を見ない 黙々と歩き続ける  
人気のある通りまではまだまだ歩かなければならない そこはもちろん計算済み  
「はふうぅ〜〜」  
ユーディット自身も違和感を感じていなかったわけではない  
当初は疲れが溜まっただけ、としか考えられず…ヘルミーナにも迷惑をかけるわけにもいかず  
道中立ち止まって軽く深呼吸してみたり、その場で伸びをしてみたり  
あれこれ試して気を紛らわせようとしていたのだが  
(やだ…どうしちゃったんだろ……急に、身体が疼いてきちゃった……)  
ユーディット自身は処女であるが、自慰を知らないわけでもない  
 
(今日は…帰って、しちゃおうかなぁ……)  
何度目かの、溜め息…それは不意にヘルミーナによって止められた  
「大丈夫?」  
「わっ…! あ…はい…大丈夫ですよ!」  
大袈裟な自己主張に隠れて、硬く閉じられた太股 もちろん、見逃されるはずはないのだが  
 
「何が大丈夫、よ こんなに汗だくで大丈夫も何もないでしょう?」  
ハンカチで額の汗を拭う…親切でもなんでもなく、ただの観察のはずだった  
「あっ……!」  
指先が額に触れるだけでビクンと身体を強張らせる  
その初々しい反応…信頼か、感謝か、途惑いか、それともただの欲情か……  
顔を覗き込むと、ヘルミーナをじっと見つめる瞳……  
ヘルミーナ自身、ドキリとした 表情を変えないように努力してみたものの  
その瞳に見つめられるのを、避けるように…思わず身体を寄せていた…  
 
「どうしたの? 体調か何か悪いのなら、遠慮せずに言っていいのよ」  
「そ、そういうわけ、じゃあ……んっ……!」  
薬の効果か、ユーディット自身の意思か……  
息を荒げながらヘルミーナへと身体を預け、ぐったりとしなだれかかってくる  
「少し休んだ方がいいわね」  
ユーディットの背中と太股を抱え、その場に座らせようとした時……  
「ひゃうっ!」  
太股が、ビクンと跳ねた 手を拒むように…それとも、喜びの意思表示か…?  
少なくとも、「薬」だけは受け入れていた事…ヘルミーナはここで確信を得る  
 
「ユーディット……アナタ……」  
「あっ…! 違うんです……ごめんなさい、ごめんなさい……」  
ヘルミーナが太股を抱えようとしたその手、指先にまで……  
手と指先だけではなく、ユーディット自身の太股にまで……  
とろりとして粘つくモノ…ユーディットの快感の証が、2人の身体に纏わりついていた  
 
(自分で触っていたわけではない……薬の効果が強すぎたのか……  
 それとも…この子自身が、私に対して……!?)  
手のひらと指先に絡みつく愛液を確認し、ユーディットの太股に押しつけると  
そのまま太股の愛液と混ぜ合わせるように音を立てて塗りつけていく……  
ヘルミーナ自身は興奮も何も感じたくはなかった、が、ユーディットには違う  
「ひゃううぅっ! ああぁ…ヘルミーナ、さぁん……何、を……!?」  
指先でユーディットの太股を撫でる度に、クチュクチュと音が大きくなる…  
それはユーディット自身が、更なる快感の証を吐き出している証拠でもあった  
もっともユーディット自身がそれに気付くわけもなく、ヘルミーナに身体を預けたまま  
ただただヘルミーナの指使いを凝視し、更なる快感を求めようと太股をくねらせていく  
 
それはもう、ユーディット自身の意識を奪い、全てを任せるという意思表示でもあった  
ヘルミーナもそれに応えるべく、無言で愛撫を続けていく  
 
「はぁ、あっ…ヘルミーナさぁん…」  
どんなに声を振り絞って、求めても…ヘルミーナは何も言わない  
太股、その付け根…服の上からとはいえ、ユーディットの中心にまで手を運んでも  
表情をまったく変える事なく、淡々と愛撫を続けるのみだった  
しかし、その手ほどきはどれもユーディットのツボを捕らえたものであり  
ユーディット自身も、その手から与えられる快感にいつしか夢中になっていた  
「あぁ、ん…あっ、そこぉ…そこです、もっと、もっとぉ……」  
言葉を発するのも億劫なくらい、全神経をヘルミーナの手に集中したかった  
集中すれば、きっと今まで味わった事のない快感まで連れていってくれる……  
本能が、そう訴えていた だから、ヘルミーナに全てを委ねた  
 
徐々に手の動きが強くなっていく…服の上から、そこに手を重ねると……  
もう、ユーディットの愛液が滲み出そうなくらい…溢れさせていた・・・・・・  
 
直に触られなくても、よかった  
ただ、ヘルミーナの手にされているだけで……  
ユーディットには、嬉しかった 今までのどんな自慰よりも興奮していた  
 
「きゃううぅ…あぁっ、んん…すごい、すごいですぅ……」  
手のひらを服の上から重ねられたまま、擦りつけられる……  
下着が割れ目にそって上下に擦り上げられるたびにユーディットは嬌声を漏らした  
「ふああぁ…強いの、いいぃ…ヘルミーナさぁん…これ、いいんですよぅ……」  
ヘルミーナにうっとりとした眼差しを向け、裾をきゅうっと掴む  
いつしか脚は大きく開かれ、ヘルミーナの愛撫を受ける度にビクビクと震えた  
愛撫の中心はユーディットの秘所のみに絞られていたものの、  
服の中から、ジュクジュクと音を漏らしていた  
 
「んんっ…! ヘルミーナ、さん……私、わたしぃ……」  
ユーディットの身体に緊張が走り始める…限界が近いのだろうか…  
ヘルミーナにぴったりと身体を寄せたまま、全身を強張らせている  
その感覚、全身の変化は身体を密着させているヘルミーナにも伝わってきた  
もう、ヘルミーナも止まらない…この子を奪ってしまいたい…  
「!? ああぁっ…! ヘルミーナさん、何を……!?」  
ヘルミーナの手が、ユーディットの股間を掴みあげたのだ  
手のひらを秘所に当てたまま、力を込めて、秘所を握り締めるように…  
ついに、ヘルミーナの手の中で…ユーディットの秘所が震え始めた  
「ダメ、だめぇっ…! いいの、がぁ……ああぁぁっっ……♪」  
身体が跳ねる…2度、3度…ヘルミーナの身体の中で、ユーディットは脱力し……  
ヘルミーナの手の中で、絶頂を迎えたのだった……  
 
 
「もちろん、初めからそのつもりよ」  
「私とヘルミーナさん、2人だけの内緒ですからね……♪」  
「……はいはい……」  
帰りの道中の会話、もう何度も同じ内容を繰り返し……  
その度に、ユーディットの身体がヘルミーナへと寄っていくのだった  
 
「じゃ、じゃあ…私、こっちですから……」  
名残惜しそうにヘルミーナを見つめ、深深と頭を下げるユーディット  
「また、よかったら…一緒に…お出かけしましょうね…!」  
そう言うと宿屋の方へと走っていく ヘルミーナは苦笑いしかできなかった  
(…やれやれ、ね…ああまで信頼されきっちゃうと…してあげたくなっちゃうじゃない…)  
夢中になっていたのはいつからだったか…いや、夢中になっていたのか…?  
 
(……ユーディット、か……可愛い顔・・・・・・)  
軽く頭を振る 自分の頭の片隅を他人に奪われるのはもってのほか……  
(先生とアイツ以外に私が気をやるなんて…不覚としか言えないわ……)  
今回の実験も、ヘルミーナ自身の師と旧友を超える為のもの、だったはず  
試薬が完全な形になった時こそ…第2の故郷に帰ろうと思っていたのに……  
 
 
以下は、ヘルミーナの研究メモの中から抜粋したものである  
 
「・錬金術師を対象とすると、薬の成分と対象の耐性が反発しあい  
  結果として体内で増幅され、倍以上の効果が望める場合もある(不確定?)」  
「・媚薬に惚れ薬の効果を混ぜ合わせると、時として危険である」  
「・実験対象に私情を挟むのは絶対に厳禁!」  
 
(おしまい)  

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