今日も今日とて、俺はピアラさん指導の下で厳しい音楽の勉強を受けていた。  
「今日はこの曲を練習しますよ」  
 と、彼女は楽譜を俺に渡した。  
「”愛のチョコスフレ”ですか? ふーん」  
 俺は楽譜に目を通す。歌詞が併記されている。俺の担当は演奏だが、歌詞も流し読み  
した。  
 『友達に彼氏が出来たので私も彼氏を作るぞ』という女の燃え上がる気持ちを力強く  
謳った内容である。  
 その間、ピアラさんは発声練習をして喉を暖めていた。  
「あー、あーっ! あいうえお、あかさたな、あめんぼ赤いな云々かんぬん……。準備  
いいですかカウジーさん? それじゃあ、一回目行きますよ!」  
「はい、行きます」  
 と俺は答え。前奏を開始する。それにピアラさんの歌が入って練習は順調に進んだ。  
 
「あぁ、疲れた。昼間はずっとだもんな」  
 一日の勉強が終わって、与えられた部屋へ戻るなり俺はベッドに転がって、言った。  
 ピアラさんに誘われリヴァーレ家の世話を受けるようになってからというもの、毎日  
毎日こんな調子で過ぎていくのだ。  
 以前は、我流と通信教育でやって来たフォルテールの演奏をしっかり面倒見てくれる  
のは嬉しいけれど、こうも息抜きの無い生活が続くと嫌になるのも正直なところ。  
 俺のピアラさんに対する想いだって伝えきれずにいるのだ。ここに来た理由だって、  
彼女恋しさの気持ちが半ば以上を占めているんだから。  
 ふと、肌寒さに気づく。カーテンが開けっぱなしの窓に目をやると、外は雪が振って  
いた。  
「遅いな。師走になってようやくとは……」  
 俺の育った北の土地ではひと月は早く雪が振るものだが、この辺りが温暖な気候なの  
だと実感する。  
 むしょうに故郷のノーチェが懐かしくなった。フォルラータで別れたサフィはしっか  
り帰れたろうか? それとも未だにあちらこちら寄り道している最中だろうか? 名物  
を食べ歩きするって言っていたからな、あいつ。  
 色々な事が思い浮かんで来た。こういう時はいい曲が書けるかもしれない。ペンと五  
線譜を手繰り寄せる。フォルテールを鳴らしながらペンでおたまじゃくしの群れを書い  
ていく。  
 
 作業に集中していたから、扉をノックする音には中々気づかなかった。  
 初めは優しかったノック音が ドンドン! と激しくなって俺はようやく気がついて、  
扉の方へと向かった。  
「何です? もう遅いですよ、時間」  
 普段なら疲れ果てて眠っている時刻だ。今日起きているのはたまたま、作曲のノリが  
良かったからだ。  
「私です、ピアラです。どうしても今日中にカウジーさんと話しておきたい事があって」  
 明日以降の打ち合わせか何かだろうか?  
「鍵開けました、どうぞ」  
「失礼しますね、本当」  
「で、何です?」  
「え、えーとですね」  
 何だか彼女らしくない。普段はどもったりせずはっきりとした物言いをする人なのに。  
 と、ピアラさんは目を逸らした。壁に吊ったカレンダーを見ている。  
「クリスマスイブですよね、今日は」  
「えっ? ああ、そうですね。24日ですね」  
 こちらとしては忙しさで年中行儀を気にしている余裕もなかったのだが、一年で最大の  
ラブラブイベントの日だったりする事を思い出した。  
「それで私の想いを贈り物と一緒に受け取って欲しいんです」  
「ん……。でも何も持って無いでしょう。後ろ手に隠しているわけでもなし」  
「私です」  
 と、一歩踏み出し爪先立ちに背伸びをした。唇が近づいた。  
「贈り物は私。愛のチョコスフレの歌詞、覚えています?」  
「暗唱出来るほどに」  
 諸般の事情のため、そのままは書けないが”クリスマスの日、彼氏に手製のチョコス  
フレを食べさせたい”と、そんな部分がある。  
「分かりましたか?」  
「はい、なんとなく」  
 彼女自身がチョコスフレだと言いたいんだろう。  
「でしたら」  
 ピアラさんが目を閉じた。  
 彼女の跳ねた髪を撫でる。癖のある毛がいくらか巻きつくが構わずに手を動かす。動  
かす事で空気に乗って匂いが流れてきた。それだけで達してしまいそうな、不思議な感  
覚に頭がぼうっとした。  
 
 両手をピアラさんの後頭部に回し、顔を近付けさせる。こちらの意図に気づいたか、  
彼女の体が一度大きく震えた。  
「キスしますから」  
「そんなことを、わざわざ言うのはよくないと思います」  
「出ましたね、口癖」  
 軽く笑いながらも、そのまま唇を合わせた。乾いた唇が擦れて痛い。だから舌で舐め  
ると彼女もまた舌を出して同じように舐めてきた。  
「あ、ふぅ、ちゅ……ちゅぱ」  
「ちゅぷ、れろ……んん」  
 次第に動きは激しくなって舌同士を絡め出す。  
「んんーふっ。むふっ、ちゅる」  
「ふぅふぅ。あん……ん、うんん!」  
 息が荒くなり、頭で考えるよりも自然と体が動き出す。相手の口内に舌を入れ、ほぞ  
をなぞる。その刺激で唾液の出る量が増えた。二人の口内にどんどん交じり合った唾液  
が満ちていく。  
 ごくんごくん。俺とピアラさん。どちらも喉を鳴らしてツバを飲んでいく。  
「うぅん、はぁぁぁ。今日はクリスマスプレゼントを渡しに来たのに、こんなに楽しん  
でいいんでしょうか?」  
 頬を赤くしたピアラさんは俯き加減に言った。  
「いいでしょう、別に? 俺が食べてピアラさんが喜んでるって思えば、おかしくは無  
い事ですよ」  
「ですよねぇ」  
 と、ピアラさんは微笑んでから俺の正面に立ち  
「さあ、包装を解いてください」  
 と、左右の腕を水平に上げた。  
 包装……、服を脱がして欲しいんだな。  
「丁寧にお願いしますね」  
「わかってますよ」  
 しかし女の子の服を脱がすなんて初めてで緊張する。さっきディープキスをしておき  
ながらこんな風に思うなんて、俺ってまだまだ子供だ。  
 メイド服の一番上のボタンを外す。プチン。軽く衝撃が走って彼女の立派な二つの膨  
らみが揺れた。二つ三つとボタンを外す度、揺れが大きくなるものだから俺の視線はそ  
こに釘付けになった。  
 服を脱がすのはまだ途中だけど、半ば程開いた前から手を突っ込み乳房を掴んだ。  
「か、カウジーさぁん! 慌てないで、まだ」  
 その声を無視して胸への愛撫を続ける。ブラの布地がざらっとして滑り止めになって  
いる。ちょっとした球技が出来そうなほど丸々と大きい形の胸だ。  
 
 こね回すうちに、何かが膨らんだのが分かった。乳首? ブラのせいでわからないな。  
直に触りたい。  
「どこから外せばいいんだろう?」  
「こっち、背中背中」  
 俺の独り言みたいな言葉にピアラさんは腰を捻って教えてくれた。プラジャーって背  
中で留めてるのか!  
 なら上着も脱いで貰わないとだめだな。素早く残りのボタンを外して、ブラにかかる。  
 背中の側には金具があって、それで締め付けるように胸を押さえているのだと分かっ  
た。  
「さて、どんな美味なお菓子かなぁ」  
 と、特大大福の包みを解いた。  
 白くて柔らかい。先端に赤が彩られているから苺大福なのかもしれない。その赤い部  
分、乳首を指で弄る。  
「体が……電気が走ったみたいに痺れちゃいますっ!」  
 捻ったり突っついたりする度、ピアラさんの体は小刻みに揺れて忙しい。  
 しかし、上半身だけ裸の女性というのは、そそる。細い体についた大きな胸が揺れて、  
それを俺がいじくり回しているのだから、堪らなくなってくる。自然と、ズボンが膨れ  
上がってペニスが圧迫されて苦しい。  
「大きくなってますね、カウジーさんの縦笛……」  
 ピアラさんはそっと手を伸ばして、ズボンの上から俺のペニスに触れた。  
「じわりと熱が伝わります。それに今、脈打ちましたよ?」  
「欲しいんだ……」  
「ん? ……食べ残しは駄目ですからね。残さず全部味わってください」  
 そう言ってから、一度軽く口付づをしてピアラさんはスカートを脱ぐ。綺麗な足だ。  
腿の辺りを触ってから頬を寄せ口をつけた。  
「こんな華奢な足から出るカカト落としで白熊を倒すなんて、今でも信じられないな」  
 と、初めて会った時の事を思い出して言った。  
「あ、あの時はたまたまクリティカルヒットが出ただけですよ。ほほほ……」  
あれ以来、彼女の蹴り技を見た事が無いので案外本当のことかもしれない。  
 舌で大股を舐める。重ならないように往復を繰り返すうち、ツバ以外の液体が混じっ  
ていることに気づいた。それは上の方、パンツの内側から溢れ出している。  
 愛液だった。  
 それを舐め取り、更に味わいたくなってパンツの方へと顔を近付けた。  
 パンツをずらすと、まだ蕾の赤い花が見えた。指でその蕾を開かせようと刺激を与え  
る。花の蜜が沢山溢れてきた。俺はそれを溢さぬように飲みほしていく。  
 ビチャ、ビュル、ズチュ、ジュル……。  
「そんな音を立てるなんて……よくないと思います!」  
 最初はゆっくりと、後は早口でピアラさんは言った。  
「ピアラさんの中で熟成された蜜は美味しくて、つい、がっついてしまうんです」  
「しようの無いことを言って、あっっ!!」  
 と同時に、ピアラさんは大きく跳ね上がって崩れ落ちた。  
 
 立つ事もままならなくなった彼女をベッドへ運んで、パンツを脱がして放り投げた。  
 ピアラさんは深呼吸を繰り返している。呼吸に、合わせて胸が上がり下がりした。そ  
の間、俺は自分の服を脱いで裸になった。……少し寒い。  
「カウジーさんの縦笛、とても立派な……」  
「こいつで、ピアラさんの全部をいただきますから」  
「箸でもフォークでもないのに? お行儀わるいですよ」  
「理屈じゃないんですよ」  
 と、ペニスを掴み狙いを定める。開きかかった蕾の先に指揮棒を当て、押し込み、入  
れる。  
 ずずず、と鈍い振動が伝わり少し入った。そして、ピアラさんの赤い花が咲いた。  
「lala 赤い花 lala 赤い花……」  
 ピアラさんが唄っている。痛みを堪えながらひと言ずつ。  
 溢れ出す血を指ですくってから、それをピアラさんの腹に塗り俺も歌う。  
「……赤い花を 一輪……」  
 その後を歌のリズムに合わせながら腰を前後させる。  
 スパン、パン! 叩き付けられる肉の音すらも楽曲のようであった。  
 サビの部分が近づき、俺の動きもテンポアップする。ピアラさんの中はきつく締める  
がそれに負けじと荒っぽく動く。  
「あっ……はぁん! カウジーさん」  
「くぅあっ、ピアラさん、ピアラぁ。俺、いきそう!」  
 もう唄う事は止めて、二人とも叫びとも喘ぎともつかぬ声を上げながら求め合った。  
 そして、  
「私も、もう駄目。限界っ……ああぁっ! くぅぅんっ!!」  
 ピアラさんが先に果てて、彼女の中が激しく締まった。  
「うっ! くぅっ、絞られて。おおおっ!!」  
 来るべき時が来た。中に出す事は躊躇われて、慌ててペニスを抜き取り、発射した。  
白い液体は勢い良く飛んで、楽に胸を越えて顔にまで掛かった。  
 
「あのう? どうでした、チョコスフレ。感想は?」  
「ン……? ああ」  
 絶頂の後、疲れきった体をベッドで横になっているとピアラさんが聞いてきた。  
「よかった」  
「それだけ?」  
 なんかおねだりするみたいで恥ずかしいが言ってしまえ。  
「また食べたいな、チョコスプレ。……だけじゃなく二人で森を彷徨いたいし、赤い花  
を摘んでもみたいです」  
 目の前に転がる二つの乳房。その片方の突起を口で咥えながら言った。  
「ふふ、欲張りですね、カウジーさん」  
「駄目ですかぁ?」  
 ちょっと涙目で訴えた。そしたら、  
「いいですよ、お付き合いします」  
 と答えてくれた。  
 嬉しくなったので、抱きしめてキスをした。その頃にはもう25日になっていた。  
 メリークリスマス。  
 
終わり。  
 

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