「あとはこれを窓に結んで…」  
窓辺へと視線を移す少女、落合恵。豪勢な比較的広い洋室。しかし彼女はこの部屋の主ではない。開け放した窓から覗く景色は飛び降りるには幾分高いため、ベッドシーツを結んだ簡易ロープを鉄格子にくくり、下へ放り投げる。するとバサッと音を立てて一端が地面に重なった。  
 
「よっ…、く…っ!!」  
 
少女の荒い息遣いが部屋に反響する。格子の隙間に身をよじり、腰を前後左右に動かしてはみるものの、如何せん通り抜けることは叶わず、虚しくも脱出はまたもや不可能であった。  
 
ベッドの上に横たわってみても特に案は浮かばず、思い出すのは幼き頃から想いを抱く少年のことばかり。  
 
口に出しては悲しくなる。  
 
もう、アイツには会えないの──────?  
 
 
.  
 
 
──パシンッ  
 
不意に響いた鍵の外れる──いや、壊れる音。声もない向こう側の人に問い掛ける。  
 
「広瀬くん?」  
 
返事はない。  
もしかしたら、なんて期待も込めて再度、扉へ問い掛ける。  
 
「──た…太輔………?」  
 
ギィ…という開閉音とともに現れたのは赤毛の女の子、華音。恵より少し年上のようだが、精神年齢はそうでもないようだ。  
 
「──逃がす?私を!?」  
 
 
 
──恵は逃がしてくれるという話を呑んで華音について来たのを後悔し始めていた。もはや華音からは殺意しか感じられない。  
 
 
彼女の指が恵を指す。  
開いた瞳孔…  
 
─殺される─  
 
思った瞬間、先ほど爆発して破損した車の一部にぶつかり、華音は急ブレーキを踏んだ。  
この好機にすかさず勢い良く車から降りる。女の声と四方八方からの爆発音に耳を塞ぐ。  
 
 
早く、逃げなきゃ…!!  
人のいる所へ…誰か…助けて………  
 
太輔───!!  
 
 
.  
 
 
なんとか逃げ出して、助かると思った。  
 
勝又さんの所へ戻らなければならないという一瞬の感覚と、何も思い出せない恐怖。  
 
でも……  
 
思い出した、大切な大切な───あなたの名前。  
 
 
太輔に、会いたい─  
 
 
 
それだけだったのに、どうして運命は残酷なんだろう…。  
 
朝日が、昇る。  
陽を遮る建物は、無い。  
数時間前まで話をしていた人々は───  
 
 
 
 
「戻ろう、落合さん」  
 
 
そこにいたのは、広瀬であって広瀬ではなかった。彼に逆らうことは、出来ない──  
震える身体を抑えながら静かに頷いて、伸ばされた手をとった───  
 
 
.  
 
 
すれ違った華音の表情を見逃さなかった。  
 
 
ボクはもう、何も怖くない……  
 
 
 
「ごめんね、今まで閉じ込めて…。もう自由にしていいから」  
 
彼女は華音に怯えボクにしがみつく。  
そう、ボクしかいないんだ。  
 
君の身も自由も、すべて僕が──  
 
 
 
 
 
 
少女は泣いていた。涙はなくとも、泣いていた。  
大切なもの、こと、……人。  
何も思い出せない…。  
 
 
 
──カチャ  
 
「落合さん、気分はどう?」  
 
いつもの問答、しかし彼女は何も答えない。  
いや、応えない、だろうか。  
 
「思い詰めているみたいだね。夕食は…嗚呼、お茶だけでも飲んでくれて良かった」  
 
濡れて空になったコップを見て言った。  
 
会話を続けるボク。  
ボクの方を向いても、ボクを見ていない彼女。  
まだあいつを想っているの…?  
 
 
「…大丈夫だよ、落合さん。  
 
…ボクが何も考えられなくしてあげる」  
 
 
そろそろ薬が効いて、体が火照りだす頃だしね…。  
 
 
.  
 
 
ゆっくりとベッドの上の彼女に歩み寄れば、意識を取り戻したように怯えた目をして彼女は後ずさる。  
 
 
「いや…来ないで…!」  
 
 
 
ボクを拒絶するのは、あいつがいるからだろう?  
 
 
 
 
ギシッ──  
 
壁際に張り付いた彼女に逃げ場はない。  
 
 
何にも怯えることない力を手に入れた。  
君を守るのはボクだ。  
だから、ボクを受け入れてくれるだろう?  
 
 
 
 
 
 
「やだ…誰か……、…太輔ぇ!!」  
 
 
 
 
太、輔……  
 
 
マタ、アイツノ名前ヲ呼ブノ?  
ドウシテボクジャ……  
 
 
 
 
黒く、暗澹とした感情が理性を覆う。  
 
 
 
 
まだ、また、ボクを受け入れてくれない──?  
 
プツン、と何かが切れた─  
 
.  
 
 
彼女の白いワンピースの胸元に手を掛けると、一瞬の躊躇もなく一気に引き下げる。現れた、椀型の真っ白な胸。  
 
 
「い…やあああ!!!」  
 
 
甲高い叫び声を上げた彼女は直ぐ様両手で胸を隠す。  
 
彼女の細い両手首を右手で掴み取り彼女の頭上の壁へと押し付ける。  
 
軽く口付けながら、彼女の右胸を包み込む。  
堅く閉ざした唇から微かに吐息が漏れる。  
 
 
 
「ん…っ……やぁ………!!」  
 
 
 
次第に激しく、噛みつくように貪るように、何度も何度も深い口づけを繰り返す。  
 
 
クチュ…チュプ…  
 
 
抵抗して首を左右に動かす彼女の両手をより強く壁に押しつけると痛みを感じたのか大人しくなった。  
 
 
 
 
散々彼女の口内を堪能し、恍惚としてゆっくり顔を離すと糸引く唾液に興奮した。  
 
 
.  
 
 
「落合さん、顔赤いよ?…感じちゃった?」  
 
 
息が上がり頬を紅潮させた彼女に意地悪く尋ねる。  
 
 
「─っ、違っ、そんなこと……あぁん!!」  
 
 
言い終わらないうちにキュッと彼女の乳首を摘むとビクンとして甘い声を漏らす。  
 
 
「クスッ…素直じゃないんだね。もっと見せてよ、落合さんの淫らなところ…」  
 
 
口元を上げ言い終わると左胸に頭を運び、乳房に狙いを定め勢いよくしゃぶりつく。  
彼女の喘ぎを耳にしながら甘噛みしてはそのままチロチロの舌先を動かす。左手では相変わらず彼女の右胸を持ち上げ揉みしだいた。  
 
 
「ひゃ、あああんっ!!広瀬く…だめぇえ…!!」  
 
「駄目?クス……良いでしょ?此処、こんなにしてさ……」  
 
「──ッ?!!」  
 
 
左手を彼女の秘部へと当てると湿った下着からはクチュリといやらしい水音がして、彼女はさらに顔を赤らめる。  
ふと両手を解いても熱を帯びたその表情にはもはや抵抗の色はない。  
 
 
クツクツと喉を鳴らし静かに彼女に言う。  
 
 
「無理矢理されて感じてるなんて、落合さんすごい淫乱なんだね」  
 
 
脱力し瞳に涙を溜める彼女は何も言わずただボクを見つめていた。  
 
 
.  
 
 
彼女の心が何処にあっても、今はボクのものだ。  
文字通り、心も体も──  
 
 
彼女を横たわらせ、ゆっくりと下着をずらす。滑らかで柔らかい尻を一撫でしたあと、そのまま割れ目へと指を這わせてゆく。  
 
「んっ、は…ぁん…」  
 
陰核に軽く触れるだけで甘い声を漏らす。  
 
「此処?気持ち良い?」  
 
陰皮をめくり露わになった陰核を指の腹で素早くこすりながら問い掛けると答えの代わりに大きな喘ぎ声を出す彼女。  
 
「ねぇ、すごいことになってるよ、落合さんの此処。指だってほら…」  
 
止め処なく溢れ出る愛液の源に指を這わせ、一気に中指と薬指を挿入しては前後左右へと彼女の膣内で暴れさせる。  
 
「あああっ!んあぁ…ぁあ!!!」  
 
「美味しそうにくわえて、だらしなく濡らして、みっともないよ」  
 
「あ…!言わ…ないで……っ!!」  
 
背を仰け反らせ息も絶え絶えに彼女は言う。  
 
「大丈夫、ボクが綺麗にしてあげる」  
 
そして彼女の両方の膝を掴み股を開かせては、現れた秘部に顔を近づける。  
 
「少し混ぜただけなのに、こんなになるんだ…」  
 
「混ぜ…?」  
 
「嗚呼、こっちの話。」  
 
引き寄せられるように、彼女の秘部に舌を這わす。愛液を絡み取っては陰核へとなすりつける。  
 
──チュク ジュルル  
 
「ひぁ…ああん!!」  
 
淫らな水音と、それ以上に淫らな彼女の喘ぎ声が部屋に響き渡る。  
片手で陰皮をめくり肥大し敏感になった陰核をむしゃぶりついて、もう片方の手で膣内を掻き回す。そして第一関節を曲げ膣壁を指の腹で引っ掻くように高速で擦り上げる。  
彼女の秘部は綺麗になるどころか愛液が溢れる一方だ。  
 
「や…!!だめ、なんかくる、きちゃうぅ……!!」  
 
瞬間、大きく痙攣して彼女は絶頂を迎えた。  
 
 
.  
 
 
息を荒くさせてはビクビクと痙攣する彼女。  
 
 
「イっちゃったんだ?すごく可愛いよ、落合さん…」  
 
 
クスクスと笑いながらそう言いつつ、ゆっくりと自分のズボンのベルトを外してゆく。下半身を纏うものを全て取り払うと膨張した肉棒が姿を現す。  
 
 
「さぁ、今度は一緒に気持ち良くなろうよ。ボクと一緒に、さ…」  
 
 
そうして彼女の秘部に肉棒をあてがい、一息つくと一気に挿入する。  
 
 
「あっ!!やぁ…い……痛い……っ!!」  
 
「はぁ…っ、きつ…。落合さん、処女だったんだ…?」  
 
 
黒い笑みを浮かべ話しかけても、彼女は涙を浮かべて何も言えずにいた。  
 
彼女が痛がっていても構うもんか。全ては己の欲がままに……  
 
 
強烈な支配欲に導かれるまま腰を揺り動かす。  
 
 
──ズッ ズチュッ  
 
 
「あっあ、んんっ!!!」  
 
「落合さんの膣内(なか)…気持ち良いよ……!!」  
 
 
流石に余裕も無くなり、声を荒げて言う。  
腰振る勢いは増す一方、彼女も無意識か体を揺らす。  
 
何度も何度も勢い良く腰を打ちつけ奥へと侵入する。  
するとキュウウッと膣内が締まり限界が近づいてきた。  
 
 
「…っ、落合さん…っ、イク………う、あぁっ!!」  
 
 
言い終わると熱く溜まった濃い白濁液を彼女の膣内へと吐き出した。  
 
 
.  
 
 
情事後、二人して息を荒くしながらベッドへ横たわった。  
 
そして呼吸が整ったのち、ボクは衣服を元通り着直し、扉へ向かい歩く。  
 
彼女の方を見ると、小さく肩が震えて、泣いているようだった。  
 
ボクは彼女に言い放つ。  
 
 
「大丈夫だよ落合さん、ボクが守ってあげるから。─キミも、キミの子も……─」  
 
 
 
ボクには力がある  
今のボクならなんだってできる  
 
あいつなんかいなくたってボクは…  
 
 
 
 
勢いよく起き上がり青ざめた表情で僕を見る彼女を背に、嗤いながら部屋を出て行った。  
 
 
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