どうしよう…。僕はもしかしたら、病気かもしれない…!!
そして、その病気はとてつもなく重くて、治らないかもしれない!
…もしホントにそうだったら、どうしよぅ…!!
僕はたった今、僕の一番大切なものから飛び出てきた白くて、
とろ〜っとした液体をじっと見つめながら沸き上がる恐怖に身を震わせた。
おしっことは全然違うこの液体…、一体何なんだろう…。
僕はそれを指ですくい、鼻へともっていく…。
―!!
こんな変な匂いがするなんて!やっぱり僕は…。
実は、僕がこの液体を出してしまったのには理由があった…。
一時間くらい前…、僕は森の湖に散歩しに行ったんだ。
せっかくの日の曜日だもん、部屋にいるなんて勿体ないし、
もしかしたら、あの金の髪の可愛い女王候補さんに逢えるかもしれないしね☆
僕はそんな淡い期待を持ちながら湖に到着した。
いつもここは日の曜日ならカップルでいっぱいなのに、今日に限って誰もいなかった。
少し散歩をしたあと、帰ろうとしたその時…
「ああんっ」
…え?誰?僕は周りを見渡したけど誰もいなかった。
気のせいかなっと思い足を動かそうとした瞬間、
またあの声が聞こえてきたんだ。
「あっ、だめっ…」
どこかで聴いた女の人の声だった。
苦しそうな、悲しそうな、何とも言えない声に何故だか僕はドキドキして、声のする方へ静かに近づいた。
そして、草むらの奥で寄り添っているカップルを見つけた。
「あんっ、ダメよ、こんなトコで…。あっ、やぁっ…」
「嫌?お前のココは嫌がっていないようだが…」
「あぁっ!パ、パスハぁ…!」
僕はびっくりしてその場を逃げ出そうとしたけど、何故だかできなかった。
サラさんとパスハさんがキスをしていた。
パスハさんの手はサラさんの大事な所へとのびて、サラさんは顔を赤らめ、息を弾ませていた。
サラさんの口から離れたパスハさんの口は、サラさんの胸へと移り、サラさんの乳首を舌でレロレロと転がす。
「んんっ、あぁっ…」サラさんが切なげな声を出す。
僕は何故か、僕自身の体が熱くなってくるのを感じていた。
パスハさんはサラさんのパンティを脱がせ、サラさんの大事な所に舌を這わせた。
「あんっあんっ、あぁ!」サラさんの声がより大きくなる。
「サラ、声が大きい…」
「だって、アナタ、うますぎるのよ…。じゃあ、私の口をアナタので塞がせて」
サラさんはそう言うとパスハさんの大事なもの(すごく大きい!)を口に含んだ。
「うぅっ…」
今まではサラさんがパスハさんの下にいたのに、今度はサラさんが上になった。
パスハさんの顔上にはサラさんの大事な所があって、パスハさんはそこをまた舐め始めた。
二人はお互いの大事なトコを舐め合っていた。
僕は顔が体が熱くて、胸が苦しくて思わずそこから走って逃げた。
気付いたら僕は自分の部屋にいた。
まだ体が熱くて、そして何故か、僕の大事なトコがムズムズして仕方なかった。
今見てきたことを思い出す度にそのムズムズは大きくなっていって、
僕は知らない内に、ソレをいじり始めていた。
僕はソレをズボンのチャックから出し、ゆっくりと擦った。
何だか切ない気分になり、とても気持ちが良かった。
次第に手のスピードが早くなり、息が荒くなり、僕はその行為に没頭していった。
とても気持ち良くて、こんな感じは初めてで、擦れば擦るほど快感は高まっていって…。
そして、次第にその気持ち良さの限界がなぜか解りだして、その限界に限りなく近づいたとき…
「うぁっ!」
今まで擦り続けていた僕の大事なものからたくさんの白い液体が飛び出たんだ。
手にかかったのもあれば、勢い良く飛びすぎて床に飛び散ったものもある。
…これが僕が変な液体を出してしまったあらましだ。
…ホント、どうしよぅ…。僕、死んじゃうのかなぁ…。
しかも、こんな恥ずかしいこと、誰にも言えないよ…。
自分のおちんちんをいじってていて、すごく気持ち良くなって、そしたら白い液体が飛び出てきました!
―…なんて言えないっ!!
…でも、意外と病気とかじゃないかもしれなくて、普通のことかもしれないよね。
僕は初めて自分のを触ったけど、もしかしたら、おちんちんって触ったら白い液体がでるものかもしれない…!
…でも…。
うー、わからないよぅ!誰かに聞かなきゃ!
でも、誰に聞いたらいーんだろう。
…そうだ!
僕は知識という言葉で連想される人物の部屋に走って行った。
「ルヴァ様!」
僕は地の守護聖ルヴァ様の部屋の扉をノックもせず開けた。
ルヴァ様はバルコニーにティーテーブルを出し、リュミエール様とお茶をしていた。
「おやおやマルセル、どうしたんですか〜?」
―無理だ!!
僕は一瞬でそう判断した。
この人にはおちんちんのおの字ですら口に出しては言えない!
「あ、ごめんなさい、やっぱいーです」
僕が部屋を出ようとした時、リュミエール様が立ち上がった。
「顔色が悪いですよ?」
そうだ、いつもやさしいリュミエール様になら話せるかも…。
僕はリュミエール様の顔をじっと見つめた。
「何か困ったことでもあるのですか?」
―無理だ!!
こんな綺麗な人にあんな恥ずかしいこといえない!
「何でもないんです!ごめんなさいっ!!」
僕は逃げる様にして部屋を飛び出た。
…はぁ、どうしよう。ランディやゼフェルには間違っても言えないし…。
気が付くと僕はジュリアス様の部屋の前にいた。
‥‥‥。やめとこう。
逆に「そなたは何をやっているのだっ!!」って怒られそうなんだもん。
僕は大きなため息を一つついた。
僕は隣にあるクラヴィス様の部屋に目をやった。
…一番相談はしやすいけど…。
僕は意を決して部屋をノックした。
「…開いている」
僕はその声を聞くと「失礼します」と部屋に足を踏み入れた。
「…何様だ…」
クラヴィス様は薄暗い部屋の中で水晶球を見ていた。
「あの…、僕、相談があって…」
「相談?この私にか?…物好きだな…」
クラヴィス様はフッと笑うと話を聞く態勢をとってくれた。
「あの、実は、僕の…」
僕はどうしても『おちんちん』の単語を言えなかった。
…当たり前なんだけど。
「僕の…、何なのだ?」
僕はなんて言っていーのかわからず、黙りこくってしまった。
暫くの沈黙の後、「はぁ」とクラヴィス様のため息が聞こえた。
「…その相談とやらは私が相手でないといけないものなのか?」
「い、いえ、そう言うわけではないのですが…」
「ならば他をあたれ」クラヴィス様はそう言うと部屋の奥へと姿を消した。
僕は「ごめんなさい」と一言言うと静かに部屋を後にした。
あー、恐かったぁ。
クラヴィス様は絶対人に告げ口しないだろーし、静かに話を聞いてくれて的確な答えをくれるだろーけど、
あの雰囲気がなぁ…。
僕、苦手だよ…。
「あ〜ら、マルちゃん!探してたんだよ」
僕は不意に声をかけられ、振り向いた。
そこにはいつにも増して煌びやかな衣裳に包まれた夢の守護聖様がいた。
「リュミちゃんから聞いたんだよ。何か悩んでるんだって?他人行儀な子だねぇ。私に話してみなよ」
オリヴィエ様は酒臭い息で一気にまくしたてる。
「オ、オリヴィエ様、お酒飲んでるんですか…」
「何言ってんのよぉ!お酒なんか飲んでるわけナイじゃないのさ!」
…嘘だ。絶対嘘だ。
「ただ、森の湖で森林浴をしてて、二、三口口にしただけだよ」
…嘘だ。絶対嘘だ。
…ん?森の湖…?
「オリヴィエ様、森で、その、何か見ませんでしたか!?」
「何かぁ?何かって何よ?」
「その、サラさんと…」
僕は何て言っていいのかわからなかった。
Hな事をしていたのはわかるけど、その行為の名前がわからなかった。
「サラ…?…あー、ハイハイ。ヤッてたわよねぇ、あの二人!」
オリヴィエ様は僕の首に腕を回し、耳元で囁いた。
「何、マルちゃん。あれ見て興奮しちゃった?」
オリヴィエ様はにやにやしながら意地悪く言う。
「そんな、僕は…」僕は自分の顔が赤くなっていくのがわかった。
「恥ずかしがんなくったっていーの!」
「マルちゃんくらいの年頃の男の子がSEXに興味をもち、興奮するのは当然の事なんだよ」
「せ、せっくす?」僕はバカみたいに聞き返した。
「そう、SEX!SEXも知らないの?まぁ、やり方はその内に万年発情男の炎の守護聖に聞けばいーさ」
「はぁ…」僕は頷くしかなかった。
オリヴィエ様は壊れたおもちゃのよーに
僕が横から口を挟むのを拒むが如く、一人で話し続けた。
「ま、平たく言えば、人間の交尾の事さ。赤ちゃんを作るにはSEXしなきゃいけない訳さ。
ただ、SEXには狂うくらいの快感が伴っててさ、私も若い頃はその快楽に随分溺れたわ」
僕は白い液体が飛び出してきた時の甘い快感を思い出していた。
「人間がSEXするときは3つのケースがあってね、1つはただ単に快楽追求、
2つ目は子供を作るとき、3つ目は愛する異性を欲するときね。
サラ達はこのケース、万年発情男は1番目のケースだよ。
SEXがしたい!って思うのは、そうねぇ、性的欲求を刺激されたときね。
さっきのマルちゃんみたいにね。けど、いつでもパートナーがいるわけじゃない。
そんなときは皆自慰行為をするんだよ」
「自慰行為?」
「そぅ、俗に言うオナニーだね。マルちゃんもやったんでしょ?」
僕はまた顔が赤くなってしまった。
「これは決して悪いことじゃない。むしろ、必要なことだし、自然のことさ。
あの堅物ジュリアスだってしたことあると思うわ」
「えぇ!?見たことあるんですか!?」
僕は思わず大きな声をだしてしまった。
僕の声が廊下に響き渡る。
「見たことなんかないわよ!ただ、これは自然現象なんだよ。
特に男は精子を抜かなきゃいけないからね。
…まぁ、いけないわけじゃないけどさ」
「精子…。…あぁっ!
精子ってもしかして、白くてとろっとした…?」
「そうだよ。快感が絶頂を迎えたときに飛び出るのさ」
僕はその言葉を聞いたとき、本当に心から安心した。
「よかったぁ…。僕、病気じゃなかったんだ」
僕は嬉しくて嬉しくて、涙がでてきてしまった。
「もしかして、悩みってソレだったの?…バカだねぇ」
オリヴィエ様は呆れた、と言わんばかりに顔を振る。
「ま、ココには性教育なんかしてくれる人はいないからねぇ。
私で良かったらまた話を聞きにきなよ。
あ、そうそう、間違ってもオスカーには話を聞いちゃダメだよ」
オリヴィエ様はそう言うと、どこに隠し持っていたのかお酒の瓶を出し、
口を付けながら歩いていった。
僕は安堵感からか一気に疲れてしまい、その日はいつもより早めに眠った。
その日、僕はHな夢を見た。あの娘と僕がSEXしてる夢…。
あの娘の大事なトコに僕のおちんちんを入れる…、
何故こんな事を知っているのかわからなかったけど、
これがSEXなんだってわかった…。
そして、朝になり、目が覚めて、フと下半身を見てみると…
「―!!」
僕は何故か白い液体をパンツ一面に出していた!
何もしていないのに!!
僕は病気かと恐くなって泣きながらオリヴィエ様の部屋に走った。
二日酔いのオリヴィエ様に怒られたのは言うまでもない。終