「私の胸の鼓動が聞こえますか?アンジェリーク」
そう言って引き寄せる腕が思いのほか力強かった。
穏やかな物腰、中世的で柔和なお顔立ちからは想像出来ないくらいの
逞しい胸板に顔を埋めると、心臓の音が右耳に伝わってきてジンジン熱くなる。
頬にかかるさらさらした髪の感触が冷たくて気持ちいい。
優しい雨の音は、騒がしい毎日に静けさをもたらしてくれる。
しかし時には激しく打ち付け、すべてを破壊し飲み込んでしまう。
リュミエール様、水の守護聖。あなたに溺れてしまっても良いのでしょうか。