<中多紗江辞典>  
「う、う〜ん…」  
目の前にいたはずの中多さんの姿はなく、声だけが近くから聞こえてくる。  
「え? 中多さんどこ?」  
不思議に思った純一はキョロキョロと周りを見渡す。  
ホラーアトラクションの中だけに、凝った装飾品や悪趣味な置物がいたるところに配置されている。  
その視線が足元に来た瞬間、紗江の声が視線の先から再び聞こえてくる。  
「え? せ、先輩? 私はここです」  
声が聴こえる先には真新しいハードカバーの本が一冊あるのみだ。  
 
「ま、まさかこれ? この辞書?」  
辞書と言ってもタイトルしか書いてない無骨な辞書ではなく  
花柄のオシャレな装飾が散りばめられた可愛らしい辞書だった。  
 
「えっ? な、何がですか?」  
間違いない、やはりその辞書から紗江の声が聞こえてくる。  
「僕が見えてるんだよね?」  
純一は冷静な口調を整えて紗江に尋ねてみる。  
「も、もちろんです。先輩…怖いこと言わないでください〜」  
その声はかすかに震えている。  
薄々、自分自身の異変に気づいているようだ。  
 
「ちょっと持ち上げるよ?」  
そっと持ち上げてみる。  
「わわっ! 急に体が上に…」  
フランス語かイタリア語あたりの辞書だろうか?  
よく見るとやわらかい感じの富士ポップ体で『中多紗江辞典』と書いてあった。  
 
「中多さん…辞書になっちゃった」  
この状況から察するに間違いないだろう、と純一は思った。  
「えええっ!? ど、どうすればいいんですか!?」  
目を見開いて驚き、慌てふためく紗江の表情が目に浮かぶ。  
こころなしか手に持った辞書も焦燥感に包まれてる感じがする。  
 
「うーん、とりあえず何かヒントが書いてあるかもしれないし、辞書を…中多さんを読んでみるね」  
中多さんを読んで見る…自分が発した言葉のニュアンスに思わず吹き出しそうになる。  
 
「は、はい…お願いします…」  
 
ペラペラ…  
 
「ひゃうん!」  
辞書をめくった瞬間、可愛らしい声が発せられた。  
「ど、どうしたの?」  
「はぁ…先輩……もっと優しくしてください…」  
 
「あ、ああ…ごめんごめん…どれどれ?」  
 
ペラッ  
 
「んんっ…」  
今度は悲鳴を我慢するような声。  
その声に反応してしまいそうになるが、なんとかこらえる純一。  
「何かヒントは…ああっ?!」  
本の1・2ページ目に書いてある文字や写真をじーっと見た純一は思わず赤面してしまう。  
「な、何かありましたか?」  
 
両ページにわたって上に大きな緑色の筆記体でPROFILEと書かれていたが、純一には筆記体の知識がないので読めなかった。  
右のページ全部を使って紗江が困った表情で直立している写真がプリントされている。  
よく見ると今日着ている服装そのままで、髪型もそのままだ。  
左のページには何やら横書きの文字がいっぱい並んでいた。  
 
中多紗江  
○●●○年○月○日生  
A型 ××座  
1●×cm 4●kg  
体脂肪率:○●.××%  
3size:B8●、W○●、H●○  
好きな物:牛乳、甘いもの、純一先輩  
苦手な物:地震、香水、辛いもの、怖い物、純一先輩以外の男性  
趣味:読書、××、○●  
 
そこには紗江のプロフィールが余すことなく描かれていた。  
それらはとても可愛らしい女の子が書くような丸文字。  
(あ、これって中多さんの書く字体なんだ)  
「バストはちじゅう・・・・もあるんだ…」  
紗江の字体で書かれているので、紗江自身にカミングアウトされているようで興奮する純一。  
「え?ええっ?! どうしてそれを!?」  
自分の秘密のサイズをズバリ当てられて困惑する紗江。  
「つ、次のページを見てみよう」  
ペラッ  
 
「んんんっ!!」  
さっきよりも大きめの声が漏れる。  
純一はそんな声など耳に入っていないかのように辞書を夢中になって読む。  
「せ、先輩…?」  
紗江は辞書になってる自分を無言でじーっと眺めてる純一を見る。  
純一は辞書を見ているだけだが、紗江はじーっと自分をみつめているようにしか見えない。  
あこがれの先輩に見つめられて思わず赤面し目を反らしたくても、動かない視線に戸惑う紗江。  
次の6ページくらいには、さらに詳しいプロフィールが載っていた。  
スポーツテストの記録をはじめとして、内臓の機能、尿検査や血液検査、心電図などのデータが事細かに書かれているが、あまりに専  
門的すぎて純一にはスポーツテストの記録以外はよくわからなかった。  
 
「このへんは僕にはよくわからないな・・・次のページを見てみよう」  
純一は何かに取りつかれたように夢中で辞書を見ていく。  
先ほどから紗江が何度も声をかけているのにも全く気付かない。  
次のページの右側は白紙で左側には、パソコンのキーボードが印刷されていて、その上部に横に細長い長方形の液晶があった。  
いったいこれはなんなんだと疑問に思っていると、横に注意書きが書かれているのに気づく。  
 
『脳内検索機能』  
・質問を入力すると、中多紗江の脳にアクセスして回答を検索します。  
・検索が完了すると、中多紗江本人がその質問に答えます。  
 
そう簡潔に書かれていた。  
いまいち要領を得なかったが、とりあえず質問してみることにした。  
 
「昨日はどんな夢を見たの?」  
純一はなんとなく紗江がどんな夢を見るのか気になってそう質問してみた。  
確定のENTERボタンを押すと、純一が入力した黒い文字が点滅をはじめる。  
それと同時に、今まで白紙だったページに紗江の脳の立体映像が現れ、ぐるぐると回転を始める。  
「うわぁっ!?」  
突然現れた人間の脳のリアルな映像にビックリする純一。  
「ど、どうしたんですか?先輩!?」  
紗江が尋ねるも、純一はあいまいにお茶を濁す。  
「あ、な、何でもないよ、何かヒントは…ないかな・・・ハハ…」  
最初はグロテスクだと思った純一だったが、すぐに慣れてきた。  
しばらくすると回転する脳が半透明になり、右上からレーザーが脳に照射される。  
「んあがだっ…」  
その瞬間、紗江は思わず謎の声を出してしまう。  
意識して出したというよりも、勝手に出たという感じだった。  
「い、今のは……あががが…」  
今のはいったい???としゃべろうとしたが、脳にレーザーを照射され、言葉が思ったように出てこない。  
そしてそれっきり紗江の脳はジャックされ、何も考えられなくなってしまった。  
レーザーは半透明になった紗江の脳をすみずみまで照射し、情報を検索していく。  
紗江は自分の脳をスキャンされるという未知の感覚に犯され、ベロベロに酔ったような頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜられるような…  
なんとも表現しがたい気持ち悪さを味わい続けた。  
しばらくするとスキャンが終わってレーザーが止まった。  
そして脳の数か所が蒼く光ると、脳の映像から紗江の顔の映像に変化する。  
顔からは表情や感情が消え、人形のようになっていた。  
その人形の口が動き始める。  
紗江の口が動くのと同時に液晶に映った黒い文字が紗江の言葉に合わせるように赤文字に変わっていく。  
 
「キノウハドンナユメヲミタノ?」  
それは人間らしさのかけらもない、機械的な言葉の羅列だった。  
だが、確かに中多紗江本人の肉声だった。  
紗江は何も考えることができず、ただ自分の口だけが勝手に動いていた。  
質問ワードを言い終えると、赤文字が高速で明滅し、紗江の顔に表情と感情が戻る。  
そして今度は感情のこもった声で紗江が話す。  
 
「はい、昨日は先輩の夢を見ました。 先輩と遊園地でデートする夢です」  
とてもうれしそうに話す紗江。  
「そ、そうなんだ・・・」  
今日のことを楽しみにしていたんだろう。  
そのことがとても嬉しかったが、それ以上にこの機能に興味津々だった。  
 
「せ、せんぱーい…私、どうなってしまうんでしょう…」  
さすがに不安になってきた紗江の切実な声にようやく気付いた純一。  
「あ、ああゴメンゴメン。 元に戻さなくちゃね…」  
少し名残惜しい気もしたが、いつまでもこのままじゃ可哀そうだと思った純一は辞書を慎重にめくってみる。  
だが、すぐに白紙ばかりのページになり、何も書かれてなかった。  
「あれ、途中で終わってるぞ?」  
そう思って文字が書かれている最後のページに戻ってみる。  
すると、そこにはこう書かれていた。  
 
ここより先のページを見るにはブックカバーとしおりを外す必要があります。  
 
(ブックカバー?)  
表紙を見てみると、あのオシャレな装飾は確かにブックカバーになっているようだった。  
「中多さん、どうやらブックカバー外さないと見えないみたいなんだ。ちょっと外して見るね」  
そう言って純一はブックカバーを外そうとする。  
「ええっ!? ちょ、ちょっと待ってください!」  
慌てて静止しようとするも、純一はそのままカバーを外してしまう。  
「あああっ!」  
紗江の服に純一の手がかけられ、どんどん脱がされていく。  
「ど、どうしたの?中多さん?」  
心配になって声をかける純一だが、紗江は恥ずかしそうに赤面して何も答えない  
「な、なんでもないです・・・」  
不思議に思いながらも続けて辞書の中ほどに挟まっていたブックカバーを抜きとる。  
「ああああっ、ダメ、ダメです先輩!」  
紗江のブラとパンツに同時に純一の手がかけられ、脱がされていく  
「えっ?」  
だが、時すでに遅く、紗江の体から下着が抜き取られてしまった。  
「いやあああっ」  
慌てて隠そうとするも、手も足もビクともしない。  
「中多さん??」  
純一は紗江の様子が気になるも、早く元に戻してあげたくて再び辞書を開いてみた。  
 
何気なく1ページ目を開いた瞬間、噴き出した。  
「ぶぶっ!?」  
先ほど服を着ていた紗江が、一糸まとわぬ姿になっていた。  
フカフカのおっぱいも、茶色い豊かな茂みも惜しみなく晒されていた。  
立派な大人の乳房は、成熟した女性の魅力に満ち溢れているが、それと対照的にピンク色の乳首は穢れを知らない純潔の証にも見えた。  
「こ、これは!」  
純一の目はそのふくらみと茂みにくぎ付けになった。  
「せ、先輩…お願いします…みないでください…」  
紗江は自分の裸が純一に見られていることに気づき、辞書に映った顔が真っ赤になっていた。  
「な、中多さん……どうして、あ、アソコの毛、茶色いの? 髪の毛も茶色だけど…」  
思わず好奇心できいてみる純一。  
だが、紗江は当然そんな質問に答えるわけがない。  
(あ、そうだアレで聞いてみよう)  
どうしても気になった純一は10ページ目の脳内検索で聞いてみることにした。  
 
「どうしてアソコの毛、茶色いの?」  
再び紗江の脳がスキャンされる。  
そして嫌がる紗江の意思を無視して回答させられてしまった。  
「ドウシテアソコノケ、チャイロイノ?」  
機械的な言葉が紗江の口から発せられる。  
「はい、美也ちゃんが下の毛も染めたほうが可愛いって言って染めてくれたんです」  
とんでもないことを暴露してしまう紗江。  
紗江は恥ずかしくて死にたい気持ちでいっぱいだった。  
「美也のやつめ……そ、それでどうやって染めたの??」  
美也の行動に呆れつつも、性的な好奇心には逆らえなかった。  
「わたしが足を開いて、美也ちゃんが脱色クリームを塗ったんです」  
純一は入力せずに直接紗江に聞いたが、強制的に答える機能はまだ有効なようだった。  
「なんかすごくきれいになってるけど、最近のことなの?」  
「いいえ、プリンになったらいけないからって一週間に一回染めてもらってます」  
(そんなことを美也はしてたのか……)  
純一は自分の妹がちょっと変わってることは知ってたがまさかここまでとは思いもしなかった。  
 
紗江の秘密を知った純一は満足したのか、再びヒントを探すためにページをめくった。  
先ほど見れなかったページを見てみる。  
すると、胸部の原寸大の画像が現れた。  
「うわぁ・・・やっぱり大きいな・・・」  
「え?何がですか??」  
「な、なんでもないよ…」  
純一は慌てて口をつぐむと、下にある赤いボタンを押してみた。  
すると写真が徐々に浮き上がり、辞書から紗江の胸部がそのまま飛び出してきた。  
「うおっ!?」  
再びビックリする純一。  
紗江は何が起きているのかわからなかった。  
(む、胸が…中多さんのおっぱいが…)  
そっとふれてみる。  
「きゃうん!?」  
予想通りそれは紗江自身のバストだった  
つんつん…  
ピンク色の乳首をつついてみる。  
 
「ああんっ!!」  
可愛らしい悲鳴が純一をより一層興奮させる。  
舌先でそっと乳首の先に触れてみる。  
 
ぴちゃっ  
 
「はうっ!」  
その刺激にビクンと体を動かす紗江。  
それに伴って辞書から飛び出た胸部もビクンと跳ねる。  
そして、若干ピンク色の乳首がかたくとがってきた。  
(か、感じてるんだ…)  
もっといたずらしたい気持ちもあるが、純一の興味は次のページに向かっていた。  
おっぱいの次は・・・。そのことで頭がいっぱいだった。  
 
はたして次のページは予想通り紗江の腹部だった。  
紗江の可愛らしいヘソが中心にあいている。  
純一はちょんとヘソに指を入れると、すぐに次のページをめくった。  
紗江は先ほどから唐突におとずれる刺激に戸惑いっぱなしだ。  
 
そしてついに腰とふともも部分にたどりついた。  
足はM字に開いているようで、局部が見やすくなっている。  
(おおおおおっ)  
思わず感嘆の声を上げそうになるのを必死にこらえる。  
先ほどの茶色い茂みも、局部も肛門もはっきりみえていた。  
 
(こ、これは、すごすぎる…)  
胸部と同じように浮かび上がってくる紗江の腰部。  
その横には何やら不穏な言葉が書かれたボタンが数個あった。  
 
「生理」「愛液」「尿」「大便」「下痢」  
その文字を見て押したら何が起きるのかだいたい予想がついた純一は  
とりあえず押すのはやめておくことにした。  
(これを押しちゃったら、もう後戻りはできない気がする…)  
 
そしてよく見るともう一つ横に黒い、見るからに怪しげなボタンもついていた。  
 
純一は考えた。  
・押しちゃダメだ  
・絶対押さない  
・押すのはやめよう  
 
(な、なんで押すという選択肢がないんだっ!?)  
 
※もうすぐ話が終わりだからです。  
 
純一はそっとページをめくり、辞書の先をみていった。  
この本は文字通り中多紗江辞典だった。  
いや、むしろ中多紗江解体新書といったところか。  
病気の状態、骨、筋肉の映像、心臓の鼓動に生理の周期、大腸の中の映像に今頭の中で考えてること、昨日の記憶、  
さらには母親の体から生まれてきた時から1日単位で毎日紗江の状態が記録されていて再現もできるようだった。  
それは正に中多紗江のすべてがわかる本だった。  
 
本を読んでいても元に戻す方法が見つからなかったが、アトラクションから外に出ることで自動的に元に戻ったのだった。  
「きゃあああああああああっ」  
もちろんそれは紗江の裸がさらされることになるわけで・・・。  
純一は慌てて引き返し、泣いてる紗江に服を着せた。  
 

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