梨穂子と僕が付き合いだして――恋人同士になって、という意味でだ――半年が経とうとしていた。  
季節は梅雨に入り、この日もしとしとと小雨が降っていた。  
 
あまり外出せず、家で過ごす事が多くなりがちな季節。今日は梨穂子の部屋で二人、まったりと時間を過ごしていた。  
元々準備していたというお菓子を梨穂子が持って来るまでの間、何をするでもなく待っていると、元気な声と共にドアが開いた。  
 
「お待たせ〜。今日のおやつは私特製のミシシッピマッドケーキだよ〜」  
聞いた事の無い名前のケーキだったので、僕は無意識の内に質問をしていた。  
「ミシシッピマッドケーキ?なんだそれ?」  
「えっとね、簡単に言うとクルミとチョコチップが入ったチョコレートケーキの事かな」  
「なるほど。でもなんでミシシッピなんだろうな?」質問を続けると、梨穂子は困ったような顔付きになり答えた。  
 
「う〜ん……。ごめん、私にもわかんないや。えへへ」  
「そうか、なら別に良いけど」  
僕がそう言うと、梨穂子は気が逸るのか「まま、それは置いておいて、早くケーキ食べようよ」と僕を急かす。  
「そうだな、じゃあ早速食べようか」  
「うん!きっと美味しいよ〜。頑張って作ったんだから!」  
 
僕と梨穂子の関係は確かに変わった。幼馴染から恋人同士に。  
だが、本質的にはそうなる以前と変わらぬ距離感を保っていた。いつもの様に他愛のない話をして、笑い合う。  
しかし、そうして一緒に過ごす時間が僕は好きだった。それだけで幸せを感じる事が出来た。  
多分、梨穂子も同じ気持ちだろう。ただ一緒に居られるだけで良い。  
 
ただ、やはり幼馴染だった頃とは変わったことが一つある。それは……。  
「あ〜、美味しかった!我ながら上々な出来だったなぁ」  
「ああ、美味かった。梨穂子の作るお菓子は最高だよ。大好きだ」  
僕がそう言うと、梨穂子は照れたように言った。  
「も、も〜。褒めても何も出ませんよ〜」  
「本当だよ。でも……」  
「ん?でも……なに?」  
 
「梨穂子の方がもっと好きだ」  
「え……」  
 
固まる梨穂子。暫く経ってはっと我に返り顔を真っ赤にしてまくし立てる。  
「まま、またいきなりそんな事言ってー!恥ずかしいでしょー!」  
「僕が恥ずかしい男なのは昔から知ってるだろ?」  
「い、いやでも、そんなの言われた事今まで無かったし……」  
そう言う彼女に、僕は嘘偽り無い気持ちでこう答えた。  
 
「そりゃそうだ。もう僕達は恋人同士なんだぞ?ただの幼馴染じゃないんだ」  
「そ、それは、そうだけど……。やっぱり恥ずかしいでしょ?そういう事言うの……」  
しかし僕は堂々と、ハッキリと言った。  
「全然恥ずかしくなんかない。だって、僕は梨穂子が大好きなんだから」  
「……純一……」  
 
僕の変わった所。それは、なんの臆面も無く梨穂子に『好きだ』と言えるようになった事。  
それを口にすると、梨穂子はいつも下がり眉になって目を逸らす。  
でも、そんな彼女もいつも最後にはこう言ってくれる。  
「うん……私も、大好きだよ。純一の事……。世界中の誰よりも、純一が好き……」  
 
梨穂子らしい真っ直ぐで飾り気の無い台詞。でも、その言葉が何より嬉しかった。  
僕はじっと梨穂子の目を見つめる。梨穂子も視線を外さず僕の目をしっかりと見つめている。  
「梨穂子……」  
「純一……」  
 
……そして、僕達は口付けを交わした。  
「ん……」  
もう慣れているはずのキス。でも、優しい感触のそれに僕は毎回心臓の鼓動が早くなる。  
十数秒程経ったところで、口を離した。梨穂子の顔はさっきよりも赤かった。多分、僕も同じような顔をしているんだろう。  
「……えへへっ。今、私すごくドキドキしてる」  
「僕もだよ。……何回しててもドキドキするな」  
「そうだね……」  
 
しばしの沈黙。お互い何を話して良いか分からず、キスの後は大抵黙ってしまう。  
気まずくなり、僕は堪えられずについこう切り出してしまった。  
「じ、じゃあ今日はもう帰ろうかな。雨が強くなるかもしれないし」  
そう言うと梨穂子も慌てたように「そ、そうだね。じゃあ家の前まで見送るよ」と言った。  
 
帰り支度を済ませ、玄関で靴を履く。  
「それじゃあな。ケーキ美味かったぞ」  
「う、うん。またね……」  
くっ、失敗したな……。もうちょっと梨穂子と一緒に過ごしたかったんだけど……。  
しかしそんな事は口には出せない。今更だとは思うけど、付き合ってたってキスしてたって言えないものは言えない。  
そしてドアノブに手を掛け、ドアを引こうとしたその時だった。  
 
「や、やっぱり待って!!」  
梨穂子が珍しく声を張って僕を呼び止めた。  
「ど、どうした?」  
「あ、あの、その……」  
何かを言い淀む梨穂子。一体何だ?  
「なんだよ。なんか言いたい事でもあるのか?」  
 
「あの……ね?き、今日お母さん町内会の集会で居ないの」  
「え?……あー、集会な。そういえばうちの親も行ってて、暫く帰れないって言ってたなぁ」  
「そう。……それでね?……うぅ〜」  
またも言い淀む。……なんかちょっとモヤモヤするぞ。  
 
「おい、なんだよ?ハッキリしろよな」  
自分の事は棚に上げて強く出る僕。すると、予想外な反応が返って来た。  
 
「……も〜〜〜〜っ!!!」  
「え?」  
「この鈍感〜〜〜〜っ!!少しは察しなさいっ!!」「え、え?」  
 
そう叫んで、梨穂子は僕に抱き着いて来た。突然の事に頭が真っ白になる。  
「り……梨穂子?」  
「も〜、みなまで言わせるつもり?いじわるなんだから」  
「わ、悪い。なんの事だかさっぱり分からないんだけど」  
 
僕が言うと、呆れと恥ずかしさが混じったかのような表情で言った。  
「もう。ホントに仕方ないなぁ。そういう所は昔から変わらないんだから。  
 ……もっと一緒に居たい〜って言ってるの。……あ!でも、用事があるなら別に良いよ!今言った事忘れて!」  
 
……ああ……。そういう事か……。僕は……僕はなんて情けない男なんだ……。  
自分から切り出せなかったばかりか、女の子である梨穂子からこれを言わせてしまうなんて。  
このままじゃいけない。僕から行動を起こさないといけないんだ。  
「梨穂子、ごめん……」  
僕は力一杯梨穂子を抱きしめ返した。想いのたけをありったけ込めて抱きしめ返した。  
「あ……」  
「僕ももっと梨穂子と一緒に居たい。もっと抱き合っていたい。……僕から言うべきだったよな。ごめんな」  
僕がそう言うと、梨穂子は穏やかな笑顔を浮かべた。  
「……ううん、そんな事無いよ。そんなところも全部合わせて純一だもん……」  
あぁ、僕は梨穂子のこういう所が好きなんだろうな。この包み込んでくれるような優しさが……。  
「……じゃあ、私の部屋に戻ろっか!」  
「ああ、そうだな」  
 
そして僕達は再び部屋へと戻った。ベッドに座り、二人寄り添う。  
「えへへ。さっきはごめんね、いきなり抱き着いたりして」  
「い、いや、別に構わないぞ。ちょっと驚いたけど」しかし、あの感触はなんというか……むちむちだったな……。 …………。  
 
「……おーい、どうしたの?ぼーっとして」  
「はっ!?あ、いや!さっきの梨穂子の感触を思い出してて……」  
「え、ええっ!?」  
し、しまった!!つい口を衝いて本音が出てしまったぞ!?  
「ああっ!!ご、ごめん!!あんまり良い感触だったからつい……あばっ!!」  
ぼ、墓穴を掘った!ドツボだ……。  
 
「ごごご、ごめん!!もう自分でも何を言ってるんだか……」  
「……いいよ」  
「え……?」  
「純一の好きなだけ、幾らでも抱きしめていいよ。キスだってなんだってしても良い。……ううん。私も純一と……したい……」  
うぐっ!!なんだと……そんな事を言われたら……僕は……僕は……  
 
「り、梨穂子っ!!」  
「きゃぁっ!?」  
堪らず僕は梨穂子を抱きしめ、ベッドに押し倒した。  
「可愛い過ぎる。そしていじらし過ぎるぞ、梨穂子」  
「え……?」  
「そんな事言われたら、僕はどうしようもなくなっちゃうじゃないか」  
 
付き合い始めてから初めての感情だ。たまらなく彼女が愛おしい。  
思えば、今までは良い雰囲気になってもこんな状況にはならなかった。まあ、色々と間が悪かったのもあると思うけど。  
すると、梨穂子がか細い声で呟いた。  
「私って……」  
「へ?」  
「私って、可愛いの……?女の子としての魅力、ある……?」  
 
僕はその言葉に呆気にとられた。こいつは自分の事を分かってないのか?  
「と、当然だよ!ひいき目に見ても他の女の子より可愛いと思うぞ。僕なんかと付き合ってるのが不思議な位だよ」  
「……本当に?ホントにホント?」  
「ああ、本当だ。お前は女の子として充分魅力て……」  
「……っ!」  
 
梨穂子は急に起き上がると、素早く僕の首に両手を回した。そして、  
「ん……っ!?」  
気が付くと、僕は唇を奪われていた。  
僕の口内へと差し込まれる舌。絡み付くような感触。初めての経験に、何も出来ずに僕は身を任せるしかなかった。  
「……ぷはっ!」  
永遠に続くかのように錯覚していた時間は過ぎ去った。  
無意識に息を止めていたらしく、かなり息苦しかった。息継ぎも自然と荒くなる。  
 
「はあ、はあ……」  
二人揃って息荒く呼吸する。僕の頭の中は完全にパニックになっていた。  
「梨穂子……。お前何処でこんな事覚えたんだ……」あまりの出来事についこんな言葉が漏れた。  
その質問には答えず、梨穂子は話し始めた。  
 
「私……純一に飽きられてるんじゃないか、って思ってた。あまり好かれてないんじゃないか、って……」「……え?」  
これもまた以外な答えだ。そんな風に思われていたなんて。僕、何かしたっけ?  
「だって、この半年間キス以上の事、して来なかったから……。  
 やっぱり男の子って、その……彼女が出来たら少しは、え、えっちな事とかしたくなるものなんでしょ?」  
「ぐっ。ま、まあそれは否定は出来ないな」  
「なのに、純一は私に何もして来ない。だから、私には女としての魅力が無いんじゃないか、って……」  
 
……そうか。そうだったのか。  
何かしたから梨穂子を不安にさせたんじゃない。あまりに何もしなかったから不安にさせてしまったんだ。さっき、一緒に居られるだけで良いと思ったけど、訂正しなくちゃな。  
僕は、また梨穂子を抱きしめた。  
「……ごめんな。本当に悪かった。梨穂子を不安にさせるつもりは無かったんだ。  
 僕だって、男だ。エッチな事をしたいと思った事なんて数え切れない程ある。 ……でも、怖かったんだ。一度そういう事をしてしまったら梨穂子との関係が壊れてしまうんじゃないか、って。  
 でも、それが却ってお前を不安にさせてしまってたんだな……。勇気が無くて、ごめん」  
 
僕が自分の想いを全て吐き出すと、梨穂子は嬉しさを隠し切れないような様子で言った。  
「あ……。えへへへ……。  
 ……ううん、純一は悪くないよ。だからそんなに謝らないで。違うって分かっただけで、私安心したから。  
 ……でも、ホントに不安だったんだから。その埋め合わせはちゃんとしてくれるんだよね?」  
「ああ。……今から精一杯埋め合わせするよ」  
「ふふっ、期待してますよ〜」  
そして僕達は、再びキスをした。深い、深いキスを……。  
 
先程の物よりもさらに濃厚な口付け。お互いの舌を突き出し、絡め合う。  
確かめるように口内を舐め回し、唾液を啜る。頭にかーっと血が上って行くのが分かった。  
「ん、ふぁ……」  
瞑っていた目を薄く開けると、とろんとした目つきの梨穂子の顔があった。  
こんなに情欲をそそられる表情が梨穂子の顔にはあったのか、と驚嘆した。  
……もう既に反応してしまっている自分自身が情けない。抑えねば。まだ先は長いのだ。  
 
どうやらこのディープなキスがお気に入りのようで、中々離してくれない。べつにこのままでも良いのだが、やはりもっと別の事もしてみたい。  
僕は口付けを続けながら梨穂子の胸へと右手を伸ばした。  
壊れ物を扱うかのようにそっと触れてみる。  
「んっ!」  
びくりと梨穂子の身体が震えた。しかし拒絶する様子が無いので、触れても良いと判断してもっと力を入れて押し込んでみる。  
「んぅ……ふっ……」  
 
おおおおおっ、柔らかい!なんて柔らかいんだ!この服越しからでも分かる弾力のある手触り!  
こ、コレは癖になりそうだ……。むちむち……。  
僕はキスを中断してつい口走っていた。  
「梨穂子……お前の胸、すごい良い……」  
「えっ!?そ、そうかな。あんまり自信無いんだけど……」  
 
「なっ?……お、お前、自分で『私って胸大きいかも』とか思った事無いのか?」  
「う、うん。そんな風に思った事一度も無いよ。むしろお肉ばっかり付いてダメダメだな〜、って思ってるくらいだよ〜」  
こ、こんなモノを持っていながら自信が無いだなんて……。  
どうやら彼女は本当に自分の事が全く分かっていないらしい。これはしっかりと、いかに自分が……彼女が魅力的なのかを教え込まなければなるまい。  
 
「……仕方ないな。じゃあ、僕がお前の良い所を一つずつ挙げていってやるから」  
僕が言うと、梨穂子は「え、あ……うん。教えて教えて」と素直に答えた。  
 
「じゃ、ちょっと身構えてろよ」  
「えっ?」  
言うが速いか、僕は梨穂子の着ているシャツを捲り上げた。  
「ひゃあっ!?」  
レースなどの装飾は無い、シンプルな水色のブラがあらわになる。  
「おお……」  
思わず感嘆の声を漏らす僕。なんか、感動を覚えるな。  
そして僕は咳ばらいをし、わざとお固い口調で解説を始める。  
 
「おほん。まずこの胸。ただ大きいだけではなく形も整っている。触り心地も申し分ない。最高に等しいモノと言えるだろう」  
梨穂子の胸をふにふに触りつつ僕は言った。  
「あ、あぅ……恥ずかしい……」  
 
段々興に乗って来た僕は構わず解説を続ける。  
「まだまだ続くぞ。次にこの腰のライン……」  
そう言いつつ、梨穂子の脇腹に口を付けちろりと舐める。  
「んぁうっ!!」  
「一般的な腰部より幾分かふくよかな腰回り。だがその創りは並以上に美しい。  
 そしてやはり素晴らしい触り心地。滑らかな肌も手伝ってとても安らかな気持ちにさせてくれる」  
唇をつつ、とへそ辺りに移動させながら僕は言う。  
「ううぅ、口を付けながら話さないでぇ……くすぐったいぃ……」  
 
完全に名解説者な気分な僕は、さらに調子に乗って喋る。  
「そして、僕個人として最も評価している箇所……そこはっ! この、お尻から太ももに掛けての曲線美だ!!」  
言いながら、僕は半ズボンを履いている彼女の尻に手を滑らせた。  
 
「あんんっ!!」  
またも悶える梨穂子。少し様子が先程までと違う感じだが、僕はそれには気付かず解説を続ける。  
「今まで解説してきたどの箇所よりも、断トツに郡を抜くむっちり感。このお尻はもはや至宝だ。  
 そしてそこからなだらかに続く太もも。その感触、造形共にやはり究極と言っても過言ではない……」  
 
僕が夢中になって話しながら尻と太ももを摩っていると、梨穂子が弱々しい声で話し掛けて来た。  
「じゅ、純一ぃ……。」  
「……ん?どうした?」  
「わたし……わたし、もうダメぇ……」  
そう言いながら、梨穂子は僕にしな垂れかかってきた。「お、おい?」  
どうも梨穂子の様子がおかしい。しかしその原因が僕には分からなかった。  
 
「だ、大丈夫か!?何処か具合でも悪いのか?」  
「な、何言ってるの……。純一の所為でしょ……」  
「え?僕の所為?なんでそうなるんだよ。僕はただお前の身体に関する良い所を解説しただけ……」  
「そ〜れ〜だ〜〜〜〜っ!!」  
ポカポカ僕の胸板を叩く梨穂子。え?何?どういう事?  
「純一、なんで話しながら私の身体を触っていくの〜。あんないやらしい触り方されたら、私だって、変な気分になっちゃうよぉ……」  
「うっ……。僕、そんなにいやらしい触り方してたか?」  
「それはもう。あれは完璧に、あいぶだよ、あいぶ〜。いやらしさ全開の」  
「あ、愛撫!?」  
そ、そこまでいやらしい触り方してたのか。全く意識してなかった……。  
って……ん?今こいつ、とんでもない事を言ったような……。  
 
「誰が、どんな気分になったって?」  
「え?……だから、私だって変な気分になる事くらいあるって……あ」  
……。まあ、当然と言えば当然か。あんなキスやらこんな愛撫をした訳だからな。  
「そうか……。今、お前は変な……いやらしい気分になっちゃってるのかぁ……」  
「ちち、違ぁう!!私はなんにも悪くないもん!純一があんまりえっちだから私もおかしく……」  
「だから、そういう事だろ」  
「んぐっ……」  
 
僕がずばり指摘すると、梨穂子は閉口してしまった。  
長い付き合いだけど、こんな表情見るのは初めてだな……。しかしこれは、なんというか……。  
「……可愛いなぁ……」  
「……へ?」  
「梨穂子は可愛いなぁ!!!」  
「え!?わ、わわっ!!」  
 
僕は思わず今日何度目か分からない行動に出た。梨穂子を強く抱きしめたのだ。  
「なんか、安心したよ。梨穂子もちゃんと女の子なんだなぁ」  
「……う?うん。まぁね。でも、純一が相手じゃなかったらこんな気持ちにはならないよ、勿論」  
お、おお……。何だかとてつもなく嬉しい事を言われた気がするぞ。  
「僕のした事でお前がそんな気分になってくれたなんて。男冥利に尽きるってもんだよ」  
「そ、そう?どういたしまして」  
 
僕の拙い行動で梨穂子が気持ち良くなってくれた。それは自分が思っていた以上に嬉しく感じた。  
……ちょっと早計かもしれないけど、今はきっと、そういう雰囲気だよな……。よし……。  
「り、梨穂子。その……」「ん?なーに?」  
言え、言うんだ僕!!今を逃したら多分チャンスは暫く来ない!!  
 
「ぼ、僕と、キ、キス以上の事をしてくださいっ!!」  
あ……つい敬語になってしまった。我ながらカッコ悪い……。  
「え……?それってつまり……そ、そういう事、だよね?」  
「そ、そういう事。そういう事です。お願いします」  
ぶんぶんと笑ってしまうくらい首を縦に振る。もう形振りなんて構っていられない。  
 
「……んもう。ムードも何もあったもんじゃ無い誘い方ですね〜。30点です、30点」  
「う……ごめん……」  
それは分かってる。でも、いざとなると言葉が出て来ないんだからしょうがないじゃないか……。  
「……でも」  
「え?」  
 
「そういう所も含めて純一なんだよね。私には分かってる。  
 それに、さっきも言ったでしょ?純一とそういう事……私もしたいって」  
お、おおおお。それは……それは……。  
「と……と、言う事はつまり……?」  
 
「うん。……しよ?キス以上の事……。 あ、でも最初は……」  
「……ああ、分かってる……」  
これも今日何度目か忘れてしまった、口付けをする。しかしさっきとは違って触れるだけの軽いキス。  
 
「……んっ……」  
「じゃあ……進めるぞ。良いな?」  
「うん……。来て……」  
 
キスが終わると、僕は梨穂子のシャツに手を掛けた。  
そして再びそれを捲り上げ、胸を外気に晒す。さっきと違うのは、これからさらに彼女の胸を覆い隠しているものを取り払うという事だ。  
「じゃあ、外すぞ……」  
「うん……」  
少々手間取ったが、何とかホックを外した。  
そこには、ブラの上からは窺い知る事が出来なかった、桃色の乳頭がつんと自己主張するかのように存在していた。  
 
肉眼で初めて見る女の子の胸。僕はただただ魅入ってしまっていた。  
こ、これが、梨穂子の。お……おっぱいか。やっぱり見るからに柔らかそうだな……。  
僕が感慨に耽っていると、頬を赤く染めながら「どう……かな。変な所とか、無い?」  
未だ自信がなさそうに彼女が聞いてくる。僕は当然のように断言した。  
「ああ、変な所なんて無い。それどころか僕が今まで見てきたどの胸より……一番、綺麗だ」  
素直な感想を述べると、慌てたように話し出す。  
「そ!そんな事無いよ。綺麗だ、なんて……。  
 だって、一番って事はグラビアアイドルの人とかより綺麗って事でしょ?そんなのどう考えても有り得ないよぉ」  
そう続ける彼女に僕はさらに言ってやった。  
 
「いや……どんなグラビアアイドルよりも綺麗だ。もしお前がその業界に入ったら、すぐにトップアイドルの仲間入りだろうな」  
「そ、そうかなぁ。……でも、純一にそう言われるとなんだか嬉しいなぁ。お世辞でもね〜。えへへ」  
お世辞だって?とんでもない。そんな事は僕が一番良く分かっている。  
「お世辞なんかじゃないさ。さっきも言ったろ?お前の胸は最高に等しいモノだって。……それに」  
言葉を連ねつつ、僕は彼女の胸に顔をうずめた。  
「あっ!?」  
「そんな梨穂子の全てが僕のモノだなんて……。最高としか言いようが無いよ」  
 
「私は……純一だけの、モノ……」  
梨穂子の言葉に、僕ははっと我に返った。  
「あっ!ご、ごめん!今のは決して梨穂子をモノ扱いにした訳じゃ……」  
しまった、と思い僕が弁解をしようとすると、彼女は僕の予想から外れる答えを返してきた。  
「……嬉しい」  
「……へ?」  
 
「そう。そうだよ。私は他の誰でも無い、純一だけのモノ。  
 この胸も、腕も、お腹も、お尻も、足も、唇も。そして……心も、純一だけのモノなんだから……」  
僕の頭をぎゅっと抱きしめながら彼女は言った。  
「……梨穂子」  
この時僕は、心の底から梨穂子が幼馴染で……恋人で良かったと思った。  
女の子にここまで言われて何も出来ないんじゃあ男が廃る。  
「梨穂子。……僕、頑張るから」  
「え?」  
「今から、精一杯努力して、お前を気持ち良くさせてあげるよ」  
「……ん……」  
 
 
そう言うと、僕は梨穂子の胸に口付けた。そして乳房を下から上へと舐め上げる。  
「あ……はっ……」  
右掌で左胸を確かめるように揉み解し、右胸を飽きもせずに舐め回す。  
「うん、やっぱり良い触り心地だなぁ。何だか良い匂いもして、気持ちいい……」  
「そ、そう?なら良かった……んっ!」  
そして、左右同時に右は舌で、左は親指の腹で乳首を刺激する。  
「ああぁっ!!」  
梨穂子の身体がこわばるのが分かった。気持ち良いのだろうか……?心配になって、つい訊いてしまう。  
「ど……どうだ?どんな感じだ?」  
「わ、わかんない……。でも、くすぐったいだけじゃないような感じが……」  
 
「そ、そうか。よし、じゃあ……」  
そう言うと僕は、舐めるだけだった乳首に吸い付いた。  
「あふっ!!」  
そしてころころとキャンディーを口の中で転がすように舌を動かす。  
「はうぅん……!」  
堪えられずに息を漏らす梨穂子。僕から見ても悪い感触ではないように見える。  
乳首をねぶる動きを暫く続けた後、念の為にまた尋ねてみる。  
「ぷはっ。……これはどうだ?」  
「はぁ、うぅん……き、気持ち良い……。気持ち良いよぅ……」  
おお!やった!成功だ!そうと分かれば……。  
「よ、よし!それじゃあもっと胸を……」  
と、僕が胸への愛撫を再開しようとしたその時だった。  
 
「……やだ……」  
「えっ?」  
「もう、胸だけじゃやだぁ……」  
え……え?それってどういう……  
「もう胸だけじゃ足りないよぉ……。頭がぼーっとして、クラクラして……。  
 あ、アソコがジンジンして、切なくて……。おかしくなりそう……」  
「り、梨穂子……。それって、もしかして……」  
 
「お願い、私の……  
 私のアソコ、弄ってぇ……」  
 
な……ななな!?なんだってーーーー!!!  
き、聞き間違いじゃない……よな?確かに今……。  
 
「梨穂子、お、お前……」  
「ね……そろそろ良いでしょ?……ホントはもう最初らへんの段階で結構限界だったんだからね……。  
 深いキスをして、胸を優しく撫でられて。それだけでもういつものヤツなんかとは比べ物にならないくらい気持ち良くて……」  
「そ、そうか……。いつものヤツより気持ち良かったか……。  
 って……え?」  
また僕の聞き間違いか……?いつものヤツ……?  
いつものヤツ……僕は今日までキス以上の事はして来なかった……。いつも……。  
 
……え。  
 
「えええええぇぇぇぇ!?梨穂子が一人エッチ!?」「も、もー!そんなに大きな声で叫ばないで!  
 ……そうだよ。私、純一の事考えながら一人でえっちな事してた……」  
全くそんなイメージが無かったので、僕はかなり驚き、そして狼狽えていた。梨穂子が、僕の事を考えながら……。  
僕はごくり、と唾を飲み込んだ。いやがおうにも劣情が沸き上がって来てしまう。  
「あ、でも、さっきの『いつものヤツ』って言うのはどちらかと言うとそっちの意味じゃなくて、普段のキスの事で……」  
「? ……どういうことだ?」  
良く要領を得ない言い回しに僕は頭を捻った。だが、やっぱり良く分からなかった。  
 
「私……実はいつもの普通のキスだけで、なんか変な気分になってたの……。  
 すごくお腹がきゅんとなって……。純一が私の家に来て、帰った後はいつも一人で……」  
「うぐっ!!そ、そうだったのか……。知らなかった……。」  
衝撃の告白にしばし何も考えられなかった。僕は梨穂子の事、実はなんにも知らなかったんだな……。  
「しかし、それはそうと……」  
僕はふと頭に浮かんだ事を無意識の内に言葉に出していた。  
 
「梨穂子って、かなりエッチな女の子だったんだな……」  
僕がそう呟くと、梨穂子は完全に困り顔になり、若干涙目になりながら  
「うぅ……。そう思われるのが嫌だったから今まで我慢してたのにぃ……。いやらしい女の子なんて、純一も嫌でしょ……?」  
と僕に訊いてきた。  
……ふっ。本当、とことん仕方ない奴だな……。  
「全く、バカだなぁ、お前は」  
「う。い、いきなりなによっ。見損なったならなったって……」  
 
「今更そんな事でお前を見損なったりなんかしないよ」  
「……え……?」  
「むしろ、お前がエッチな女の子だって分かって助かったよ。  
 だって、これで僕はなんの臆面も無く梨穂子にエッチな事が出来るんだからな」  
ニコニコしながら僕がそう言うと、  
「ちょちょ、ちょっとぉ!だからって何処でも構わずえっちな事しないでよね!」  
と慌てふためきながら僕に釘を刺した。  
が、僕はそれを華麗にかわす。  
「お前じゃないんだから、そんな事しないよ」  
「なっ!わ、私だってそんな事しないよ〜!!もう、人の事からかって〜!!」「ははっ、悪い悪い」  
 
……さて。このやり取りも楽しい時間だけど、そろそろ終わりにしなくちゃな。「で、だ。梨穂子。そろそろ本題に戻ろうか」  
「うぇ?」  
「……僕に、何をして欲しいんだっけ?」  
思い出したかのように、梨穂子の顔がみるみる赤くなっていく。  
「も、もう!!二回もそんな事言わせるの?イヤです!」  
「ふ〜ん……。じゃ、もうホントに帰っちゃおうかな」  
僕のちょっとした悪戯心が遊びだした。  
「あ……っ。そ、それはもっとイヤ!!」  
「そうだろそうだろ?なら言うべき台詞があるんじゃないのか?」  
今は完璧に僕のペースだ。いやぁ、やっぱり梨穂子をからかうのは面白いな。  
「う、ううう……。純一の意地悪……。  
 ……わ、私のアソコを……弄って……。お願い……」  
「はい、良くできました」  
平静を装ってはいるが、僕の我慢も限界に近かった。堪らず彼女の半ズボンを脱がしに掛かった。  
 
梨穂子をベッドに寝かせ、ズボンを脱がせると、ブラと同じ水色のショーツが現れた。  
そしてそこには、薄くだが縦に染みが出来ていた。  
「うわ……。すごい……。本当に興奮してたんだな……」  
「うう……だから、そういう事、声に出さないで……」  
……。いざとなるとなんだか緊張してきたぞ……。  
僕は石のように固くなった唾をなんとか飲み込んで、ショーツに手を掛けた。  
「じゃあ、ぬ、脱がすぞ……」  
「……う……ん」  
 
するするとショーツを脱がせていくと、愛液が糸を引いて秘部と下着の間に橋が架かる。  
その様は、今まで感じた事の無い程に妖艶で、なまめかしい物だった。  
僕は声も出さず、息を呑んで穴の開く程その場所を見続けていた。  
「あの……あんまりじっくり見られると、恥ずかしいんだけど……」  
梨穂子に咎められて、僕は漸く現実の世界に舞い戻った。  
「あ、ああ、悪い。でも、これからもっと恥ずかしい事するんだし、ちょっとくらいなら良いじゃないか」  
「そういう問題じゃなくてぇ……」  
……うう、こんなやり取りも焦れったい!もう限界だ……!  
「も、もう行くぞ!」  
「え!?あ、ちょっと待っ……ひゃうっ!!!」  
 
僕は、じっとり濡れる秘所に口を付けた。  
「んむ……む」  
じゅるり、と音を立ててそこにかぶりつく。何とも表現しづらい濃密な香りと味が口一杯に広がった。  
「は……ああ……っ!」  
上手く事を運ぶ方法なんて分からない。だけど、愛情だけは込めて梨穂子に接しよう。  
彼女に対する愛情。それだけは僕は誰にも負けない自信がある。  
 
僕は上機嫌な犬の如く、梨穂子のそこをべろべろ舐め続けた。  
「あ、あうぅっ!!そんなに舐めちゃやだぁ!!」  
僕の行為に身悶える梨穂子だが、僕はもう止まらない。  
 
「じゅ、ずず……。むっ……ん?」  
無心に吸い付いていると、ある事に気が付く。  
陰門の上部、ぷっくりと膨らんでいる部分があった。ここは確か……。  
保健体育の教科書レベルの知識しか無い僕だったが、そこが陰核……クリトリスである事は理解出来た。  
良くは分からないが、確かここを刺激すると女の子はとんでもなく気持ち良くなるんじゃなかったかな?  
 
……よし、ここを刺激して梨穂子を気持ち良くさせてやろう。自信無いけど。  
一旦舐めるのを中断し、改めて陰核を眺める。  
「……ふぇ?純一……?」  
行為を止めた僕に、惚けた具合で疑問めいた声を出す梨穂子。  
僕は自信が無いのを悟られないように気を遣いながら言い放つ。  
「梨穂子。今からお前を天国に連れて行ってやるよ」「んぅ?……天国……?」  
「気持ち良さの頂点に……な!」  
言いながら陰核を目掛け舌を伸ばす。  
……と、そこで何かに感づいたらしい梨穂子が僕を制止しようと叫ぶ。  
「ま、まさかぁ!そこはダメぇ!!」  
だがもう遅かった。梨穂子の声とほぼ同時に僕の舌はねっとりと陰核を舐め上げていた。  
 
「…………あっ!!!」  
梨穂子の身体が大きく波打ち、秘部から大量の液体が噴き出した。  
「うぶっ!!」  
その液体が僕の顔に降り懸かる。顔だけでなく、周囲にも飛び散りベッドも僕の口元もべとべとになってしまった。  
 
びくびくと絶頂の衝撃に打ち震える梨穂子。声にならない声を上げながら全身を硬直させている。  
「ぶはっ……ごほ、ごほっ……」  
噴き出した液体で一瞬息が詰まりむせてしまう。僕はまたしても事態を飲み込めずにいた。  
しかし、明らかに様子がおかしいので、さすがの僕も梨穂子が今どんな状態なのかはすぐ察しが付いた。  
「……。イったんだな、梨穂子……」  
肩で息をして、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。  
「はあ、はあ……あぁぁ……。ダメって、言ったのにぃ……」  
「ごめん、つい夢中になっちゃって……  
 ……でも、気持ち良かっただろ?あれだけ盛大だったんだから」  
謝りつつも、自分へのフォローは忘れない。  
「う、うん……。すごく、気持ち良かった……はぁ。おかしくなっちゃいそうなくらい……」  
ここで強がらず素直に認めてしまう辺りは梨穂子らしい。それがまた可愛いんだよな。  
 
「はあ、はあ……」  
彼女の息が整うまで少し待機の状態になる。  
「……大丈夫か?」  
「んっ、はあ……。うん、大丈夫。大分落ち着いてきた」  
彼女の事を心配しながらも、僕はある種の満足感に浸っていた。  
うん……良かった。梨穂子は僕の考えていた以上に気持ち良くなってくれたみたいだし、僕の方も、なんて言うか……眼福だったしなぁ……。  
僕が満足そうににやけていると、梨穂子が話を切り出す。……それが、また僕を驚かせる事となる。  
 
「さぁて。じゃあ、次は私が純一を気持ち良くさせてあげる番だね」  
 
「え」  
「だから、次は私が純一を気持ち良くさせてあげるの」  
「ええええええぇぇぇぇぇっ!!!」  
馬鹿みたいに絶叫してしまう僕。  
「ひゃっ!な、なんでそんなにびっくりするの?」  
「い、いやだって……」  
頭の中でなにやら形にならない思案を巡らせる。僕が梨穂子に何か気持ち良い事をされる……?想像がつかない……。  
「でも、当然でしょ?私ばっかり純一に色々させてちゃ申し訳無いし……。  
 そ、それに……。純一の、それ……すごく苦しそうだよ」  
「えっ?……だっ!!」  
指摘されて、彼女が指差す所を見てみると、僕の股間の愚息はぱんぱんに膨れ上がっていた。  
「じ、自分で気付いてなかったの?さっきからそんな感じだったよ?」  
「い、いや、梨穂子を気持ち良くさせてあげたいって事だけしか考えてなくて……」  
 
嘘だと思うだろうが、紛れも無く真実だった。彼女の事で頭が一杯で、自分の事など二の次になっていた。  
「え……。そ、そっかぁ。えへへ……。それじゃあ、私もそれくらいの意気込みで純一を気持ち良くさせてあげないとね!」  
とても機嫌が良さそうに梨穂子が言った。その顔は心底嬉しそうで、でも何処か色気を感じさせる絶妙な表情だった。  
「じゃあ、私にして欲しい事なんでも言って!その……そっち方面の知識も、それなりにあるから」  
「ぐぅっ!」  
……忘れかけてた。こいつは僕の想像以上にエッチな奴だったんだ。  
「さっ、何をして欲しい?私に出来る範囲でなら頑張って応対しますよ〜」  
お、応対って。なんか、いかがわしいお店に来てるみたいだな……。  
「そ。そうだなぁ。……うんん……」  
 
「じゃ、じゃあ……」  
「うんうん、何なに?」  
なんか……テンションおかしいな、こいつ。これからやらしい事する感じじゃないぞ。  
まるで、買い物を初めて頼まれて、買ってくる物を聞く時の子供みたいだ。……でも、なんでもして良いんだよな……。  
「あの、その。僕は……り、梨穂子の……」  
「私の?……あっ、分かった!さっき言ってた純一の大好きなおっぱいで……」「ち、違うよ!!」  
「え?違うの?……じゃあ、なに?」  
そんなものじゃ、恐らくもう満足出来ない。もう、僕は……。  
 
 
「梨穂子の……梨穂子の中に、入れたい……」  
 
「え……ええええぇぇぇ!!?い、いきなりぃ!?」「な、なんだよ。なんでもして良いって言ったじゃないか」  
「そ、それはそうだけどぉ……。なんか、色々と段階飛ばしてない?」  
「し、仕方ないだろ!!お前に指摘されたら急に……ムラムラして来ちゃったんだよ!!」  
まさしく、今が僕の限界値だった。理性を総動員しないと、すぐにでも彼女に襲い掛かってしまいそうなぐらいに。  
「それに、お前ももう準備は万端だろ?」  
そう言いつつ彼女の秘部に手を伸ばす。くちゅり、と水音が響いた。  
「ひぁっ!」  
「ほら……糸まで引いてるぞ。こんなに」  
そう言って彼女の目の前に手を持って来て、指をくっつけたり離したりする。  
人差し指と親指の間に愛液の糸が伝う。  
「あ、あぅぅ……。」  
「なあ、だから……良いだろ?僕ももう、限界なんだ」  
僕が切羽詰まった様子で言うと、彼女もやはり辛そうな様子で答えた。  
 
「……そうだよね。お互い、もう限界だよね……。  
 うん……良いよ。私も早く、純一と一緒になりたい……」  
「梨穂子……」  
「うん……」  
僕達は、なにも言わずに抱きしめ合った。  
 
早速事を始めようとすると、梨穂子に「あ、ちょっと待って。純一も服、脱いでよ」と要求された。  
何故か尋ねると、「だって私だけTシャツ一枚姿なんて、恥ずかしいよ。それに、純一の体温をもっと近くで感じたいし……」  
「……そうか。分かった」  
こうして僕も下着一枚のみの姿となった。まだ大事な部分は隠れてはいるが、どうなっているかはバレバレなのでやはり気恥ずかしかった。  
「じゃあ……」  
下着の前開きから自分の愚息を取り出す。それは今までに無い程に固く、大きくそそり立っていた。  
「わぁ!?」  
梨穂子がびっくり箱を開けて驚いた人のような声を出した。  
「ふわぁ〜。お、大きいね〜……。こんなに大きいとは思ってなかったなぁ……」  
そう言いながら、まじまじと僕のそれを見つめる。  
「……お前の所為だぞ。お前のお陰で僕のコレは大変な事に……」  
僕はわざと恨めしそうな声を出す。  
「えっ!?ご、ごめんなさい……」  
律儀にいちいち謝る梨穂子。  
「はは、謝らなくても良いよ。むしろここは喜ぶ所だ。  
 梨穂子があまりに魅力的だから、コイツは喜んでるんだぞ」  
「あっ……そ、そうなんだ。うふふっ。じゃあ、ここは素直に喜んでおきますかっ」  
僕が言うと、梨穂子は満面の笑みを見せてくれた。僕はその表情が好きだった。梨穂子の笑顔……。見てるだけで自然と癒されるような気がした。  
 
……いよいよ本番だ。どうしようもなく緊張して、身体が暑くて、全身が汗ばむ。  
それは梨穂子も同じなようで、彼女の身体に手を掛けるとしっとりと汗に濡れた肌の感触がした。  
 
「じゃあ……い、行くぞ……」  
「うん。……あんまり痛くしないでね?」  
「な、なるべく頑張る」  
もう充分に濡れている秘部に愚息を宛がう。  
そして少しずつ、押し広げていく。最初はきつく感じたが、思いの外スムーズに三分の一程度膣内に入った。  
「あっ……ん!!」  
「い、痛かったか?」  
「へ、平気。全然痛くないよ。ちょっと苦しかっただけ……。」  
……梨穂子が気を遣っている事はすぐに解った。こんなモノが身体の中に入って来るのだ。痛くない訳が無い。  
少しでもその痛みを紛らわせる事が出来れば……。そう思って、僕は動きを止め彼女にキスをした。  
 
「ん、んっ……?」  
「……」  
僕は暫くの間口付けを続けた。そして、ゆっくりと口を離す。  
「純一……?」  
「どうだ?少しは、痛みは紛れたか?」  
「あ……」  
僕が言うと、梨穂子はちょっと困ったような顔になって  
「……ありがとう……。ごめんね、気、遣わせちゃって」と申し訳なさそうに言った。  
「気にするなって。それに、気を遣ってるって言うならお前だって僕に遠慮して本音を言ってないだろ。  
 痛いなら痛いってちゃんと言えよ。僕、すぐに止めるから」  
僕は本当に梨穂子の事を心配してこう言ったのだが、彼女の反応はまた僕の予想とは違った。  
 
「や、やだっ!!止めるなんて言わないで!!」  
「うおっ!?り、梨穂子?」  
突如変わった彼女の変化に慌ててしまう。  
「私、待ってた。純一とこうなれる日を、ずっと待ってたの……。  
 だから、ちょっと……ううん、幾ら痛くったってそんなの全然平気だし、純一が気持ち良くなってくれればそれで良いの。だから……」  
一呼吸置いて、強い意思を持って彼女は言った。  
「だから、止めるなんて言わないで……。今日、私の全てを……奪って……」  
 
「り、梨穂子……」  
……なんて事だ。まただ。またしても、彼女の方からこんな事を言わせてしまった。  
僕は、彼女の意思の強さを計り間違えていた。僕の想像なんかより、ずっとその意思は強固な物だったんだ。  
ここで止めたら、女の子にここまで言わせて中断してしまったら、そいつはもう男じゃない。  
「ごめん……本当にごめん。また僕はお前の事、解ってやれなかった」  
彼女の頬を両手で撫でながら言った。  
「え……?」  
「……分かったよ。梨穂子の想いは確かに受け取った。  
 今からお前の……お前の全てを奪う。全身全霊を持って奪い取る。良いな?」  
 
全力で、今新たに固まった決意と想いの丈をぶつけた。  
すると、彼女は目にうっすらと涙を浮かべ、あの笑顔で答えてくれた。  
「……嬉しい……。嬉しいよ……。これで、ホントのホントに一つになれるんだ……」  
「ああ、そうだ」  
「ぐすっ……。あ、ごめんね。なんか勝手に涙が……」  
泣いている彼女の目尻にそっと口を付けて、涙を舐め取った。  
そして出来る限り優しく耳元で呟いた。  
「……行くぞ。これが最後の確認だ。……良いんだな?」  
「良い……よ。来て……純一……」  
 
僕は、一気に彼女の膣内に自分自身を突き入れた。  
「………………っ!!!」  
 
その刹那、結合部から赤い液体が流れ出る。紛れも無く、それは破瓜の血液だった。  
しかし僕は構わず腰を打ち付ける。彼女の全てを奪い取る為に。  
「あっ、あっあ!」  
突き立てる度に漏れ出る梨穂子の吐息。それを耳に留めながら、僕は夢中で突き立てる。  
「梨穂子……。お前の中、すごく気持ち良いぞっ……」  
愚息に膣内の襞が絡み付く。周りの肉がうねって締め付ける。  
「ホ、ホント……?あっ、私の中、気持ち良い……?」  
「ああ……ぐっ、一人でするのとは比較にならないよ。最高だっ」  
「……良かった……。嬉しいっ……あっ!!」  
彼女の笑顔に気分が昂るのを感じた。自然と身体の動きが速くなる。  
 
取り憑かれたように一心不乱に腰を打ち付ける。もっとこの感覚を味わっていたい。  
だが、限界が迫って来た。言いようの無い射精感が込み上げる。  
残る僅かな理性が、このままではいけない、と警鐘を鳴らした。  
「梨穂子、梨穂子っ!!僕、もう……」  
そう叫びながら、膣内から自分自身を抜き取ろうとする。  
が、梨穂子がそれを阻むように足を僕の腰に巻き付けてきた。その表情はとても淫靡で、切なげな物だった。  
「り、梨穂子っ!このままじゃっ……」  
「いっ、良いの。今日は大丈夫な日だからっ……そ、それに……」  
次の一言が決定的だった。僕を高みへと昇らせる決定的な言葉。  
 
「駄目な日なんて私には無いよ……。純一との赤ちゃんなら、私……いつでも欲しいっ……!!」  
 
もう、駄目だった。堪え切れずに、僕は彼女の中へと大量の精液を吐き出していた。  
「ぐっ、あぁ……!!」  
「ん、あああああぁぁぁぁっ……!!」  
今までに経験した事の無い感覚が僕を襲った。  
目の前でフラッシュを焚かれたかのように視界が白く塗り潰され、身体の内側で高圧電流を流されたかのようにぴんと筋肉が張った。  
梨穂子の身体も弓なりに反り返り、真っ白な喉元が僕の目の前にさらされていた。  
 
「はぁ……はぁ……。」  
全身から力が抜け、どっと梨穂子に身体を預ける。しかし、体重を掛け過ぎないよう無意識に位置を調節しているようだった。  
「……純一の、あったかい……」  
梨穂子に言われて、僕はさあっ、と血の気が引いた。まずい……  
「ごご、ごめん……いや、今更謝ってもどうしようもないけど……中に……」  
だけど彼女は僕を責める事は無かった。  
「……ううん。私、嬉しいんだよ。純一を直に感じられて。今まで生きてきた中で一番嬉しい……」  
う、うわ……。僕も今までの人生の中で一番嬉しいかも。  
全くやましい気持ち無く、梨穂子がどうしようもなく愛おしくなった。なんて可愛いんだ……。  
しかし、僕のそんな純真な気持ちはすぐに曇る事となる。  
 
「それに……私も、すっごく気持ち良かったし……」  
「えっ」  
「なんて言うか、クセになりそう……。初めてなのに、ホント気持ち良かったぁ……」  
…………。こいつは……。  
 
「……こら、梨穂子。人が純真な気分に浸っている時に。ちょっと、エッチ過ぎるぞ」  
僕に言われ、梨穂子はわたわたと慌てて僕に弁解する。  
「あ、あわわ、ごめぇん……。あんまり良かったからつい……。お願いだから見損なわないでぇ……」  
その様を見ていて、昔を思い出した。小さい頃、僕にお菓子のつまみ食いを見付かった時の彼女の姿を。  
……見損なうもんか。いや、逆に見直した。  
 
「おいおい、さっきも言っただろ?……僕はそんな事でお前を見損なったりしないって。  
 ……それより、お前がそんな事言うから……ほら」  
「ふぇ?」  
僕の愚息は、つい先程射精したばかりだというのにびくんびくんと脈打っていた。  
「あ……」  
「全く。そんなエッチな梨穂子にはお仕置きが必要だな……うらっ!!」  
僕はじゃれつくようにして梨穂子に抱き着き、ベッドに引き倒した。  
「きゃぁっ!!」  
「今から、お前に罰を与えてやる!!」  
「い〜〜〜や〜〜〜!!けだものぉ〜〜〜っ!!……えへへ」  
 
こうして、僕達はこの後もう三回、盛り上がってしまうのだった。  
……ああ、幸せだ。今、僕は間違いなく世界一の幸せ者だ。  
これからも、こんな甘々でのろけ放題の関係が永遠に続く事を、願うばかりだ。  
 
 
                                    End  
 

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