「橘君をあたしのものにします。」  
「・・・はい?」  
 
体育館裏で絢辻さんを見かけて追っかけてきたら、いきなりそんな突拍子も無い言葉を投げかけられて、僕は思わず面食らってしまった。  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・どうして黙るの!」  
「だ、だって・・・」  
「聞こえなかったの?『あなたをあたしのもにする』の。おわり。」  
「いや、だから・・・」  
「何?もっと詳しく聞きたい?」  
「そ、そりゃそうだよ。僕の先々に関わるわけだし・・・」  
「もう、しょうがないわね・・・!」  
そう言い放つと、いきなり絢辻さんは僕のネクタイをグイ!と引っ張った。  
「じゃぁ場所を変えて詳しく話すわね・・・」  
「・・・!」  
あの時と同じ目だ。  
初めて僕の前で優等生の仮面を外した、あの時と同じ目・・・。  
「わ、分かったからネクタイ引っ張らないで!苦しいよ!」  
「つべこべ言わないで、さっさと歩く!」  
そう言いながら、絢辻さんは僕のネクタイを、まるでグズる犬を引き摺るかのようにグイグイと引っ張っていった。  
 
「あ、ここは・・・」  
「そう、ポンプ小屋。」  
僕が絢辻さんに引っ張られて行ったのは、学校の裏にあるポンプ小屋の中だった。  
小さなポンプの周りにちょっとした板張りの床が敷き詰めてある、小さなポンプ小屋だ。  
「ここなら誰にも見つからないでしょ。」  
「た、確かに・・・。でも、絢辻さんはなんでこんなとこ知ってるの?」  
「この間、うちのクラスの男子と女子がこっそりこの中に入っていったのを見たのよ。」  
「え?そ、それって・・・」  
「えぇ。間違いなく『不純異性交遊』ね。」  
「・・・・・・」  
確かにここならそう簡単には見つからないだろうけど、でも何だって絢辻さんは・・・?  
「さて。」  
そう言うと、いきなり絢辻さんは僕をポンプ小屋の壁にドンと押し付けた。  
「え!!何を!?」  
「決まってんじゃない。橘君をあたしのものにするの・・・」  
そう言うと、いきなり絢辻さんは僕の唇に、自分の唇を押し付けてきた。  
「!!??」  
いきなりのキスに、頭の中がパニックになって何も考えられなくなった。  
「んん・・・」  
絢辻さんは、構わず僕の口の中に舌を入れ込んできた。  
(う、こ、これって・・・ディープキス!?)  
「ん・・・」  
混乱する僕を他所に、絢辻さんの舌が僕の舌に絡まってくる。  
(絢辻さんの舌・・・温かい・・・じゃなくて!いきなりこんなのって!!)  
やがて、ひとしきり僕の口の中に舌を這わせると、絢辻さんはゆっくりと顔を離した。  
「あ、絢辻さん・・・。これって・・・。」  
「ふふふ・・・。まだまだこれからよ・・・。」  
そういうと、今度は僕の首筋に舌を這わせてきた。  
「あ・・・ちょ、それは・・・。」  
「気持ちいい?ゾクゾクする?」  
「う、うん・・・じゃなくて!いきなりこんなこと・・・あっ!!」  
いきなり、絢辻さんが僕の耳たぶをペロリと舐めてきた。  
「あぁっ・・・!それは・・・!」  
「ふふっ・・・やっぱりココが弱いんだ。」  
そう言いながら、僕の耳たぶをペロペロと舐め回してきた。  
「あ、絢辻さん・・・!そんな・・・!」  
「気持ちいい・・・?じゃぁこれは?」  
「ひゃっっ!!」  
いきなり、絢辻さんは僕の耳たぶに「カプッ」と噛み付いてきた。  
足がブルブルして、今にも腰が抜けそうになった。  
「ふふふ・・・。いつも棚町さんにこうされて腰抜かしてたもんね・・・。」  
「そ、それは・・・あ・・・」  
もうダメだ。  
そのまんま僕は腰を抜かして、ポンプ小屋の床にペタリとへたりこんでしまった。  
 
「もう終わり?情けないわね。」  
そう言い放つと、絢辻さんは僕の前に座り込んできた。  
「まだまだこれからなのに・・・」  
そう言うと、いきなり僕の下半身の方に手を伸ばしてた。  
「あ、絢辻さん!?」  
「コッチはまだ大丈夫みたいね。」  
ズボンの上から僕の固くなったモノを摩りながら、いつもの蔑みの目で僕を覗き込んできた。  
「へぇ〜、あたしにキスされてこんなになっちゃったんだ。いやらしい・・・」  
「こ、これは仕方が・・・!」  
「変態・・・!」  
そう言うと、僕のモノをギュっと固く握り締めた。  
「あっ!」  
「あ。ひょっとしてあたしに握られて、ちょっと気持ちよくなってる?」  
「そんなコト・・・」  
「隠したってムダムダ。あたしの手の中でビクビク動いてるんだから。」  
「うう・・・」  
(な、何か非常にマズい事になってるんじゃないのか・・・?)  
そう感じた僕は、何とか絢辻さんを振り払おうとその肩に手をかけた。  
すると・・・  
「ダ〜メ!」  
いきなり、絢辻さんは僕の耳たぶをペロリと舐めてきた。  
「ひゃっ!」  
一瞬にして、僕の体から力が抜け去った。  
「振り払おうとしてもムダよ。あなたの弱点は分かってるんだから・・・」  
「う・・・」  
あぁ、もう僕が何をやっても、今の絢辻さんからは逃れられないんだ・・・。  
僕はもはや、何の抵抗もできなくなってしまっていた。  
「ふふっ・・・観念したようね・・・」  
そう言うと、絢辻さんは僕のズボンのファスナーを開けてきた。  
僕の固くなったモノが、ファスナーの間から丸見えになった。  
 
「へぇ〜、男の人ってこうなってるんだ。」  
絢辻さんは、僕のモノをしげしげと見つめてそう呟いた。  
「う〜ん・・・教科書とかで見たのとはちょっと違うわね。」  
そのまま、絢辻さんは僕のモノを右手で握って擦ってきた。  
「ああっ!」  
僕の体が、思わずビクッ!と震えた。  
「ふ〜ん・・・こうすればいのかな・・・」  
そう言って、さらに固く握り締めて上下に強く擦り始めた。  
「あ、絢辻さんっ・・・!こんなことしたら、僕は・・・」  
「気持ちよくなっちゃう?」  
「え・・・あ、うん・・・」  
「そう・・・じゃぁコレは?」  
そう言うと、いきなり絢辻さんは僕のモノに唇を付けてきた。  
「ええっっ!!??」  
突然の事で、僕はすっかり驚いてしまった。  
「あ、絢辻さん・・・!それはちょっと・・・!」  
「フフッ」  
絢辻さんは微かにそう笑うと・・・  
(パクッ!)  
「あああぁぁっ!!」  
なんてことだ・・・絢辻さんが僕のモノを口いっぱいに頬張っている・・・!  
 
「あ、絢辻さん・・・っ・・・これは、マズいよ・・・」  
でも、そんな僕の声なんか聞く耳を持たないかのように、絢辻さんは僕のモノを咥えてクチュクチュと弄び始めた。  
ひとしきり僕のモノを弄ぶと、今度は口を離し、手で上下に動かしながら、舌でチロチロと舐めてきた。  
「あ、絢辻さん・・・何でこんなコト知ってんの・・・?」  
「あれ?前に話さなかった?小説にこんな場面が出てくることもあるって。」  
「え?で、でもこんな場面が出てくる小説って・・・」  
「そういう小説よ。」  
「それって・・・官能小・・・痛っ!」  
いきなり、絢辻さんが僕のモノにカプリと噛み付いてきた。  
「みなまで言わないの!」  
「ひ、酷いよ絢辻さん・・・」  
「ふふふ・・・それに、あたし保健体育も結構得意なんだから・・・」  
そう言うと、また僕のモノをパクリと咥えてきた。  
「んんん・・・」  
そのまま絢辻さんは、僕のモノを口に頬張りながら上下に動かしてきた。  
「あっ!あっっ!!」  
絢辻さんの口が動くたびに、僕の背中に、ゾクゾクとした物が走り抜けていった。  
そういえば、ちょっと前に僕は、アイスをこんな感じに舐めてみて遊んでたっけ。  
僕の中に秘密にしていたあのエッチな遊びと同じコトを、絢辻さんが僕のモノでしている・・・。  
そう考えると、もうどうしようもなかった。  
ただひたすら押し寄せる快感が、今絢辻さんが咥えている部分に集中していくのが分かった。  
「あ、絢辻さん!ダメだよ・・・っ!それ以上したら・・・で、出る・・・っっ!」  
「・・・!!!!」  
僕の背中を、思いっきり快感が走り抜けた。  
「あああぁぁぁっ!!」  
そのまま僕の体はビクビクと震えて、何度も何度も波打った。  
「んんん・・・」  
絢辻さんはそんな僕のモノをしっかり咥えたまま、僕が出したモノを受け止めようとしていた。  
 
ひとしきり僕が出し終えると、絢辻さんはゆっくりと顔を離した。  
「んん〜・・・」  
「あ、絢辻さん・・・。大丈夫・・・?」  
「んんんん・・・!」  
絢辻さんはいつものムスッと怒ったような顔で、何度も口の中をモゴモゴしている。  
「だからダメだって言ったのに・・・」  
「ん!!!!」  
絢辻さんは僕の口に右手を押し付け、押し黙らせた。  
「ん〜!ん〜!・・・うえっ!!」  
絢辻さんはそのまま顔を背けると、床にうずくまって激しく咳き込み始めた。  
「ゲホッ!!ゲホッ!!」  
床には、絢辻さんが吐き出した白い液体がボトボトと零れ落ちていた。  
「だ、大丈夫!?」  
僕はズボンのポケットからティッシュを取り出し、絢辻さんの口元を拭こうとした。  
「いい!自分で拭くから!」  
「で、でも・・・僕が出したものだし・・・」  
「う・・・」  
絢辻さんの頬が、真っ赤に染まった。  
「ほら・・・無理するから・・・」  
僕は、絢辻さんの口元に付いた僕のモノを丁寧に拭き取った。  
拭き取るたびに、僕の右手が絢辻さんのフニフニとした頬や唇に触れて、何だかいけないことをしている気分になってきてきてしまった。  
 
ひとしきり絢辻さんの口元を拭き終えて、僕は絢辻さんをじっと見てみた。  
耳まで真っ赤にして、ムスッと押し黙ったまま、怒ってるのか照れてるのか分からない感じだった。  
「絢辻さん・・・?」  
「・・・・・・」  
「・・・大丈夫・・・?」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・・・・・・・ああぁっ、もう!!!!」  
「うわっ!!」  
「全然違うじゃない!小説だとここで『あなたのミルク・・・とっても美味しいわ・・・』ってなるとこなのに!!」  
「そ、そりゃ小説と現実は違うよ・・・」  
「最っ低〜!こんなに変な味だとは思わなかったわ!」  
「あの・・・ひょっとして、飲もうとしてたとか・・・」  
「!!!!」  
いきなり絢辻さんの指が、僕の頬をつねってきた。  
「痛たたた!!」  
「変なこと言わないの!」  
「ご、ごめんなさい・・・」  
「あ〜あ・・・現実の厳しさに打ちのめされた感じだわ・・・」  
「ははは・・・そりゃ・・・」  
「笑い事じゃない!」  
突然、絢辻さんの拳が僕の頭の上に振り下ろされてきた  
「痛っ!酷いよ絢辻さん・・・」  
「もう!」  
そのまま絢辻さんは、ムスッとした表情で顔を背けてしまった。  
 
「・・・・・・」  
「・・・あの〜・・・絢辻さん・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・橘君・・・」  
「何・・・?」  
「責任・・・取ってもらうわよ。」  
「え!?」  
「あんな不味いモノを出した罰よ!きっちりと責任とってもらうんだから!」  
そう言うと、僕の右腕をグイと引っ張り、自分の胸に押し付けてきた。  
「ええっ!?」  
僕の手が、絢辻さんの胸に触れてる・・・。  
服の上からも、フワフワと柔らかい感触が伝わってきた。  
「責任とって・・・あたしを気持ちよくして・・・」  
「え、えっと・・・」  
「じれったいわね・・・!早くしなさいよ・・・!」  
「え・・・でも・・・」  
「あたしのものにするって言ったでしょ!・・・まだあたし・・・・・・橘君を全部貰ってない・・・」  
「絢辻さん・・・」  
「・・・ほら・・・」  
「・・・うん・・・」  
もう、従うほかはなかった。  
 
僕は、左腕で絢辻さんの肩を抱いた。  
そして、胸に押し付けられた右手で、フワフワと柔らかい胸を恐る恐る揉んでみた。  
「ん・・・」  
絢辻さんの口から、そんなため息が漏れ出してきた。  
僕は、よりいっそう力を入れてみた。  
「ううっ・・・」  
絢辻さんは僕から顔を背けた。  
頬から首筋まで、真っ赤になっていた。  
「絢辻さん・・・」  
僕は絢辻さんの背けた顔の方に顔を近づけた。  
「ん・・・」  
絢辻さんの顔が、僕の方に向いた。  
そして、そのまま僕は絢辻さんの唇に唇を重ね合わせた。  
「んん・・・」  
重ね合わせようとした一瞬、絢辻さんの唇が微かに震えた感じがした。  
僕はそのまま、舌を絢辻さんの口の中に入れた。  
絢辻さんの口の中で、お互いの舌が触れあい、絡み合った。  
「ん・・・んん・・・」  
絢辻さんが漏らした息が、僕の頬に当たって、微かにくすぐったかった。  
(絢辻さん・・・!)  
僕はそのまま、絢辻さんを床の上に押し倒し、そしてゆっくりと顔を離した。  
「絢辻さん・・・その・・・」  
「・・・何よ・・・」  
「その・・・む、胸・・・」  
「・・・・・・」  
「胸・・・見てもいい・・・?」  
「・・・もう・・・いちいち聞かないでよ・・・」  
「ご、ごめん・・・」  
「・・・・・・ん・・・」  
絢辻さんは、無言のまま床に転がり、体を開けてきた。  
恥ずかしいのだろうか、頬は真っ赤に上気し、目は固く閉じられ、顔は僕から完全に逸らされていた。  
 
僕は、絢辻さんの制服の上着を左右に広げた。  
そして、その下を覆っていたセーターをたくし上げ、Yシャツのボタンを一つ一つ外していった。  
恐ろしく緊張してるのか、ボタンを外す指が震えて、上手く外せなかった。  
やがて、Yシャツの奥から絢辻さんの白い肌がチラリと覗き始めた。  
そして、絢辻さんの胸を覆っている真っ白なブラジャーが完全に露になった。  
「絢辻さん・・・」  
僕は、Yシャツの中に両手を入れ、背中に回した。  
「・・・・・・」  
絢辻さんは無言のまま体を少し起こしてくれた。  
背中にあるブラジャーのホックに指を掛けてパチッと外すと、ブラジャーの奥から絢辻さんの胸のふくらみがポロリと零れ落ちた。  
決して大きくは無いけど形よく整ったふくらみの先端には、ピンク色の突起がちょこんと乗っかっていた。  
僕は、右手でそのふくらみを包み込むように触れてみた。  
僕の手にすっぽりと包み込まれた絢辻さんのふくらみは、温かくて、少し汗ばんでシトシトとして、そして何よりとてつもなく柔らかかった。  
「絢辻さん・・・柔らかい・・・」  
「・・・・・・バカ・・・」  
力の無い声で、絢辻さんはそう返してきた。  
 
僕は、絢辻さんの左のふくらみに唇を近づけ、その先端を口に含んだ。  
「んぁ!」  
絢辻さんの体が、一瞬「ピクリ」と震えた。  
僕はそのまま、口の中にある絢辻さんの先端を吸った。  
僕の口の中で、それが次第にコリコリと固くなっていくのが分かった。  
「あっ・・・あ・・・」  
僕が吸う度に、絢辻さんの口から吐息が漏れ出てきた。  
その吐息にあわせて、絢辻さんの胸が激しく波打った。  
僕は絢辻さんの左胸から顔を離し、右胸の先端に口づけた。  
唇で右胸を弄んでいる間も、右手で左胸の先端を摘み、コリコリと弄り続けた。  
「あ・・・橘く・・・ん・・・」  
僕が胸を弄るたび、絢辻さんはまるで何かに耐えるかのように体をねじってきた。  
ふと絢辻さんの足元を見ると、まくりあがったスカートの中から、白くて張りのある太ももが露になっていた。  
そして、その奥の方には真っ白いパンツが見え隠れしていた。  
 
(あ・・・絢辻さんのパンツ・・・)  
僕は、恐る恐る絢辻さんの足に右手を伸ばしていった。  
そして、右手のひらが絢辻さんの張りある太ももに触れた。  
「・・・・・・」  
絢辻さんは何も抵抗しなかった。  
(絢辻さん・・・何も言わないな・・・もっと、触ってもいいのかな・・・?)  
僕はそのまま、右手のひらで太ももをスルスルと撫であげ、足の間を覆っている真っ白なパンツに手を当てた。  
「っ!」  
絢辻さんの体が、一瞬ブルッと震えた。  
フワフワしたパンツの上から、絢辻さんの体の温かさが伝わってきた。  
ふと指を伸ばすと、じっとりと湿った感触があった。  
(こ・・・これって・・・)  
僕は、その湿り気の元となっている窪みに指を伸ばした。  
すると・・・  
「・・・ねぇ・・・」  
「えっ・・・!」  
僕の体が一瞬緊張した。  
(怒られる・・・!)  
そう覚悟した。  
(そ、そりゃそうだよな・・・。いくらなんでも、流石にこれ以上は・・・)  
でも、次の瞬間絢辻さんから返ってきた言葉は、意外なものだった。  
「・・・パンツ・・・汚したら、承知しないから・・・」  
(え??)  
思わぬ答えに、僕は一瞬呆気にとられてしまった。  
「あ、あの・・・それって・・・」  
「・・・・・・」  
恥ずかしいんだろうか、絢辻さんはムッとした表情で顔を背けていた。  
(こ、これってつまり・・・そういうことだよな・・・)  
僕は、恐る恐るパンツに両指を掛けた。  
そして、指に力を入れ、ソロリとパンツを下げた。  
「・・・・・・」  
絢辻さんは、無言のまま少し腰を浮かせた。  
その瞬間、抵抗を失ったパンツはスルリと、いとも簡単に脱げた。  
そこには、小さく覆い茂った黒い茂みがあった。  
サラサラと絹のような髪の毛と違って、チリチリとしたその茂みは、でも手入れは行き届いているらしく、絢辻さんの足の間の僅かな隙間を、乱れることなくフワリと小さく覆い隠していた。  
 
ぼくは、そんな絢辻さんの茂みに、まるで惹き寄せられるかのように顔を近づけていった。  
そして、両指でその茂みの間にある裂け目を開いた。  
「んっ・・・!」  
絢辻さんの体が、少し震えた。  
真っ赤に染まった絢辻さんのそこは、じっとりと濡れて光って、裂け目の間にある小さな突起と、さらに奥のほうにある深い窪みがヒクヒクと動いていた。  
(こ、これが絢辻さんの・・・・・・)  
今までお宝本とかで見たことはあったけど、実物を見るのは初めてだった。  
いや、子供の頃は美也や梨穂子と一緒にお風呂に入ったこともあったから正確に言うと初めてじゃないんだろうけど、でも物心付いてからは初めて見るものだった。  
(あ、絢辻さんの・・・溢れ出して、てらてらと光ってる・・・なんかすごい)  
僕は、その裂け目に口を付けた。  
「あんっ!!」  
絢辻さんの腰がビクンと跳ね上がった。  
「あ・・・っ・・・橘君・・・・・・恥ずかしい・・・・・・」  
僕はかまわず、絢辻さんの濡れそぼった裂け目に舌を這わせ続けた。  
ペチョペチョといやらしい音が、狭い小屋の中に鳴り響いた。  
「んっ!んんっ!!」  
僕の舌が動くたびに、絢辻さんの体がビクビクと震えた。  
震えるたびに、絢辻さんの奥の方からどんどんと溢れ出してきた。  
そして、溢れ出してきたものが僕の頬や顎をベットリと濡らしてきた。  
今まで嗅いだことの無いような匂いが、僕の鼻を刺激してきた。  
(これが・・・絢辻さんの匂い・・・)  
不思議と、嫌な感じはしなかった。  
むしろ、もっともっと嗅いでいたいとすら思えた。  
 
ふと、絢辻さんの顔を見上げてみた。  
サラサラとした絹のような髪の毛が上気した顔に張り付き、気丈に閉じられた瞳とは正反対に、力なく開いた口からは激しい吐息が漏れ出して、冷たい冬の空気の中に白い息となっていた。  
今まで見たどんな絢辻さんとも違う、何だか別の絢辻さんがいるようだった。  
「絢辻さん・・・可愛い・・・」  
思わず、そんな言葉が口をついて出た。  
「・・・え・・・?」  
今まで瞑っていた目がほんの少しだけ開き、潤んだ瞳が僕を見つめた。  
「うそ・・・うそばっかり・・・」  
「うそじゃないよ・・・!」  
「橘君・・・」  
「そ、そりゃ・・・もちろん猫かぶってるときの絢辻さんも、僕に意地悪してるときの絢辻さんもすごく可愛いけど・・・でも、今の絢辻さんはもっと、もっと可愛い・・・!」  
「あ・・・」  
絢辻さんの表情が、しおらしくほころんだ。  
こんな表情、今まで見たこと無かった。  
「”わたし”が・・・可愛い・・・?」  
「うん・・・とっても!」  
「あ・・・」  
絢辻さんはそのまま僕の体に手を回し、ギュッと抱きしめてきた。  
「ありがとう・・・嬉しい・・・」  
「絢辻さん・・・」  
僕も、そんな絢辻さんの体をしっかりと抱きしめた。  
「ねぇ、絢辻さん・・・」  
僕は少し体を離し、絢辻さんの顔を覗き込んだ。  
「今から・・・僕を全部、あげるよ・・・」  
「・・・・・・」  
「いい・・・よね・・・」  
「・・・ん・・・」  
絢辻さんは、コクリと頷いた。  
 
僕は、固くなった僕のモノを絢辻さんの裂け目の奥にくっつけた。  
先端に、ジトリと濡れた感覚が伝わってきた。  
「いくよ・・・」  
「ん・・・」  
僕は、少し力を入れた。  
「っっ・・・!!」  
絢辻さんの表情が、一瞬苦痛に歪んだ。  
「大丈夫?痛くない?」  
「うぅっ・・・平気!」  
そんな言葉とは裏腹に、絢辻さんの瞳からは大粒の涙がポロポロとこぼれ出してきていた。  
「絢辻さん・・・力抜いて・・・」  
「う、うん・・・!」  
そう言うと、絢辻さんはゆっくりと深呼吸を始めた。  
「すー・・・はー・・・」  
僕も、それに合わせて深呼吸した  
「すー・・・はー・・・」  
「すー・・・はー・・・」  
「すー・・・はー・・・・・・今だ!」  
僕は、一気に体を絢辻さんに預けた。  
「う、あぁぁっっ!!!!」  
絢辻さんの背中が、ピーンと跳ね上がった。  
今まで僕のモノにかかっていた抵抗が突き破られ、次の瞬間、温かくて湿ったやわらかい感触が僕のモノを包み込んだ。  
「あ・・・橘く・・・ん・・・!」  
「絢辻さん・・・全部・・・入ったよ・・・・・・」  
 
「はぁ・・・はぁ・・・」  
絢辻さんの激しい息が、僕の肩にかかってきた。  
僕は絢辻さんをギュッと抱きしめ、息を整えた。  
「う、動くよ・・・」  
「・・・ん・・・」  
僕は、ゆっくりと体を動かし始めた。  
「あっ!!あっ!!」  
僕の体が動くたび、絢辻さんの口から声が漏れ出してきた。  
僕のモノを柔らかく包み込んだ絢辻さんのそこが、それに合わせてギュッ、ギュッと伸縮してきた。  
「絢辻さん・・・気持ちいい・・・」  
僕はもう夢中だった。  
夢中で体を動かし、夢中で絢辻さんを抱きしめ、そして夢中で絢辻さんにキスをした。  
「ん!!ん!!」  
絢辻さんも、僕の唇を激しく求めた。  
お互いの体液でベトベトになった唇と舌が、激しく吸いあい、絡み合った。  
「ん!・・・ぷはっ・・・橘君・・・!」  
「あ、絢辻さん!絢辻さんっっ!!」  
僕は、何度も絢辻さんの名前を呼んだ。  
「橘君!橘君っっ!!」  
絢辻さんも、僕の名前を何度も呼んだ。  
お互いの名前を呼ぶたびに、愛しさがどんどん増していくのが分かった。  
その愛しさが、僕の中に凝縮し、そのまま溢れ出てしまいそうだった。  
「絢辻さん・・・あげるよ・・・」  
「橘君・・・」  
「あげるよ・・・僕を・・・全部っ・・・!」  
「うん・・・っ・・・!ちょうだい・・・わたしに・・・・・・橘君を全部・・・!!」  
「絢辻さん・・・うあっ!!」  
その瞬間、僕の体が大きく波打った。  
いままで僕の中で溢れ出しそうになった絢辻さんへの想いが、そのまま絢辻さんの中に迸っていった。  
「あぁ・・・絢辻さんっ・・・」  
「橘君・・・入ってきてる・・・わたしの中に・・・・・・」  
僕は、何度も体を震わせ、その想いを全部絢辻さんにあげた。  
絢辻さんも、僕の腰をしっかりと抱きしめ、その想いを全部受け止めてくれた。  
 
しばらく、僕たちは抱きしめあっていた。  
激しく上がっていた息が少しずつ落ち着き、抱きしめあったお互いの体の温かさが、冷たい冬の空気の中で心地よかった。  
やがて、僕は体を起こし、絢辻さんから引き抜いた。  
今まで僕と繋がっていた所から、僕から溢れ出したものが白い液体となって幾重にも流れ出してきていた。  
「絢辻さん・・・」  
僕は、絢辻さんにゆっくりと顔を近づけた。  
「・・・あ・・・」  
半開きになった絢辻さんの目の奥から、潤んだ瞳が覗き込み、僕を見つめていた。  
「橘君・・・さっき言ってくれたこと・・・」  
「え?」  
「わたしのこと・・・可愛いって・・・」  
「うん・・・」  
「ホント・・・?」  
「もちろん!僕がうそを付けないことくらい分かってるでしょ。」  
「うふふ・・・橘君のバカ正直さは天然記念物級だものね・・・」  
「そ、それって褒めてるの?」  
「もちろん。」  
絢辻さんは、そのまま僕を抱きしめてきた。  
「ありがとう、橘君・・・。全部・・・受け取ったよ・・・」  
「絢辻さん・・・」  
僕も、そんな絢辻さんをしっかりと抱きしめ返した。  
そして、予鈴が鳴るまで、そのまま小屋の中で抱きしめあっていた。  
 
 
 
すんません、閑話休題。  
 
ここのタイミングで名塚”ショルダー”佳織さんの歌が流れていると思いねぇ。  
 
♪き〜らき〜ら舞い散る〜・・・  
 
名づ・・・絢辻さんは歌の上手い素敵な人です。  
 
 
 
 
あれから時は過ぎ、季節は春。  
終業式が終わり、いよいよ僕たちも来月から3年生だ。  
 
あれから絢辻さんとは、別段これといったことも無かった  
相変わらずみんなの前では優等生で、相変わらず僕の前ではちょっと意地悪で・・・。  
 
でも、何か前に比べて違う感じがしている。  
優等生の時も、前みたいに取っ付き辛い雰囲気とはちょっと違ってきていた。  
その証拠に、あれだけ絢辻さんを苦手にしていた薫が、今じゃすっかり絢辻さんの親友を自称するくらいに仲良くなっている。  
僕に対しても、まぁ相変わらず意地悪ではあるんだけど、でも前みたいにツンツンと怒っている感じじゃなくて、僕を翻弄するのを無邪気に楽しんでいるような、そんな感じがするようになった。  
多分、あの時絢辻さんの中で、何かが変わったんだろう。  
きっと、これで良かったんだろうんだろうな・・・  
 
「ちょっと橘君。」  
「あ、絢辻さん・・・」  
教室の中でそんな物思いに耽っていた僕に、絢辻さんがいきなり声をかけてきた。  
「どうしたの?」  
「うん・・・ちょっと来てくれる?」  
「別にいいけど・・・どこに?」  
「いいから。」  
絢辻さんはそう言って、僕を教室から連れ出した。  
 
「あ、ポンプ小屋」  
絢辻さんに連れられて行ったのは、あの思い出のポンプ小屋だった。  
「そう、あの時の思い出の場所・・・覚えてるわよね。」  
「忘れるわけないよ。あれから、忘れたことなんて一度もない。」  
「そう・・・そうよね・・・・・」  
そう言うと、絢辻さんは僕のほうに振り返った。  
「あのね、橘君。」  
「何?」  
「わたし・・・優等生やめる!」  
「え?」  
いきなり突拍子も無いことを言われて、またも僕は面食らってしまった。  
「え〜と・・・それってどういう・・・?」  
「あのね・・・もう優等生ぶるのはやめるの。何だか疲れちゃって・・・」  
「・・・・・・」  
「今まで自分をひた隠しに隠して、でも橘君にあんなとこ見られちゃって、それを誤魔化すために、橘君に酷い事を沢山して・・・・・・そんなことに疲れちゃった。」  
「絢辻さん・・・」  
「だからね、そんな自分を誤魔化すような事は一切やめるの。今度のクラス替えを機にね。」  
「そう・・・なんだ・・・」  
「うふふ・・・橘君のおかげよ。」  
「僕の?」  
「うん・・・」  
絢辻さんは、ほんのちょっと顔を赤くして俯いた。  
「あの時・・・橘君がわたしを可愛いって言ってくれて・・・」  
「あ・・・」  
「優等生の私でもない、意地悪なあたしでもない・・・素の”わたし”を可愛いって言ってくれて・・・そんなわたしに・・・橘君を全部くれて・・・」  
「・・・・・・」  
「だから、もう誰に気兼ねをすることも無いって・・・本当の自分を出して行けるって・・・今はそうはっきり思えるの。橘君がいれば、わたし・・・・・・」  
「絢辻さん・・・」  
「ありがとう。橘君の全部、受け取ったよ・・・・・・・・・・・・わたしの、おなかの中に・・・・・・」  
「そう・・・良かっ・・・た・・・・・・・・・え?」  
 
え?  
 
え?え??  
 
え?え??え???  
 
ええええええぇぇっっっ!!??  
 
「え、え、え・・・あ、あの、絢辻さん・・・その・・・・・・それって・・・?」  
「うん。3ヶ月。」  
「ええええええええぇぇっっ!!!!」  
そういえば、あの時は12月。  
今は3月・・・・・・  
なんてことだ・・・ちょうど3ヶ月じゃないか!!  
 
人生最大のショックを受けている僕を、絢辻さんは訝しげに覗き込んできた。  
「何よ〜。少しは嬉しそうな顔しなさいよ。」  
「え、えぇ!?あ・・・いや・・・でも・・・なんか・・・全然実感が・・・・・・」  
「何言ってるの。あんなに沢山出したくせに。」  
「あ・・・」  
もう、弁解の余地はなかった。  
「うふふ・・・」  
そう笑うと、絢辻さんは僕の腕の中に体を預けてきた。  
「あ、あの〜・・・絢辻さん・・・これって・・・」  
「当然、計画通り。」  
「・・・やっぱり・・・」  
「ふふふ・・・あの時・・・わたし、危険日だったの。」  
「う・・・」  
「言ったでしょ。『橘君をわたしのものにする』って・・・」  
「・・・そうか・・・そうだったね・・・」  
「うん・・・」  
絢辻さんは、満ち足りた笑顔で僕の胸の中にうずくまってきた。  
今まで見た事ないような、飛びっきりの笑顔だった。  
それを見ると、僕の中の驚きも不安も、不思議と和らいでいくのがわかった。  
「・・・あははは・・・やっぱり、絢辻さんにはかなわないな・・・」  
「何言ってるの。そんなの当たり前でしょ。」  
「そう・・・だね。あはははは・・・」  
「ふふふ・・・」  
僕の腕の中で楽しそうに笑う絢辻さんを、僕はしっかりと抱きしめた。  
絢辻さんも、僕の首に手を回し、しっかりと抱きしめ返してきた。  
「うふふ・・・これからもよろしくね・・・・・・純一クン・・・!」  
 
僕があげたものが、絢辻さんの中で実を結んだ。  
何かすごく大変な事をしでかしてしまった感じもするけど、でも、今の絢辻さんの幸せそうな顔を見たら、不安なんか吹き飛んでしまった。  
僕があげたものが、絢辻さんの固くなっていた心を解かし、本当の自分を解き放つきっかけとなった。  
そして、絢辻さんの中に宿った新しい命・・・。  
それが、僕が絢辻さんにあげた最大の勇気だったのかも知れない。  
今までの自分に向き合い、それを乗り越え、新しい一歩を歩んでいこうとする勇気・・・。  
そう考えると、何だか安心したような、すごく誇らしいような、そんな感情が湧き上がってきた。  
 
そう。  
今の僕なら、絢辻さんと一緒にどこまでも歩んでいける。  
絢辻さんとなら、どんな困難も乗り越えていける。  
唯一つ、それだけははっきりと分かっている。  
 
だって僕は・・・  
 
絢辻さんのものになったんだから・・・・・・  
 
 
 
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