「あの、エリス……やっぱりダメだよ、こんなの」
「えーどうしてですかぁ?」
「どうしてって言われても……その……」
嘉数騎央は人差し指で頬を掻く。
「とにかく、あんまり良くないんじゃないかな、って」
「大丈夫です。地球の方々のやり方は、騎央さんが大切にしてる『どうじんし』でちゃんと調査しておきましたから」
星空の彼方からやってきた猫耳少女は言った。
ベッドに腰掛けた騎央の正面にちょこんと正座している。
少年の両膝を開かせるように身を乗りだすと、いきり勃つ牡器官に唇を寄せた。
先っちょに小さくキスをしてから、舌を使いはじめる。
「ひあぁっ……エリスぅ」
味蕾のザラつきに裏筋をくすぐられ、少年は思わず声を上げた。
「どうですか? 私たちキャーティアの舌は地球の人とは組織構造が異なりますから、すこし感触が違うとは思いますけど」
「う、うん。とても、気持ちいいよ……ああっ」
「よかったあ。私、騎央さんにそう言ってもらえるとうれしいです」
エリスは笑顔で言った。
猫舌奉仕を続けたまま、ボディスーツの手首に埋めこまれたコンソールを手早く操作する。
胸元をぴったりとラッピングしていた繊維がしゅるるんと音を立てて周囲に引き込まれ、カップの支えを無くした宇宙育ちのバストが「ゆさり」とこぼれる。
ふくらみという言葉では到底言い表せないほどのサイズに、白く透き通った乳肌。頂は周囲に溶けだしてしまいそうなほどに淡い桜色だ。
「男の人に見てもらうのって、騎央さんがはじめてなんです」
さすがの猫耳少女も、言いながら頬をそめる。
「地球の重力下ではちょっぴり垂れてしまって、恥ずかしくて……けど」
みずからの手ですくい上げた双乳の合間に、少年のペニスを抱き寄せた。
「騎央さんの持ってる『どうじんし』では胸の大きな女の人がよくこうやって『ぱいずり』をしていたので、私もがんばっちゃいます」
そう言うと、エリスは左右のバストを交互に「たぷたぷ」と振幅させ、えも言われぬ刺激を送り込んできた。
「んあああっ……ああっ」
今までは妄想の世界だけにしか存在しなかった柔らかさと温もり。それが絶え間ないリピートを繰り返し、少年から引き金の制御を奪いとる。
「エリス……僕、もうっ、がまんできな……んああっ!!」
びゅくっ!
肉棒の先端部が乳肉の谷間から顔をのぞかせた瞬間、初弾が放たれた。
どくっ、どくっ、どくっ……
立て続けに白い飛沫が放物線を描いて、猫耳少女の顔を前髪を汚していく。
放出が一段落すると、騎央は虚脱感と自責でがっくりと肩を落とし、
「ご、ごめんエリス……僕、そんなつもりじゃ……」
「うわぁ、こんなにいっぱい出してくださって、私うれしいです。これって、騎央さんがいっぱい気持ちよくなってくださったってことですよね」
エリスは粘り汁まみれの顔で笑顔を浮かべた。
「それに、まだまだこんなに元気だし。これならお二人の分も大丈夫そうです」
「お二人……お二人? それってまさか……」
駆けめぐる最悪の予感。快楽とは180度異なる感覚に背筋を振るわせる騎央に、エリスは明るく答えた。
「はい。アオイさんと真奈実さんのことです」
その途端、隣の部屋とを仕切る襖がばーんと開いた。
「騎央、あんたってやつは……」
「…………騎央君」
二人の構えるハンドガンの銃口が、顔面蒼白になった少年の顔面をとらえる。
ぱんっ! ぱんっ!
数分後。
全身ペイント弾まみれになって気を失った騎央のかたわらで、エリスは真剣な顔で同人誌のページをめくっていた。
「うーん、こんなのどの本にも載ってないみたいですけど、アオイさんも真奈実さんも満足した顔で帰られたみたいですし……今回の件はレポートとして報告するとして、地球の方々の愛情表現に関してはなお多くの調査が必要みたいですね」
おしまい。