いきなり手紙を渡された時はびっくりしたけど、いざ送り主に会ってみると胸に抱いていた不安とかそんな類のものは一気にどこかへ吹き飛んでしまった。  
僕にラブレターをくれた子は上崎裡沙ちゃんといって、茶色のロングヘアーが可愛らしい同級生だった。  
なんでも以前から僕のことに興味を持ってくれていて、このたびようやく重い腰を上げたとのこと。素直で純情そうな可憐な子と思ったのも束の間、実はとんでもない秘密を抱えていた。  
思い返すだに落胆せざるを得ないあのクリスマスの件は、なんと裡沙ちゃんの裏方仕事によって起こったのだった。とはいっても、クラスの女子のお遊びに付き合わされようとしていたのだと知らされると、内心はかなり複雑だった。  
けど裡沙ちゃんは正直に打ち明けてくれたし、その時になると僕の心の大部分は裡沙ちゃんで占められていた。だからずっとそばにいて欲しいと思ったんだ。  
自分のことを小学生の時から、弛まぬ気持ちで好きだと思い続けてくれる裡沙ちゃんを置いて、僕は他の誰を好きになれというのだろう?  
僕は裡沙ちゃんに、君が好きだと告げ、そのために他の女の子に嘘を吐いていたことを謝りに行こうということを縷々と述べたが、  
「だめ」  
裡沙ちゃんははっきりとそう言った。  
「一緒には、だめ」俯けていた顔を上げて、僕の方をじっと見てくる。「これは、あたしがちゃんとしなきゃいけないことだから」  
月や星の明かりでうっすらとした世界の中で、裡沙ちゃんは目尻に涙を浮かべながら訥々と口を開いていく。  
「だから、ひとりで行ってくる」  
「裡沙ちゃん……」  
思わず漏れる微笑みに、胸がぽっと温かくなっていくのを感じる。この気持ちはもうはっきりと自覚できる。  
「今からみんなのところへ、謝りに行ってきます」手を後ろで組み、裡沙ちゃんはゆっくりと一歩下がる。「戻ってきたら、一緒に創設祭をまわってくれますか?」  
赤らんだ頬で僕を見上げてくる裡沙ちゃんにそんな風に言われると、断れるものも断れない。もっとも、首を縦に振る以外の動作は思いつかなかったけど。  
「うん、待ってるよ」  
「あたし、橘くんとイカ焼きが食べたい」  
目を弓なりにする裡沙ちゃんに、どうしようもない愛おしさを感じた。  
「分かった、イカ焼き食べよう」  
期せずして視線が絡み合うと、裡沙ちゃんは瞼を下ろして後ろで手を組んだまま背伸びをしてきた。僕は迷わず裡沙ちゃんの肩を掴んで、少し頭を下げてそっと唇を触れ合せた。  
潤沢な感触にピリピリと耳の後ろが痺れて、甘い香りが鼻いっぱいに広がった。  
 
僕は謝りに行ってくるという裡沙ちゃんを見送ると、そのまま部屋に残って椅子代わりになっている木材に腰を下ろす。  
窓の外に目をやれば、群青色の空に鏤められた星々が煌々と光っている。創設祭の喧騒が遠くから聞こえてきて、ここに至るまでにだいぶ音量を搾り取られているようだ。  
今日はクリスマス――恋人の日。  
そんな日を可愛い彼女と迎えられるなんて、僕はなんて幸せ者なんだろう。きっと全世界を見て回っても、僕より有頂天な人はそうはいないはずだ。そう考えると、なんだか今日という日が奇跡のように感じられた。  
「橘くん、なんだか嬉しそうですね」  
いきなり声を掛けられて、びくっと肩を跳び上がらせてしまった。  
「なんだ裡沙ちゃんか、びっくりしたー……もう行ってきたの?」  
「はい。走り回ってましたから、ちょっと疲れちゃいました」  
そう言う裡沙ちゃんは肩で大きく息をしていて、頬も最後に見たとき以上に上気している気がした。額に浮かんだ汗を拭いながら膝に手を突いている姿に、僕は思わず生唾を飲み込んだ。  
「? どうかしましたか?」  
僕の視線に裡沙ちゃんは小首を傾げる。にっこりとした笑みを絶やすことなく、僕の元へ歩み寄って隣に腰掛ける。と、僕の腕に手を回し肩に凭れ掛かってきた。  
「り、裡沙ちゃん……?」  
咄嗟の出来事に、僕の心臓のリズムが一気に跳ね上がった。右腕に感じる柔らかさは、もしかするともしかするのか。  
「あたし、もう橘くんと離れたくありません……」ぎゅっと二の腕に頬を当てながら、裡沙ちゃんが濡れた瞳で見上げてくる。「橘くん……」  
もう一回、という形に唇が動き、僕は矢も盾もたまらずに強く唇を押し当てた。  
さっきよりも情熱的に、僕は離してはまた押し当てるといった風に、何度も何度も感触を味わった。女の子の唇ってこんなに柔らかいのか?  
裡沙ちゃんの鼻息が口元にかかってくるのさえ心地よかった。僕が唇を割って舌で歯茎をそろそろと舐めると、裡沙ちゃんが吃驚して目を開いたので慌てて口を離した。  
「ご、ごめん……つい、夢中になり過ぎちゃって」  
 
拝むように手を合わせて謝る。すると裡沙ちゃんはくすっという笑みを漏らして、  
「ううん、橘くんも男の子だもん」  
はにかみながら僕の袖を引っ張る。  
「ね…………今の、もっかいして……?」  
「……え?」  
呆気にとられていると、裡沙ちゃんはいきなり顔を寄せて――ぱくりと僕の唇を甘く噛んできた。  
唇の表面をぬるりとした舌でなぞられて、思わず呻いてしまった。唇が離れると、裡沙ちゃんは微笑みながら「あーん」と小さく口を開けた。  
その仕草に、僕は自制をかなぐり捨てて裡沙ちゃんの口の中に舌を潜り込ませる。温かい口の中を貪るように、形振り構わず舌を動かした。  
舌と舌が絡み合うと裡沙ちゃんがくぐもった声を漏らし、奇妙な一体感を覚えた。互いの舌が蠢いて本能の赴くままに貪り合う図は、はたから見たら情熱的なワンシーンに映るだろう。  
ずいぶんと長いこと舌を絡め合っていた気がするが、正確に時間を計っていないのでどれほど経ったのかは分からない。  
熱っぽい視線で見つめ合うと、裡沙ちゃんがおもむろにリボンをしゅるしゅると解き始めた。僕は閉口して、まじまじと裡沙ちゃんを眺めていた。ブラウスのボタンをいくつか外すと、  
「橘くん……」  
恥じらいながら、蚊の鳴くような大きさで声を出した。  
「さ、触っても、いいよ……? あんまり、大きくないから、つまらないかもしれないけど……」  
「え、いや、だからそんなことは……って裡沙ちゃん!?」  
裡沙ちゃんの思いがけない行動に、僕はただあたふたと取り乱すばかりだ。だって女の子が触ってもいいって……ここは男らしく獣もとい狼になればいいのか?  
覚悟を決めて、僕は喉が鳴ってしまうのを悟られる前に、裡沙ちゃんの肩を抱き寄せた。手の中で一瞬だけ肩が震えたが、もう止まらなかった。  
僕は中腰のまま裡沙ちゃんの前に移動して、木材の上に膝立ちになる。後ろの棚に裡沙ちゃんを押し付けるようにしながら、僕は強張った手をおずおずと胸に持っていった。  
「……ぁっ」  
「ご、ごめん、痛かった?」  
「う、ううん……気にしないでください」  
手の中に収まるほどの膨らみだったが、それでも僕の気持を高ぶらせるのには充分すぎる役割を担っていた。そのまま指を折り曲げ、わきわきと胸を揉んでみる。  
ここに胸がなければいささか間抜けな手の動きも、裡沙ちゃんの反応が返ってくるというだけでなまじ馬鹿には出来ない。  
初めて触れる女の子の豊かさに、恥ずかしげもなく股間がきつくなってきた。極度の緊張と高揚感で頭はあてられたようにぼうっとしていて、手の動きも自然と激しくなっていく。  
妙に硬い感触は下着だろうか、ごわごわとしてちょっと痛いかもしれない。  
「裡沙ちゃん……その、痛かったりする?」  
「……ふぇ? あ、い、痛くはないです……」そこで裡沙ちゃんははっとしたのか、とんでもないひと言を投下した。「……脱ぎ、ましょうか?」  
「ええ!? で、でも……」  
「あたしなら平気ですよ? 橘くんになら、見られても」  
言うや否や、裡沙ちゃんは素早くベージュのセーターを脱ぎ捨ててブラウスのボタンを外していく。僕は二の句が継げずに、ただ徐々に露わになっていく肌に目を奪われていた。  
ブラウスも肩からするりと落とすと、裡沙ちゃんは目を瞑って横を向いた。  
僕は裡沙ちゃんを凝視した。袖は抜いていないので半脱ぎということになるのだろうか、腰のあたりで皺くちゃになるブラウスを見て妙にコケティッシュな姿だと思った。  
それ以上に僕の目を釘付けにしたのは、胸元を覆うブラジャーだった。パールホワイトのシンプルだが可愛らしい下着は、慎ましやかなバストを隠しているが、ただそれだけなことに心もとなさを感じた。  
たかが布一枚隔てた向こうに女性の象徴のひとつとも呼べる代物があるのだとは、にわかには信じられなかった。うっかり眩暈で倒れてしまいそうな毒気をそこに見た気がした。  
あれは全男を狂わせるに値するものだ。  
ごくり、と図らずも喉笛を吹いてしまった。絶対不可侵の聖域だと信じて止まなかった領域が、手の届く範囲にあるのだと思うと居ても立っても居られなくなった。  
 
卒然と手を伸ばすと、僕は下着の上から怖々と女性の持つ丸みに触った。すると理性などどこかに吹っ飛んでしまったように、僕はただ胸を揉みしだいた。  
裡沙ちゃんは木材の縁をぎゅっと掴んでいる。初めて触れられているからなのか、やっぱり怖さを捨て切れてはいないようだった。僕は耳元でささめくように、そっと声を送り出す。  
「裡沙ちゃん、すごく可愛いよ……だから、怖がらないで」  
「橘くん……」  
艶っぽい瞳と目が合うと、どちらからともなくくちづけを交わす。ソフトとディープを交互に繰り返す間にも僕の手は胸や鎖骨を撫で、その動きのたびに裡沙ちゃんは身体を僅かに震わせる。  
「外しても、いい?」  
逸る気持ちが口を動かし、僕は裡沙ちゃんの返答も待たずに手をホックにかけた。女性の下着なんて直に触れるのは初めてだったが、そこは今までのアダルトな知識で補えた。  
ホックを外して肩紐をそっと落としていくと、重力に従って椀型の下着はすとんと裡沙ちゃんの太ももに落ち着いた。僕は身体を離して、全体を眺めてみた。  
夜の仄かな明かりの中に佇む裡沙ちゃんの身体は、今までに見たどんな景色や名画よりも素晴らしいものに感じられた。たった今名だたる彫刻家に彫り起こされたような神聖さが辺りに漂っているとさえ思った。  
「……綺麗だ」  
だから咄嗟にそんな賛辞が口を衝いて出た。  
「ちょ、っと恥ずかしい、ね」  
僕は裡沙ちゃんの前に跪いて手を取り、そのまま胸に顔を埋めた。  
「た、橘くん……?」  
「……なんだか安心する。母性ってものなのかなあ」  
「ふふ、くすぐったいよう」  
言葉とは裏腹に、裡沙ちゃんは嫌がる素振りも見せないどころか、空いている手で僕の頭を撫でてきた。そうされると、ますます胸が穏やかな温かさで一杯になった。  
鼻先で胸の間を撫で、僕は裡沙ちゃんの胸の先端にある蕾をそっと口に含んだ。  
「ひゃうっ」  
短い悲鳴に少々臆してしまったが、僕は毅然として舌でそれを転がしてみる。口の中で芯のある硬さがあっちへこっちへ動くと、裡沙ちゃんが逐一反応を見せてくれる。  
「っ……ぁぅ、ひあッ!?」  
片手で胸を揉みながら乳首を抓んだり弾いたする最中、もう一方の乳房を口で以って弄んでいる。乳首を舌で微動させ、歯で甘く噛んでみたりする。裡沙ちゃんは、特に噛まれると声を漏らした。  
「あっ……噛んじゃ、いやあ…………」  
艶やかな声の調子に、僕は抑えきれない衝動を沸々と湧きあがらせる。胸を揉んでいた手で太ももを撫でさすりながら、徐々にスカートの中に忍び込ませていく。  
内ももを撫でると、裡沙ちゃんは阻止するように手を挟んでくる。僕は上目遣いに裡沙ちゃんを見上げると、恥じらいに眉尻を下げつつも、ゆっくりと脚を広げてくれた。  
下着越しに性器に触れると、裡沙ちゃんが弾かれたように身体を折り曲げて声を上げた。  
「あっああ――」  
「裡沙ちゃん……もしかして濡れてる?」  
「い、言わないで……お願い…………」  
裡沙ちゃんはぷるぷると身を震わせながら、懇願するように声を絞り出した。こうまでされると、僕としても言うことを聞くほかなかったので、黙って手と舌を動かし続けた。  
引っ掻くように指を動かしていると、微かな突起に指が当たったのを感じた。そこがいわゆるクリトリスであることは、童貞の僕にも手に取るように分かった。  
重点的にそこを責めると、裡沙ちゃんの反応がみるみる激しいものに移り変わっていった。  
「な、何これっ…………!?」  
僕の肩を爪が食い込むんじゃないかというくらいに強く掴みながら、裡沙ちゃんが怯えるような語調で問いかけてきた。が、僕としてはどう答えたものかと逡巡した挙句、何も返せなかった。  
「あっ……あぁ――ッ」  
指で挟んだり押してみたり、様々なやり方でクリトリスを触ってみる。返ってくる反応に僕の心は浮き立っていたが、それ以上に裡沙ちゃんが感じていることに喜びを覚えていた。  
 
だので、僕は取り憑かれたようにクリトリスを擦り上げることに執著した。裡沙ちゃんはくぐもったような押し殺した声を、ぽつぽつと漏らしていたが、それがまた僕に火をつける。  
いっそう強くクリトリスを押し付けながら擦り上げると、裡沙ちゃんは一瞬だけ声になりきらなかった空気だけを細く吐きだしながら、小刻みに身体を痙攣させた。  
軽くイったのだろうか、と僕は都合よく解釈し、一旦手の動きを止めた。  
「はあ、はあ、はあっ――――………………」  
「裡沙ちゃん、大丈夫?」  
「……あ、なん、とか…………」裡沙ちゃんは気だるそうに顔を上げて当惑したような表情を浮かべた。「なんだか、頭がぼーっとします」  
ふらふらと立ち上がろうとする裡沙ちゃんに、僕は慌てて声をかける。  
「立てる……?」  
「はい、今度は橘くんが座ってください」  
裡沙ちゃんは相好を崩すと、僕の肩に手を置いて促してくる。何が何だか分からないまま、僕は中腰になったまま裡沙ちゃんと入れ替わるように座った。  
僕は裡沙ちゃんの一挙手一投足を見逃さないようにじっと見つめる。裡沙ちゃんは僕の前に膝を突く。  
ストールを肘に挟んで背中に垂らすようにブラウスを纏う裡沙ちゃんの姿に、目が離せなかった。まるで天女のように見えたのだ。  
「裡沙……ちゃん」  
「今度は、あたしが橘くんにしてあげる番です」  
浮かんだ微笑は天使のもののようで、ともすれば昇天してしまいそうなほど輝かしかった。  
裡沙ちゃんは膝立ちのまま僕に近寄ると、ネクタイを器用な手つきで解き、ブレザーを脱ぐように促してきた。僕はされるがままにブレザーを脱ぐと、裡沙ちゃんの細い指がシャツのボタンを外しにかかった。  
半ばまで外されると、筋肉質とはいえない胸板が晒された。裡沙ちゃんはうっとりと頬をゆるませながら、つーっと指先で撫でてきた。ぞくぞくとなってしまのは男の性だ。  
「橘くん……可愛い」  
誰にともなく呟くと、裡沙ちゃんは花のような口をそっと僕の胸に持ってきた。乳首を口に含まれると、何ともいえない快感が背中を駆け抜けた。  
「うっ……」  
「んふ――お、か、え、し」  
裡沙ちゃんの舌が的確に乳首を転がしてくると、僕の股間がビクビクとズボンを押し上げる。熱く濡れた舌に舐められると、首の後ろにぴりぴりとした痛みとも疼きともつかない感覚が走る。  
たっぷり僕を責めると、裡沙ちゃんは顔をずるずると下の方へ降ろしていった。腹部、そしてついに股間の上に顔が覆いかぶさると、そのままくちづけをしてきた。  
「っ……裡沙、ちゃん…………」  
「橘くんのこれ、すごく苦しそう…………出してあげるね」  
「え、うわ!?」  
やにわに流れるような動作でベルトを引き抜かれ、あっという間に裡沙ちゃんにズボンを下げられてしまった。丁寧に下着までもが足から引き抜かれると  
、恥ずかしげもなく天を向く一物があられもなく姿を見せた。  
「これが……橘くんの…………」陶酔したようなトロンとした目つきで、裡沙ちゃんが僕のものをまじまじと観察する。「大きい、ね」  
裡沙ちゃんは呟くと身じろぎし、そっと手で握ってくる。触れられただけでも気持ち良く、僕のものは意識に反して大仰に動いてしまう。  
「わっ、動いた……」  
「……う、う」  
裡沙ちゃんはにぎにぎとペニスを揉んできたり、突いたりしてくる。時には匂いを嗅いだりもして、僕の肝を冷や冷やさせた。しかし、手が上下に動きだしたときに比べると、この気持ちも可愛いものだった。  
「裡沙ちゃんっ!?」  
「気持ち、いいですか……?」  
不安げな眼差しで見上げてくる裡沙ちゃんに、僕は「あ、うん……」と言おうと思っていたこととは別の言葉を出してしまった。  
「あたし、胸を大きくするために色々してる、って言いましたよね」  
「あ、ああ……うん、言ってたね」  
その節はひどく取り乱してしまったことを恥ずかしく思う。あらぬ妄想で頭の中が沸騰しそうだったなあ。  
「それ以外にも、色々、勉強したんですよ」そう言う裡沙ちゃんは活き活きとした笑みを絶やさない。「橘くんに気持ちよくなってもらうために」  
「ぼ、僕に……? って、ええ! 何をしたのさ!?」裡沙ちゃんの大胆発言に、まんまと二の轍を踏む僕だった。  
「雑誌読んで、男の子が何されると喜ぶかとか…………あとは…………」口ごもると、裡沙ちゃんは驚くべき行動に出た。「……こういうこととか」  
裡沙ちゃんの舌が、チロチロと僕のペニスを舐めてくる。ぬるりともざらりともつかない、言いようもない感覚に、腰のあたりがぶるぶると震える。  
「あたし、橘くんのためなら、何でもしたいんです」  
 
ソフトクリームを舐め上げるように、裡沙ちゃんの熱い舌が裏筋を這い上がってくる。昇ってくるのに同期して、僕の昂りもボルテージを上げていく。  
「だから、こんなことだってしちゃいます」  
裡沙ちゃんが口を大きく開けると、ぱくりと一物を口に含んだ。ねっとりとした口内の感触に、僕はたまらずに呻き声を上げてしまった。  
「ひもひいえふは?」  
「き、気持ちいけど……」  
「んふ……」  
裡沙ちゃんは僕の当惑を言下に顔を一気に股間に埋めた。奥深くまでペニスが咥え込まれ、得も言われぬ圧迫感に声を押し殺す。  
ペニスが吸われ、裏筋で舌がもぞもぞと蠢きながらどんどん口から吐き出されていく。いよいよ口から解放される――といったところで、また深く呑み込まれ、伸吟に身を強張らせた。  
今や僕は裡沙ちゃんにいいようにあしらわれていると言っても過言ではなかった。完全に手綱を握られていて、支配下に置かれていた。  
「じゅぶっじゅぷっじゅぷっぷっ――――……」  
ときおり上目遣いで見上げてくるのがまた男心をくすぐって、僕の顔が快感に歪むのを見届けた裡沙ちゃんが目だけで笑っていく。不適とさえいえる笑みに、ぞくぞくとした快感を覚えてしまう。  
手も休むことなくペニスを扱いて陰嚢も忘れずに揉んでくるあたり、とても素人とは思えない所作に映ったが、僕としては何も言えずにただ与えられる刺激にペニスを脈動させるしかなかった。  
そして我慢できずに腰を引こうとしたところを一気に責められ、  
「うああッ――――で、出る……ッ!!」  
自らの欲望の塊を吐き出したいままに放出した。  
「ンんンんんんッ――――…………」  
どくどくと自分でも怖いくらいにペニスが脈打ち、おそらく夥しい量の精液が裡沙ちゃんの口の中に溜まっている。僕は考えなしに無理やりに裡沙ちゃんの肩を押してペニスを吐き出さた。  
これでひと安心とほっと息をつく間もなく、すぐに後悔の念に身を引き裂かれそうだった。  
ペニスはいまだに精液を飛び散らしていて、あろうことか裡沙ちゃんの顔にもふんだんに降りかかってしまった。裡沙ちゃんはと言えば、動けずに顔を上に向けたまま精液を浴びせかけられている。  
ようやく出すものを出し切ると、僕は裡沙ちゃんに土下座する勢いで頭を下げて謝った。  
「ご、ごめん、裡沙ちゃん。ぼ、僕――」  
「大丈夫だよ、橘くん」  
裡沙ちゃんは僕の言葉を遮るように口を開くと、そろそろと瞼を開けてにっこりと僕を見上げてきた。音がやけに不明瞭だと思ったら、裡沙ちゃんの口の中には真っ白い液体がこんもりと入っていた。  
「あっ――っと、ティッシュティッシュ……」  
僕がティッシュを取り出そうと焦っていると、喉が鳴る音が鼓膜を震わせた。ゆっくり裡沙ちゃんの方に視線を戻すと、何と精液を飲み込んでいた。  
「わ、裡沙ちゃん……!? 汚いよ、そんなの」  
「んくッ……――汚くなんてないよ、だって橘くんのだもん、おいしかったよ?」  
冗談なのか本気なのか、裡沙ちゃんは示すように顔にかかった精液を指で掬うと、それも舐め取った。僕としては複雑な感情がぐるぐると渦巻いていたけど、そんな行為を目の当たりにして興奮しなかったわけではなかった。  
「ふふ、橘くんの、まだ全然元気だね」  
僕のものは射精後にも関わらず、まだ準備万端とでもいうようにそそり立っていた。  
裡沙ちゃんはごろんと床に寝そべると、腕を広げて猫なで声で僕を呼んだ。  
「橘くん…………きて?」  
顔に精液を散らしながら微笑む少女の姿に、僕はもう理性を保つことはできなかった。  
シャツを脱ぎ捨てて全裸になると、裡沙ちゃんの下着を破りそうな勢いで引き抜いて脚を押し広げた。そこはすでに濡れそぼっているのがはた目にも明らかで、ペニスの先端を押し当てるとゆっくりと沈めていった。  
初めて感じる女の子の中は、今まで感じたどんな感触にもなかったものだった。さしずめ未開の地に足を踏み入れたような心地よさと不安があって、なるほど新雪を汚すとはよく言ったものだと感心した。  
「あっああ――――橘くんのが、入ってくる…………」  
裡沙ちゃんは僕の首に手を回しながら、胸元に引き寄せてくる。僕は夢中になって腰を推し進めて、ついに全てを入れ切った。  
「――〜〜ッ!!」  
ペニスを深く突き込むと、裡沙ちゃんが大口を開けて声にならない叫び声を漏らした。入れただけで中がひくひくと動いているのが分かった。  
「裡沙ちゃん……動かすよ」  
「うんッ――……」  
その後は、もう僕も裡沙ちゃんもただ獣のように互いを貪り合った。  
腰を強く打ち付けると、裡沙ちゃんの腰が浮きあがって身体が弓のようにしなった。どこまでも柔らかい女の子の身体に神秘性を感じながら、僕はどんどんほぐすようにペニスを突き立てた。  
 
脚を限界まで広げさせて突くと、裡沙ちゃんは恥ずかしさからか顔を覆いながらも身体をくねらせていた。ペニスに纏わりついてくる膣壁の感触に、逆に吸いつかれているような錯覚に陥った。  
ともすれば、そこから裡沙ちゃんの中に吸収されてしまうのではないかと、半ば本気で思ったほどだ。それほどまでに、裡沙ちゃんの身体は凄まじい魅力と官能で溢れかえっていた。  
僕は水を得た魚のように、諸肌を脱いで腰を無心に振り続けた。裡沙ちゃんも魚の水を得たるが如き、自ら腰を動かして応戦していた。  
一度も果てていない裡沙ちゃんが先に絶頂を迎えるのは必定だったが、これまでの前戯で溜まった快感が弾けると、壊れてしまうのではないかというくらいに身体をびくびくと痙攣させた。  
「あぁっあっあっあっああああっ――――――………………ッ!!」  
がっしりと脚を交差させて、より深く突き刺さるように腰を引き寄せられる。腕でも脚でも、僕は力一杯裡沙ちゃんに抱き締められていた。  
快感による身体の震えが、腕や脚を通じて僕にも伝わってくる。何度も何度も身体を弓なりにしたりくの字に曲げたりを繰り返したのち、ようやく快楽の波が引いたのか、裡沙ちゃんがぐったりと脚を地面につけた。  
「ッ――〜〜〜〜…………はあ、はあ、あああ、気持ちいい、気持ちいいよ橘くん……」  
恍惚そうな表情で艶っぽい声を出す裡沙ちゃんに、僕のペニスも大いに喜んでいた。裡沙ちゃんは無意識なのか、腰を浮かせて自ら動かしている。  
裡沙ちゃんが多幸感に満ちた表情で笑うと、僕の身体を横薙いで、立場を文字通り逆転させた。僕の上に裡沙ちゃんが跨っている、いわゆる騎乗位になった。  
「あっああ……〜〜深い……深いよぉ」  
そのまま自重をかけて裡沙ちゃんが身体を上下に揺する。たしかにその方が深く突き刺さるけど、僕としては自由に身動きが出来なくて焦っていた。  
「り、裡沙ちゃんッ……! このままじゃ、で、出ちゃう」  
僕の必死の説得にも、裡沙ちゃんはどこ吹く風で狂おしく身体を落としてくる。  
「あっあっああああ!! 出して、このまま中で、橘くんのいっぱい出してッ……!」声を張り上げて裡沙ちゃんが頭を振り乱す。「あたし、なんかヘンな気持ちになっちゃった……」  
無我夢中に裡沙ちゃんは腰を落としては、僕のものをまるで吸い上げるように膣で締め付けてくる。搾り取られてしまいそうだ。  
「橘くんっ橘くんっ橘くんッ………………!!」  
喘ぎ声を上げながら与えられる性的な刺激に、僕もいよいよ我慢の限界を超えようとしていた。  
「裡沙ちゃん……、ダメだよ、さすがに、中はまずいって……!!」  
「出してッ! お願い、橘くんの欲しいのー!!」  
「で、でも――ううっ……!」  
押し退けよう伸ばして腕も、するりとかわされてしまう。そうやって腕をこまねいている間にも、射精感はだんだんと昂じてくる。  
やばい、と思った時には目の前で火花が散って、一瞬で視界が真っ白に染められた。  
「あっあああああああああああああああああああああああ!!」  
裡沙ちゃんの嬌声が耳を聾し、僕は何もできずにただ精を吐き出すのみだ。  
「あっ……! 出てる……橘くんの精液が……あたしの中に注がれてる…………!」  
色を取り戻した視界にまず映ったのは、喜悦の表情で身悶えしている裡沙ちゃんだった。トランス状態のような様相で、射精を終えた今でもぶるぶると身体全体を痙攣させている。  
裡沙ちゃんは掉尾の勇を奮ってペニスを抜くと、そのままぐったりと横たわった。  
顔にはいまだに精液がこびりついていて、あまつさえ今では下の口からも白濁をこぽりと吐き出している始末だ。一見すればレイプ後の惨状と思われても仕方なのない様子だった。  
「あっ……あっ…………橘くん……っ…………気持ち、よかった」  
上擦った声で言ってくる裡沙ちゃんに、僕の胸は愛おしさで溢れていた。それで「僕もだよ」と返すと、裡沙ちゃんは満面の笑みで顔を輝かせたのだ。  
 
「まだ入ってる感じがする……えへへ」  
諸々の後片付けを終えると、裡沙ちゃんがお腹のあたりに手を当てながら笑みをこぼした。  
「大丈夫?」  
「うん、初めてだったけど痛くなかったから。あたし、初めてでも血とか出ないタイプみたい」  
「痛くないなら、よかったよ」  
本当にほっとしていた。僕は後先考えずに突き進んでしまっていて、あの時は自分でもどうかしていたと思うくらいだったのだ。  
「橘くんは、あたしの身体で気持ちよくなってくれた?」  
「そりゃ、ならなきゃあんなにならないよ……」  
僕は照れながら頬を掻いた。  
「そっか……うれしいな。あたし、橘くんが喜ぶことなら何でもするから。舐めて欲しかったら、すぐに言って。舐めるから、そして飲んであげるね」  
「い、いいよ……汚いし…………」  
「だったら、あたしが掃除してあげるから」  
冗談ともつかない口調で裡沙ちゃんが捲し立てる。  
「胸が大きくなったら挟んであげるし、下着着けないで学校に来いって言われたらそうするし、奴隷になれって言われたら奴隷になるよ」  
裡沙ちゃんの沢山の言葉に、僕は苦笑いを浮かべるしかなった。  
「あたしの身体はもう橘くんのものだから」  
でも、溢れるような笑顔を浮かべられるのは悪い気は全然しない。  
ああ僕はこの子を好きになって本当に良かった。  
心からそう思えて、僕は自然と裡沙ちゃんに笑顔を向けていた。  
 
 
 

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