つつがなく無事、平和に一日の学園生活を終えた帰り道。珍しく、嵩月の方から帰宅の誘いがあった。  
 
無事?二巡目の元の世界に戻れた僕と操緒。  
僕は晴れて嵩月と公認の仲となり、一緒に帰宅しようとしたところでクラスメートからの冷やかしとやっかみが聞こえてくるくらいで、別に害は無い。  
無いはずだったんだけど・・・・・・  
 
どうも、さっきから嵩月の様子がおかしい。幾度となく危機を乗り越えてきたはずの僕の背中に冷たい汗が流れるのを止められない。  
嵩月の半歩後ろをついて歩いていく僕の視界には、嵩月の揺れる黒髪と背中が入っている。その姿はとても冷たく・・・・・・  
陽炎が見えているのは、きっと僕の気のせいだ。  
 
そんな僕に、半歩前から声が掛かった。  
「さっき・・・・・・見てました」  
さっきって何の話だ?僕がそう思っていると  
「昼休み・・・・・・下級生の女の子と抱き合って・・・・・・」  
昼休み、昼休み。。。僕が考え込んでいると、隣で浮いていた操緒が  
『あ〜〜、あったねぇ、そんな事』  
ん?一年の女の子がぶつかって、僕の制服にコンタクトレンズを飛ばしてそれを探してたアレか?操緒、頼む。変に省略しないでくれ。誤解を招く。  
案の定、嵩月がトロいながらもヤキモチを焼いてきた。  
「事実・・・・・・なんですね」  
 
とりあえず嵩月、その焔月を引っ込めよう。  
「いや、あれは・・・・・・」  
うまく説明しようと言葉を捜していると  
「事実、なんですよね、夏目くん・・・・・・」  
だから、あれは仕方なく・・・・・・だから、袈裟懸けに構えるのは辞めてよ、嵩月。。。  
「信じて、いたのに」  
ちゃんと説明するから、泣きそうな目で僕を見るのは辞めて。  
『事実だからね〜。モテモテの夏目くんっ』  
操緒・・・・・・お前はどっちの味方だっ!ぺ、ペルセフォネ、僕を嵩月の焔月から守ってくれ。少なくとも、僕が弁解するだけの間だけでも・・・・・・  
と思っていたら、いつの間にかペルセフォネは嵩月の足元で小さな炎を口から吐き出している。お前も敵か・・・・・・僕は泣きたくなった。  
 
 
焔月を収めた嵩月が、僕に弁解の余地を与えてくれた。だけど・・・・・・  
 
「正直に、言わないとチューします。お嫁に行けなくなる、くらいの」  
嵩月・・・・・・、ヘンな小説、読んでない?例えば、バカがいっぱい出てくる学園物の。。。  
「言わないんですか?本当に、しちゃいますよ?  
ともはちゃんが、お嫁に・・・・・・行けなくなるような、チューを」  
た、嵩月。。。僕、君の契約者を辞めてもいいかな?  
本気でそんな考えが、僕の脳裏に浮かんだ。  
 
パサッ  
 
『嵩月さん、何か落としたよ?』  
文庫本?のようなものが嵩月の制服のポケットから落ちたんだ。その表紙には  
 
バ〇と△ストと召喚◇ 5  
 
「アッ・・・・・・・・・・・・」  
『・・・・・・・・・・・・』  
「・・・・・・・・・・・・」  
お願いだから、バスローブ姿で鳴桜邸に来ないでね、嵩月。。。  
 
それに、僕は洛高一のバカじゃないよ・・・・・・たぶん。ってか、このネタ、フッっていいの?電撃的に。  
 
 
(むりやり) -完-  
 
 

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