「おめでとう!」  
 
祝福の言葉が口々に2人へとかけられる。  
そう、今日は元「女王の卵」であるアンジェリークと、  
彼女の年上の幼馴染ベルナールとの結婚式だ。  
過酷な使命を健気に果たしたアンジェリークとそんな彼女を  
ずっと見守り続けた2人のゴールインは、アルカディア全土に祝福された。  
もちろん、彼女とともに戦ってきた面々も、そんな2人を心から祝う。  
ある者は、複雑な表情で。  
「アンジェリーク、オレは…。いや、いい。  
 お前が幸せならそれでいいさ。頼むから幸せになってくれよ」  
ある者は、からかい気味に。  
「このように可憐な花がたったひとりのものになってしまうのは惜しいですが、  
 花自身がそう望むのであれば仕方ありませんね。  
 純真な花の種が女性としての潤いを知って、今度はどんな  
 妖艶な蕾をつけるものなのか…楽しみにしていますよ、フフッ」  
ある者は、満面の笑みで。  
「おめでとう、アンジェ、ベルナール! 今日のウェディングケーキは俺から君たちへの手向けだよ。  
 喜んでもらえると嬉しいんだけど…」  
ある者は、常と変わらず。  
「例え人の妻となったとしても、貴女は俺がもっとも敬愛する女性であることは、これからも変わらん。  
 新たな日々に幸多からんことを祈っている」  
そして、ある者は遠く離れた地から筆に想いを乗せて。  
「親愛なるキミへ。誰かのお嫁さんになったからって、ボクのこと忘れたりしたら許さないからね。  
 …おめでと」  
 
アンジェリークは頬を染め、嬉しそうに人々からの祝辞に答えている。  
シンプルながらも上質なドレスに身を包んだアンジェリークは、  
まばゆいばかりの美しさと可憐さで、まさに「天使」と形容するに相応しい。  
そんな彼女を愛しくて仕方ないといった様子で見つめるベルナール。  
騒々しくも幸せな1日は、その場に招かれていたすべての人々に祝われて惜しまれつつ幕を閉じた。  
 
そして、夜。  
 
今、アンジェリークは、ニクスがその人脈を生かして確保してくれた  
スウィートルームで、身を固くして彼女の夫を待っている。  
友人のハンナとサリーがプレゼントしてくれた、  
繊細なレースが随所に散りばめられた白いネグリジェに身を包んで。  
が、これから起こることを考えると、どうしても広く開いた胸元が気になってしまい、  
ついつい鏡の中の自分を凝視してしまう。  
「この寝巻き、とっても可愛いんだけど少し胸元が開きすぎじゃないかしら…  
 腕もすごく出ちゃうし、それに生地もすごく薄いわ…。  
 ベルナールさんにはしたないと思われたら、どうしよう…」  
「そんなことはないよ。とてもよく似合ってる。綺麗だ」  
「きゃあっ!」  
不意に振ってきた愛しい人の声にぎょっとして振り向くと、  
シャワーを使っていたはずのベルナールがニッコリ笑って立っていた。  
そういうベルナールが身に着けているのは、黒いバスローブだけ。  
ルーズに合わせられた胸元から除く胸板や、ローブの裾から出た、  
すらっと筋肉の付いたふくらはぎに男を意識してしまい、  
アンジェリークは思わず赤くなって横を向いてしまう。  
ベルナールは苦笑せざるをえない。  
「こんな格好でごめんよ。花嫁さんに失礼かなとも思ったんだけど、こういう時、  
 ほかにどういう格好をしたらいいのかわからなくてね。…何か飲むかい?」  
そう言って備え付けの冷蔵庫から缶ビールを取り出したベルナールは、蓋を開け、中の液体を勢いよく口に流し込む。  
天をあおぐベルナールの喉仏が上下し、ゴクッゴクッと流し込まれる音さえ聞こえてきそうだ。  
そんなベルナールを見て、またアンジェリークは顔を赤くする。  
(いやだわ。ベルナールさんが飲み物を飲むところなんて、  
 これまで何度も見てるじゃない。なんでこんなにドキドキするの?)  
「…アンジェ?」  
「は、はいっ! あの、あの、じゃあお水をもらえますか? 喉がカラカラなんです」  
「水ね。わかったよ。…はいどうぞ、お姫様」  
ベルナールがグラスに注いでくれたミネラルウォーターを受け取ると、アンジェリークは一気に飲み干した。  
「ありがとうございました…」  
一息ついたアンジェリークがベルナールを見上げると、自分を見つめるこの上なく甘い視線にぶつかった。  
また真っ赤になって、うつむいてしまうアンジェリーク。  
「あの、ベルナールさん…」  
「ん? なんだい?」  
「あまり、見ないでください…」  
「どうしてだい?」  
「だって、だって…きゃっ!」  
緊張のあまりパニック状態を起こしかけている頭で必死に答えを探していたアンジェリークは、  
いつのまにか近づいてきていたベルナールにふわっと抱きしめられた。  
「こんなに綺麗な君を見るな、だなんて、あまり意地悪を言わないでおくれ、奥さん」  
『奥さん』の呼びかけに、またボッとアンジェリークが赤くなる。  
「だって…。だって…」  
「アンジェ。…こちらを向いて」  
呼びかけに、ベルナールの腕の中で必死に顔をあげる。  
 
「もしかして、緊張してる?」  
「……。してます…。どうしていいか、わからなくて、私…」  
「そうか。…そうだね。君のような女の子が、こんな時に緊張しない筈がない。…気づいてあげられなくて、ごめんよ」  
「違います。違うんです。ベルナールさんは悪くないんです。ただ、私が子供だから…」  
必死にかぶりを振るアンジェリークに苦笑するベルナール。  
「でもね、僕は君よりも少しだけ大人だけど、僕も緊張してるんだよ」  
「えっ? 嘘…ベルナールさんも?」  
「この世で一番愛してる女の子が僕の奥さんになってくれるんだ。緊張しない筈がないだろう? …ほら」  
そう言ってベルナールは、彼女の顔を自分の裸の胸に当てる。  
ベルナールの素肌を頬に感じてアンジェリークは更に身を固くするが、  
やがてトクン、トクンと早鐘のように打つ彼の鼓動に耳を預けた。  
「本当…ベルナールさんの心臓の音、すごく、早い…」  
「信じてくれたかな?」  
「はい…」  
ふっとベルナールの大きな手のひらに両頬を包まれ、  
上を向かされると、真剣なベルナールの眼差しが彼女を見下ろしていた。  
「…アンジェ、僕はこれから君にひどいことをしようとしているのかもしれない。…僕が怖い?」  
「……」  
答えられないアンジェリークに、ベルナールが切なげに笑う。  
「怖いなら、今日は何もしない。このまま休もう?」  
「いやっ!」  
「…アンジェ?」  
誰よりも優しく自分を見守ってくれた、大好きなベルナール兄さん。  
彼にそんな顔をさせてしまうのが申し訳なくて、彼女は半ば涙声になりながら必死に訴えた。  
「本当は私、怖い…でもベルナールさんは怖くないです、本当です!」  
「無理してはいけないよ、アンジェ?」  
「無理なんかしてません! それに私、ベルナールさんが好き。…大好き。  
 私、ベルナールさんの奥さんになりたい…。本当の奥さんになりたいです。  
 だからお願い、ベルナールさん…」  
「アンジェ…」  
「きゃっ!?」  
可憐に自分を見上げるアンジェリークに感極まったベルナールは彼女を抱き上げた。  
「君が嫌がることは絶対にしない。君を幸せにするよ。約束する」  
「ベルナールさん…」  
意を決したようにアンジェリークが彼の首にぎゅっと抱きつくと、  
そのままベルナールはベッドルームへと歩を進めた。  
 
天蓋の付いたキングサイズのベッドの上に、宝物を置くようにそっとアンジェリークを横たえる。  
その華奢な身体の上に覆い被さると、アンジェリークの唇をついばみながら、ささやく。  
「愛してるよ、僕のかわいいアンジェ…」  
何度か唇で唇を愛撫した後、するっと舌を忍び込ませた。  
目を見開くアンジェリークを見て、「こんなキスは、初めて?」と聞いてみる。  
アンジェリークは頬を真っ赤に染めて、こくんと頷く。  
「かわいいよ、アンジェ。僕が教えてあげる。大人のキスも、ほかのいろいろなことも…」  
艶のあるテノールに耳元でささやかれ、それだけでアンジェリークの身体がピクンッと跳ねる。  
そんなアンジェリークに男の欲望を煽られたベルナールは、一気に深く口付ける。  
咥内のあらゆるところを刺激され、あまりの気持ちよさにアンジェリークはもう何も考えられない。  
気が付けば、ベルナールに誘われるまま、自分から舌を絡ませていた。  
思うが侭に彼女の唇を貪った後、ベルナールが唇を離すと、アンジェリークは物足りなさげに  
潤んだ瞳で彼を見上げた。  
唇を半開きにし、上気したアンジェリークはこの上もなく艶かしい。  
「アンジェ、君のすべてを見せて…」  
するっと胸元のリボンをほどくと、ビクンとアンジェリークが身を固くするが、やがて  
おずおずと、ベルナールが脱がせやすいよう腰を浮かせる。  
そして、まっさらな、染みひとつない白い裸身がベルナールの視線に晒された。  
「ああ…きれいだ、とても…」  
華奢な身体からは想像できなかった豊かな胸の頂上では、すでに快楽の証がポツンと自身の存在を主張していた。  
誘われるように、ベルナールがそのうちのひとつにチュッと音を立てて口付ける。  
「やっ…?」  
ぞくっと背筋を走る初めての感覚に、アンジェリークが戸惑いの声をあげるが、ベルナールは  
構わずもうひとつの蕾も摘んだ。  
そのまま、ひとつの蕾は舌で転がし、吸い上げ、甘噛みし、もうひとつは指で弄ぶ。  
飽きれば左右を入れ替え、また同じことを。  
「あっ、あっ、ああっ…?」  
次々と与えられる快感にアンジェリークはもう夢中だ。  
ベルナールのいたずらな舌は時に二の腕に移り、指先まで愛したあと臍の窪みを弄び、また胸の頂に帰る。  
全身を丹念に愛され、アンジェリークが戸惑いと快楽の声をあげる。  
 
アンジェリークの心と身体が柔らかく蕩けてきたことを感じとったベルナールは、  
いったん愛撫を中断し、自らもバスローブを脱ぎ捨てた。  
幼い頃から知っているはずの男性なのに、裸身を見るのは初めてで、  
そのしなやかな、男の身体にアンジェリークは思わずうっとりと見とれてしまう。  
そんな彼女に少し照れくさそうに笑いかけると、ベルナールは  
再び彼女に覆い被さり、彼女の腰の辺りに指先を滑らせた後、  
すんなりと伸びた太腿の間に伸ばした。  
「やぁっ…?」  
自分ですらも触ったことのない部分に触れられ、アンジェリークの身体に力が入る。  
「大丈夫。大丈夫だからアンジェ、僕に任せて…」  
幾重にも重なった花弁を掻き分けると、すでにそこはしっとりと蜜を蓄えていた。  
「感じてくれていたんだね、アンジェ…嬉しいよ」  
チュッと彼女の額に一度口付けると、花弁付近を優しくなぞる。  
時折その指先が蕾を掠め、アンジェリークの身体はこれまでとは違う快楽に染められていく。  
「そう…そのまま力を抜いていて…」  
ベルナールは彼女に覆い被さっていた身体をずらすと、ぐいっと彼女の両足をこじ開けた。  
「やっ、ベルナールさん…!?」  
一番恥ずかしいところを一番好きな人に曝け出すことになってしまい、  
アンジェリークが戸惑う。  
「言っただろうアンジェ? 君のすべてが見たいんだ」  
「でもこんな…恥ずかしいです…」  
「恥ずかしがる君もかわいいね、アンジェ。  
 知っているかい? 君のここはこんなにも綺麗だ。…そう、思わずこうしたくなるくらいにね」  
「ベ、ベルナールさんっ…!?」  
彼女のそこに顔を近づけると、ベルナールはそこで可憐に主張する蕾にそっと舌を伸ばした。  
「ああっ…!?」  
とたんに背筋を走る快感にアンジェリークは悲鳴をあげる。  
そんな彼女の声をもっと聞きたくて、ベルナールは更に舌で彼女に愛撫を施しながら、  
そっと彼女の内部に指を差し入れた。  
「ひぁ!」  
内部にベルナールの長い指を感じ、アンジェリークが震える。  
「…痛いかい?」  
ベルナールの問いかけにも、ふるふるとかぶりを振ることしかできない。  
「そう、ならこのまま感じていて…」  
「あっ、ああっ、やぁっ…」  
ベルナールのペンだこで固くなった指に敏感な内部を擦られ、舌で蕾をつつかれ、  
アンジェリークは悲鳴をあげ続ける。  
「あっ、ああっ…、もうダメ…ベルナール兄さんっ…!」  
途端にふっと全身を苛んでいた快楽が消え、アンジェリークが目を開けると、苦笑気味に  
ベルナールが彼女を見下ろしていた。  
「こら」  
「えっ?」  
アンジェリークは、もしかして自分が何か変なことをしてしまったのかと  
不安げにベルナールを見上げる。  
「『ベルナール兄さん』、じゃないだろう?」  
「あっ…?」  
次から次へと与えられるあまりの快楽に、思わず昔からの呼び方で  
彼を呼んでしまったことに気づいたアンジェリークはカーッと赤くなる。  
そんな彼女の唇を軽く吸うと、ベルナールは再び彼女の蜜を啜ることに没頭し始めた。  
 
「ああっ?」  
「答えて、アンジェ。僕は、君の何?」  
ベルナールが喋るたびに、彼の吐息が蕾をくすぐる。  
アンジェリークは快楽に思考を攫われそうになりながらも必死で答える。  
「ベ、ベルナールさんは…」  
「僕は?」  
そうしている間にも、ベルナールの舌と指は彼女に快楽を与えることをやめない。  
それどころか2本、3本と指が増えてゆき、一層激しく彼女を攻めたてる。  
「あっ、昔から優しくしてくれたお兄さんで…」  
「ふぅん、お兄さん…?」  
心なしか、舌と指の動きが激しくなったのは気のせいだろうか。  
彼女の内部に埋め込まれた指達がバラバラに動き、彼女の内部を刺激する。  
「続けて、アンジェ」  
「いつも優しくしてくれて…ああっ…、暖かくて、頼もしくて…」  
「それから?」  
容赦ない責めに、慣れていないアンジェリークは必死に抗いながら続ける。  
「世界で…一番大好きな人でっ…、私のだんなさまっ…! あっあっ、いやあーっ!!」  
ついに限界を超えたアンジェリークの身体は、ピンとのけぞった後、ぐったりと弛緩した。  
生まれて初めて迎える絶頂に、頭がクラクラする。  
「…そう、僕は君の兄さんなんかじゃない。君を愛するただの男だ」  
熱い声に目を開けると、苦笑気味のベルナールの視線とぶつかった。  
「初めての夜だから、とびきり優しくしたいと思っていたのに、  
 こんなふうにいじめてしまうなんて…ごめんよアンジェ」  
「ううん、私が悪いんです。こんな時に昔の呼び方で呼んでしまったから…」  
「君は何もかも初めてなんだから、昔からの癖が出てしまうのは仕方ないさ。  
 それなのについカッとなってしまうなんて。…僕もまだまだだね」  
「ベルナールさん…」  
「こんな僕だけど、誰よりも君を愛してる。君がすべてが欲しいんだ。  
 改めて頼むよ。…僕のものになってくれるね、アンジェ?」  
コクンとアンジェリークが頷くのを見届けた後、ベルナールは既に痛いほど張り詰めた  
自身を、とろとろに蕩けた彼女の泉に宛がった。  
 
「愛してる、アンジェ…」  
言いながら、ぐっと腰を進める。  
「んんっ!」  
ある程度進んだところで、アンジェリークが眉をしかめる。  
「つらいんだね…。でももうとまらないんだ、ごめんよ…」  
そう、どんなにアンジェリークがつらそうな顔を見せても、  
艶やかに感じる姿に、声に散々煽られた感覚は、  
いかにベルナールと言えども今更なかったことにはできない。  
それどころか、自分が彼女にこのような切なげな顔をさせていると思うと、  
一抹の罪悪感と共に、男としての欲望は煽られる一方だ。  
せめて、彼女がなるべくつらくないようにと、ベルナールは  
泉の上部で勃ちあがっている蕾と胸の頂に手を伸ばした。  
「ひぁっ…?」  
再び与えられる快楽に、アンジェリークの身体の力が抜けていく。  
その間にぐっ、ぐっと腰を揺すって、ベルナールはようやくすべてを飲み込ませることに成功した。  
「はぁ…はぁ…全部、入ったよ。…わかるかい?」  
アンジェリークは息も絶え絶え、といった様子で、それでも健気に頷いてみせる。  
「これで私、本当にベルナールさんのお嫁さんになれたんですね…」  
「そう。これで君は名実ともに僕の妻だ。嬉しいよ、アンジェ」  
「私も…私も嬉しいです、ベルナールさん…」  
そう言って、涙目で恥らうアンジェリークに、  
暴走しかけた己の欲求をなんとかベルナールは押さえ込む。  
心のままに愛するアンジェリークの身体を貪りたいのは山々だが、さすがに  
初夜の花嫁を壊してしまうわけにはいかない。  
それに彼女にこれ以上つらい想いをさせることは、わずかに残った  
彼の理性の良しとするところではなかった。  
自分をきつく包み込む彼女の熱い内部を味わいながら、しばらく彼女が落ち着くのを待つ。  
その間にも彼女の額へ、頬へ、瞼へ、キスの雨を降らせる。  
そうして彼女が自分に馴染んできたのを感じたベルナールは  
「…もう大丈夫かな。動くよ?」と告げてゆっくりと腰を突き上げ始めた。  
最初はびくっと身体を強張らせたアンジェリークも、  
内部を固く逞しいものでゆるやかに刺激されると次第に艶やかな声を上げ始める。  
「ああっ…ああ…」  
次第にベルナールの動きが早くなる。  
それにつられるように、アンジェリークの声も高くなっていく。  
「あっ、あっ、あっ…」  
指で彼女を溶かしている時に見つけた、最も敏感な部分を太く張り出した部分で刺激する。  
「ああっ、それ、だめぇっ…」  
かと思うと、先端を最奥に押し付けたまま腰を回し掻き乱す。  
「ひあっ? あっ、ああっ…」  
何もかもが初めてのアンジェリークは、大人の男性の手練手管についていくのが精一杯だ。  
次第にきつく己を締め付けるアンジェリークに、  
終わりが近づいてきたことを感じ取ったベルナールは、  
自らも熱い息を吐きながらアンジェリークの耳元で  
「アンジェ、目を開けて…?」  
と囁いた。  
 
が、その間も腰の動きが止まることはなく、快楽に翻弄されている  
アンジェリークはそれどころではない。  
重ねてベルナールが、突き上げを緩めつつ、ささやく。  
「アンジェ、目を開けて、僕を見て…?」  
少し弱まった刺激に必死の思いでアンジェリークが瞼を開けると、汗だくの  
ベルナールがこちらを見下ろしていた。  
「そう…そのまま僕を見ていて。僕の手で大人になる瞬間の、君の顔が、見たい…」  
ベルナールの言っている意味はよくわからないながらも、  
愛する男性の言葉に必死に従おうとするアンジェリークは  
視線を合わせたまま、頷く。  
「いい子だね、アンジェ。君は僕の半身だ…。一生かけて君を愛すると誓うよ」  
「私も…私も一生、ベルナールさんを愛します…」  
あまりの幸福感と、ジリジリと脳を焼く快楽に、アンジェリークが再び涙ぐむ。  
その言葉に煽られたベルナールの動きが再び徐々に大きくなってゆく。  
「アンジェ…このまま僕と一緒に、いこう?」  
言うなりアンジェリークの脚を抱え込んだベルナールは、本能のままに腰を突き上げ始めた。  
「ひっ、ひぁっ、ああっ…?」  
ひときわ強烈な快楽が腰から背筋をかけあがり、アンジェリークは目を見開く。  
ベルナールのたくましい腕にかけられた自分の脚が、突かれるたびに  
ゆらゆらと揺れるのが見える。  
ベルナールの額から顎を伝って胸板にまで流れ落ちていく汗も。  
そして激しい吐息を吐き出す唇も、案外筋の通った形の良い鼻梁も、自分を熱い視線で射抜く眼差しも。  
それらを見つめながら、内部で自分を貫いているものが  
ぐっと最奥に押し付けられ膨らむのを感じた瞬間、  
アンジェリークは絶頂の悲鳴をあげながら気を失っていた。  
 
「…アンジェ。アンジェリーク」  
自分を呼ぶ愛しい人の声に、アンジェリークはゆらゆらと波間を漂っていた  
意識を覚醒させた。  
「よかった。気がついたね」  
「あの…私…?」  
何がなんだかわからないといった表情のアンジェリークに、ベルナールはクスッと笑ってしまう。  
「少しの間、気を失っていたんだよ。ほんの30秒くらいかな?  
 …無理をさせてしまったみたいだね、ごめんよ」  
初めての夜に、快楽のあまり気を失うという醜態を晒してしまったと知り、  
アンジェリークは狼狽しつつも  
「ベ、ベルナールさんのせいじゃないです!」  
と彼をかばう。  
「僕のせいじゃない?」  
「はい、私が勝手に…あの、あまりに…」  
「ん?」  
「あの…あまりに…その…気持ち、よくて…」  
真っ赤になりながら蚊の鳴くような声で答えるアンジェリークに、  
かわいくてたまらないというように、そっとベルナールはキスを落とした。  
「そんなにお気に召していただけたなら、よかったよ、奥さん」  
「お、お気に召してって、そんなことないですっ!」  
からかうような声音に、アンジェリークは思わず否定してしまうが、  
「…そうなのかい? 気に入らなかった?」  
と不安そうに突っ込まれてしまえば、  
「いえ…あの…す、素敵でした…」  
白状しないわけにはいかない。  
「そうかい? それならよかった」  
愛するだんな様ににっこり微笑まれて、まあいいわ、とほのぼのしたのも束の間。  
「それなら、もう一度君を抱きたい、と言っても許してくれるかい?」  
油断した頃に投下された爆弾に「えええええっ!?」とうろたえまくる  
疲労困憊の新妻であった。  
自分に埋め込まれたままのベルナールが、いつの間にか  
再び固くなっていることに気づいても後の祭り。  
「あの、あの、こういうことってそんなに何度もするものなんですかっ?」  
と、抗議しても  
「そりゃもう。こんなに可愛い奥さんをもらったら、男は何度でも抱かずにはいられないものさ」  
と、かわされ。  
「あのベルナールさんっ! 私、喉が乾きました。お水を飲みたいんですけど…」  
と、ねだっても、  
「いいよ。好きなだけお飲み」  
「ん…はふ…」  
ベッドサイドの水差しの水を口移しに何度も与えられる。  
「えいっえいっ」  
力づくでベルナールの腕の中から逃れようと、  
ポカポカと彼の胸に小さな拳をぶつけてみても、当のベルナールは  
「ははは、僕の奥さんは本当にかわいいなあ」  
とニコニコするばかり。  
とうとう逃亡を諦めたアンジェリークが彼に身を預けてしまえば、  
ベルナールは腰を揺すり、固くなったもので彼女の内部を再び擦り始め…。  
「ああっ、そんな、また…また…やぁんっ」  
結局、新婚初夜のスウィートルームには、明け方まで新妻の甘い声が響いていたのであった。  
 
終わり。  
 
 

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