『始めるぞ』
『わかってるよ!』
ベッドの上で愛する相手と向かい合いながらトーマは軽く後悔していた。
それはその日の昼間の事だった。
『ほ・・・本当に良いのかい?トーマ』
『いっ、良いって言ってるだろう!?何度も言わすな、アポロニアス!』
平和で美しいアトランディアの中で二人の若い天翅がぎゃあぎゃあとやかましく思念を飛ばしあっている。
『なら、今夜・・・良いか?』
アポロニアスがやや遠慮がちに訊くとトーマは翅を膨らませるようにして鋭い思念で言い放った。
『あぁ!いつでも良いぞ!』
あんな事言わなければ、と思いつつも言い放ってしまった手前、今更引くに引けなくなってしまっていたのだ。
『トーマ?脱がないのか?』
『えっ?あ、あぁ、脱ぐよ』
分厚いいくつもの布がはぎ取られまだ誰にも触れられていない白い肌が顔を現す。
『綺麗だ』
アポロニアスの指がそっと触れた。
するとトーマの身体はビクッと反応する。
だが自分とは似てはいるがやはり違う姿のトーマの身体に好奇心を動かされたアポロニアスはそんなトーマの事など気にするよしもなく柔らかな肌に触れていた。
『んっ・・・くすぐったいよ、アポロニアス』
トーマの文句とも言えない意見にアポロニアスは聞いているのかどうかと思う返事で、なおトーマの身体を撫で続ける。
アポロニアスの指はあちこちをまさぐり、次第に敏感な所へと移動していった。
『柔らかいな』
そう言ってアポロニアスは自分の手の平にちょうど収まる位のまだ成長途中の乳房を執拗に触る。
気持ち良いのかどうかよく分からないがどうにもやり過ごす事の出来ない感覚を堪えようとトーマが身を捩ると偶然にもアポロニアスの指が立ち上がっていた胸の突起に触れた。『っ・・・』
軽く痺れるような感覚に顔を歪めて耐える。そんな彼―今の姿からすると彼女と言うべきか―の様子も気に止めずにアポロニアスはなおも身体に触れ続けた。
なんとなしにそれを舌で舐めてみる。
『やっ!ちょっと・・・待って・・・』
すると今まで感じた事のない感覚にトーマは思わず制止の思念を飛ばす。
『どうしたんだ?どこか痛かったのか?』
『え・・・や、そう言う訳じゃ無いけど・・・』
予想外のアポロニアスの言葉に戸惑う。
そんな事言わなくても察してくれ!と願ったがアポロニアスはただ不思議そうにしているだけだった。
『何ともないなら続けるが・・・平気か?』
『ま、待てっ!』
『ん?』
またも失敗した、と思ったがやはりハッキリと言い切ってしまった為に引けなくなってしまった。
『あ・・・えっと・・・わ、私にもさせろ!』
そう叫んだトーマの顔は真っ赤だった。
『お前がしてくれるのか?』
『そうだ!嫌か!?』
『いや?全然。トーマさえ構わないならやって貰おうか』
そう言ったアポロニアスの顔は心持ちニヤニヤしていてからかわれているのがトーマにも感じられた。
だが自分と殆ど歳の変わらないくせに自分より色々な事を知っていてからかってくるアポロニアスが困るところを見てみたい気もした。
そう思うとなんだか楽しみにもなって来た。
けれどもいざ何かしようと思ってもそういったことに興味を持った事のないトーマには一体何をすれば良いか分からなかった。
『あ・・・アポロニアス・・・』
『なんだい?トーマ』
『え、と、ど・・・どうしたら良いの?』
アポロニアスは一瞬キョトンとしてトーマを見るといきなり噴き出した。
『なっ何がおかしい!こんな事初めてなんだからわかる訳ないだろ!』
『いや、悪い!けど・・・あんなに自信満々な風だったのに・・・くくっ』
『う・・・うるさいなっ!分かんないんだから仕方ないだろ!』
きーきー騒ぐ婚約者の頭をポンポン叩いてなだめるとそのままベッドの上に押し倒す。
『っ!?』
『今夜位淑やかにはならないか?』
驚いたまま固まっているトーマをアポロニアスは翅と指で撫で回す。
『やだ・・・待ってよ』
弱々しく抗議の羽音を鳴らすがアポロニアスはその手を止めない。
『待ってってば・・・や、なんか変だよ』
慣れない感覚に戸惑うトーマ。
どうして良いかわからずアポロニアスにされるまま固まったように大人しくなってしまっている。
そうしてる内にもアポロニアスはあちこち触れて楽しんでいる。
トーマは恥ずかしかったが、かといってどうすることも出来ずにただ大人しくしているだけだった。
そのうちにアポロニアスの指がトーマの脚の間に入って来た。
『あっ』
やはり初めての行為は怖いのか咄嗟に逃れようとしてしまうトーマをアポロニアスは己の翼で包み込んで優しく捕らえた。
いつもの彼の守護天翅と称されるのにふさわしい雄々しさを持つ翅がまるで嘘のような程穏やかな羽音を奏でながらなだめるように、可愛がるように和毛でトーマを撫で擦る。
柔らかな翅に包まれたトーマは目を閉じてうっとりとその音に聞き入り自らも翅を震わせた。
翅を持つ者ならではの悦楽に浸っているのだ。
その様子を見たアポロニアスはトーマの秘部に指をなぞらせる。
トーマは軽く震えはするが先ほどまでのように拒絶しようとはしなかった。
太い指がトーマの花びらを広げる。
その内部はうっすらと湿り気を帯びていて熱かった。
無遠慮にまさぐって来る乾いた感触に身体を縮こまらせると大きな手が頭を撫でる。
トーマはそれに応えるようにアポロニアスの顔に触れた。
アポロニアスはトーマにそっと口付けると彼女の秘所を指でなぞった。
前後する指が突起に触れる度、ほっそりとした身体が跳ねる。
アポロニアスは面白がる様にソレを摘んでみた。
するとトーマは身体を強張らせた。
ソレを強く摘んだまま乱暴に転がす。
トーマは震えながら快感に耐えていたが、アポロニアスはなおも愛撫を続けた。
『も、駄目、無理だよ・・・止めて。変なの!』
『どんな感じに変なんだい?』
『っ・・・ばかぁ・・・もう、無理だって、あぁっやだ、アポロニアス、やだっ!』
今にも泣き出しそうなトーマにアポロニアスは好奇心以外の感情を感じていた。
『なあ、トーマ。本当に良いんだな?』
『え・・・うん・・・・アポロニアスとなら、平気』
『そうか』
そう言うとアポロニアスはトーマの身体を押さえ付ける様にして強引に腰を押し付ける。
『っ!?や、痛いよ!やだ・・・』
咄嗟に拒絶しようとしたトーマをアポロニアスは逃すまいと強く抱き締めた。
『・・・っ』
アポロニアスの一部がトーマの柔らかな肉を掻き分けて力ずくに彼女の体内へと押し入って来た。
込み上げて来るような感覚に目を瞑って必死に堪えようとするトーマを守ってやりたいと思うと同時に目茶苦茶にしてやりたいとも思った。
何なんだ?この感じ・・・。
その感覚にアポロニアス自身違和感を覚えるが、内から溢れて来る衝動に流されるまま乱暴にトーマの中に自身を押し込んだ。
強張った肉を無理矢理押し広げるようにして熱い塊がまだ誰も触れた事のない領域へと進んでいく。
『っ・・・あぁ!や、あ、あっやめっ・・痛い・・・待って!痛い!』
トーマの秘所は初めて受け入れる物の質量に耐えられないのか赤い血を流す。
「痛い痛い痛いっ!止めてよ!何でこんなに痛くするの!?」
涙を流しながら叫ぶトーマをアポロニアスは必死に衝動を押さえつつ優しく抱き締めた。
『トーマ・・・』
『アポロニアス?』
アポロニアスはトーマの翅を指で弾いた。
「っ!?」
同じ翅を何度も爪てなぞるとトーマは荒い息で喘ぐ。
自分の翅を一枚抜き取るとそれをトーマの翅の中に差し込んで擦り合わせた。
『やだぁ・・・何これっ!』
何度も翅同士を擦り合わせるとトーマは自らも翅を震えながら快感を感じていた。
「ひぁあっ!や、ああぁ・・・んっ!」
その声は口から出ていたがトーマはそれを止めることは出来なかった。
「なに・・・こ、れ・・・や、あ、あぁっ!」
アポロニアスはゆっくりと腰を動かしたがトーマは先ほどとは違い、快感を堪えるのに精一杯で痛がる事はなかった。
『トーマ、平気かい?』
「っぁ、う・・・うん、平・・気っ」
時折様子を見ながらアポロニアスはトーマの翅を舐めたりもした。
そろそろと動いても痛がる素振りを見せなかったのでアポロニアスは自分にすがりついて来るトーマの体内を激しく掻き回しだした。
アポロニアス自身が激しく出入りする度血と混じり合った蜜が花びらから溢れ出して来た。
「あぁ、あぁっ!ひぁあ・・・も、だめぇ・・・」
嬌声をあげるトーマの秘所は既に熱くとろけそうになっていた。
翅に刺激を与えられる度にアポロニアスを締め付けて離そうとしない。
未だいくらか未熟だがそれでもトーマの生殖器は雌としての役割を果たそうとしていた。
『っ・・・トーマ、もうっ』
絡み付いて来るような感覚にアポロニアスも限界を感じていた。
「え?な・・・なに・・・」
『ト、トーマ・・・出すよ!』
「え?あ、あぁっ・・・やぁっ」
「うぅっ!」
トーマは脈打つような感覚と熱い物が体内に溢れて来るのを感じていた。
全てを出し切ってアポロニアスが自身をトーマの体内から引き抜くと白濁に混じって血液が溢れ出て来た。
『あ・・・』
『どうしたんだ、アポロニアス?』
『トーマ・・・大丈夫だったかい?』
『え・・・うん。大、丈夫・・・凄く痛かったけど』
『う・・・悪かったよ。俺も初めてだったからあんなに痛がると思わなかったんだ。ごめん』
『良いよ、別に。アポロニアスとなら大丈夫だから』
『トーマ・・・』
『でも、次はあんなに痛くしないで貰いたいな』
『ぜ、善処するよ・・・』
終