ケルビム兵との戦闘を終え、麗花は不動に呼び出された。  
初めての合体から、戦闘は毎回うまく行かない。いつも自分が足を引っ張ってしまっていた。  
不幸だわ、と麗花はため息をつきながら不動の元へと向かった。  
 
ディーバの新しい司令官となった不動GENは、実に謎多き人物である。  
颯爽と現れ、エレメント達を初めての勝利へと導いた。  
だがその言動は「変」の一言に尽きる。  
麗花もまた、不動がどんな人物なのかを掴みきれていなかった。  
 
部屋に入るとすぐ、こちらに背を向けた不動が机の向こう側にいるのが目に入った。  
「司令?」  
「紅 麗花か」  
不動はそう言うと、後ろ手に組んでいた腕を下ろし、麗花のいる入口側へと振り向く。  
それと同時に、彼の握り締めた拳が机に強く振り下ろされ、鈍い大きな音を響かせた。  
その音に麗花は肩をびくりと震わせ、やはり、と表情は更に緊張を増す。  
「未熟だ」  
拳を机に貼りつけながら、不動はそう言った。  
行動とは別に、言葉尻からはあまり怒っているという印象は受けない。  
が、自分でもわかっている事を改めて口にされたことで、麗花の気分はますます沈んだ。  
 
不動の言葉に思わず視線を逸らしてしまい、少しの沈黙が流れる。  
しかしその間も不動の目はじっと彼女を見据えたままだ。  
さらに、不動の低い声は彼女に問う。  
「君に足りないものが何か…わかるかね?」  
わからない、とでも言うように、麗花は困った表情を浮かべる。  
 
その顔を一瞥すると、不動は威勢良く叫んだ。  
「強き身心だ!…これがなければ合体はおろか、闘うことも出来ん!」  
やっと机から拳が離れる。体を起こした不動は、今度は前で腕を組んだ。  
「そう、君にはそれが足りんのだ」  
 
心と身体…と麗花は呟く。確かに、そうかもしれないと。  
彼女がちらりと不動の顔を見上げると、彼はかっと目を見開き、叫んだ。  
「特訓だ!」  
相変わらず彼の言うことは意味がよくわからない。が、今の麗花にはそんなことはどうでも良かった。  
不動の言葉に同意するように、彼女は軽く頷いた。  
 
気付いた時には、麗花は机の上に仰向けになっていた。  
不動は彼女に覆い被さるようにして机に手をつき、顔を覗きこんでいる。  
「まずは、合体が何であるかを教えてやろう」  
しかし、麗花は今言われたことやこの体勢の意味がいまいち呑み込めていないのか、きょとんとしている。  
 
不動の右手がそのまま麗花の胸元に延び、彼女のネクタイを外しにかかる。  
そこでやっと、麗花は状況を理解したようだ。瞳は大きく開かれ、軽い悲鳴を上げる。  
「し、司令!」  
手足をじたばたさせ、慌てて身を起こし上にいる不動とその手を払いのけようとする。  
 
すると、不動は彼女が思ったよりも簡単に退いた。机から離れた彼は怪訝そうな顔で自分の顎を撫でている。  
「な…何を!こんな…?」  
麗花に明らかな不安と恐怖のこもった目で見つめられるも、不動は名の通り全く動じず答える。  
「無論その通り、これが今回の特訓だ」  
堂々と言い放つ不動に圧倒され、麗花は何も言えなくなった。  
このままで皆の役に立てるのだろうか、と思ってしまったからである。  
「…お願いします」  
少し悩んだ後、彼女は「特訓」に身を委ねた。  
 
「こういうことは初めてかね?」  
先程と同じ、上に覆い被さるような体勢のまま不動は聞く。  
仰向けの麗花がはい、と言い終わる前に、彼は言葉を続けた。  
「合体は初めてではないだろう、同じ事だ」  
改めて、不動の手が麗花のネクタイにかかる。  
今度はなんの抵抗もない。するりとそれを抜き取ると、左手も含めて彼女のシャツのボタンを外す。  
見た目に反してなかなか器用なのだろう、不動の手は素早く降りていき、あっという間に肌が露出する。  
 
上半身、はだけたシャツの下にはグレーの下着が覗く。色気よりも機能性を重視したデザインからは彼女の性格が伺えた。  
さらにその下、程よく引き締まった腹部から腰までのラインは、彼女が緊張した呼吸をするたびに上下し、艶かしい。  
また、肌が外気に触れたことで、麗花の羞恥心も刺激されたようだ。口はきつく結ばれ、頬はすでに赤らんでいる。  
 
そのことを知ってか知らずか、不動はさらに彼女の投げ出された足に手をかけた。  
机の上に寝転がっている麗花の両足をそれぞれ腕で抱きあげるように持つと、彼女の身体を自分の元へと引き寄せる。  
麗花の両足の間に、不動の身体が割り込む形になった。  
それに麗花は驚いたのか、瞑っていた目を大きく開き、不安げに不動を見る。  
彼女が何かを言おうとしたようだが、不動はそれにも気を留めず、抱き上げた足を離しシューズを脱がせた。  
放われたシューズが床に落ち、軽い音が連続して響いた。  
 
そして不動はそのまま彼女のスラックスに手をかける。  
麗花は身をよじり、小さな抵抗を見せた。  
今までじっと耐えていたが、どうにも恥ずかしさを我慢できなくなったのだろうか。  
不動の手を足で挟んで押さえ、必死に脱がせまいとする。  
嫌か、と不動が問うと、無言の答えが返って来た。  
彼は軽くため息を吐くと、手を離す。麗花の足の力も弱まり、手は抜けた。  
どうしたものか。特訓が進まん。一度身体を起こすと、彼はそう一人ごちた。  
 

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