ノックも無しに部屋のドアが開けられた。  
両親も用事で出かけている休日。こんな無遠慮な奴は姉貴しかいない。  
録音作業の手を止めて振り返ると、やはり、そこには愛想笑いを浮かべて立つみかんの姿があった。  
 
「ユズヒコさぁ…… ちょっと頼まれてくれない?」  
こちらを伺うような視線で、やや猫撫で気味の声色を使ってくる。  
──どうせロクな事じゃないんだろ。  
何だか嫌な役目でも押し付けられる気がして、即座に断ろうとしたユズだったが、  
「…あ! タダとは言わないからさ! ね?」  
みかんの言葉に自分の耳を疑った。  
「いつものケチはどこいったんだよ!?」  
「だれがケチだ!? あんたくらいしか頼む相手いないから言ってんの!」  
グイと頭をつかまれて凄まれる。  
何だかやけに焦っている様子のみかんは、部屋着であるワンピースのポケットから赤い物を取り出すと、ユズの目の  
前に差し出した。  
「……なんだよ? 人参なんか持ち歩いて。」  
鼻先に差し出された物は、ややオレンジがかった色の人参が一本。  
ただ、皮を剥いてある事と、半分くらいの部分から折れている事が目についた。  
皮むき機を使ったのか、いつも料理で使う時よりも丁寧に滑らかな剥き方をしている。  
 
「…昼メシでも作れっての?」  
みかんは首を横に振ると、低い声でぼそりと一言告げる。  
「折れちゃったのよ……」  
「…みりゃ分かるって。……折れた先がどっかに行ったとか? 別にいらねーんじゃ……」  
「どこにあるのかは知ってる! つーか、まさか折れるなんて思わなかったから!」  
興奮して混乱気味にまくし立てようとするみかんだったが、全く理解できていないユズの顔を見て、一度言葉を切っ  
て溜め息をついた。  
「つまり……ゆうべ使ってたら折れちゃって、取り出せないままなのよ。朝まで何とかしようとしてみたけど、結局  
駄目だったし。…病院行ったら、お母さんにバレるかもしれないし。」  
いまいち状況が掴めずに、ユズは首を捻った。  
「…飲み込んだとか、そーいう事なのか?」  
「違うって! だから! ここ!」  
みかんは仁王立ちになり、自分の両足の付け根の間、──ちょうど股間の部分を指差した。  
「ここの中にあるの!」  
──しばしの静寂。……遠くの上空をヘリか何かが飛んでゆく音が聞こえる。  
 
ようやく理解したユズは、その時点で、みかんの顔が人参と同じ色に染まっている事にも気がついた。  
 
 
人生で初めて眺める女性器が姉の物だというのはどうなのか──  
結局、引受けるしか無くなったユズは、自分のベッドに座り込み、脚を開いて秘所をさらしているみかんの顔を見て  
、そんな事を考えていた。  
その視線に気がつくと、真っ赤な顔をしてユズに蹴りを入れようとする。  
「あにすんだよー!?」  
「見てないで早く何とかしてよ!」  
理不尽な気分を抱えつつも、そろそろとみかんの秘所に顔を近付ける。  
 
みかんのそこは陰毛が薄いのか、ぷっくりとした柔らかそうな肉丘に、縦の線が一本入っているだけに見える。  
すると、両腿側から両手が伸びてきて、自分の陰唇に指を添え、ゆっくりと左右に開いてゆく。  
本当に花びらのように広がって、ピンク色をした中は少し湿り気を帯びている。  
「ユ……ユズ? どう?」  
 
恥ずかしそうに震える姉の声を聞いて、ユズはみかんが今どんな顔をしているのか無性に気になったが、また蹴られ  
る事になるだけだと断念し、ソコに視線を集中する。  
「…いや、わかんねー。奥まで見えねーし……」  
ユズの言うように、みかんが指で肉唇を広げた場所には閉じた膣口らしきものしか見えない。  
「うー……ん…」  
「箸か何かで──」  
「そんなのじゃ痛いでしょ! 指にしてよ! ほら、早く!」  
提案しようとしたが即座に却下されてしまった。  
 
ユズの人差し指が、みかんの膣口に触れる。  
「…はっ…ん…!」  
途端にみかんが呻き声を上げてその体が反り返った。  
陰唇を抑えていた指が外れ、貝が口を閉じるようにみかんの性器が収縮し、肉の唇がユズの人差し指を包み込んだ。  
(うは!? 吸い付く!)  
絡みつくような柔肉の感触に、声こそ上げ無かったが、ユズは驚き目を見開いた。  
さらに感触を味わおうと、みかんの膣内へと指を侵入させる。  
「…いや…あぁ… ん……くぅぅ……」  
必死で声を抑えながら、喘ぐみかんの表情は、やや苦しそうにも見える。  
 
──そういや。  
ユズはみかんの様子をみて気がつき、確かめる様に侵入させた指先を少しくねらせてみた。  
「…や!? あうっ!」  
即座に反応したみかんの足が痙攣するように動き、呻き声を上げて恨めしそうにユズを見る。  
「何してんの!?」  
「わ、わりい… ちょっと手元が狂って…」  
「真面目にやってよ!」  
みかんの抗議の声も上の空に聞き流し、ユズは自分の指に絡みつきながら中から染み出してくる温かい液を感じていた。  
 
──たしか『朝まで、なんとかしようとして…』と言っていた。  
これは、朝までずっと自慰行為をしていたに等しいのだろう。  
体がすっかり敏感になってしまっていても不思議ではない。  
 
そんな事を考えながら、すっかりとろとろになってしまっている姉の膣奥を探る。  
少し動かすだけでみかんの嬌声が上がり、その度にひくついて指を締め付ける肉壁に苦戦しながら、少しづつ奥へと  
進み、やがて指先に異物の感触が感じられた。  
指で軽く触れて確かめる。  
ちょっと固めで、ざらついているのは人参の断面の感触に間違いないだろう。  
だが人差し指では引っ掛けるような所も無く、少し考えると、ユズはみかんの中から指を抜き取った。  
「…指一本じゃ引っ張れねーからさ。二本入れるぞ。」  
「ええ!? ちょ… まって! やだぁ……!」  
制止の声は聞かずに、人差し指と中指を同時にみかんの花弁の中央へとねじ込んでゆく。  
みかんの口から叫ぶように嬌声が上がり、腰を下げて逃げようとするが、ユズは自由な片手でその足を抱え込んでしまう。  
「やめてよ! 二本……キツイよ……!」  
やや苦しそうに喘ぐみかんだったが、ユズはそれには取り合わずに、二本の指を曲げたり広げたりし、その度に腰を  
ひくつかせ首を振って必死に快感を散らそうとしている様子のみかんの様子を見ている。  
「…なんだよ。姉貴、彼氏とかと、いつもこんな事してんだろ? 別にキツイ事……」  
「してないよ! ……だってあたし、まだ処女だし。」  
少し語尾が小声になったみかんの発言に、ユズはその場に凍り付いた。  
 
       
しばしの沈黙の後。  
「……う、ウソつけ! これのドコが処女なんだよ!?」  
そう叫んで指を軽く出し入れすると、みかんは細く切なそうな声を上げ、涙目でユズを睨み付けた。  
「でも、オトコは知らないもん! 処女でしょ!?」  
ユズは、再び思考が停止するのを感じた。  
「オメー…… 相当オナニーしてたんだな……」  
「わ……悪い!? …って、もういいでしょ! 早く取ってよ!」  
「あ…そうだった。」  
何とか自分を取り戻し、ユズは指先に神経を集中させて異物の感触を探り当て、指先でそっと挟むとゆっくりと引き  
出しはじめる。  
「ああぁ…ん… やは…んぅ… うご…い…てるよぉ……!」  
「だまってろよ…」  
もう開きなおってしまったのか、弟の前で堂々と快感を訴えるみかんに、少々苛ついた様子を見せながらも、ユズは  
慎重に人参の切れ端を引っ張り、外へと導く。  
 
みかんの愛液の水っぽい音と空気の漏れるような軽い音を混ぜ合わせ、一瞬だけ湯気を立たせて人参の端が膣口から  
ゆっくりと引き抜かれた。  
「やあぁ……」  
短く吐息と声を吐き出しながら、みかんは体を縮めるように足を畳んで、横に転がりうつぶせになる。  
シーツに顔をうずめて荒い息をつく姉の姿を見ながら、ユズは人参を拾い上げるとゴミ箱へ捨てようと立ち上がる。  
 
「ユ…ユズ… まって… あたし、まだ……」  
声に振り返ったユズは目を見張って立ち尽くしす。  
みかんは顔をうずめたうつ伏せの体勢のまま、ひざをついて腰だけを上げ、ユズの方へと自分の性器をさらけ出している。  
ピンク色の肉を時折ヒクつかせ、みかん自身の中から溢れた液で一面に濡れて、まるでユズを誘っているかのような  
錯覚を起こす。  
「…もう少しだから、それ……入れて。お願い……」  
 
目の前に広がる光景に魅入られたかのように。  
ユズは、フラフラとした足取りで近づくと、みかんのお尻に手を添える。  
「…はぁ。……あ、ユズ、お願い、あと少しでイけそうだからさ。」  
「入れれば、──いいのかよ?」  
「うん…… 入れて、少し動かしてくれればいいから。…はやく。」  
顔を伏せたままのみかんからは、ユズがいつの間にかスウェットの下を脱ぎ去り、硬直した自分の男性器を握り締め  
ている事は分からない。  
「…しょーがねー。いれるぞ。いいんだよな?」  
「いいから、はやくぅ……」  
甘えるような猫撫で声を出すみかんの陰唇をそっと指で開いた。  
どこに入れればいいのかは、さっきの行為で散々確認できている。  
       
びしょびしょになっている膣の入り口に亀頭をあてがうと、ユズは挿入を開始した。  
「あぁぁん……! ええ!? ふと…いぃ! 何…!? ええ、ちょっと何…!?」  
さすがに異常に気がつき振り返って確認したみかんの目に、自分を貫こうとしているユズの姿が映り、思わず悲鳴を  
上げた。  
「いや! ユズ! 何してんのよ!? やめ…ああぁん!?」  
「嫌じゃないだろ。オメーだって感じてるくせに!」  
そう答えながら、みかんの腰を掴むと、そのまま引き寄せるように、滑りの良い体内へと肉棒を根元まで埋没させた。  
「やぁぁん!? いきなり全部ぅぅ……!」  
のけぞって叫んだみかんの胸を後ろから鷲づかみにし、服越しに、やや乱暴に揉みしだく。  
繋がった腰の部分を揺するように動かすと、みかんは泣き笑いのような顔で、悲鳴とも嬌声ともとれない声を上げる。  
「ひぅぅん!? ユズ……お願い! やめてぇ…気持ちいい…!」  
 
もう自分でも制御がつかないのだろう、体を震わせて感じているみかんを、ユズは後ろからやや性急な程に攻めつける。  
「や……ヤベ…!?」  
「あっ!? バカぁ!!」  
ユズの様子から素早く射精感を感じ取ったのだろうが、言葉とは裏腹に、膣壁がユズの肉棒を包み込むように締め付  
け、搾り取るかのように堕としにかかる。  
 
無言で呼吸を鋭く吐き出し、ユズの肉棒が弾けた。  
自分の奥底を目掛けて放出された、弟の精液のほとばしりを感じながらみかんも頂点へと達し、真っ白になって行く  
 
 
   ◇   ◇   ◇   
 
──それから数日。  
そんなことがあって以来、口もきこうとしなかった姉が、今目の前にいる。  
それも、あの時と同じ状態で、自分の秘所をさらしながら。  
…ひとつ違うのは、「中に入って取れない」と言ってきたものが、今回はシリコン製の小型バイブだと言うこと。  
 
「…早く何とかしてよぉ……!」  
少なくとも人に物を頼む態度とは程遠い、怒ったような顔で急かす姉貴だった。  
──が、手に避妊具を隠し持っている事を、目ざとく見つけてしまったのだ。  
 
これは、「味をしめた」てヤツか?  
 
妙な既視感に包まれながらも、ユズは再び、すでに蕩けきったみかんの秘所へと指を挿入して行った。  
 
 
 

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