・・・  
 
「・・・ここは・・・どこ?」  
霧の中、詞は一人佇んでいる。回りには誰も居ない、一人ぼっち・・・  
「んっ?何、あれ?」  
自分の足元の霧が晴れ、詞の目に飛び込んで来た光景。  
「・・・そうか・・・」  
自分が暮らしていた、大嫌いな家。人が大勢集まっている。皆、  
暗い表情・・・  
 
・・・  
 
「私の・・・お葬式・・・」  
 
・・・  
 
詞はクリスマスイブの夜、一緒に過ごす筈だった純一をずっと待ち続けた。  
「・・・橘くん・・・どうして来てくれないの・・・?」  
結局この日、純一は詞の前に現れる事は無かった。詞と約束して  
いたにも関わらず、純一は別の女の子とクリスマスイブを過ごしていた  
のだった・・・  
そして詞の硝子の心は粉々に砕けてしまい、全てに絶望した詞は、  
純一の目の前で手帳を燃やした神社の奥で、自ら命を絶った・・・  
・・・  
 
「皆、泣いている・・・」  
詞は凍り付いた表情で、自分の葬式をぼんやり眺めている・・・  
祭壇には、満面の笑みを称える、自分の写真。その前では、苦虫を  
噛み潰した様な表情の父親。オロオロするばかりの母親。泣き崩れる  
姉の姿・・・  
「・・・結局あの人達は、あたしの事を何も理解していなかった  
のね・・・」  
 
・・・  
 
「!」  
祭壇が設けられた和室の一番後ろに目をやると、詞はある人物の  
姿を発見する。  
「・・・橘くん・・・」  
小さく座る純一の姿。まるで魂が抜けてしまった様に、目は虚ろで  
表情は硬い。この時の純一は、罪の重さに押し潰されそうになり  
ながらも、必死に堪えている。  
「・・・あなたが全部悪いのよ!私を一人ぼっちにして!」  
詞は声を荒げて叫ぶ。  
「あなたが・・・あなたが私を一人にしたから!」  
詞の瞳から、大粒の涙が溢れ落ちる。  
「・・・でも・・・もう・・・これで、あなたは・・・」  
詞は声にならない声で、純一に叫ぶ。決して届かない、自分の声。  
「・・・何でこうなったの?」  
純一の表情を見て、詞はポツリと呟く。  
「そういえば、あたしは彼を拒絶していた・・・彼の話は、一切  
聞かなかった・・・ちゃんと話し合えば良かったのかな・・・」  
詞はあの日からずっと、純一を拒絶していた。だから純一が本当の  
気持ちに気付いて、詞に謝罪しようとしても、決して許さなかった。  
「・・・あたしは・・・彼の事を・・・」  
詞は自問自答する。純一の行った行為は、決して許されるものでは  
ない。だが、純一の話を聞かず、拒絶したのが果たして正解だったのか、  
詞は苦悩する。  
「・・・でも・・・もう・・・遅いよ・・・私は、この霧の中を、  
永遠にさ迷うしか・・・無いの・・・」  
詞は、純一を許せない気持ちと共に、純一の側に居られない悲しみを  
感じ、心がまた砕けていく・・・  
「さようなら・・・あたしの愛したひと・・・」  
詞の瞳からは、また大粒の涙が溢れる・・・  
 
・・・  
 
「・・・かさ・・・つかさ・・・詞!」  
「・・・んんっ?」  
「どうしたの?急に泣いたりして!」  
「・・・純一?」  
目を開けると、純一が心配そうに自分を見ている。  
「あれっ?」  
ベッドから起き上がり辺りを見回すと、そこは自分の部屋。  
テーブルの上には、純一と一緒に勉強していた、大学入試の参考書と  
ノート。いつもと変わらない光景。  
「ビックリしたよ!僕が目を覚ますと、詞が涙を流しているんだから!  
何か怖い夢でも見たの?」  
純一はそう言うと、小さく震える詞の身体を抱きしめる。  
「・・・夢・・・だったんだ・・・」  
詞は、さっきまで体験していた事が全て自分が見ていた悪夢である事を  
理解して、フウッと息を吐き出してベッドの上に倒れ込む。  
「詞・・・ゴメン・・・僕がもっと勉強を頑張れば、詞を不安にさせ  
ないのに・・・」  
純一は詞を抱きしめながら、詞に迷惑を掛けている事を詫びた。  
「純一!」  
詞は純一を押し倒すと、純一のパジャマを脱がし、自らパジャマを脱いで  
純一の身体の上に乗り、純一の唇を貪る様に口づける。  
「純一!純一!」  
チュパチュパ、チュパチュパ・・・  
純一の口を吸い、純一の身体を抱きしめる詞。純一は何も言わずに  
されるがまま。詞の見ていた悪夢を聞こうともせずに、純一はただ  
詞の気持ちが落ち着くまで、詞の好きにさせている。  
 
「純一、あたしは純一の事が好き!純一はあたしを・・・」  
「詞・・・僕が君が好き!」  
詞は純一の言葉を聞くと、純一の分身を握りしめ、そのまま自分の  
秘部に押し当てると、一気に純一を飲み込んで、純一の身体の上に  
自分の身体を重ねる。丁度純一が詞に襲われている様な形である。  
「純一!純一!好き!」  
詞は譫言の様に純一の名前を呼びながら、激しく腰を振り乱しながら、  
純一を感じている。  
「・・・つ、詞・・・激しい!」  
「純一が悪いのよ!あたしを不安な気持ちにさせて!」  
「詞・・・」  
純一は訳がわからなかった。何故詞がこんな行動に出たのか?  
おそらく詞の夢の中で、詞を悲しませたのだろう。その事だけは、  
純一にも理解出来た。そんな事は、とばっちり以外の何物でもない。  
でも、詞が不安になっているのなら、その不安を取り除いてあげる  
のが、恋人である自分の役目だ。純一はそう考えたからこそ、あえて  
詞の好きな様にさせてあげている。  
「純一・・・キスして・・・」  
詞は腰を激しく震わせながら、純一に顔を近付ける。  
「詞・・・」  
純一は詞の身体を抱き寄せると、詞の唇に自分の唇を重ねる。  
詞の腰の動きがますます早くなり、純一は限界を迎える。  
「詞・・・もう・・・」  
「純一・・・お願い!このまま・・・」  
詞が純一のを一番奥に飲み込んだ時、純一は大量の愛を詞の秘密の  
花園の一番奥に注ぎ込む。  
詞の身体は激しく痙攣し、純一の身体の上に倒れ込む。  
純一は震える詞の身体を、優しく受け止め、背中を擦る。  
詞は顔を赤らめ、純一の身体を優しく抱きしめる・・・  
 
・・・  
 
「詞・・・少しは落ち着いた?」  
「うん・・・」  
ベッドの中で抱き合う二人。  
「純一・・・あたし・・・」  
「・・・何も言わなくて良いよ・・・」  
純一は詞の唇に優しくキスをする。  
詞は急に恥ずかしくなり、純一の頬をつねる。  
「もう、バカッ♪」  
「い・痛いよ!」  
二人とも笑顔。  
詞は、純一が何も聞かずに自分の好きにさせてくれた事が嬉しくて、  
ついつい照れ隠しをしてしまう。  
「純一・・・ありがとう♪あたしの側に居てくれて・・・」  
「僕は絢辻さんのものになったんじゃなかったっけ?」  
「もう♪」  
詞は純一に軽くバードキスをすると、ベッドの上に伏せ寝して、瞳を  
妖しく輝かせながら、純一を誘う。  
「今度は、あなたが好きにして良いから♪」  
「良いの?」  
「ほらっ、グズグズしない!」  
純一は詞のお尻の上に乗ると、詞の柔らかな乳房を優しく揉みしだき  
ながら、ゆっくりと寝バックで詞のお尻の感触を味わい始める。  
「純一・・・もっと♪」  
「詞・・・」  
こうして二人の夜は、幸せと共に更けていく・・・  
 
 

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