「でさー そこで、みかんってばさ・・・・・・」
先ほどから吉岡に話題を振りつづけていたしみちゃんの声がピタリと止まる。
もともと小さい瞳を、さらに半分閉じて細くなった目で吉岡の顔をじっと見ているようだった。
「な、なんだよ?」
狼狽してみせる吉岡の顔をじろじろ見続け、しみちゃんはベンチに座ったままで体を半分捻って吉岡の方に向けて、
すこし猫背になってみせる。
「あのさ・・・・・・さっきからどこ見てんの?」
にやっと薄く笑いながら、しみちゃんはぼそりと呟いた。
前かがみになった事で、吉岡の位置からは見えているはず。・・・しみちゃんの深い谷間が。
「い、いや、だってよ。・・・見えちまうんだよ!」
「ふーん・・・ ん?」
慌てて、座ったまま体ごと向きを変えた吉岡の動きに何か気がついた様子で、しみちゃんは人の悪そうな笑みを浮かべた。
「あー もしかして、前・・・反応しちゃってる?」
「い?! ど、どーもしねーよ!」
明らかにうろたえている吉岡に、しみちゃんはニヤニヤ笑って、ちょっと周りを伺い、人影がないか確かめたようだった。
「吉岡さあ・・・・・・ 今夜のオカズ、決まったねえ?」
「ばっ! おれが、シミズなんか・・・・・・」
「あれー? なんでアタシが出てくるの?」
わざとらしく小首をかしげたしみちゃんに、吉岡の頬に汗が一筋流れ落ちた。
その瞬間、スキができるのを待っていたかのように、しみちゃんの手が素早く伸び、吉岡の股間に滑りこんだ。
「うおっ!?」
「ほら! やっぱりね。こんなになってんじゃん?」
「は、離せって!」
吉岡は自分の物を掴んでいるしみちゃんの手を強引にはねのける。
しかし、体の反対側から伸ばしていたもう一方の手が即座にそれを掴み、追い討ちをかけるように、密着しているしみちゃん
の胸が吉岡の腕に触れて、しみちゃんはその柔らかそうな胸をさらに押し付ける。
「あ! またちょっと硬くなったよ。・・・へー、吉岡って結構立派じゃん。」
「やめろって・・・・・・!」
口では否定しながら、腕と股間の両方の感触はまんざらでもないのか、吉岡はあまり抵抗しない。
片手で吉岡のものをかるく揉みながら、
「ね、キツいんじゃない? 抜いてあげよっか?」
「バカいうな・・・・・・! だいたい、おれはスキな相手が・・・・・・」
「へー、吉岡って純情なんだ。・・・ま、でも、エッチするわけじゃないし。ほらほら!」
吉岡の言葉は意にも介さない様子で、しみちゃんはすばやくジッパーを下ろし、ズボンの中に指を入れた。
しみちゃんの細い指に挟まれて、吉岡の太いものが外に取り出された。
「あ・・・ちょっと余ってるかな? そういや、吉岡って、まだ経験無い?」
「わるかったな・・・・・・!」
「ゴメンゴメン! じゃ・・・・・・優しくしてあげよう。」
言い終わるなり、しみちゃんはその肉付きのいい唇で、吉岡の一番先端に軽くキスをした。
そのまま、唇と舌先を同時に茎の横に這わせ、根元までゆっくりとなぞる。
唇の厚い人とのキスは気持ち良いと言うが、この場合もそうなのだろうか。
「うう!」
「えっ・・・?」
吉岡のくぐもった短い悲鳴のような声と共に、白いものが勢いよく飛び出し地面の上に散った。
しみちゃんは呆然とした表情でそれを見ていたが、吉岡の怒ったような不機嫌そうな表情に気がつき、すぐに肩に
手を回して軽く抱き寄せる。
「オマエなあ・・・!」
「・・・だいぶ溜まってたんじゃん。大丈夫っしょ、まだこんなに硬いし? ほら。」
そう言って、しみちゃんは吉岡の茎を柔らかく握ったりさすったりしている。
一旦、萎みかけたように見えたそれは、再び緊張を取り戻してきているようだった。
吉岡は、しばらく恨めしそうにしみちゃんを見ていたが、突然その胸を服の上から両手で揉みしだいた。
「あ! ちょっと!?」
「いーだろ! このくらい!」
「もー・・・・・・ まあ、さわるだけ・・・ なら・・・! う、んんっ! ちょっと、乱暴だって! ・・・あっ!」
「・・・やわらけー・・・・」
恍惚とした表情で、そのまま裾の下から差し込もうとしていた吉岡の手を押し止め、しみちゃんはその腰の上に覆
い被さり、少し皮の余った先っちょを唇で含んだ。
厚い唇で、亀頭を包み込む動きを繰り返しながら、口の中で皮の隙間に舌先を差し込んで、円を描くように舌で亀
頭の周囲を這いまわり、少しずつ皮を剥いてゆく。
「・・・! ! !」
その感触に声も出ない様子の吉岡を上目遣いに眺めると、一度口を外し、綺麗に剥き出した亀頭を外気にさらした。
そして唇をすぼめて、茎の裏側を、下から上へとゆっくりとなぞる。
吉岡は、しみちゃんの胸を求めようとする動きも止まり、その快感に震えているようだった。
「・・・まだ、ガマンしててよ。」
しみちゃんは、舌と唇を交互に使い、茎の根元から順に、亀頭の方へと丁寧に愛撫してゆき、すでに先走り汁が垂
れ続けているその先端から、するりと咥え込んだ。
吉岡のモノを口一杯に頬張るように咥え、口内では舌をそれに絡みつかせながら、ゆっくりとストロークを繰り返す。
添えた手で根元を軽く握り、時には擦ったりしながら、確実にそれを絶頂へと導いていく。
「・・・わりい! シミズ! オレ・・・・・・!」
「・・・ん・・・・・・・」
しみちゃんは返事の代わりに、軽くうなずき、それを迎えるためペースを速めて攻め立てる。
「・・・・・・・・・ううぁ!!」
二度目とは思えない量が放出されたようだった。
しみちゃんの唇から白いものが溢れ、ぽたぽたとこぼれていく。
しだいにストロークをゆっくりにして行きながら、しみちゃんは手を陰袋の舌に添え、ポンプでも押すように何度も押さ
え、その度に反応した茎から快感が放出されているように見えた。
やがて、力が抜けたようになる吉岡を見て、しみちゃんは唇を離した。
鈴口から、一滴だけ、白い水滴が垂れた。
しみちゃんは素早くティッシュを取り出すと、口の中の液体を吸わせるように含ませ、ぺろっと唇を舐めると、吉岡に
差し出した。
「どうだった? すっきりした?」
「・・・マジ勘弁。・・・・・・病み付きになったら、どーしてくれんだよ・・・・・・」
「いいじゃん。また、あたしに言ってこればさ、シテあげるよ?」
ニヒヒッ・・・ と、悪戯っぽく笑ったしみちゃんに、ぼんやりと吉岡は聞いていたが、
「・・・あ!?」
「あれ? ・・・・・・まだ、足りないかー。 もう、1・2回いっとく?」
またまた盛り上がってきた吉岡の股間を見て、しみちゃんは肩をすくめて笑う。
「・・・ま。さすがにココは人来るとヤバイし、場所かえよっか?」
「な・・・なあ・・・シミズ。・・・オレ、筆下ろし、してみてーかな・・・って・・・」
「それはチョーシのりすぎ。・・・あたし、しばらくオトコはいいから。・・・・・・まあ、考えておいてはあげるよ。」
そんな事を話しながら、二人の姿は遠ざかっていった。
・・・あたしは、出るに出れなかった茂みの影から見た一部始終を、しっかりと記憶に刻み込んだ。
「しみちゃん・・・・・・あんた、偉大なヤツかも。」
ぽつりと呟きながら、あたしは、もし岩木くんへのチャンスが訪れた時の事を思い浮かべ、ひとりニヤつきながら
家路へとついたのだった。