『か、可愛いエンジェルちゃんつかま〜えた』
場違いなほど陽気な声と共に触手がホーリエンジェルに変身した久遠の右手に巻きつく。
「うっ・・・・くぅっ・・・・は、離して」
ホーリエンジェルの武器であるスタッフを握る手を触手に拘束され、必死にそれを引き剥がそうとするがデスパイアの力に抗う事は出来ず。強引にその細身の身体をデスパイアの元に引き寄せられてしまう。
デスパイアのぶよぶよした腹に背中を預ける姿勢となり、その細い両手首を乳白色の触手に拘束され、胴と両足首、両膝もまた同色の触手が巻きついていた。
『ふひひ、傍で見ると、も、もっと、か、可愛いんだな。ふひ』
濁った白い肉塊の表面に浮かぶかろうじてヒト型の顔を保ているだけの醜い男の顔が哂い、自分の下へと引き寄せた美しいエンジェルの表情を賞賛する。
「あ、貴方に褒められても嬉しくなんかありません。」
そうは言っても女性として自分の容貌を褒められ、僅かに喜色に頬を染め自分を見つめるデスパイアの視線から逃げる様に顔を逸らす久遠。
必死に逃れようと暴れるが、ぶよぶよした見かけによらずその触手は頑強でエンジェルとして強化された久遠の力でも引き剥がす事も引きちぎる事も出来ない。
『ほ、ホーリエンジェルちゃん。も、萌えなんだな。イクシードエンジェルちゃんもいいけど、そ、それはまた今度捕まえるんだな。ふひ』
まるで欲しい玩具を手に入れた子供のように歓喜し、久遠の言葉を無視してデスパイアがその触手を、自分の胸元で足掻くエンジェルに伸ばす。
「あ、ちょ、ちょっと・・・・いやぁ・・・・」
敗北したエンジェルがどういう末路を通るのか久遠はその身を持って経験していた。
その肉体を玩具にされ、人間なら即座に狂気に呑まれてしまう快楽と絶望に染め上げられ、その身の魔力を一滴残らず絞り尽くされるまで凌辱は止む事は無い。
『ふひひ、安心するんだな? ホーリエンジェルちゃん。た、たっぷり可愛がってあげるんだな?』
その形良く、同年代のエンジェルたちが羨むほどに大きな胸の膨らみに白色の淫虐魔が手を伸ばす。
「うっ・・・・くっ・・・・」
根元からゆっくりと蛇がとぐろを巻く様に、紡錘形の久遠の両の胸の膨らみは絞り上げられ、エンジェルはその苦痛に喘いだ。
その触手がゆっくりと蠢き、胸の膨らみはそれにあわせて形を変え、円を描き、先端に向けて絞られる。
(ど、どうして・・・・?)
久遠にとって意外だったのはその責めが緩やかな事だろう。
デスパイアの責めは苛烈だ。超絶的なほどの媚薬の力により苦悶も激痛もすべてを快楽に変換し、獲物の肉体へと送り込み、その肉体を精神を壊すまで止む事は無い。
幾度かデスパイアに穢された久遠も、その度に犯される肉体的、精神的苦痛をすべて快楽で塗りつぶされ、抵抗の甲斐なくデスパイアに魔力を提供してしまっていた。
ミントやかのんたちの助けがなければあの地獄から逃れられなかっただろう。
「ん・・・・く・・・・」
だがそれでもジワジワと胸から這い上がってくる感覚は、緩やかに久遠の脳を刺激する。
久遠は気付いていない。久遠とデスパイアを覆おう空気の色が僅かに乳白色に濁っている事を・・・・それが呼吸や肌を通してゆっくりと久遠の体内への侵入を果たしていた事を・・・・
『や、柔らかくて、き、気持のいい胸なんだな。た、たまらないんだな・・・・』
背後から聞こえるデスパイアの荒い鼻息、喜悦にだらしなく緩んだ声。
「はぁ・・・・はぁ・・・・は、離して・・・・あ・・・・ん・・・・」
次第に頭がぼうっとなり、乱れ漏れる息は驚くほどに熱く甘い。
抵抗しなければならないはずの両腕は触手に絡まれたまま、力を失いむしろ吊り下げられているかの様だ。
両足はと言うと、もじもじと触手の巻きついた両膝を擦り合わせ、ブーツの中で指がピンと張り、時折何かを堪えるようにキュッとまるまる。
「・・・・んっ!」
ちょん・・・・触手の先端がそれまで触れなかった胸の頂をエンジェルの衣装の上から掠めるように弾いた。
迸った淫悦に思わず白い喉を反らし、デスパイアの腕の中で背を仰け反らせる。腰まで伸びたさらさらの長い髪が揺れ、デスパイアのぶよついた腹を擽った。
『ふひ、が、我慢しなくていいんだな? か、可愛い喘ぎ声と悶え顔を見せて欲しいんだな?』
「いや・・・・」
自分が曝してしまった浅ましい反応に思わず頬を赤らめ、か細い声をあげて目を反らす。
幾度となく犯され、穢されているにも関わらず変わらない初々しい態度。それこそが、このデスパイアを興奮させるのだと久遠は気付かない。
『が、頑固なエンジェルちゃんなんだな? ふひ、いいんだな。素直にしてあげるんだな?』
ボコン・・・
久遠の顔のすぐ後ろに浮かんでいた醜い人面疽が不意に乳白色の肉塊の中に沈みこむ。
同時に久遠の下半身、触手に絡みつかれ震える両足の辺りに人面疽が姿を見せた。
『あ、足を開くんだな』
「・・・・え?」
先ほどまで自分の耳元で囁いていた声が、足元から響いた事に慌てて自由の利かない身を起こし足元に目をやる。そこに浮かぶ人面疽、そしてその狙いに気付き久遠の顔が青くなる。
「い、いや・・・・っ」
閉じていた膝、そこに絡んでいる触手に力がこもり震える足がゆっくりと開いていく。
「いや・・・・駄目ぇ・・・・っ!」
恐怖に染まった顔を必死に左右に振る。
デスパイアはわざと触手に込める力を調節し、必死に抗う久遠がなんとか耐えられなくもない力で両膝を左右に開いていく。
僅かに開いた膝が震えながらゆっくりとまた閉じられ、またゆっくりとゆっくりと開いていき・・・・また閉じる。
『ふひひ、が、頑張るんだな? ほらほらなんだな・・・・』
その間も胸を嬲る触手の動きは止まらず、ゆっくりと搾乳するかのように絞り上げ、やわやわと優しく揉み解し、コスチュームの上からも解るほど固く尖った頂点を先端で弾く。
じわじわと胸から押しあがる乳悦が久遠の脳をじんわりと焦がし、痺れさせ・・・・両足に込める力が緩み触手が僅かに脚を開く。そしてハッと我を取り戻した久遠によって慌てて膝は閉じられる。
「はぁ・・・・はぁ・・・・お、お願い・・・・もう許して・・・・」
脚は疲労でもう限界だった。太ももが痙攣し、膝がガクガクと揺れる。
無限の体力を誇るデスパイア相手にエンジェルとは言え少女である久遠の体力では太刀打ちが出来る訳がない。
脚が吊ってしまいそうなほど疲れ、痛い・・・・拷問にも等しい疲労責めと胸への責めに久遠はもう息も絶え絶えだった。
『ふひひ、そうだな。ホーリエンジェルちゃんも辛そうだし、そろそろ勘弁してあげるんだな?』
「え・・・・? ほ、本当に?」
意外なデスパイアの言葉に、久遠の顔が喜色に染まる。
解っていたはずなのに、デスパイアがそんな慈悲を与えるわけがない事を・・・・彼の存在がもたらすのはただただ絶望しかない事を知っていたはずなのに思わず縋ってしまった。
『ふひ、だからもう綱引きはおしまいなんだな』
唐突に強まる触手の力、抵抗など刹那も出来ない。一瞬にして開脚され露になる久遠の下半身とそれを隠す純白の下着。
脚の間へと顔を動かし、じっくりとデスパイアが久遠の秘められた部分を視姦する。
「そんな・・・・・酷い・・・・」
理解させられた。このデスパイアは自分の抵抗など関係なかった。
自分の無力な抵抗を眺め遊んでいただけ、いつでも開くことが出来た脚をわざと・・・・
『うひひ、ホーリエンジェルちゃんのパンティなんだな。真っ白なんだな? 可愛い下着なんだな?』
「いやぁ・・・・っ」
デスパイアの視線にさらされる下着。幾度犯され自身の裸体をデスパイアの前に曝そうとも羞恥は消える事はなかった。
だからこそ久遠はエンジェル足りえるのだが、いまはその反応こそがデスパイアを喜ばせる。
『さすがはエンジェルちゃんは清楚なんだな・・・・おや?ホーリエンジェルちゃん・・・・この染みは何なんだな?』
「・・・・・!?」
思わず身体が震え、頬が真っ赤に染まる。
解っていた・・・・デスパイアの責めに心がともかく身体の方が既に屈していた事を・・・・
これまで幾度となくデスパイアに嬲られ開発された久遠の身体がデスパイアの責めに開き始めていた事を・・・・
『ふひ、も、もしかしてボクに胸を弄られて感じちゃったんだな? 濡れちゃったんだな?』
「いやぁ〜、見ないで・・・・言わないで・・・・」
虫の鳴くような声で呟き、唇み締める。
久遠にとってこれまでのデスパイアの様な怒涛の激悦で責め嬲られた方が何倍もマシだった。
はっきりした意識、揺らぐ事のない理性・・・・だがそれこそがこれまでの、媚薬に霞んだ悦楽の記憶と違い久遠の心を責め苛む。
『ふひふひ・・・・柔らかいんだな・・・・うひひ甘いんだな・・・・』
「あっ・・・・うん・・・・やっ、駄目ぇ・・・・ああっ」
染みになった一点を緩やかに長く伸びた舌の先で押される。
そこを中心に久遠の大事な場所を上下になぞるように舌を動かす。
クチュリクチュリ・・・・エンジェルの秘めやかな箇所から静かに響く粘り気を帯びた水音。
「やっ・・・・ううん・・・・こ、こんな・・・・こんなの初めてぇ・・・・はぁ・・・・」
決して荒々しくない緩やかな動き、下手をすれば自分で慰めた時よりも優しい責めに、例えようもないほど切ない疼きが下半身から湧き上がる。
胸の責めもやんわりと続けられ、胸と下半身から駆け上がる刺激が溶け合い、響き合い心地・・・・良い・・・・
――――わ、私・・・・・レイプされてるのに、デスパイアに凌辱されてるのに―――――
デスパイアに犯される屈辱が嫌悪が怒りが薄れていく・・・
『ふひひ、ホーリエンジェルちゃんの蜜がすごく甘くて美味しいんだな』
「やっ・・・・はっ・・・・そ、そんな事・・・・」
恥辱の賞賛、恥ずかしい雫を舐め啜られ、テイスティングされていると言うのに・・・・痺れた脳が羞恥に反応しても屈辱には沸き立たない。
『も、もっとご馳走して欲しいんだな?』
「い、いやっ・・・・あ、ああっ!!」
言葉だけの力ない抵抗。それどころか舌先で催促されるようにアソコを突付かれると、それに応じるかのようにジュンって恥ずかしく濡れちゃう。溢れちゃう。
『ふひ、頂きますなんだな』
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
下着の上からむしゃぶり付かれる。久遠の下の口とデスパイアとの濃厚な口づけ。
濃密な快楽が気化したかの様に全身へと熱が伝播し、身体の芯が燃え上がった。
『んちゅ・・・・こ、こんな甘い蜜は初めてなんだな。たまらないんだな。ンチュルル・・・・』
「あっ、やっ、いやっ・・・・どうして・・・・わ、わたし・・・・どうしてぇ〜っ!?」
自分が解らない。かつて無理矢理経験させられたことのある激悦とは違う。
あれは、自分の意思も心も無視して爆発的な快楽の大波が、渦が全てを巻き込んで、ねじ伏せて、押し流していった。
なにが、どこが、どういったと言う表現も何もない。ただ存在するだけの快楽・・・・ちがう快苦とも言うべき感覚の爆流。
なのに今は一つ一つが濃密で緻密で文字通り快楽を「味合わされる」
『お前を愛しているからだよ』
「・・・・・え?」
耳元で囁かれる言葉、しかしデスパイアから放たれる事は絶対にない言葉。
『可愛いよ・・・・エンジェル』
「あうん・・・・」
甘い囁きと共に久遠の耳をくすぐる吐息に、思わず切ない声が漏れる。
「な、何を言って・・・・はぁっ・・・・」
ゆっくり久遠の可愛い耳が甘噛みされ、細めた息が耳朶に吹きかけられ非難の声が途切れてしまう。
久遠の顔の後ろに下半身を舐め責めるものとは違う顔が浮き上がっていた。
ボコン・・・
さらに別の顔が浮かび上がりろくろ首さながらに首を伸ばし、芯から身体を焦がす熱に耐えるように目を閉じる久遠の震える眼瞼に口付ける。
『可愛がってあげるわ、子猫ちゃん・・・・』
「やっ・・・・うう・・・・ん・・・・」
女性の声で囁き久遠の唇を自分の唇で塞ぐ。
唇を割って侵入してくる魔舌に抵抗も出来ずに、自分の舌を絡め取られ拒絶の言葉がデスパイアの口の中に溶け消える。
『ん・・・・ちゅ・・・・ふふふ可愛い』
「ううん!・・・・や、やめ・・・・むぅ〜〜〜っ!」
舌が絡み合い、唾液とデスパイアの体液が混ざり合う。口内を歯の裏を軽くくすぐられ、唇を甘噛みされると脳が痺れてしまう。
――――わ、私・・・・で、デスパイアのキスに感じて・・・・・――――
『ママァ・・・・』
次に顔が現れたのは胸を絞る触手の先端だった。
尖っていた先端が風船のように膨れ上がり人の顔を為す。歪み、濁り・・・・しかし一目で赤ん坊とわかる人面疽が胸を隠す布地を摺り下げる。
「うむぅっ!!」
口をデスパイアとのキスで塞がれた久遠が必死に止めようとするが、拒絶の言葉は自分の唇を塞ぐデスパイアに奪われてしまい、届かない。
「――――っ!」
ビクン・・・・
胸の頂に走る感じた事も無い法悦。
母親の胸に甘えるように赤児の人面疽に吸い付かれ、母乳をねだるかのように甘噛みされ、触手がゆるやかに胸の膨らみを絞る。
「ううん・・・・む、無理・・・・わ、私。出ない――――っ」
『ママのおっぱい美味しいよぉ』
「あ〜〜〜〜〜っ!!」
ゆるやかに胸の頂から吸い上げられるエンジェルの魔力・・・・まるで本当に母乳を噴き出しているかのような錯覚を覚える。
胸の先端から響く唾音と吸着音、赤ん坊がするかのような力のないその責めに久遠は堪らず喘ぎ悶えた。
そして最後に顔が現れたのは久遠の脇の下。
『ホッホッホ、ではわしはここを貰うとしようかの?』
「なっ! ど、何処をっ!!――――ん!」
老人の声がスッと久遠の体毛の薄い脇の下にそっと口付ける。
「そ、そんなとこ・・・・やっ・・・・く、くすぐった・・・・あ、ふあぁっ!」
『ふふふ、可愛そうな子猫ちゃん。あの脇の下フェチのジジイに目を付けられるなんてね』
『まったくだな』
頬に、額に、鼻の頭にキスの雨を降らせる女の声と、耳を甘噛みし耳朶に舌を這わせ、時折首筋に舌を這わせる渋い男の声が響く。
『フェチはお互い様じゃろう。なあに、ここも良いとエンジェルのお孃ちゃんもすぐに判るわい』
「あっ・・・・ああっ・・・・ま、待って・・・・・そんなぁ・・・・ううんっ!」
必死の静止の声も再び女に唇を塞がれ途切れさせられる。
脇の下を舌が這い、快楽に染まり流される艶汗を舐め取られる。
敏感な肌に老人の唇で吸い付かれ、くすぐったさに似た。だが明らかに違う感覚がジワジワとそこから這い上がってくる。
『ふ、フヒ・・・・喧嘩は良くないんだな・・・・ん・・・・ホーリエンジェルちゃんの可愛くて美味しい身体を・・・・チュ・・・・たたっぷり味わうんだな?』
『ママぁ・・・・いっぱいいっぱい気持ちよくしてあげるね』
両の胸が交互に赤ん坊に授乳責めで溶け解され、下半身をぐずぐずに溶かされそうなほど熱い舌が下着の隙間から直接粘膜を舐め始める。
胸を責める無邪気な声が女性の心の奥にある母性を揺り起こし、おぞましいデスパイアに母に似た愛情を感じそうになってしまい、久遠は恐怖に震えた。
「だ、駄目・・・・あっ、こ、こんな一度になんて・・・・はっ・・・・狂っ・・・・狂っちゃう・・・・ああ〜〜っ!」
交互に責められる脇の下が溶けてしまいそうになる・・・・舌でくすぐられる度にゆるやかに湧き上がる熱が全身を焦がし、グローブを破らんばかりにきつく握り締めた。
目の端に浮かんだ涙が優しく舐め取られ、眼瞼の上に軽く口付けられる。
『大丈夫よ・・・・んっ・・・・こんな可愛い子猫ちゃんを手放すほど・・・・ちゅ・・・・私たちは馬鹿じゃないわ・・・・』
『ホホホ・・・・そうじゃそうじゃ・・・・ンチュ・・・・たっぷり「愛してやるぞ」・・・・エンジェルのお嬢ちゃん』
言葉どおり、快楽の一つ一つは緩やかで深い。だがそれでも精神も理性も壊れるほどではなかった。
しかも、どういう力が働いているのか、まるで別々の久遠がデスパイアにそれぞれの箇所を責められているかのように個々の快楽をハッキリと認識できる。
時折、快楽同士が溶け合い爆発的に高まる事はあっても決して個の快楽が薄まらない。ぼやけない。
「ど、どうして・・・・こ、こんな事が・・・・はぁっ・・・・私・・・・わたし・・・・」
『ふふふ、快楽に身悶えるお前も美しいぞエンジェル・・・・我らはお前を欲しているのだ。その美しく淫らな身体も、気高く優しい心も全てな・・・・』
「そ、そんな・・・・デスパイアの貴方たちが・・・・な、なぜ?・・・・ぁっ」
耳元で渋い声が甘い愛の囁きを繰り返す、久遠の耳をくすぐる吐息が心地よい。
鼓膜を震わす自分を称え求める言葉に胸の奥が熱く震えてしまう。首筋にキスを打ち込まれ、耳の穴に緩やかに細い触手を差し入れされると思わず喉を反らせた。
――――こ、この人達・・・・い、いったい? で、でも・・・・あ、駄目・・・・な、何も考えられない――――
全てを打ち壊し、押し流す怒涛の激悦に壊れなかったホーリエンジェルの魂さえ、甘く揺さぶる快美感に何もかも忘れ、身を心を委ねてしまいたくなる。
久遠の足首が掲げ上げ、ゆっくりと右足のブーツが脱がされる。
快楽に震えまるまった足の指が露になる。その指の間に細い触手が入り込み、ゆっくりとその一本一本に絡みつき舐めあげた。
「あ、足ぃ・・・・? そ、そんな・・・・とこ・・・・ぁ・・・・」
『ホホ・・・・ここも気持いいもんじゃぞ?』
『ほんと、節操ないジジイねえ。ま、気持はわかるけど・・・・この娘、ホント可愛いわ』
左足のブーツも脱がされ責められる。
足の指の間が、敏感な足の裏が、舐められ擽られていく。
まるで5本の指すべてが口に含まれ、舐めしゃぶられているかの様に・・・・・
『ママァ・・・・ね、気持いい?ね?気持いい?』
「い、いや・・・・き、聞かないで・・・・あっ・・・・お願いだから・・・・ううんっ!」
赤児の甘えた声に必死にかぶりを振り、胸の奥に湧き上がるデスパイアへの母性を否定しようと足掻く。
『ほっほっほ、ママはもっとして欲しいんじゃと、坊主』
『うん、頑張る!』
「そ、そんな・・・・ま、待って・・・・い、いい子だから・・・・それ以上・・・・あああぁ〜!」
久遠の静止を無視して胸への責めがさらに激しくなる。
惨めだった。授乳という女性にとって神聖で不可侵の行為をデスパイアに強要され、それを快楽を生み出す道具にされ、それどころか・・・・
『ママの魔力・・・・美味しい』
「あ、あ、ああああああぁぁぁぁ〜〜〜〜っ!!」
胸の頂から噴き出す魔力を唇で吸われ、デスパイアを育ててしまうホーリエンジェル。
正しくこれはデスパイアへのエンジェルの授乳・・・・いや搾乳行為だ。
『まったく、いい声で鳴く・・・・』
久遠の長い髪をかき上げてうなじに口づけ、背中を大きく開いたエンジェルの衣装の、露出した肌へ舌と触手を這わせながら久遠の背後で渋い声が囁く。
『らしくもないが、俺も我慢が出来ないな・・・・可愛がらせてもらうぞ』
「はぁ・・・・ああっ・・・・・え?」「
久遠が不思議そうな顔で背後を眺める。
そして、触手の先端がゆっくりと虚空をさまよいながら目指すべき場所に向けて泳いでいく。
「えっ!?」
小さな呟きとともに久遠の身体がビクンとすくんだ。
しわの寄った久遠のうしろの蕾は、緊張のあまりぎゅっと縮み上がっている。
ゆっくりとデスパイアの触手の腹が、不浄の穴とも思えない綺麗な桜色に色づく蕾の縁の部分が撫でる。
「あっ! や、やあっ!?」
戸惑いと驚きの入り混じった久遠の悲鳴が立て続けに上がり、腰が勢いよく跳ねあがる。
『どうだ? エンジェル』
触手の先端が柔らかく盛り上がった蕾の淵を引っ掻いた。
「んあぁっ!? そ、そんな!?」
迸る肛悦に久遠の体が海老のように反り上がり、激しく痙攣する。
『まだまだ・・・・これからだぞ?』
そう呟きながら触手の先端を蕾の中心に押し当てゆっくりと揉みこんでいく・・・・
しわを伸ばし、繰り返し撫で、ほぐすような動作を続けた。
「ひっ、んっ! ああぁ―――っ!」
じわじわと湧き上がる未知の刺激に、腰が浮き上がり、怯えを含んだ目が背後のデスパイアに必死に許しを請う様に見つめる。
ソレが無駄だと解っていても縋ってしまい、そして願いは虚しく弾け散った。
『恥ずかしいか? でも心地よいだろう?』
「ち・・・・違っ・・・・あぅぅっ!」
久遠は必死に首を振り、不浄のそして背徳の感覚を否定しようと足掻き、それでも自身のうちから湧き上がる感覚を持て余し、おぞましさに身を震わせる。
『ふふふ・・・・何が違う? エンジェル』
そんな久遠を嘲笑うかのように、触手の先が窄まりの縁をゆっくりと円を描くようにさすり、皺の一つ一つを拡げるかのようにクリクリと繊細な動きで久遠の後ろの蕾を狂わせ、緩ませてゆく。
「だ、駄目・・・・そ、そこ・・・そこはぁ・・・・ううん!」
必死に自分の不浄の穴を嬲るデスパイアをそれでも止めようと後ろを振り返り、静止の言葉さえ紡げずにそのままの表情で唇を奪われた。
「ん・・・・ちゅ・・・・」
激しく唇を吸われ、舌を絡め取られ、その間も休むことなく触手の先端は後ろの穴の縁を丹念にくすぐる。
デスパイアの全身責めを受けすっかり敏感になってしまった腸粘膜と括約筋はそれを容易く快楽に変換し、新たな性の炎を久遠の身体の内に灯した。
「はぁ・・・・」
濃厚な口づけからようやく解放された久遠の唇から甘い吐息が漏れる。
デスパイアの口と久遠の唇を継ぐ銀色の橋が長く伸び・・・・プツリと切れた。
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ」
『案ずるなエンジェル・・・・快楽に身を委ね。我らに全てを任せればいい』
脳に酸素が足りず、ぼんやりと眺める久遠に顔を近づけ低く渋い声で囁く。
潤んだ瞳が迷うように揺れ、唇を僅かに開いて何かを言おうとして逡巡し・・・・静かに眼瞼を閉じ、久遠は全身の力を抜いた。
『いい娘だ・・・・』
耳に首筋に口づけながら、ゆっくりと後ろの窄まりに触手を這わせ、甘美な囁きを久遠に繰り返す。
『・・・・とんだジゴロデスパイアなんだな・・・・ホーリエンジェルちゃんも、そんな奴の甘い言葉に騙されちゃイケないんだな』
『はん、男の嫉妬はみっともないよ。』
『ま、わしやお前じゃ確かに無理じゃろうな』
久遠の股間から顔を上げた男の文句に、女の声が鼻で哂い、老人がぼやいた。
クイッ・・・
「はっ、あっ・・・・」
そんな騒ぎを余所に久遠の中に触手が侵入してくる・・・。
滑ついた表面を持つ肉塊の触手はそれ自体を潤滑油にしてキツク締め付けようとする久遠の後ろの穴にたやすく侵入した。
「あぁ、やっ、くぅ〜〜〜〜っ!」
痛みは無い、しかしあまりに強い違和感。それさえ瞬く間に溶け消えていく・・・・
久遠の中にまだ僅かに残ったエンジェルとしての自分が必死で己を鼓舞する。負けては駄目だ・・・・こんなところで・・・・でも・・・・でも・・・・
『相変わらずたいしたもんだね。もう子猫ちゃんはお尻がたまらないみたいだよ』
『ママ・・・・気持よさそう』
他の全員が動きを止め、肛悦の虜となっていく久遠を眺めているのが気配と声でわかる。
――――見られてる・・・・お尻で感じてる私を、デスパイアなんかに――――
羞恥に閉じた目を開くことが出来ない。
普段のデスパイアが相手なら羞恥も恥辱も考える事すら出来ずに押し流された。
ひたすらに押し寄せる激悦に呑み込まれる自分、自分でなくなっていく感覚。
――――で、でもいまは――――
甘く切ない誘惑。エンジェルである自分が滅ぼすべきデスパイアに求愛され、身も心も求められ、自分の中にそれに応えようとしている自分が確かに居る。
――――わ、わたし――――
『ホーリエンジェルちゃん・・・・』
そんな懊悩する久遠に、自分を最初に嬲り、それまで股間を舐めていたデスパイアが硬い声を上げる。
『そんなにソイツがいいのかな?』
「あっ、そ、そん・・・・な事・・・・はっあっ!」
暗い感情の入り混じる声に気付く余裕もないまま必死に上げる否定の声さえ、後ろを抉りくすぐる触手に甘く囀ってしまう。
『ふひ・・・・そんな淫乱なエンジェルにはおしおき・・・・なんだな?』
自分が捕らえた美しい獲物(エンジェル)を他のデスパイアに奪われてしまうと言う焦燥となにより激しい嫉妬がデスパイアを突き動かした。
自分が嬲っていた久遠の股間・・・・そこを隠していた純白の下着をずり下げる。冷たく濡れたソレと久遠の秘所を透明な雫が糸を引いて繋ぐ。
「えっ!? やっ!」
冷たい外気に触れる感触に我に返った久遠の悲鳴をよそに膝までずり下げた下着と秘所の間にデスパイアの身体が割り込む。
「はぁぁっ!!」
女性器の中でももっとも敏感な一点。
既に固く勃起し、包皮から艶やかなピンク色の先端を覗かせる可愛らしい突起。久遠にとって最狂にして最強の急所。
ソレが窄められたデスパイアの唇の中に吸い込まれる。
「ああぁぁぁぁ―――ぁっ―――っ!!」
一溜まりもなかった、刹那の抵抗さえ許されなかった。
ソコから迸るエンジェルの魔力と秘所から溢れる雫が勢いよくデスパイアの口の中へと消えてゆき、久遠は背中を激しくデスパイアの腹に打ちつけ身を仰け反らせる。
『そ、それでいいんだな? ホーリエンジェルちゃんはおれのものなんだな?』
甘露なエンジェルの蜜と魔力に舌鼓を打ちながら、久遠を屈服させ、征服した喜色にほくそ笑むデスパイア。
『・・・・・・』
そんな様を無言で見つめていた背後のデスパイアの触手がゆっくりと大きく動きはじめる。久遠の中を触手が擦る度に腰が大きく揺れ、弾かれるように震え・・・・・クルリッ
「っ・・・・」
触手が回転し、後ろの蕾の入り口が擦られ抉られる。腸壁が触手の先端で撫でられ引っ掻かれた。
おぞましい筈なのに前と後ろから同時に奔った電流に、言葉にならない擦れた声が僅かに漏れ出る。
――――う、うそ・・・・――――
「やっ・・・・だ・・・・めっ・・・・こ、壊れ・・・・」
それまでの久遠を壊さないように気を遣った責めとは違う。
明らかに加減を忘れたデスパイア本来の狂気に満ちた激悦責め、久遠の精神を肉体を粉みじんに打ち壊し、魔力の欠片さえ残さすに搾り取る責め。
「ああああうぅっ!!」
触手と口の動きがさらに早くなる・・・根元まで押し込まれ、中で深々と抉った後に引き抜かれる。唇に含まれた秘核から壊れた蛇口のように魔力が垂れ流されてゆく。
恐怖に、嫌悪に、不快に集中できない・・・・存在を支える魔力の喪失感に頭が魂がボウッとなって・・・・く。
『いい加減にしな!』
女のドスの利いた声がソレを遮った。
ピタリと止まる責め苦に、久遠の全身がひとつ大きく跳ねて、そのままぐったりと弛緩する。
『くだらない嫉妬で張り合うんじゃないよ。コレだからは男どもは・・・・この子を壊しちまう気かい?』
『むっ・・・・』
『ぬぅ・・・・』
決まり悪げに唸る2体を尻目に女デスパイアの顔が、ただただ今にも止まりそうな息を吐く久遠の硝子の様に生気を失った瞳を覗き込む。
『やれやれ・・・可愛そうにねぇ』
僅かに開き弱い呼気を吐き出す久遠の唇に、再び重ねられるデスパイアの唇・・・・ソコからゆっくりと魔力が久遠へと流れ込んでいった。
「うっ・・・・げほっ・・・・はあっ・・・・」
瞳に生気が戻り、力の宿った呼吸が戻り、反動で激しく咳き込む。
『大丈夫かい?』
「あっ・・・・うっ・・・・やぁ・・・・」
壊される寸前まで追い込まれた久遠がかけられた優しい声に、それがデスパイアだというのに・・・・安堵し頬ずりしながらすすり泣く。
『あぁ・・・・よしよし・・・・安心しな。そろそろ楽にしてあげるわ可愛い子猫ちゃん』
そんな久遠に優しく口付け、周囲を見渡す。
『最期の仕上げだ・・・・言っとけど壊すんじゃないよ!!』
『わ、わかってるんだな・・・・』
唾液となにより恥ずかしい雫で濡れたアソコが再び口付けられる。
おとがいを触手が持ち上げ封じられる唇、絡め運び去られる舌。
『気持ちよくしてあげるねママ』
『いままでよう頑張ったの。エンジェルのお孃ちゃん。ほれご褒美じゃ』
胸から吸い上げられていく魔力、腋下がくすぐられ汗が舐め取られる。既に両足の裏も指も不気味に蠢く触手の群れに呑み込まれてしまっていた。
「ん、んんっ、も、もうっ・・・・あっ! はうっ・・・・んぅっ!」
『全てを解き放つがいい・・・・そして我らの元へ堕ちるがいい』
耳元で囁かれ、反対側の耳の穴は細い触手にゆっくりと差し入れされる。
お尻の穴はもう溶けるほどに解され、美味しそうに触手をくわえ込んで離さない。
『ウヒヒ・・・・では最後なんだな・・・・ホーリエンジェルちゃん』
ゆっくりとデスパイアの体表面から5本の触手が伸びる。
そしてそれそれの先端に小さい顔が浮かび上がった。
『さあ・・・・堕ちろ』
『堕ちるんだな、フヒ・・・・』
『堕ちなさい』
『堕ちてママ』
『堕ちるんじゃよ』
先端の小さな口からそれぞれ5体のデスパイアの声が異口同音に唱和し、同時に5本の触手は絡み合い、溶け合い・・・・凶悪な一本の肉槍へと変化し、同時に触手の動きが全て停止した。
物足りなさそうに、止まってしまった触手で全身を揺すって擦り付け、緩やかなその刺激に蕩けながら久遠はぼんやりと涙でにじんだ目でソレを眺める。
ソレが何を意味するか解っている。ソレが何をもたらすか解っている。
でも、もうそんな事はどうでも良かった。
――――みんな・・・・さようなら。ごめんね、私もう戻れない――――
最期に脳裏に浮かんだ大切な人たちに別れを告げ・・・・久遠は目を閉じ、小さく頷く。
閉じられた目の端からゆっくりと、涙の跡の残る頬を銀の雫が伝い落ちた。
敏感な肉芽を舐め弾かれ、喉の奥まで舌で刺し貫かれる。
両の胸から全ての魔力が吸い上げられ、両の足の指全てを舐め呑み込まれた。
脇の下は吸われ、耳穴を犯され、そして尻穴を深々と抉られて・・・・・そして
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
喉の奥に触手舌を咥え込んだまま声にならない絶叫を上げ、5体のデスパイアが融合した触手男根に貫き犯され、久遠の意識と魂は闇に堕ちた。