ゴロゴロ───。ザアアアア───。  
唸るような低い雷鳴とともに突然降り出した雨。  
「夕立みたいなもンだな。仕方ねェ、あそこでやり過ごすか」  
狭い空間。ガラスに叩きつけられる雨粒。  
カプリコルン広場片隅の電話ボックス。夕刻の突然の雨に、屋台を閉め始めていた店員は  
急いでシャッターを下ろすと慌しく走り去っていく。多少濡れるのを覚悟して走れば  
よかったのだが一旦落ち着いてしまうとこの土砂降りの中を  
敢えて走ろうという気にはなれなかった。何より一緒にいるこの人が嫌がるだろう。  
誰もいない広場に取り残された気分。なんとなく交わす言葉もなく無言でガラスの向こうを  
眺めていると、あの日のことを思い出してしまう。初めてこの人と過ごした夜も、こんな  
激しい雨だった。思い出すだけで体の奥がじわりとする。  
 
降り続く雨の向こうに街灯がひとつまたひとつ灯り始める。いつもならまだ明るいこの時間も  
垂れ込めた雲に覆われて外はすっかり暗くなっている。  
稲妻と雷鳴は激しさを増し、光と音の間隔が徐々に短くなっている。  
「来るな」  
エンジュの後背のガラスに腕を組み寄りかかって外を眺めていたレオナードが独り言の様につぶやいた。  
「え?」  
空全体が瞬間不気味に青白く光り、間髪入れずガラスをびりびりと揺るがすほどの轟音が鳴り響いた。  
どこかに落ちたんだろうかと思う間もなくボックス内の蛍光灯がパチパチと稲妻のように  
瞬いたかと思うと静かに消えた。広場に散らばる街灯も消えている。  
公衆電話の非常用電源がグリーンのダイヤルナンバーのライトをぼうっと浮かび上がらせる。  
頼りなげな明かりではあったがまったくの暗闇よりはましだったし、相手の顔が見える程度に  
明るければボックス内にいる分には充分だった。  
 
「停電なんて珍しいですね」  
「ま、ここじゃ珍しいンだろォな」  
落ち着き払って言う。エンジュが怪訝そうな顔をしていると言葉を接いだ。  
「ここに来る前は、お前も見ただろうが、あんなところだったからなァ。  
停電なんてしょっちゅうだったぜェ。ま、料金払ってなかったのが原因の  
大半だったけどな」  
 
停電に慣れているというのも珍しいがいずれにせよますます身動きが  
取れなくなってしまった。雨足も弱くなる気配を見せず降り続けるばかりだった。  
「ふう…」  
怖いわけではなかったが明かりがないというだけでやはり焦りのような不安を感じていた。  
大丈夫。そう自分に言い聞かせるため深呼吸した。視線を感じて振り向くと引き寄せられ、  
抱き締められる。厚い胸板に寄りかかると耳慣れた鼓動に心が休まる。大丈夫。  
今ここに一緒にいるのがこの人でよかったと思った。  
 
ザアアアア───。相変わらず降り続く雨。閉じ込められていると時間が経つのが  
長く感じられる。目の前には分厚い胸板。悪戯心が芽生える。  
 
指先でハートマークを描き、チュッ。くすくす。  
胸板に軽くキス。見上げてもレオナードは外を眺めたまま──。もう一度チュッ。  
なんだか楽しい。チュッ。チュッ。胸板に何度もキス。鎖骨にキス。首筋にキス。  
耳元にキス。頬にキス。短いキスの雨。やっと目が合い、唇にキス。  
コラ、とでもいいたげに額が額にコツンとぶつけられ、お互いに自然と笑みがこぼれる。  
そしてもう一度唇に長い長いキス。  
 
自然と唇が開き、相手の唇へと舌が向かう。舌先がぶつかり互いに上へ下へと絡ませる。  
再び目が会うと今度はレオナードからキスの雨。額に、鼻先に、頬に、首筋に。  
そしてまた唇に長い長いキス。自然と体の奥が熱くなり、潤み始める。  
口にしなくてもお互いに求め合うものはわかっている。外は漆黒の闇。降り続く雨。  
誰もいない、そう思うともう止められない。エンジュの目は熱っぽく潤み、身体は  
甘ったるい匂いを放ち始めていた。  
 
(あんまり時間はねェな…)  
スカートを手繰り上げエンジュの下半身に指を這わせる。ショーツの上から触れると  
すでに湿っぽい。ショーツの脇から指を入れ中指を膣口に差し入れる。くちゅくちゅと  
する音と指にたっぷりとまとわりつく愛液を確認する。  
「んっ…」  
感じ始めるや否やあっさりと指が引き抜かれる。名残惜しそうに愛液が指に纏わりついた。  
 
「どっちがイイ」  
「どっちがイイって…」  
「指がイイか、チ──」  
「言わなくてもいいですっ」  
「いまさら恥ずかしがることかァ」  
そう言いつつもそんなエンジュがかわいくて仕方がない。今更と言いつつもいつまでもそういう  
恥じらいが欲しい。そうでなければ苛める甲斐がない。  
 
「正直に言えよ」  
「…指…で」  
「あン?」  
「指でっ」  
「素直じゃないねェ、エンジュちゃん」  
「素直ですッ」  
プイとそっぽを向く。  
「正直に言わせてやりたいトコだが時間がねェからな」  
「時間?」  
「猥褻物陳列罪で捕まりたくねェだろ。ま、俺は電気がついてようが構わねェけどな」  
言う間にファスナーを下ろし引きずり出す。  
 
「ちょっと待って、こんなとこでほんとにするつもりっ…んっ…んああんっ」  
エンジュの片脚を抱え上げショーツの脇から挿入する。  
いつもより大きく感じた。キツイ。膣口に押し入られる感覚。  
「入れる前からそんなに締めンなよ…」  
「レオナード様が…ん…っ」  
「いつもよりデカいって?こんなトコでするとなりゃァな…」  
落ちないように首の後ろに腕を回して抱きつく。  
「お前だって興奮してンだろォ。いつもよりキツイぜェ」  
「あ…っ…んんっ」  
ぐっと腰を押し上げ奥まで突き込む。入れているだけで脈動しているように  
ぎゅっ、ぎゅっと締め上げられる。  
「最高だな…」  
エンジュをガラスの壁に押し付け下から上へと擦り上げる。  
「っあ…ん…あっ…あっ…はあ…ん」  
腰の動きにあわせて艶声と吐息が入り混じった熱い息が耳元にかかる。  
体から発する熱と吐息がガラスを白く曇らせた。  
 
抱えていた脚を下ろし、エンジュの体からずるりとぬめりを帯びたモノを引き出す。  
「はあ…」  
もう終わりかと呼吸を整えるため、溜息のような息を吐いた。  
「まだ点いてないぜ」  
「え、あ」  
明かりのことなどすっかり忘れていた。  
「まだ、だろ」  
後ろを向かせてスカートを捲くり上げた。すっかり濡れたショーツに指を這わせられると  
興奮の冷め切っていない体が自然とお尻を突き出し、快感を求めてしまう。  
レオナードもまたエンジュの艶声と刺激を求めて押し入った。  
 
「んっ、んっ、んっ、んっ」  
狭いボックス内では動きが制約されどうしても奥の方を短いストロークで擦られる。  
出し入れするたびぬちゅぬちゅと愛液が押し出された。  
「あ、は…ん…イっちゃう…」  
快感から逃れるため前の方に腰を引こうとするとそのままガラスに体ごと押し付けられる。  
曇ったガラスに付いた水滴が頬や髪を濡らした。  
「だ、め…あはぁ…ん」  
腰を落としては体ごとすりつけるようにゆっくりとこすりあげられる快感にじわじわと攻められる。  
「そろそろイクか…?」  
「こんなとこじゃ…」  
ダメと言われればイカせたくなる。弱い奥を重点的に攻め上げる。  
「や…あ、だめっ、あ、ふ、あっ、あ…っ」  
突けば突くほど締め付けも増す。イキそうなのを堪えながら体ごと突き込む。  
右手を前に回してクリトリスを指で刺激すると体を弓なりに反らせた。  
「やあぁぁっ、イク…っ」  
 
体から力が抜けていく。火照った額に当たるガラスの冷たさが気持ちいい。  
締め付けが緩くなったエンジュの体からまだ硬いままのモノを引き抜き無理矢理  
ファスナーの中へ押し込めた。  
 
終わるのを待っていたかのように明かりが点いた。服の乱れを直し、曇ったガラスを手で拭いて  
外を見るといつの間にか雨も止んでいるようだった。外へ出て空を見上げると夜風が雲を  
押し流していた。幸い周囲に人影は見当たらない。振り向くとまだガラスが白く曇っていた。  
ついつい、とはいえこんなところでしてしまい反省しつつ溜息をつくエンジュを尻目にレオナードは  
「さて、と。帰って続きでもするかァ」  
大きく背伸びをしながら言った。  
 
おしまい。  
 

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