月明かりが開け放たれた窓から差し込み室内をほの暗く照らし出し、さぁさぁと夜風がカーテンを揺らし、空気を滞りなく循環させていく。  
そんななか、先程から一定のリズムで木製のベッドがギシギシと鳴っていた。  
そして、それに紛れるように艶やかなオンナの…いや、成熟には至らない喘ぎ声が木霊する。  
ギシ、ギシ、ギシ、ギシ……  
「はっ…はあ…はぁ…あっ」  
ベッドの上に横たわる赤髪の少年の腰に跨る形でその黒髪の少女…紅麗花は宙空に年齢に不相応の喘ぎを漏らしていた。  
その何も身に着けていない透き通る白さの裸身は麗花の持つスレンダーな肢体に濡れ光る汗が月明かりに反射して一種の神々しさすら感じさせた。  
「あ、アポロ…」  
「……あ?」  
その少年の腹筋に両手をついて眼下の…太陽の翼アポロニアスの生まれ変わりとさせるアポロの瞳を覗く。  
自分より年少の、幼さを残しながらも透徹な意思を秘めた眼差しが見上げてくる。  
(あぁ、いつも、だわ…)  
アポロとまぐわいながら彼の瞳に見詰められると堪らなくなる。  
腹腔の奥、自分でも想像できないほど身体の深淵から様々な感情が去来してくる。  
愛情、友情、劣情、苦悩、そして…これはナニ?  
甘美な蕩けるほどの蜜の中枢に甘酸っぱさを感じる。  
これを魂の充足といううのだろうか  
初めて<伝説のアクエリオン>で合体したときの、強攻型とは比べるべくもないほどの、恍惚感を体感した時と似たような感覚。  
「ん?…麗花」  
「え?な、なに?」  
「腰…止まってる。早くしねえと…」  
「ご、ごめんなさい」  
いつのまにか中断していた腰の動きを、どちらかというと潔癖の彼女にとって、精一杯に淫らな表情で…腰の動きで再開する。  
ズジュ…ジュ…クジュ…ジュ  
一週間前にはまるで出来なかった腰のくねらせ方は、アポロを悦ばせようとこの短期間で修得したものだ。  
麗花自身思ってもみなかったのだが、どうやら自分は俗に言う『尽くすタイプ』のようだった。  
こんな年端もいかない少年に、『奉仕する』というカタチに完全に虜になっていた。  
ズンズンと膣から子宮口までみっちり詰まった、少年とは逸脱した魁偉が蜜を溢れさせ、麗花の快感を増大させる。  
「ああぁっ!はぁっはぁっはぁあっ!!お、お願い、アポロ!速く、は…やく出して!!」  
ゾクゾクと背骨から脳髄まで快感がせり上がっていくのを感じながら、麗花は哀願するかのようにアポロに懇願する。  
顔を紅潮させながら潤んだ瞳で見つめられてオスとしての支配欲が刺激されたのか、アポロはおもむろに上半身を起き上がらせる。  
そして麗花の両手に少し余る胸の谷間…といえるほどもないが…に顔を押し付けると瑞々しい弾力を持つ尻をガシッと抱え込み激しく揺さぶる。  
「……っ!!」  
「嗚呼!はあぁぁぁぁあ!!」  
快感が倍増した麗花は堪らずにアポロの頭を胸に掻き抱き、スラリと長く無駄な肉が一切ない両足を腰でクロスさせた。  
「駄目!駄目よ!早く、しなくちゃ、ああ、シルヴィアがっ」  
ギシギシと先程より更に激しく軋みを上げるベッドの音のせいで麗花は気づかなかった。  
自分の背後から、カモシカのような裸体を惜しげもなく晒しながら、その汗と様々な粘液に濡れ光る肢体をゆっくりと近付ける…少女の存在に。  
 
 
ギッシギッシギッシ  
 
『…ああ、はぁあっ』  
 
「………ん……」  
 
外部の音に鼓膜を震わせ、眦がぴくりと動くのが実感した。  
水底からゆっくりと浮かび上がるように意識が覚醒していくのを感じる。  
(…ワタシ…)  
うっすらと目を開けると、まず最初に目に飛び込んできたのは、白くてシミひとつない裸身の背中だった。  
ソレは汗をキラキラと飛び散らせながら上下運動を繰り返したかと思えば、円を描くように腰を捻ったり前後に揺すったりしてる。  
視線を上に向ければ、黒髪のショートヘアの女が髪を振り乱し喘いでいるのが見て取れた。  
ボーっとまだ覚醒しきれずにぼんやりと眺めていたが、徐々に意識がハッキリしてきた。  
(…そっか、ワタシ…ま〜た気絶しちゃったんだ)  
腰に最近になって(といってもここ一週間くらいだが)少しは慣れてきた<行為の後>特有の気だるさを感じて、「ハァ」と小さく溜息をつく。  
 
そこまで認識すると窓から入り込んだ外気に汗が乾いた肌が当てられ、肌寒さを覚えた。  
 
「…寒い…」  
 
ブルッと身を震わせて思わず自身の何一つ身に着けてない、眼前のオンナ…紅麗花とはまた別種な白さを持つ柔肌を抱え込む。  
(なによ毛布くらいかけてくれてもいいじゃない乙女のカラダをなんだと大体アイツは…)  
などとブツブツぼやきながら半身を起こして半眼で熱気ムンムンな二人を睨む。  
 
「はぁっ、はぁっ、くっうぅ」  
「…………っ」  
 
こちらに背を向けているので麗花の表情は分からないが…いや、考えるまでもない。  
漏れ聞こえる声を聞かなくてもはっきりとわかる。  
きっと、普段はキリッとした顔つきを快楽に滲ませながら頬を真っ赤に染めて、それでも必死にソレに飲み込まれまいと歯を食い縛ってるに違いない…、もう何回も見た。  
麗花のそんな表情を拝めるのは自分と…そうさせている張本人、アポロだけ。  
 
いつも決まってワタシタチ三人は一緒に…その…SEXをする。  
それが歪だというのはワタシも麗花も理解している。  
お互い随分悩んだし、ちょっとすれ違いもあったりした…。  
ただ一人、その直球ど真ん中たるアポロだけが「モラル?何だソレ」とどこ吹く風だったのは言うまでもないけどね(怒)  
ワタシも麗花も抵抗がないわけじゃないんだけど、もう受け止めた。  
 
もうワタシたちとアポロは切っても切り離せないんだ、って。  
 
「駄目!駄目よ!早く、しなくちゃ、ああ、シルヴィアがっ」  
 
まぁ、いいワ…さっきのお返しよ、よくも散々アポロと一緒に弄んでくれたわね。  
今度はワタシが失神させてやるんだから。  
………そんなこんなで、私たちは毎夜、みんなが寝静まった時に窓から侵入してくるオオカミさんに夜更けまで啼かされている。  
 

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