「あ、彰紋くん。いらっしゃい。」  
「花梨さんこんにちは。イサト、こんにちは。」  
いつも通りに柔らかい笑顔で微笑む東宮。  
そこからはいつもとは違う雰囲気が漂っていた。  
「彰紋くん、もしかして、お香変えたの?」  
「流石花梨さん、気づかれましたか、嬉しいです。」  
実は昨日新しくあわせまして。と笑顔でその香を花梨に差し出す。  
イサトが微かな香りをかぎ分けた。  
「甘い…匂いだな。」  
一言、ポツリと呟くイサト。それに彰紋は笑顔を向けただけだった。  
「早速炊いてみてもいいかな?」  
目を輝かせて、極上の笑顔を与えてくれる花梨に彰紋は返事をしながら、  
少しばかり苦笑した。彼女には分からない程度に。  
 
先ほど彰紋から香っていたのより、幾分も濃い香が室内に広がる。  
甘い、甘い香り。いつもの彰紋の合わせとは違う、下品な香りにも取れる。  
3人で彰紋の持ってきた絵巻物を覗き込んでいたのだが、  
今日もきょうとて冬模様。  
室内でも寒いと感じていたはずなのに、花梨は室内が暑く感じはじめていた。  
顔がどんどん火照り、パタパタと水干の袖で仰ぐ。  
「イサトくん、彰紋くん。この部屋…暑くない?」  
彰紋がはたと絵巻物を広げる手を止めた。  
「そうですか?そこまでではないとおもいますが。」  
淡々と、全くなんでもないと言う風に答える彰紋。  
その返答に部屋が暑いのではないと花梨は気づき、  
体の中から暑くなるような、どことなく意識がぼやけるような、  
変な感覚に襲われる。  
絶えず香る部屋を満たす甘い匂い。  
 
「どうかしたのか?花梨。」  
イサトが問い掛ける。  
おかしい。そうは思うのに、もう焦点が定まらない。  
その花梨の状態を見て、彰紋もイサトも思わず唇の端が上がる。  
今にも倒れてしまいそうな花梨の背後にイサトが回り、肩に手をやり支えてやる。  
「花梨?」  
 
わざと、耳元に息が吹きかかるように問い掛ける。  
体に一瞬電気が走ったかのように強張る。  
「花梨さん、どうしたんですか?―――言ってくださらないと分からないですよ。」  
「な、なんか、おかしいの…、身体が熱くて。頭がぼうっとして…。」  
花梨が彰紋に彼女の思っていた全てを伝える前に後ろのイサトに抱きすくめられる。  
首筋に生暖かいものが這い、イサトの腕から思わず抜け出そうともがくが、  
自分に力が入っていないのか、相手の力が強すぎるのか、抜け出すことが出来ない。  
「い、イサトく…っ!?」  
「イサト…、もう少し我慢というものを覚えた方がいいと思いますよ。」  
自分に起きていることが理解できる前に彰紋が目の前でいつもとは違う笑顔を浮かべている。  
それは人懐っこい東宮としての笑顔ではない。  
「人のことよく言えるな。紫姫には?」  
「込み入った話があるので近づかないようにと僕から言っておきました。」  
暫くは大丈夫ですよ。と花梨をそっちのけで2人の会話は続いていく。  
 
「それじゃあ遠慮なく。」  
イサトの手が乱暴に花梨の水干の紐を解くとハイネックのシャツの下に手を潜り込ませる。  
「ひぁっ、や、ん!」  
冷たい指が花梨の腹部をなぞり上へと上がっていく。  
過敏になった身体が反る。  
 
イサトの手は胸の突起まで到達すると爪でそれをはじいたり、つまんだりして刺激する。  
そのたびに花梨は自分の口から自分の声ではないような声を上げた。  
「花梨…、気持ちいいか?」  
返事をする暇もなく、彰紋が花梨の足に手をかけると、そのまま開かせる。  
既に湿っているショーツの上から彰紋はその割れ目を指でなぞる。  
「ふぁっ、んっ、や、やだァ…、彰っ紋くん…。」  
「本当に嫌ですか?」  
浮かべた笑顔は酷く意地悪で、花梨は一瞬躊躇った。  
「花梨さんが望むなら、気持ちよくしてさしあげますよ。」  
胸の愛撫を止めぬままイサトがまた耳元で囁く。  
「素直になれよ、花梨。」  
通常とは違う環境、感覚に最後のイサトの一押し。  
花梨に頷かせるには十分な条件だった。  
相変わらず笑顔を絶やさぬままの彰紋は穏やかな口調で問い掛ける。  
「花梨さん、どうしますか?」  
「お、ねがぃ…。」  
恥ずかしさのあまり目を堅く閉じて、なんとか声を絞り出した。  
その返事を聞いて初めて彰紋はショーツの隙間に指を滑り込ませ、  
既に濡れている其処に触れた。  
ちゅくりと水音が響く。僅かどころかかなり濡れている。  
絡みつく液体を指に絡ませて、指を中に入れ内壁をなぞる。  
「んっ、あっぁ―――っ。」  
慣れない快感と痺れるような刺激に声が上ずる。  
しかしそれでも先ほどと声の大きさが変わらない。  
唇をかみ締めるようにして耐えている、その表情も、吐息も彼らを煽るだけだと知らず。  
「我慢、しなくてもいいんですよ。」  
 
彼女の中をまさぐる指は休めぬまま彰紋が問い掛ける。  
「もっと声…聞かせてください。」  
「だ、っ…、ァ…ん…ゆ、かり姫が…。」  
2人の男の手に責められて、まともな返事が出来るはずもなく、  
だが予想の範疇内の答えが返ってきた。  
「さっきの俺たちの会話聞いただろ?来ないから安心して聞かせてくれ…花梨の声。」  
イサトが言ったと同時に、花弁を弄る指を彰紋は一本から二本へと増やした。  
快楽の増加に花梨のどこかに残っていたストッパーも完全にはずれる。  
「ひあっやっ、あぁ…。」  
ぐちゅぐちゅと彰紋の指の動きに合わせて水音が室内に響く。  
その音に合わせ花梨の喘ぎ声も上がる。  
溢れた蜜がポタポタと床に滴る。彰紋の手にも伝って下に落ちて床を濡らす。  
「可愛いですよ、花梨さん。」  
花梨がその感覚にも慣れ始めていた次の瞬間に彰紋は指を更に奥に突き立て、  
一気にかき乱した。  
「ひぁあああああ、ぁっ」  
身体を大きく反らして、そのあとぐったりとイサトの腕の中に身体を預けた。  
肩ではぁはぁと息をついて、彰紋は花梨の中から指を引き抜いた。  
指に絡みつく愛液を舌で舐めとって、にっこりと笑った。  
「よかったですか?」  
返事が出来るはずもなく、未だ花梨は大きく呼吸をしている。  
悲しい、嬉しいではなく、生理的に流れる彼女の涙をイサトが舌で綺麗に舐める。  
 
まだぐったりしている彼女のショーツを完全に脱がせ、足を開かせる。  
液体を滴らせてらてらと光る場所をまじまじと彰紋は眺める。  
「み、みないでぇ…やぁ…。」  
必死に足を閉じようとする花梨を押さえつけ、そのまま足を固定する。  
両手はイサトに抱えられ、両足は彰紋に固定され完全に逃げ場を失う。  
「いいですよね…?イサト。」  
彰紋はちらりと花梨の表情を伺うとそのままイサトに視線を流した。  
少々不満そうな顔をしたがイサトはあぁ、と返事をする。  
「花梨さん、初めて…ですよね?最初は痛いかもしれないですけど…  
 我慢してくださいね。」  
そこまで言うと、彰紋は腰の帯を取り既に猛った自身を取り出した。  
何をするかは花梨にも分かるしかし、自分の中にそれが収まるとは到底思えなかった。  
「いやっ、やだっ、彰紋くん…やめて…。」  
濡れそぼった秘所に彰紋の其れがあてがわれ、少しずつ彼女の中に押し込まれていく。  
ちゅぷっ、ぐちゅ。  
今までとは格段に違う厭らしい音が室内に響いた。  
「ひっぁああっあ、いっあっ…。」  
快楽だけでない痛みを伴い花梨の声に悲鳴が、混ざる。  
「…っ。」  
「花梨、力抜け。逆に痛いだけだぞ。」  
次の瞬間つぷっと何かが切れたような感覚と共に、奥まで入る。  
彰紋は花梨の柔らかい太腿を抑えたまま自分の腰を前後に動かす。  
ぐちゃぬちゅっ  
「あっぁっああっん」  
少ないふり幅で動かされることで痛みを伴った快楽が花梨を責める。  
 
悲鳴交じりだった声がどこか甘い声に代わったことで彰紋も少しずつふり幅を広げていく。  
淫乱な音が甘い香りと共に室内を満たす。  
悩ましげな彼女の声と、体液の音、互いを追い詰めるには十分だった。  
段々と彼女の声が途切れ途切れになってきたところで、  
彰紋も花梨の締め付けに限界を感じ始めた。  
彼女の胸の桃色の突起をしゃぶりついて、衝動をなんとか抑える。  
ギリギリまで引き抜いて、奥まで一気に突き上げ、腰を激しく打ち付ける。  
より一層ぐちゃぐちゃと音がする、最後に彼女の最奥をついた瞬間に、  
先ほどより大きく花梨は仰け反り痙攣し、ぐったりとした。  
「好き…です。愛してますよ、花梨さん。」  
彰紋はそのまま己の欲望を彼女の膣内に放った。  
 
彼女の中から男根を引き抜くと、花弁のあたりからとろとろと液体が滴る。  
もう、限界だという顔をする彼女を許す間もなくイサトが花梨の背から手を伸ばし、  
太腿を抱え持上げる。  
足を開かされたまま持上げられ、花梨はどうして、と驚いたような顔をする。  
「俺にも同じようにしてくれるよな。花梨…。」  
首筋をちろちろとイサトの舌がなぞる。  
既に取り出された肉棒の上にそのまま身体を下ろされる。  
 
簡単に自分の中に飲み込まれていく肉棒。  
「こんなに簡単に咥えこんで淫乱ですね。」  
彰紋が着衣の乱れを直して花梨の方へ向き直る。  
「花梨さん見えますか…?」  
足を抱え上げられ、結合部が自分にも見て取れる。  
その結合部の回りを彰紋が指でなぞる。  
「は…ぁ…。」  
「見てみろよ、こんなになって俺の咥えてるんだぜ、花梨のココは。」  
「いさ、とくぅ…ん。」  
全く動かしてくれない、早く快楽が欲しい花梨は精一杯イサトにねだる。  
自分が何かおかしいのは花梨にも分かっていたが、今はそれどころではなかった。  
涙目で上気した頬で、ねだられてイサトも我慢が出来なくなる。  
「ん、分かった…。」  
太腿にイサトの指が食い込む、花梨自身の体重でイサトの男根が彼女の奥まで飲み込まれていく。  
先ほどの彰紋の精液と花梨の愛液が混ざり十分な潤滑剤となり、出入りする。  
「あっぁあっぁっ…あぁっ…」  
イったばかりで感じやすい身体は素直な程に反応し、それを声という媒体として現す。  
彰紋は自分の合わせた香の効き具合に苦笑したかったが、  
愛しい姫君の自分達だけの知っている姿を見られた悦びの方が勝っていた。  
 
「…っく、キツっ…。」  
腕の力を緩め、花梨の体重を利用して突き上げると同時に彼女の中に精を吐き出した。  
「ひあぁああああぁぁ」  
三度目の絶頂を迎えた花梨をイサトはきつく抱きしめた。  
明るい髪を透きながら、優しい声で囁く。  
「俺たちはおまえのことが、大好きだからな。」  
 
 
「あ、紫姫。」  
「彰紋様、イサト様、お帰りですか?」  
紫が笑いかける。彰紋もイサトもいつもどおりの笑顔を返す。  
「あ、花梨さん、お疲れで眠ってますから、そっとしておいてあげてくださいね。」  
「わかりましたわ。八葉のお勤め、ご苦労様でした。」  
何があったかも知らず微笑む紫を前に2人は館を後にした。  
 
―完  
 

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