「あまりトーマ様を困らせないであげて下さいね」 
私の名はアポロ二アス――朝露に濡れた花が咲き乱れる庭園で、 
花の手入れをしていたオトハに困った顔でそう進言された。 
「私がトーマを困らせる?私はそんなことをしたつもりはない」 
それどころかトーマを躾け、教育し雌としての快楽も教えてやり 
子供まで産ませてやったのだ。 
そして子供が産まれてからは毎日母乳を搾る作業を手伝ってやっている。 
出産後トーマの体を労わるよう言われてからは直接交わることはせず 
口や胸や手といった別の部分で我慢もしてる。もう十日もだ! 
それにわざわざトーマの生殖器を丹念に調べ、形や色、触診までして 
締まり具合の確認もしている。トーマは恥かしいのか嫌がるが体調を 
知るのには必要だ。あの女には過ぎた配慮とも言える私の行動をオトハに 
説明したが彼女は大きく溜息をついた。 
「……お子様への影響もありますしどうか心から仲良くなされますよう」 
私は仲睦まじくしていると言うのに…人の話を聞いてないのだろうか? 
この女にもトーマ同様躾けをしてやるべきなのか。 
私から不穏な気配を感じたのか、そそくさと立ち去るオトハを見送りながら 
しかし私は考えていた。 
確かに言われてみれば最近のトーマの態度はよくない。子供が生まれてからと 
いうもの、世話をしなければいけないと私とは別の部屋で眠ると言い出した。 
そして日々の大半を子供と過ごし私の姿を見るなり宮殿の奥深くに閉じこもって 
しまう。…私を再び避け始めたのだ。そんな私を舐めきった態度は許せるはずも無い。 
それにオトハの言うことも一理ある。子供の教育のためにもトーマとはちゃんと 
話し合わねば…。 
とりあえずトーマの胸を揉みたくなったこともあり私は彼女へ会いに行くことにした。 
 
 
「…何の用だ?」 
トーマは書物の整理をしていたらしく、私の姿を見るなり思い切り不愉快なものを 
見たような視線をなげかけた。 
「今日はまだ母乳を搾ってやっていなかったのを思い出してな」 
「な…!そんなこと誰も頼んでない、私の側に寄るな!」 
そう言うなりトーマは顔を真っ赤にして手にしていた書物を私に投げつけた。 
私はそれを片手で受け止めると何故わざわざ無駄な抵抗をするのか理解に苦しんだ。 
いくら拒んだところで結局はこうして私に蹂躙されるだけなのに。 
「い…っ痛い…!そんな強くするな…っ」 
――壁に背を押し付けられながら私の顔を押し返そうとするトーマは痛みに顔を歪めた。 
胸をしごく度に溢れ出てくる母乳を私は口で受け止めていた。今日は一段と滑らかで 
甘い気がする、昨夜大量にプラーナを摂取させたせいだろうか? 
「う…ああ…っいやぁ……もういい加減に…子供の分がなくなる…っ」 
こんな大量に出てくるくせに無くなるわけなどないだろうと思いながらも 
私はもう片方のトーマの胸に以前壊された搾乳機を新たにこしらえた物をつけ、 
機械のすぐ下に繋がる瓶に子供の分も確保してやっていた。 
これも親心というものだろうか…私も随分大人になったものだ。だからトーマにも 
母親としての自覚を持たせなければいけない。私は本題を切り出した。 
「トーマ、お前は私のことが嫌いか?」 
「はぁっ…はぁ…嫌いに決まってるだろ!」 
涙を滲ませて私を見下ろすトーマの目は憎しみで満ち溢れていた。この目を見る度 
そんな男の子を産ませてやったのだと私は征服感に酔いしれそうになる。 
今はすっかり細くなったトーマの腹にかつての膨らみを思い出しながら頭を 
押し付けると優しく撫でた。 
「そうか…だがお前がいくら拒んでも子供の父親は私だ。なら互いにいい親にならないと 
子供の教育によくないだろ?仲良くしなければな?」 
「貴様の子なんかじゃ…っ」 
「私のことが嫌いならそれでいい、だが子供の前ではそんな態度はやめろ」 
じっと見つめる私に反論しようとしたトーマだったが思いなおしたのか 
少し迷ったような複雑な表情を見せた後、悔しそうに――だが確かに頷いた。 
「…わ…かった」 
やはり子供には甘い。それを聞いた私はほくそ笑みながらトーマの衣をめくりあげると 
細い足を撫で回し始めた。 
「そうか!わかってくれたかトーマ!」 
「な…何を……!」 
「子供のためにも私達の仲睦まじい姿を見せなければな!そうだろう?」 
驚愕するトーマの体に舌を這わせ始めた私の背後では陽の射す窓辺で微かに 
揺れる小さなゆりかごがあった。 
 
「あ…う…んっ……やぁ…!」 
もたれた壁に体を支えられながら片足を持ち上げられたトーマは出産後間もない 
体で私を受け入れていた。久々だったこともあり内部に挿し込んだ瞬間私は少し 
ばかり体液を吐き出してしまった。 
それほどまでにトーマの中は子供を産んだとは思えないほど締りがよくとても心地が 
よかったのだ。普段生殖器を診察してた時も形も崩れておらず色艶もよかったことから 
どうやらこの女は雌としてはとても優秀な体をしているらしい。 
「や…っそんなに激しく…ああっ!…動くな…!」 
「何故だ?トーマは気持ちがよくないのか?」 
「い、いいわけな…ひっ!」 
子宮口付近を突いてやるとトーマは体を仰け反らせ私にしがみついてきた。 
何だかんだ言っても体は正直だ。現に先程から私が指で肉芽を擦る度喘ぎながら蜜を 
溢れさせる。室内に木霊するように卑猥な音をたてる愛液が私の性器にまとわりつくと 
この上ない快感が襲う。さらに粘膜に向けて私は自身を擦りつけた。 
やはりトーマという女はこの瞬間にこそ一番価値があるように思える。 
「う…はぁっはぁ…あ…!や、いやだ…離せ、離して!」 
何かに気付いたように私を引き離そうとするトーマの目には私の肩ごしにゆりかごから 
こちらをじっと見つめる小さな赤子の姿が映っていた。 
「子供が起きてる!アポロ二アス離せ、子供が…見ている…っ」 
子供子供と煩いトーマに少し手を止めた私は振り返った。確かにゆりかごからは 
こちらを見つめる大きな目が二つ…だがそれがどうしたと言うのだ。むしろ最初から 
そのつもりだった私は一旦トーマの中から自身を引き抜くと体勢を変えることにした。 
 
 
「や…やだあああぁぁ!」 
寝台に場所を移したことで後ろから私に開脚させられたトーマはそのまま突き 
上げられながら結合した部分を目の前で眠る赤子に晒していた。 
「やめっ…うぅ…こんな…こんなのいやあぁ!」 
「何を嫌がる、子供の前では愛し合おうとさっき言ったばかりではないか」 
「違…こんなのは…い、いや…見るな…見ないでぇ……」 
しくしくと泣きながら顔を赤子から逸らすトーマだったが彼女の暖かい内部は 
私自身を残惜しい程に締め付け高揚させる。 
より一層激しく腰を上下させる私は指で濡れそぼった肉壁を開くと、より一層 
私達の子に見えるよう広げた。 
「よく見るがいい我が子よ、お前はここから産まれてきたのだよ」 
「やっ…そんなとこ、いやだ…!ああっ!」 
「こんなに咥えこんで…お前の母は淫らな女だ」 
指をしゃぶりながらじっと見つめる子供を前に根元まで深々と突き刺さった私の 
剛直な性器の様子を聞かせてやるとトーマは耳まで真っ赤にして聞きたくないと 
ばかりに頭を振った。 
何度も摩擦された結合部分は泡立ち、そこから落ちた二人の体液は寝台にいくつも 
染みをつくっていた。そして後ろから少し刺激を加えてやったトーマの胸からは 
先程搾ったにも関わらず再び母乳が滴り落ちていた。 
そろそろ限界が近づいた私はトーマの腰を抱えさらに深く突き上げるとぱんぱんに 
膨張した性器から十日ぶりに彼女の中に欲望をたっぷりとぶちまけた。 
 
「しかと見よ…お前は私達がこうして愛し合った結果生まれてきたのだ!」 
「あっああっや…っやめろ!出さないで…やだ、やああああぁぁぁ!!!」 
高らかに笑いあげる私の脈打つ性器からは噴水のように汚れた液体が噴出し、トーマの 
腹を満たしても収まりきらないとばかりに結合部から溢れ出していた。 
「うっ…あ…やだ、見るな…見るなぁ…嫌だ…またできてしまう…また……」 
子供の前であられもない姿を曝け出したことと、再び種を注がれたことでトーマは 
崩れ落ちた。それでも体は微かに痙攣し、快感を得ていたのだと物語る。 
子供の前で達してしまうとはよくもここまでふしだらな身体になれるものだ。 
――とその時、目の前のゆりかごから小さな体が浮かんだと思うとヨロヨロと飛びながら 
こちらに近寄ってきた。驚く私を前にその身体はどうやら腹が減っていたらしく 
匂いに引かれたのかトーマの揺れる胸に吸い付くと微かに滴り落ちていた母乳を 
小さな口で必死に飲み始めたのだ。 
「おお、この子はもう飛べるのか。見たかトーマ?」 
「う…うう…できちゃう…また……子供…子供がまた…産みたくない…もう…」 
初めて我が子が飛んだ感動的な瞬間だというのにトーマは全身をカタカタと震わせたまま 
繰り返し呟くだけで見てもいない。なんて酷い母親なのだろう。 
とはいえ今まさに私達三人は一つになっている、これこそ心も魂も一つになった瞬間では 
ないだろうか。私は今度オトハに会ったらいかに我々が仲良くやっているかをもう一度 
説明してやろうと考えていた。 
「これからもこうして仲良くやっていこうなトーマ、私達は家族なのだ!」 
「や…嫌…もう嫌だ……」 
私は震えるトーマの体を抱きしめながらも家族というものに浸っていた。そしてトーマの 
胸に吸い付く我が子を見ながら子供とは可愛いものだと早く次の子を孕ませてやる日を楽 
しみにすることにした。 
 
 
END 

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