私がトーマ様のお世話づきになってからどれぐらいの年月が経ったでしょう。  
同じ女性ということもあり、声楽翅としての傍ら幼いトーマ様の世話を  
任された私はそれはそれは大切に慈しみお守りしてきました。  
「トーマ様、今日はこちらのお召し物にいたしましょう」  
「うん!」  
私が選んだ真っ白なレースの服を見て無邪気に笑うトーマ様の  
着替えを済ませると、続いて頭の翅の手入れにとりかかりました。  
ぽかぽかと窓から差し込む陽を浴びてまどろむトーマ様の  
翅を丁寧にブラッシングするのは私の日課となっており  
愛らしい寝顔を見ながらの時間は私にとってはまさに至福の  
一時でございました。  
しかしそんな幸せな日々も長くは続かなかったのです――  
 
 
「トーマ様!その格好はどうされたのです」  
ある日外から戻ってきたトーマ様の姿を見るなり私は悲鳴をあげました。  
トーマ様の全身はぐっしょりと水浸しになり綺麗に整えた翅や服は所々泥で汚れ  
その裾から落ちた水滴が点々と地面に跡を作っていました。  
「一体これは…?」  
「アポロ二アスと森の中で水遊びしてたの!」  
 
「アポロ二アス?」  
その名前を聞いた途端私の目は無意識のうちに釣りあがりました。  
「見て!アポロ二アスが泉の側に咲いてた花をとってくれたの」  
楽しそうに話すトーマ様の手には小さな一輪の花が握られていました。  
そして小さなガラスの小瓶を取り出すとそこに活けて嬉しそうに眺めているのです。  
「…まあ、それはよかったですね。さあさあその花は私が  
水をやっておきますからトーマ様は着替えをなさいませ」  
私に促されたトーマ様は少し名残惜しそうにしながらもそのまま部屋を後にしました。  
小さなガラスの花瓶に水が注がれる様子を眺めていた私の心は  
決して穏やかなものではありませんでした。  
 
アポロ二アス――ヨハネス様によりトーマ様の許婚として選ばれた  
その少年を私はどうしても好きになることが出来ませんでした。  
何せあの子供ときたら乱雑で粗野で、とてもじゃありませんがトーマ様に  
相応しいとは思えなかったからです。  
「このような花でお喜びになるなんて…」  
宮殿には私が丹精込めて育てた花が数多く咲いてる温室もあるというのに  
トーマ様ときたら…。このような花一本で純真なトーマ様の気をひこうとする  
アポロ二アスに私は怒りを抑えずにはいられませんでした。  
 
「オトハ、オトハ、花を知らない?昨日アポロ二アスに貰ったあの花だよ」  
翌日慌てたようにトーマ様が私の元へとやってきました。  
どうやら昨夜活けておいたはずの花が花瓶ごと見当たらないとのこと。  
「申し訳ありませんトーマ様。あの花は侍女が掃除の最中に花瓶ごと  
落としてしまったようで…」  
「え…そんなぁ…せっかくアポロ二アスに貰ったのに…」  
それを聞いたトーマ様の瞳にはじわりと涙が浮かびついにはしくしくと  
泣き出してしまいました。  
「元気をだして下さいな、花ならまたいつでも手に入ります。  
それよりも今日はいいお天気ですよ。外で遊んでいらっしゃい」  
私に慰められぐすぐすと涙を拭いながらトーマ様が窓から飛び立った後、  
丁度部屋に掃除係の侍女が入ってきたのを見た私は袖の中からある物を取り出しました。  
「ああ貴方、丁度よかった。これを捨てておいてくださる?」  
「はい、これは花瓶と花…?でもよいのですかオトハ様?この花、まだ枯れてないのに」  
「よいのですよ、トーマ様のお部屋には似合いませんもの」  
にっこりと微笑みながら私は手の中の花を握りつぶすと侍女に渡しました。  
 
 
次の日から私はそれまで以上にトーマ様に献身的に尽くすことにしました。  
部屋一杯に花を飾りトーマ様のために新しい服をあつらえ、読みたがっていた本を揃え  
綺麗な絵を額縁に入れると毎日トーマ様の帰りを待っていました。  
 
それなのにそんな私の気持ちを踏みにじるようにトーマ様は変わっていったのです。  
「トーマ様、今日はこちらのお召し物に…」  
「今日はこっちにする」  
「まあそのような派手な色…少し下品ではありません?」  
「だってアポロ二アスがたまにはこういうのが見たいって言うんだもん」  
またアポロ二アス…。私の選んだ物よりあの少年の方を優先させるなんて…。  
トーマ様の中では私よりアポロ二アスの方が大事だと言うおつもりでしょうか?  
「それでトーマ様、今日は何処に行かれるのです?お帰りはいつごろに?」  
「そんなのわからないよ、あっもう行かなきゃ!アポロ二アスとの約束に遅れちゃう!」  
「トーマ様!お待ちくださいまだ話が…」  
慌しく出て行こうとするトーマ様でしたがふと扉の前で止まると私の方を  
振り返ってこう言い放ちました。  
「ああオトハ、これからは私、自分で着る物は自分で選ぶから」  
 
一人部屋に残された私は信じられない思いで一杯でした。  
トーマ様が…今まで私の言うことに反抗などしたことがないトーマ様があのような  
事を言うなんて…それもこれも全てアポロ二アスと出会ってから、  
彼が素直だったトーマ様に悪影響を与えてるに違いないと思わざるをえませんでした。  
――しかし不幸なことに更に私を打ちのめす出来事が次々と起こるのでした。  
 
ある夜、トーマ様の部屋からうなされてるのか何やら声がするのでそっと覗いてみると  
何ということでしょう、トーマ様は自分で自分を慰めていたのです。  
「あ…んぅ…アポロ二アスぅ……」  
寝台の上で体をよじらせて自分の秘所を弄りながら熱っぽくアポロ二アスの名前を  
呼ぶトーマ様の姿を見た私はその場に崩れ落ちました。  
そしてこれは夢だと何度も自分に言い聞かせました。まだ子供のトーマ様が  
そのようなことなさるはずがないと。それなのに…それなのに――  
「トーマ様、今日もまだお帰りにならない…」  
この日も暗くなってもまだ戻らないトーマ様を心配した私は外へとその姿を探しに  
出たのです。すっかり闇に包まれた庭園にはもう誰もいませんでした。  
ここにはいないのだろうと別の場所へ向かおうとした時、茂みの奥でうごく影を  
見つけました。何故か嫌な予感が胸をよぎった私が恐る恐る近づいてみると…  
「ほらトーマ、もっと足開けよ」  
「もうっ…そんな強くしちゃ駄目だよ…あっそこは駄目ぇ…」  
木に背をもたれながらくすくすと笑うトーマ様に覆いかぶさっていたのはアポロ二アス。  
そしてトーマ様の足を担ぎ上げた彼は開かれた身体の中心に自身を埋め腰を動かしていたのです。  
そう、あろうことか彼らは子供でありながらその関係は既に男女のものとなっていたのです。  
「トーマ…っトーマの中いいよ…」  
「あっ…はぁっはぁ…ああん、アポロ二アス…!」  
耳にこびりつく二人の吐息を振り払うように私はその場から逃げ出し、どうやって  
辿りついたのか気がつくとトーマ様の部屋にいました。  
 
そして私は怒りのままに部屋の中の物、トーマ様のためにそろえた花もドレスも  
絵画も全て投げ捨て、破り、切り裂いたのです。  
はあはあと息をきらせる私の胸は失望に満ちていました。私の可愛いトーマ様が  
あのような汚らわしい行いを…まるで娼婦のように喜んで足を開くなんて…  
その時、嘆かわしさに打ち震える私の背後から扉の開く音がしました。  
「オトハ…?」  
「あら…トーマ様、お帰りなさいませ」  
そこには部屋の中の惨状を目の当たりにし、驚いた顔をしたトーマ様がいました。  
「オトハ…ここで何してるの?それに私の部屋が…何でこんな…」  
「何故?だってトーマ様には必要ないじゃありませんか。私の選んだものなんて  
もう必要としてないでしょう?」  
私が微笑みながら立ち上がるとトーマ様は少し怯えたような顔をしました。  
こんなにもトーマ様のことを心配してた私に対して失礼なこと。  
「それにしても今日はまた随分遅いお帰りでしたのね、アポロ二アスと一緒だったのですか?」  
「オトハ…どうしたの?何か変だよ…」  
「何も変なことはありませんわ、私は以前からこうしていつもトーマ様のことだけを  
見つめてトーマ様だけを想い、その身を案じていたのですから」  
「オト…きゃっ!」  
私は後ずさりするトーマ様の腕を掴むと近くにあった机に背を押し付けました。  
背を打ち苦しそうに息を吐くトーマ様の小さな体を抑える付けることなど造作も  
ないことでしたが、それでも先程私が引き裂いたレースの布が落ちているのを見つけると  
それでトーマ様の腕を机の脚に固定して身動きできないようにしたのです。  
「オトハ…ごめんなさいオトハ…遅くなったことは謝るから許して…」  
訳のわからないままがたがたと震えるトーマ様は必死になって私に許しを請いました。  
 
そのつぶらな瞳に思わず胸を打たれた私でしたが、ふと乱れた衣服の隙間から  
トーマ様の首筋にあの少年がつけたであろう赤い鬱血した跡が見えました。  
真っ白なトーマ様の肌に似つかわしくないそれを見た時私は悟りました。  
私の知っている愛らしい、純粋で真っ白な天翅のトーマ様はもういないと…。  
ここにいるのはただの汚らしい"女"なのだと――。  
「いけませんわねトーマ様、あなたのようないけない子にはお仕置きが必要です」  
 
固定されていないトーマ様の足を大きく開かせた私は  
白くて細い足首から太股へとつうっと翅をなぞらせました。  
その感触に身震いするトーマ様でしたがやがて翅の先端が脚の付け根に差し掛かると  
慌てて閉じようとしました。  
「足開きなさいトーマ様」  
「やめて…っやめてよオトハ…どうしてこんなこと…」  
「いいから開くのです!私はあなたの世話を任されているのです!トーマ様の  
身に起こることはすべて把握する義務があります!!」  
私の剣幕に圧倒されたのかびくんと体を強張らせたトーマ様は涙ぐみながらも  
素直に少しずつ脚を開きました。  
すると股の中心からは何ともいえない香り…そう雌の香りが立ち込めたのです。  
「あらあらこれはなんです?下着をこんなにぐっしょり濡らせて…」  
可愛らしい花模様のトーマ様の下着は体液で透けるほど濡れていました。おそらく  
アポロ二アスとの性交の名残なのでしょう。下着をずらすと割れ目から内股へと  
トロリと透明な粘液が糸を引きました。  
「トーマ様はいつもアポロ二アスとどんなことをお話しているのです?」  
そっと翅の先でトーマ様の濡れて光る肉壷の入り口をくちゅくちゅとなぞると  
トーマ様は恥じらいながら泣き出しました。  
 
「ひゃ…うぅ…やめ、やめてよ…何でオトハ…っやだあ…」  
「答えてくださいなトーマ様…あの少年と!いつもどんなことをなさっているのです!?」  
「きゃあっ!!あぐぅ…!!やめっやめれぇえぇぇ!!」  
私の質問に答えてくださらないトーマ様につい激昂した私は腕の翅を  
勢いよくトーマ様の秘所に突っ込みました。じゅぼじゅぼと音を立てて抜き差しされる  
私の翅にはトーマ様の粘膜がまとわりつきそれは翅を通してたまらない快感を与えて  
くれました。  
そして翅が引き抜かれたその時、トーマ様の愛液と共に白い汚れた体液が  
掻き出されたように溢れ出てきたのです。  
「ま、まあ…トーマ様ってば何てはしたない。アポロ二アスにそんなことまで  
お許しになったのですか…!?」  
私は思わず目を逸らしそうになりました。トーマ様の神聖な胎内には既に  
アポロ二アスの汚らわしい種が注がれていたなんてとても正視できるものではありません。  
「うっく…ひっ…だって彼は私の許婚だもん…私のこと好きって言ってくれたから…」  
「そのような戯言で何度体をお許しになったのです!?全くいやらしい…!」  
つまらない台詞一つでトーマ様の体を好き放題に弄ぶアポロ二アスにはもちろん  
そのようなことで簡単に体を開くトーマ様に対しても私は憤りを隠せませんでした。  
自らの胸の留め具を外した私はするすると衣を脱ぎ捨てると驚くトーマ様の前に  
初めて己の肢体を表しました。  
「オトハ…その足…」  
「驚きました?普段見せることはありませんものね。ですが私もトーマ様と同じ  
女なのですよ。女は女同士楽しもうじゃありませんか」  
そして私はトーマ様の服も完全にはだけさせるとその上に跨り、小さなトーマ様の  
女性器を咥えこむように己の女性器をくぱっと重ねると擦り合わせるように  
優しく動き始めたのです。  
 
「あっやだ!やあ…っやだ、何これぇ…きゃうっ!」  
「うふふ…トーマ様、気持ちいいですか?あら…こんなにもお豆をぶっくり充血させて  
私のと擦れる度大きくなってますよ」  
トーマ様の陰核と私のそれが触れあいながら摩擦されるたび強烈な快感が全身を  
駆け巡りました。それはトーマ様も同じらしく、二人が重なり合ってる部分からは  
どちらのともいえる大量の蜜がぴゅくぴゅくと溢れ滴り落ちるばかりでした。  
「らめっ…!オトハぁ…やめてっ私こんなの…」  
「愛してますトーマ様、あんなアポロ二アスなんかに抱かれるより私の方がよいでしょう?」  
混乱しながらもびくびくと反応するトーマ様の肌理細やかな肌に口付けた私は  
わずかに膨らんだ胸の先、薄紅色に尖る部分を執拗に吸い上げるとそこに自らの胸を宛がい  
先端同士を下半身同様擦り合わせたのです。  
「あ…あっ、胸までそんな…っ駄目だよ、熱いよっ胸も…股も熱いよ…!」  
「あはぁ…トーマ様…すごい…っトーマ様ぁ、愛してます誰よりも…」  
トーマ様の上に被さりその体を包むように抱きしめた私は重ね合わせた下半身の動きを  
より早めました。腰を動かすたび互いの肉壁が、陰核が擦れてぐちょねちょと卑猥な音が響くと共に  
くすぐったいようなそれでいて何とも甘美な刺激が二人を襲いました。  
「トーマ様!こんなに濡らして…!嬉しい、私の体で感じてくださるなんて…!」  
「きゃふっ!やぁ…やだぁ…!私、私もう…!あ、アポロ二アス…!!」  
激しく絡み合う私とトーマ様の体と体、その動きがより一層早くなった時  
トーマ様はあの少年の名前を呼びながらとうとう達してしまったのです。  
 
「また…アポロニアス…」  
「あ…うう…っく…」  
一人体を痙攣させて達した余韻に浸るトーマ様とは逆に私の体は急激に冷めていくのを  
感じました。しかし心の中は先程よりももっともっと激しく燃え盛る想いで一杯でした。  
重ねていた性器を離すと、ねちょおっとおびただしい蜜が糸を引き、中には白く濁っていた  
ものもありそれは確かにトーマ様も本気で感じてたことを証明していました。  
しかしトーマ様は結局あの少年の名を呼びあの少年のことを思っていたという事実は  
消えません。  
 
その時怒りの収まらない私の目には部屋中に散らばった花々が映りました。  
私がトーマ様のために揃えた数え切れない無数の花達…。私はそれを一本拾い上げると  
おもむろにトーマ様の濡れた秘所へと差し込み茎のほうでぐりぐりと掻き回し始めました。  
「ひぐっ!あっ何をオトハ…!」  
「やはりトーマ様はこうして何かを挿し込まれるほうが感じるみたいですわね。  
本当に淫乱なお体になってしまって…こんな細いもの一本では足りませんわね」  
「うああ…オトハ、やめてもうこれ以上何を…」  
股から花を生やしたトーマ様を見下ろしながら私は今度は側に落ちていた  
花瓶を拾い上げました。  
「以前の小さな花瓶はなくなってしまったけれど今度のは大きいのでなくなりませんわね」  
そうして花を引き抜くと硝子でできた花瓶をトーマ様の膣内に捻じ込んだのです。  
「きゃああああ!冷た…っ痛いよ!やめて、抜いてよ!」  
「駄目ですわトーマ様、あまり力んでは中で割れてしまいますわよ」  
「ひっ…」  
その言葉を聞いた途端青ざめたトーマ様は体を硬直させて何とか力をいれないよう  
必死で頑張っているようでした。そんな健気なところもトーマ様の魅力の一つです。  
「さあトーマ様、花瓶には花を活けましょうね」  
恐怖で涙するトーマ様の下半身に挿さる花瓶がぽっかりと口をあけて上を向いてるのを  
見た私は部屋中に落ちた色とりどりの花をそこに活けました。  
「まあ美しい、やはりトーマ様には私の選んだ花が一番似合いますわね」  
「あ…うぐぅ…オトハ許して…やめてぇ」  
「あら困ったこと…この花瓶では10数本しか刺さりませんわ」  
既にぎちぎちと花が詰め込まれた花瓶は、土台をトーマ様の中に沈めているとはいえ  
ぐらぐらとバランスを崩しそうな勢いでした。ふうっと溜息をついた私でしたが  
すぐにトーマ様を安心させるように微笑みました。  
「安心して下さいトーマ様…この部屋にはもっと大きな花瓶も花も  
まだまだたくさんありますからね」  
 
 
 
END  
 

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