「モロハ殿!」  
頭上から降ってきた声にモロハは素振りをしていた手を止め  
空を見上げるとふわふわと小さな体に似合わない剣を携えた  
トーマが降りてきた。  
「む…今日も早いな」  
「今日も稽古よろしくお願いします」  
お辞儀をして挨拶を済ませたトーマはさっそく手にした剣を構えた。  
いつからか、時々トーマはこうしてモロハに剣の指導をしてもらっていた。  
毎朝人気のない草原で剣の鍛錬を積んでいたモロハにたまたま  
早朝の散歩中遭遇したトーマは是非自分もやってみたいと  
言い出したのだ。  
本来子供を宿し、守護されるべきトーマの立場を考えれば剣の稽古など  
必要ではないのだが、どうしてもとせがまれたこともあり仕方なく  
付き合ってやることにした。少なくとも護身術ぐらい身につけておいても  
損はない。  
一時間ほど経った頃、並んで石段に座り小休止をとる二人の姿があった。  
「中々いい動きになってきたなトーマ」  
「帰ってもこっそり練習してるから。私も早く力をつけて  
 アポロ二アスを支えたいんだ」  
「アポロ二アスか…」  
モロハはその名前を聞くと少し考え込むように腕を組んだ。  
「ふん…奴とは上手くいってるようだな」  
 
「うん!」  
嬉しそうに微笑むトーマを見つめるモロハの心中は複雑だった。  
実のところトーマの許婚にアポロ二アスが選ばれた時モロハは酷く  
衝撃を受けた。天翅族の未来を担う聖天翅トーマの伴侶に選ばれると  
いうことは他のどの天翅よりも力があるということ。  
いつも前線に立ち、自らの腕に絶対の自信を持っていたモロハにとって  
プライドを傷つけられるのには十分な出来事だった。  
「モロハ殿どうかしたの?」  
「いや何でもない」  
「何だか元気がないけど…」  
「そんなことはない」  
「私が元気のでるおまじないしてあげようか?」  
小首をかしげて覗きこむトーマに聖天翅とはいえまだまだ子供だと  
柄にもなく和やかな気持ちを抱いていると突然下半身に何かが  
触れるのを感じた。  
見るとトーマが身を乗り出しモロハの股間をまさぐっているではないか。  
「トーマ!?何をしている!?」  
「モロハ殿のはアポロ二アスと全然違うね?黒くて冷たくてテカテカ光ってる…」  
驚く間もなくモロハの生殖器をとりだしたトーマはそのまま形の良い  
小さな唇に亀頭を含むとピチャピチャと舐めだした。  
 
「んふ…こうひゅると男の人はきもひいいって…んくっ…アポロ二アスが言ってた」  
「あ、アポロ二アスが?奴め何てことを…」  
こんな不埒なことをトーマに教え込んだアポロ二アスに憤りを覚えながらも  
それに何の疑問も持たず他の男にも許婚同様の行為をするトーマに対しては  
哀れみすら感じた。  
「や、やめるんだトーマ…っ」  
「モロハ殿は気持ちよくないの?」  
「い、いやそれは…そんなことはないが…」  
「よかった、じゃあ続けるね。早く元気になってまた剣の稽古教えてね」  
にっこり笑ったトーマは再びたっぷりと唾液を付けるとチロチロと舌を動かし始めた。  
「んっく…ちゅぱ…んぐ…っ」  
「う…っおお…!」  
トーマの舌使いは巧みなものでこれだけでいかに許婚に仕込まれたか  
わかるのに加えて柔らかい手を使い激しくしごきあげてきた。  
モロハは今まで経験したことがないほど身が高まるのを感じていた。  
生殖機能が退化した天翅が多い中自分にも雄としての本能が  
まだ残っていたのだろうか?気付けばトーマを制止する手を止め  
与えられる快楽をモロハは享受していた。そしてゴシゴシと何度もトーマが  
陰茎をしごきながら小さな歯で甘噛みした時モロハはとうとう射精してしまった。  
 
「くっ…もう…」  
「あっ!」  
びゅくびゅくと細い筋状に噴出した体液はトーマの口元から服にかかり  
驚く幼い顔を汚したかと思うと酷く情欲をそそられた。まだ未成熟なこの体を  
支配してみたい…モロハの雄としての本能が目の前の雌に反応した瞬間だった。  
「うう…ちょっと顔にかかっちゃったよ…」  
ゴシゴシと汚れた顔を服の袖で拭うトーマを前にモロハの性器は  
静まるどころかより硬さを増すように直立したままだった。  
「でもこれが出ると男の人はすっきりするんだよね?元気になった?モロハ殿」  
「トーマ…」  
嬉しそうに自分を見上げるトーマを見て心臓が高鳴るのと同時に体の中心から  
熱いものが湧き起こるのを感じたモロハはもう衝動を抑えることができなかった。  
最も原始的なこの行為をしろと体の遺伝子が命じている…そうだ、これは  
生物が子孫を残すためのごく自然な行為なのだ。  
むしろもしトーマに種を宿すことができればそれはアポロ二アスではなく  
自分の方が適していたということではないのだろうか?自分こそが天翅族の  
中で最強かどうか試してみる価値はある。  
モロハはトーマの肩を力を込めて掴んだ。  
 
「モロハ殿…?」  
「許せトーマ!」  
「あっ!何するの!?」  
突然トーマを草むらに押し倒したモロハは荒い息を吐きながら  
力任せに衣を脱がせようとした。  
 
「やっ…何!?やだあ!!やめてよ!」  
「落ち着けトーマ。これは剣の修行の続きだ」  
今まで見たことのないモロハの「雄」としての顔にただならぬ気配を  
感じたのか逃げようと暴れていたトーマも剣の修行と聞くと途端に  
大人しくなった。  
「え…剣の…?」  
「そうだこれは剣の稽古なのだ。私のこの部分は剣なのだ」  
「これが?でもアポロ二アスは子供をつくるための大事なところだって…」  
びくびくと脈打つモロハの性器に手を導かれたトーマは先程とは違い  
生暖かく黒光りするそれにそっと触れた。  
「それは奴が特別だからだ。だからこそお前の許婚に選ばれたのだろう?  
 奴と私とでは体の造りが違うのだ」  
「でも…う、うん」  
まだ少し半信半疑の表情を浮かべるトーマだったがこれも世間知らずの  
せいなのか、モロハに強い口調で言われればそうなのかと納得してしまった。  
「そしてこの剣と戦うのがトーマのここだ、わかるな?」  
トーマの股をツンツンと指の先でつつくとくすぐったいのか細い足をきゅっと閉じた。  
「ぁんっ…ここぉ…?でもここは子供を産む…」  
「同じことを何度も言わせる気か!お前達と他の天翅は違うと言ってるだろう」  
「あ…は、はい。わかったよモロハ殿」  
一瞬怯んだトーマだったがどうやら完全に信じ込んでしまったらしい。  
モロハの手が服の下から自分の股をさすっても少しの恥じらいは見せたものの  
静かにその様子を見つめていた。  
 
「ようし…では引き続いて稽古に入るぞ」  
「何をするの?」  
「まずは全裸になってそこの木に腕をつき、尻をこっちにむけるんだ」  
 
「ねえモロハ殿…何だか私すごく恥かしい…」  
「何を言う、敵と戦ってる時に衣服がはだけてもそんな事をいうつもりか?」  
「わ、わかりましたぁ…」  
足をもじもじさせるトーマの背後からピンク色の秘部を凝視したモロハは  
自分の性器を改めてしごくと皮を剥いた。  
「わあ…モロハ殿のオチンチンすごい!」  
チラリと見たトーマは驚きを隠せなかった。皮に包まれていた時はわからなかったが  
剥き出たモロハの亀頭の先端は細かく幾本にも別れ、それはまるで海底に沈む  
イソギンチャクのようだと思ったからだ。  
「これは剣だと言ってるだろ!」  
「あっご、ごめんなさい」  
「全く仕方のない…では始めるぞ」  
トーマの腰を持ったモロハは後ろから股の間に性器を潜らせるとゆっくりと擦り始めた。  
「あんっ…うねうね先っぽが動いてる…」  
びくんと震えるトーマのツルツルの割れ目にはモロハの男性器から這い出た触手達が  
うじゅうじゅと意思を持ったように動き回り、敏感な肉芽を覆う皮を剥いたかと思うと  
弄ぶようにこりこりと絡ついた。  
「んん…っそこは…そこはぁっ…」  
ぴくぴくとトーマが反応するのを感じ取ったのか触手達はさらに動きを早めると  
ひくつく陰唇を広げ、掻き分けるように一本、二本と膣内への進入を開始した。  
 
「きゃうんっ!あっ駄目っ…やあ!何か細いのがざわざわ入ってくる!!」  
「我慢しろ!これぐらいでうろたえるようでは話にならん」  
「はっはい…!」  
「ようし、では本格的に戦いを始めるぞ」  
うねうねと枝分かれした触手が小さな割れ目に入っていくのを見たモロハは  
もう一度しっかりとトーマの細い腰を掴み、黒々とした太い生殖器すべてを  
沈めると激しく前後に運動を始めた。  
「んあっ…!痛い!モロハ殿痛いよぅ!それにすごく苦しい…!!」  
「戦いに痛みはつきものだ!それぐらいわかってたはずだな?」  
「う…っく…う、うん…はぁはぁっ…わ、…わかった…ああんっ!」  
膨張したモロハの竿が押し込まれる息苦しさに耐えながらトーマは何とか  
崩れ落ちないようにと必死で目の前の大木にしがみ付いているようだった。  
それでも思ったよりすんなり挿入することができるところを見ると  
既に処女膜は失われアポロ二アスと何度か性交の経験があるに違いない。  
何故か苛立つ気持ちを感じたモロハはさらに深く腰を突き上げた。  
 
「あぐうっ!っあぁぁぁぁっ!!な、中で、お腹の中でうじゅうじゅ動いてるよぅ…っ!」  
「ここが堪え時なのだ!負けるなよトーマ」  
モロハの性器はトーマを貫くだけでなく触手達が膣内を徘徊し、内壁に吸い付くように  
何度もチクチクとつつきまわした。その痛みに顔を歪めたトーマだったが同時に中に  
入りきらなかった触手は性器周辺ををくちゅくちゅ優しく撫でるという  
全く逆の刺激も与えてくれる。  
 
そしてそれに飽きた触手達は今度は性器から後ろへと移動し小振りな尻の  
中心に穴を見つけるとそこへも侵食を開始し、トーマはとうとう尻穴までも犯される  
羽目になった。  
「ひああぁ…っ!ん、んーー!!おひ、おひりは駄目え!」  
初めて味わう後ろの穴への愛撫にトーマは背を仰け反らせて悶え狂った。  
性器と肛門両方の入り口を動き回る触手に翻弄されながらも膣内に突き刺さる  
モロハ自身をトーマの中は健気なほど締め付ける。  
それに喜びを覚えたモロハは気付けば夢中で腰を振り、トーマの胸に無機質で細い  
指先をキリキリと絡めると遊ぶように弄るのだった。  
「ふえ…ふぇぇ…っはぁはぁっ…すご、すごいよぉっ!アポロ二アスとは違う…!!」  
「そうか、奴とは違うか。っく…ではもっと足を開け…!もっと奥まで突いてやるからな」  
「は、はい…もっとしてぇ!モロハ殿もっとぉ!」  
「愚かな!私はあくまで稽古をつけてやってるだけだ…!それを忘れるな!!」  
「ああんっ、わ、わかりましたあ…ひぃっ…!!」  
絶えず与えられる快感にトーマの思考は麻痺し、完全に色欲に支配されていた。  
その表情を見たモロハはたしなめるように尻をぴしゃりと叩きながら子宮に届く勢いで  
ぐいぐいと突き上げた。  
「きゃああっ!!ふぐぅ…っ私のお腹の中ゴツゴツ当たって、びくびくいってるううぅぅ…!!!」  
早朝の誰もいない静寂な草原に二人の肌が触れ合う音だけが何度も響き続けた。  
触手達が子宮内に到達しそこで暴れる頃にはトーマはあまりの快楽に白目をむき  
半分意識を失いかけていたが太く脈打つモロハの男性器がごしごしと出入りすると  
その感覚でまた呼び戻される。その繰り返しに耐え切れなくなったトーマはとうとう  
がくがくと足を震わせ絶頂へと意識を高めだした。  
 
「あう…あうぅぅうう…わ、私もう…もう…っ…んんっ」  
「ふんっ!ふんっ!…っそろそろだ…!行くぞトーマ!!」  
トーマだけではなく自分の限界も感じたモロハは最後の仕上げに力強く力むと  
子宮内にボコボコと何かを産み付けるように生臭い体液を一斉に放った。  
「ぁああぁぁ!!!流れ込んでくるううう!!!熱いのが、何かが…!!!  
 ぶ、…ぶちぶち…お腹の中…ぶちぶちいってるぅううぅ……!!!!」  
生暖かい液体が流れこむ感触に一瞬失くしていた意識を取り戻したのか  
少し目を開けたトーマは何かを確認するように腹に手をあてた。  
「モロハ殿…私のお腹の中でぶポコポコしてるこれなぁに…?」  
「それは私の卵…いや何でもない。きょ、今日の稽古はもう終わりだ。服を着ろ」  
「は…い…ありがとうごじゃいましたぁ…」  
そうは言ったもののトーマは木にもたれかかるとそのまま意識を失ってしまった。  
気絶したトーマの中から引き抜かれたモロハが生殖器の先には体液と共に  
オレンジ色をした小粒の卵がいくつもこびりついていた。  
たった今トーマの腹に精液と共に産みつけてきたこれが孵化するかどうかは  
わからない。  
しかしこの先トーマの胎内に注がれるであろうアポロ二アスの種と自分のそれの  
どちらの生命が生き残るのか――それこそがモロハの一番知りたいところでもあった。  
 
 
しばらく時間が経った頃、目を覚ましたトーマはやっとのことでノロノロと  
だるそうに起き上がると服を着て帰り支度を始めた。  
「ねえモロハ殿」  
「な、何だ」  
「また明日も稽古つけてね?また今日と同じことしてくれる?」  
モロハにボタンを留めてもらいながらトーマは期待を込めた目で見つめた。  
よほど今日の出来事はトーマにとって刺激的だったらしい。  
「…明日もこの稽古がいいのか?」  
「うん、これがいい!それで明日こそは私が勝つんだ」  
「…いいだろう。だが誰にも言ってはならんぞ、もちろんアポロ二アスにもだ。  
 何せトーマと私二人だけの秘密の稽古なのだからな」  
こうして約束を交わした二人の秘密の特訓ははまだまだ続くこととなるのだった――。  
 
 
END  
 
 

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