「僕と絢辻さんって、釣り合い取れてんのかなぁ」  
「釣り合い?」  
「あ、いや、その…一緒にいて、周りからどう見えてんだろうって」  
「…どうしたの、突然」  
 
絢辻さんがシャープペンシルを動かす手を止めて、僕に視線を向けてくる。  
 
「う、うん、別に…」  
 
その目から逃げるように、問題を解くふりをしてノートにペンを走らせた。  
失言だ。休日だと言うのに勉強なんてやってるから、頭が茹だってたのか。  
それとも、僕の家で絢辻さんと二人っきりだから、つい余計な事を言ってしまったのか。  
いや、それより、昨日の…  
 
“ねぇねぇ。橘君て、絢辻さんと付き合ってるってホントー?”  
“えー、ホントなんだぁ、へぇー”  
“ううん。別に、ねぇ?”  
“ま、ちょっと意外かなーって。あの絢辻さんが橘君と、みたいな?”  
“あ、ごめん。別に橘君がどうとか言う意味じゃなくてね、アハハ”  
 
…やっぱり、気にしちゃってるよな、僕。  
だって、絢辻さんは優等生の中の優等生で、僕は人に自慢できる事なんてない、平凡な人間だ。  
そんな僕らが恋人同士だなんて、違和感を持っている人はきっとたくさんいるに違いない。  
絢辻さんだって、僕なんかじゃなくて、もっと他にいい人が…  
 
「誰に何を言われたか知らないけど…」  
「うわぁ!」  
 
急に耳元で声がして、思わず仰け反ってしまう。  
さっきまで、こたつを挟んで向かい合っていたはずの絢辻さんが、いつのまにか隣に座っていた。  
 
「何、大きな声出してるの」  
「ご、ご、ごめん」  
 
体勢を戻すと、絢辻さんとの距離がぐっと近付く。わざわざ同じ辺に二人も入る事はないのに。  
腕と腕が触れ合ってしまうような至近距離で、絢辻さんがじっと僕を見ている。  
 
「ねぇ、聞いてた?」  
「え? な、何が?」  
「だからね、誰に何を言われたのか知らないけど、気にしないで」  
「あ…」  
「わたしと橘君を比較する事自体、おこがましい事なんだから」  
「そんな事言いに来たの!?」  
 
わざわざ近寄って来てですよ。何なのこのイジメっ子。  
 
「わたしは成績優秀で運動もできるし、面倒見も良く同級生や先生からも一目置かれてる優等生なの」  
「そんなどこかで貼り出されてるようなプロフィールを、自分で言う人がいるなんて…」  
「方やその彼氏は成績もスポーツも人並みで、人に自慢できるような特技も趣味もない変態唐変木」  
「最後の単語だけなら、ものすごく特徴ある人っぽいのにね…」  
「そこは特徴じゃなくて、わたしから見たただの感想。目に見える特徴なんて橘君にはないわよ」  
 
ボッコボコだ。どうやら僕は、釣り合いどころか、絢辻さんと同じ天秤に乗ることすら許されてない。  
でも、やっぱりそうなのか。絢辻さんが言うような事を、周りも考えてるのかもしれない。  
胸が、ざわざわする。気分が悪くて、でもこの気持ちをどうしたらいいのかわからない。  
僕は、絢辻さんの側にいていいんだろうか?  
 
「僕は…」  
「なーんてね」  
「え?」  
「こんな言葉をあっさり信じちゃうのは、橘君の良いところって言えるのかしらね」  
「…え?」  
「…もう。あのね、橘君。わたし、こう見えてプライド高いの」  
「うん、良く知って…痛っ!」  
 
こたつの中で絢辻さんに足を蹴られた。にっこり笑顔のままで。  
確か、白鳥ってこんな感じだっけ? 水上では優雅に、水面下ではバタバタと。  
というか、ガスガスと。  
 
「茶化さないの」  
「すみませんでした」  
「で、続けるけど、わたし、体面にはとても気を遣ってるの」  
「うん…」  
「だから、わたしはわたしの品位に賭けて、わたしの評判を下げるような選択は絶対にしないわ」  
「え、と? それって、ん?」  
「…ああ、にっぶいわねぇ!」  
 
絢辻さんが僕の胸倉を掴んで引き寄せる。もう後数センチで唇が触れてしまいそうな距離だ。  
 
「あたしに選ばれてるんだから、大丈夫だって言ってんの!」  
 
絢辻さんが距離感無視の大声で、驚きの上から目線フォローをのたもうた。  
僕が返す言葉を探す間に、絢辻さんは僕からさっさと手を離すと、  
ふん、と言ってそっぽを向いてしまった。  
だけど、後ろから覗く絢辻さんの頬が、わずかに赤く染まっていた。  
 
「あ、ありがとう…」  
「何お礼言ってんの」  
「う、うん。ごめん」  
「謝る必要はもっとないわよ」  
「じゃあ…」  
「いいわよ、何も言わなくて」  
「好きだよ、絢辻さん」  
「なっ…!」  
 
絢辻さんが僕の方にバッと振り返る。うわ、すっごくうろたえてる。  
 
「な…な…な…」  
「いや、その…」  
 
絢辻さんの顔がみるみる赤くなっていく。僕も多分赤いんだろうけど。  
 
「あ、あ、頭おかしいんじゃないの! な、何なの!?」  
「何なのって…」  
「ど、どうしてそういう恥ずかしい事が、平気で言えちゃうのよ」  
「い、いや、平気じゃないよ。僕も恥ずかしいし…」  
「じゃあ何で言ったのよ!」  
「な、何か、言いたくなっちゃって…」  
「〜〜っ!」  
 
バカ、とぽそりと呟き、絢辻さんがこたつ布団の上に突っ伏した。  
そこ、僕の膝の上なんですけど…。  
 
「絢辻さん…」  
 
絢辻さんの後頭部に呼び掛けるも、返事はない。仕方ないので、絢辻さんの髪をそっと撫でた。  
 
「ん…」  
 
わずかに絢辻さんが反応する。顔は見えないけど、嫌がってはいないみたいだ。  
最近知った事だけど、絢辻さんが貝モードになった時は、こうしてやると落ち着くらしい。  
そうしてしばらく髪を撫でていると、ようやく絢辻さんがゆっくりと起き上がってきた。  
 
「あ、絢辻さん、機嫌なお…」  
 
じろり、と絢辻さんが恨みがましい目つきで僕を睨んでいた。  
あれれ〜? おっかしいなぁ〜。  
 
「何よ。体は大人、頭脳はATのくせに」  
 
高度な読心術を駆使されてしまった。  
でもせめてATは「オートマ」とルビを振らないと、「大人」と掛けたシャレだと気付かないと思う。  
てか、それって悪口なのかな?  
 
「ずるいのよ…」  
「え?」  
「橘君は、いっつもずるい。こんなの、私の方が釣り合い取れないじゃない」  
「あの、それって、どうい…ん…」  
 
言い切る前に、唇が塞がれた。  
絢辻さんとの距離がゼロになり、遅れてふわりと甘い匂いがした。  
 
「んん……」  
 
濃密とも軽めとも違う、心地いい重なりは10秒程続き、余韻を残しながらゆっくりと離れていった。  
 
「これで、ちょっとだけ釣り合ったかな」  
 
言いながら、絢辻さんがイタズラっぽく笑った。  
 
「あ、絢辻さん…これ、何がどう釣り合ったのか、全然わかんないんだけど…」  
「いいの。わかんないから、釣り合うんでしょ」  
「そんなの、ずるいよ」  
「ほら、お互いずるいから、丁度いいわね」  
「そ、そういうことなの?」  
 
何だか全然納得が行かない。大体僕のずるさって何なんだ。  
 
「不満そうね」  
「う〜ん」  
「もう。じゃあ、どうして欲しいのよ」  
「そうだなぁ………もう一回キスしたい、かな」  
「…言うと思った」  
「ダメ、かな」  
「ダメって言ったら?」  
「欲求も不満になるね…」  
 
残念な返し方だったけど、思いの外絢辻さんにはウケたらしく、クスクス笑っている。  
 
「しょうがないわねぇ。あんまりにも可哀相だから、許可してあげる」  
 
絢辻さんが目を閉じて、顔を上げた。僕も目を閉じながら、唇を重ねる。  
 
「ん…んん…」  
 
さっきとは違い、求め合うようなキスをする。顔を動かしながら、唇を余すとこなくくっつける。  
舌で少しだけ絢辻さんの唇の先を舐めると、それに応えるように絢辻さんも僕の唇を舐めてくる。  
そんなやり取りを繰り返す間に、舌と舌が触れ合い、絡み合い、口内を侵略し合うようになった。  
 
「あ…む……たち…ばなく…」  
「は……あや…つ…さ」  
 
絢辻さんの白地のタートルネックの上から、胸のラインに触れる。  
僕の手のひらにぴったりとその膨らみが収まる。柔らかい布地の感触の下に、下着の硬さがあった。  
そのまま弧を描くようにゆっくり揉みしだくと、絢辻さんが身じろぎして眉をひそめた。  
 
「あ…ん…っ、ま……キスだけ……って…」  
「…言ってない…」  
「あっ…ちょ…べ、勉強は…」  
「…保険体育の勉強ってことで…」  
「バ…捻りが…ないん…だか…んっ」  
「じゃあ、算数の基礎ってことで…」  
「ん…どういう事…?」  
「1×1で1になろうよ…」  
「…算数に対する冒涜よ」  
 
下らない会話をしながらおっぱいを回し揉むの図。  
でもそんな中でも絢辻さんの声はだんだん艶っぽくなるし、僕の股間はどんどん盛り上がるし。  
思春期万歳。  
 
「絢辻さん、手、上げて」  
「ん…」  
 
僕に言われるがままに両手を上げ、子供のように服を脱がされていく絢辻さん。  
こんな無防備な絢辻さんの姿は、きっと他の誰にも見られないし、見せたくない。  
 
「あ、今日のブラジャー、薄紫だ」  
「何、喜んでんのよ」  
「ご、ごめん、可愛いなって思って」  
「…どうせすぐ外しちゃうくせに」  
「そ、そう言われちゃうと…」  
 
と言いつつ、結局、背中に手を回し、ブラジャーのホックを外してしまう。  
肩紐を左右に開くと、ブラジャーがするすると絢辻さんの腕を抜け、膝の上にぽとりと落ちた。  
僕の目の前に露になった白い乳房を下から掬うように持ち上げ、上向いた乳首にちゅっと吸い付く。  
 
「ひゃっ…あっ…あ…」  
 
普段は辛口な絢辻さんも、この時ばかりは甘い喘ぎが漏れる。  
そもそも、辛い喘ぎってのがあるか知らないけど。  
 
ぴんと尖った先端部分を舌先でコロコロと転がし、もう片方の乳首を指できゅっと摘み上げる。  
 
「ふあぁっ! あぁっ…あっあっあっ…!」  
「絢辻さん…可愛い…」  
「うる…さ…ひぁっ!」  
 
後が怖いけど、今はただ責める事に専念するものとし、空いている手をこたつに突っ込む。  
こたつに入れたままの絢辻さんの脚を辿り、スカートの下から手を潜り込ませた。  
 
「きゃっ…や…」  
 
ショーツの中心ラインを探り当て、指で何度もなぞり、ぐりぐりと指の腹で押し込んだりしてみる。  
 
「あっあっ…だめ…触っちゃ…や…」  
「いや…かな?」  
「…いやって…言ったら?」  
「………ごめん、止まらんないと思う」  
「んんんっ! も…こ、こんな時だけ…強引…なん…あっ…」  
「だって…絢辻さんが…すごく…可愛いし…えっちだし…」  
「ひ、人のせいに…あっ…しな…んっ」  
 
色々言ってるけど、多分、本当に怒ったり嫌がったりはしてない、と思う。  
その証拠に、ショーツを触る指先がだんだん熱くなり、じっとりと湿り気を帯び初めている。  
 
「絢辻さん…濡れてる…」  
「そん…! 口に出さないで…変態…」  
「汚れちゃうから、脱がすよ」  
「じ、自分で脱ぐわよ…。その、橘君も…脱いで。わたしだけなんて、不公平よ…」  
「う、うん」  
 
こたつから出て、衣服を脱ぎ捨てて行く。  
その間に絢辻さんはこたつの中に手を入れて、もぞもぞ動いていた。  
 
「脱いだ…から」  
「僕も…」  
「橘君は、見ればわかる」  
 
確かに。絢辻さんはまだ下半身をこたつに入れてるけど、  
僕は素っ裸でカーペットの上に胡座をかいてた。  
 
「橘君、大きくなってる…」  
「う、うん」  
 
絢辻さんは両手で頬杖を付くようにして寝転がり、  
目の高さにある僕の怒張したペニスを見つめている。  
 
「あ、絢辻さん、そんなまじまじと見ないでよ」  
「ふふ。どうしよっかな〜。さっき散々橘君にいいようにされちゃったし」  
「いや、あれは…」  
「だから…お返しっ」  
 
ぱくり、と絢辻さんが僕の亀頭を咥え込んだ。  
生暖かい粘膜と、柔らかい唇の感触が局部を刺激する。  
 
「うあ…!」  
「ん…ちゅ…ん…」  
 
絢辻さんは僕のモノを雁まで口に含んだまま、鈴口にチロチロと舌が這わさて行く。  
 
「あ…あ…絢辻…さん…!」  
「…ん…ろう? ひもひいい?」  
「う…うん…すっごく、気持ちいい…!」  
「んふっ…りゃあ…」  
 
ぐぷり、と僕の竿が絢辻さんの口内に一気に呑み込まれた。  
唇が滑り落ちていく摩擦の快感が電撃のように身体を駆け巡る。  
 
「くあぁ…っ!」  
「ん…! じゅる…! んく…!」  
 
絢辻さんが頭を何度も上下にスライドさせる。  
その度にペニスが悦んでいるかのようにビクビクと跳ね動いた。  
 
「あ…あやつ…さ…も、もう…」  
 
射精感が高まってくる。欲望の塊を吐き出そうと、ペニスが更に膨らみを増した。  
 
「あ。ダメ」  
 
が、そこで絢辻さんがぴたりと動きを止め、僕のモノから口を離した。  
ちょ、ちょいちょいちょ〜い!!  
 
「あ、絢辻さん…」  
「橘君、捨て犬みたいな顔してるわよ」  
「な、生殺しだよ…」  
「だって、一人で勝手に気持ち良くなって終わるつもりだったでしょ」  
「え…」  
 
絢辻さんがこたつから抜け出し、向かい会うように僕の膝の上に座った。  
僕の太ももに絢辻さんのお尻がむにゅりと乗っかり、  
こたつで温まった肌の熱がじんわりと伝わってくる。  
 
「ダメ。一人だけなんて…」  
「…絢辻さん」  
「わたしを置いてったりしたら、許さないわよ」  
「…うん、ごめん」  
 
赤くなった絢辻さんの頬に手の平をそっと当て、唇を重ね合う。  
絢辻さんは身体を前に倒すように腰を浮かせると、僕のペニスを握り、  
自分の秘穴の真下に持ってくる。  
 
「橘君と一緒に…気持ち良くなりたいの…。じゃないと…」  
「…釣り合いが、取れない?」  
「…うん。良くできました」  
 
ご褒美、と小さく言うと、絢辻さんは腰を沈め、ズブズブと僕自身を蜜壷の中に埋め込んでいく。  
絢辻さんの秘所は愛液で、僕の陰茎は唾液でぬるぬるになっていて、何の抵抗もなく最奥に到達した。  
 
「んああぁ…!」  
「はぁ…全部、入ったよ…」  
「うん…うん…」  
「絢辻さんの中…すごくあったかい…」  
「橘君のは…とっても…熱い…」  
 
絢辻さんの呼吸に合わせるように膣が緩やかに伸縮している。  
下腹部に力を入れてペニスを動かすと、中がイソギンチャクのようにきゅっと縮んで締め付けられる。  
それだけで果ててしまいそうになるのを懸命にこらえ、腰をぐりぐり回して内部を肉棒で掻き混ぜた。  
 
「あっ…あっ…ふあぁぁ…!」  
「くっ…絢辻さん…」  
「たちば…くぅん…」  
 
甘えるような声を出して、絢辻さんが僕の胸に頭をぐりぐりと押し付けてくる。可愛いなぁもう。  
目の前にいるのは、普段の優等生な絢辻さんでもなく、本性を出している絢辻さんでもなく、  
僕だけにしか見れない、特別な絢辻さんの姿だ。  
 
「僕…幸せだよ、絢辻さん…」  
「こ、こんな時に言うセリフじゃないでしょ…」  
「そ、そうだね」  
「…でも、わたしも幸せよ。今も、きっと、この先も」  
「うん、幸せにするよ、絶対」  
「…期待、してるから」  
 
絢辻さんが恥ずかしそうに顔を伏せる。その仕種がまた愛しくてたまらなくなる。  
絢辻さんの膝の下に腕を通し、ゆっくりと絢辻さんの身体を持ち上げる。  
膣に飲まれていたペニスが、愛液に濡れててらてらと光りながら、徐々にその姿を現す。  
そして、膣から抜けきってしまう直前まで引き抜いたところで、腕の力を完全に緩めた。  
 
「ああああああああぁぁぁ!!」  
 
重力のまま落下した絢辻さんの膣穴に、ぐじゅうっ、とペニスが深々と突き刺さった。  
絢辻さんが嬌声を上げ、背中に爪が食い込むほど強く僕を抱きしめてくる。  
 
「く…っ! 絢辻さん…絢辻さん!」  
「あっ! あっあっあっ! ぅああっあっ! ああああ!!」  
 
もう、止まらない。絢辻さんの身体を何度も何度も持ち上げ、引き落とし、腰を打ち付ける。  
ごつん、ごつんと亀頭が膣壁を叩く度に、膣がぎゅうっと狭まり、ペニスを締め付けてくる。  
 
「あぁっ! だ…だめっ! だめえぇっ! た…橘く…! わた、あっ! わたしぃ…っ!」  
「絢辻さん…っ! く…っ、き、気持ちいい!?」  
 
絢辻さんが言葉の代わりに首をがくがくと縦に振って答える。  
僕の方も快感がマグマのように競り上がってきている。  
終わりに向けて一気にラストスパートをかける。  
 
「ひああぁっ! あっあっあっあっあっっ! ホントに…もうっ…! 橘君っ! 橘く…ああぁっ!」  
「絢辻さん絢辻さん絢辻さん…っ! も、もう……っ、出るっ!!」  
 
絢辻さんの腰をぐいっと引き下げるのと同時に、渾身の一撃を突き上げた。  
 
「ああああああああああああああぁぁぁぁ!!!」  
 
絢辻さんの身体が、びくんっ、と大きく震え、背中が激しく反り返る。  
僕はしっかりと腰を密着させたまま、欲望の塊を子宮目掛けて噴出した。  
どくんどくんとペニスが脈打ち、精子が膣の中に次々と撃ち込まれていく。  
 
「や……あ……いっぱい……出てる…」  
「うん…」  
 
絢辻さんが脱力した身体を僕に預けてくる。  
僕はその重みを受け止めながら、優しく、だけど力強く絢辻さんを抱きしめた。  
 
…  
……  
………  
 
「『意外』って言うのは、わたしが橘君と、じゃなくて、橘君がわたしと付き合ってる事が、じゃない?」  
「それって、違うの?」  
「全然違うわよ。前者ならわたしへの憧れとか尊敬があるかもしれないけど、後者はただの嫉妬よ」  
「嫉妬…?」  
「橘君、モテるから」  
「えぇ!? そんなことないよ」  
「…その無自覚なとこも、モテる要因の一つなのかしらね」  
「う〜ん…」  
「いいわよ、わかんなくて。気にしなくていいって言ったでしょ」  
「うん、まぁ、わかったよ」  
「そんなに気になるなら、あてつけに明日から手を繋いで登校しよっか?」  
「えええっ!?」  
「…嘘よ。見事に釣られたわね」  
「…僕だけ釣られたんじゃ、釣り合わないよ…」  
 
本当は、もう釣り合いなんてどうでもいいんだけど。  
僕の隣に絢辻さんがいて、絢辻さんの隣に僕がいれる。これで充分だ。  
 
「そうだよな。釣り合いよりも、連れ合いになる方がいいよね」  
「た、橘君。それ、どういう意味で言ってるの…?」  
「え…? あっ! ごごごめん、そそそんな特別な意味じゃなくて…」  
「…バカ。ホントに、そういうとこが…大好きよ」  
 
〜終〜  

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