私の名前はアポロ二アス――アトランディア最強の守護天使として
広く名をしられている。今日は私と許婚であるトーマのその後の話を
しようと思う。いや、元許婚といったほうがいいのであろう。
私達が晴れて夫婦の契りを交わしてからというものトーマもようやく
私を意識するようになったらしい。常に私の挙動を警戒し、私の顔色を
伺い、時には殺意を込めた思念を飛ばしてくる。私の寝首をかいて殺そ
うとしたこともあった。以前のように私の存在を無視しきっていた彼女
からは考えられない進歩だ。私は嬉しくてたまらない。
それでもまだ夜の営みには慣れないらしく私が引きずるように寝屋に
連れていってやらなければそれこそアトランディアの、いや世界の果てまで
逃げかねない勢いだった。何処までも世話を焼かせる女だ。
だからしばらくの間周囲の者には夫婦の蜜月を邪魔しないよう言いつけ、
トーマを寝室に監禁することにした。もちろんその気になれば飛んで逃がれ
ることもできるだろう。だから私は前以ってレンシに頼んで造らせておいた
拘束具をつけさせ体の自由を奪ったのだ。
そうして何度も何度も日が昇り沈むまで彼女と交配し続けた。初めは苦痛に
泣いたり屈辱の怒りに満ちていたトーマも次第に私との行為に慣れてきたのか
時に私の性器と結合した部分に快感を感じているようだ。まあ気位だけは高いせいか
私に知られまいと必死に隠しているようだが連日連夜繋がっていれば翅は元より
トーマの感じる場所など手に取るようにわかる。
それでも精神的には決して屈服しないとばかりに強がっていたトーマだったが
決定的な出来事がその身に起きた…私の注入した子種が発芽したらしい。
これでどうあってもトーマは逃げられなくなったのだ。
子供ができたと知った時のトーマの様子と言ったら愉快なことこのうえなかった。
今や翅無しよりも嫌悪する私の子が自らの腹にいる、それだけでトーマは発狂しか
ねない程取り乱し、自害するかと思えたほどだ。だが周りの者からの祝福と期待を
受けた己の使命を思うとそれもできず、近頃は私の子だということを頭から取り払う
ように神の子としての誕生だけを願い名前を考えたり男か女かどちらかなど、
そのようなとりとめのないことを呟きながら現実逃避を繰り返している。
「トーマ、腹の子の調子はどうだ?」
「…別に…特に問題は無い」
「そうかお前に似ればさぞ美しく、私に似れば…どうなるかな…?」
「く…っ」
だからこうして日に一度、トーマの耳元で囁き現実に戻してやるのも私の日課となった。
その時の涙を滲ませ悔しさに震えるトーマの美しさといったらそれは格別だった。
こんな他愛も無い幸せな日々が穏やかに続いていき、トーマの腹も随分と目立ち始めた
ある日のこと、またも彼女は反抗的な態度を取る様になった。私との性交渉をしたくないと
言い出したのだ。
「…いい加減にしてくれアポロ二アス…私のお腹には…こ、子供がいるのだぞ…」
「それがどうした。ここに私とトーマの子がいることは前から知っている」
私の肩に手を回し跨るトーマの濡れた肉壷の、赤子の位置を示すように私の性器で奥まで
突いてやるとトーマは喘ぎ声をあげ崩れ落ちまいと私にしがみついてくる。随分と素直に
なったと教育の成果がやっと見えたと思っていた矢先だというのに。
「だ、だったらもう…これ以上負担になることは…ああっ」
「トーマはよほど腹の子が可愛いのだな。そんなに私の子が産みたいとは思わなかったぞ」
「うう…くっこの子は神の子だ…私は、私は天翅族の未来のため無事産み落とす義務がある…」
あくまで私の子とは認めたくないらしく強情を張る。
「私の子ではないならどうなっても構わない。今度こそトーマが私の子を孕んでくれるよう
その子は何処かへやってしまおうか?」
「…!」
思わず体を硬直させ私の顔をじっと見つめて蒼白になるトーマ。私の一言一句でこんなに表情を
変えるとは実に面白い。
「冗談だ。私がそんなことするはずないだろう、せっかくの私達の子を」
「貴様という男は…何処までも私を弄んで…!」
口を結びながら私を呪うようなトーマの視線も今やとても心地よい。気分のよくなった私は
たまにはトーマの願いを聞いてやろうと彼女の中から硬くそそり立った男根を引き抜いた。
自らの胎内からようやく熱い塊が引き抜かれ、敏感な感覚に身震いしながらもやっと解放され
るのだと私の上から降りようとしたトーマだったが、私の手は彼女の腰を掴み離さなかった。
「ならば今日はこちらを使うか」
困惑するトーマの肉壷から彼女の愛液を糸引かせた私の性器はトーマの白い
小振りな肉尻を掻き分け、その中心にあるもう一つの体内へ繋がる穴へ押し付けられた。
「ひっ…!や、何をする気だ!?」
「力をぬいていろ」
予想していなかった部位に私の性器を押し付けられたトーマは身を捩り慌てだした。
そもそも我ら天翅はプラーナを糧として生きている。すなわち口から食物をとることはなく、
他の生物で言えば排泄器官のこの部分を普段使うことは無い。使うことは無いがせっかく
あるのだから活用してみてもいいだろう。
トーマの愛液によってヌルヌルと黒光りする私の性器の先端を、ほぐすようにトーマの
菊穴に宛がうとそのまま捻り込んだ。
「痛っ…!う…んっ、あぁぁあっ!!」
トーマは慣れない場所への異物感に思わず苦痛に顔を歪め呻き声を上げた。
「あまり力むな、赤ん坊がこっちの穴から出てきてしまうぞ」
「やああぁ…!痛い!苦し…っ苦しいよ……やめて、抜いて!」
まだ全部も入ってないのによほど苦しいのかトーマは私にすがりつき口をぱくぱくさせながら、
何とか呼吸をしようとしている。だけど全く止める気のなかった私がそのまま上下に腰
を動かし始めると、トーマの体重も手伝ってかますます奥深く沈み込んでいった。
「うっあっ…や、やだ…っやめて、ひぅん…!」
私が突き上げ動くたび涙を流して頭を振るトーマを見ていると初めて彼女の純潔を奪った時の
光景が頭を巡る。懐かしさで胸がいっぱいになったことと、後ろの穴の具合が思ったよりよかった
ため私が少しだけ体液を出してしまうとそれを感じ取ったトーマはもう一度私に止めてと懇願
してきた。よほどここを使われるのは気持ちが悪いのだろう。あまりにも必死にトーマがお願い
するので他のことでトーマが私を満足させられるならと条件を出した。
「まずは私と唇を重ねてもらおうか」
「え…そ、それは…」
よほど私が嫌いなのか未だに私を夫とは認めてないのかトーマは一度として私と唇を重ねたことは
なかった。無理矢理してやってもよかったがあくまでトーマの方からさせなければ意味がない。
神聖な器官であるその部分を通じ合わせることほどある意味快楽を得ることは無いのだから。
トーマは迷っているのか戸惑いを隠せない表情で黙っていた。私がここまで譲歩してやってる
のに何が不満なのだ。どこまで図々しい態度をとれば気がすむのか。
「嫌ならこのまま続けるが?」
トーマの揺れる胸を弄びながらも少し苛立った私の口調に慌てたのか、彼女は諦めたように
目を閉じ顔を近づけると、やっと触れたとわかるぐらいの口付けを交わしてきた。間近で見る
トーマの閉じられた瞳は長いまつ毛に涙の珠が浮かび芸術のように美しかった。
私の視線に気付いたのか少し目を開けたトーマは濡れた瞳で静かに私を見つめる。
しっとりとした柔らかい唇からは芳しい香りがし、思わず私はトーマの髪に指を絡め梳かしな
がら手で引き寄せると荒々しく口内に舌を入れ嬲り始めた。それに驚いたのかトーマは私の
胸を叩きながらもがき、やっと唇を離された時には息苦しさから咳き込み私を恨めしそうな目で見た。
その態度が気に入らなかった私はやはりトーマの尻穴を存分に犯すとそのまま欲望をぶちまけ
部屋を後にした。夜になってもトーマは泣き続け、その姿が目障りなので
今日は別の部屋で休むことにした。
そういえばこんなこともあった。
いよいよ出産も間近になりトーマの腹がますます膨れてきた時のことだった。この頃になると
行為の最中にもよくトーマの胸からは母乳が溢れだすことが度々あった。