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物陰から覗く一つの影  
 
 
ハァ・・ハァ・・  
 
 
あの子が・・楠奈美ちゃん・・・  
 
 
ボクの天使・・・  
 
 
ボクだけのモノにしたい・・  
 
ボクだけの・・・  
 
 
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キーーン コーーン  
カーーン コーーン…  
 
学校の終わりを告げるチャイムが鳴る。  
ここは盛岡にある女子高。その中の一つのクラスの前に、何やら女子が人だかりを作っている。  
 
「奈美先パ〜〜〜イ!!男出来たってホントなんですかぁ〜!?」  
『………(またか…)』  
奈美と呼ばれる少女は呆れ顔を作っている。  
「奈美ぃ〜!またあんたのファンがいるよぉ?私が追い払ってあげようか?」  
金髪の少女が話しかける。  
『・・頼む…』  
奈美の言葉を聞き、少女は廊下にスタスタと歩いて行くと、  
「ほらほらあんた達、ここは見せもんじゃないよ!帰った帰った!!」  
と啖呵をきり、ピシャリとドアを閉めた。  
 
「たく…あんたもよく毎日我慢してられるね。」  
『もう、馴れてるから…』  
「馴れねぇ…。ところで奈美。ホントはどうなのよ?」  
金髪の少女が顔を近づけて言う。  
『え?どうって…何が?』  
今度は黒髪のショートヘアーの少女が顔を近づけてきた。  
「何って決まってんでしょ!あの同棲してる彼よ!!」  
その時、奈美の脳裏には一人の少年の顔が浮かんだ。  
『ち、違う!!だから・・あれは‥そのぉ・・・い、居候だって!!』  
奈美は顔を赤くして必死に弁明する。  
「なーーに顔赤くしちゃってんのよ(笑)!いいのよ、わかってるから。」  
「なんたって“いってらっしゃい“の仲だもんねー?」  
「ねーー!!」  
『だからそんなんじゃないってば!!』  
いつもの事だと思っていながらも、ついついムキになってしまう奈美。  
 
『帰る!!』  
カバンを持って席を立つ奈美。  
「ゴメン、ゴメンって!!まったくこの子をからかうと面白いんだから。あ、それと奈美!帰り気を付けなよ。最近この辺りに不審者が出てるみたいだから。」  
『不審者?』  
奈美は振り返って話を聞く。  
「しかもあんたの家の方向だって話よ!ま、あんたの場合は心配ないか。」  
「奈美には彼がいますから(笑)!!」  
ショートヘアーの少女がからかう。  
『だから違うって!!』  
奈美再び機嫌を損ねて帰ってしまった。  
 
『なんで‥私が叶と……』  
 
ブツブツとつぶやきながら学校を後にする奈美。  
 
『でも邪魔でもない…かも……』  
 
校門を抜け、いつもの自宅への道を行く。その後ろからは何やら怪しい影が一つ追い掛けてくる。  
 
『(……尾けられてる‥)』  
 
奈美はその怪しい気配に直ぐに気付いた。尾けられてることに気付いた奈美は、わざと家とは逆の方向へ行き、何者かを空き地へと誘い出した。  
 
そして立ち止まりクルっと後ろを振り向いた。  
 
『そこにいるんだろう?出てこい!!』  
 
奈美の声に反応し、物陰から一人の男が出てきた。その男は小太りで、目がどこかを見ており、その姿は今流行りの"オタク"のようだった。かつて戦った岡田にどことなく似ている。  
 
「やっ…やっぱり‥本物の方が…ハァ・・かっカワイイなぁ…ハァ‥」  
よく見ると男の手には奈美の写真が!!  
 
その瞬間、奈美の全身に一気に鳥肌が立った。  
 
『おっ‥お前が噂のヘンタイ!?』  
 
"ヘンタイ"と言う言葉に反応したのか、男はニィっと不気味な笑みを浮かべた。  
 
「な・・奈美ちゃんが…ボクに話しかけた…ぐふっ!…ぐふふぅっ!!」  
男は落ち込む所か、逆に喜び始めた。その笑いがさらに気持ち悪さを倍増させる。  
 
だが奈美にはそれ以上に気味の悪い事があった。  
 
『な…なんで私の名前を‥?』  
 
そう、何故この男が初対面である筈の自分の名前を知っているのか?  
 
それに自分の写真も…  
 
「ぐふふ…奈美ちゃんの事なら、な…なんでも知ってるよぉ・・勝又さんに連れてこいって言われたからね…」  
 
男の目は濁っていた。  
 
そう、これはヤツらの証。  
 
『お前…能力者か!!』  
奈美にはそれが直ぐにわかった。  
 
「そうだよ・・奈美ちゃんと同じ。だけどボクはなるべく君と‥たっ戦わないで連れていきたいんd‥」  
 
『断る!!』  
 
「!?」  
 
『ただの"ヘンタイ"だったら、ただ追い払うだけにしようと思っていたが…お前が能力者で勝又の仲間ならば、能力を使うしかないようだ。』  
 
奈美の手からは氷で出来た爪が出てきた。  
 
「仕方ないね…じゃあボクも使うしかないようだ‥」  
 
男はニヤリと笑った。  
 
『使うヒマがあるならな!!』  
 
そう言うと奈美は男に飛びかかっていった。  
 
その目は先程までとはうってかわって、獲物を狙うハンターのようだった。  
『(くらえ!!)』  
 
奈美はビュッと男に向かって爪を飛ばした。  
 
その瞬間ーー  
 
 
 
パキーンッ!!  
 
 
『えっ!?』  
 
氷の爪は男に当たる直前、音を立てて弾けた。  
 
そしてその瞬間、奈美の体はガクッと地面に倒れこんだ。  
 
『(か・・カラダが‥動かない・・・)』  
 
「ぐふふぅ……どう?‥これがボクの能力"束縛"。ボクは相手の動きや能力、意識を思っただけで封じる事が出来る。ただし…相手の能力などを事前に知っておく必要があるけどね…」  
 
『(能力(チカラ)を…封じる!?・・そんな…)』  
 
奈美は指一本さえ動かす事が出来ないでいた。  
 
「ぐふふ…さ、さあ行こう奈美ちゃん・・これで君はずっとボクのモノだ!!…ぐふっ!ぐふふふぅ!!」  
 
『(くっ………)』  
 
奈美はだんだんと意識が薄れていった。  
 
―――。  
 
奈美が通う学校から、5kmほど離れた場所に一軒の倉庫がある。  
 
昔どこかの会社の物置として使われていたようだが、今はただの廃墟と化している。  
 
その中に二人の男が何やら言い争いをしている。  
一人は黒のニット帽をかぶり、黒のジャケット、迷彩柄のカーゴパンツを着ている。  
 
もう一人は金髪で、Tシャツ、ジーンズと比較的ラフな格好だ。  
 
二人とも顔つきを見る限り、この国の人間ではないようだ。  
 
「なんでフクオはこんなにも遅いんだ!!」  
 
ニット帽の男が怒鳴る。  
 
「少し落ち着け、ニコ。」  
 
「落ち着けだと!?てめぇにゃ言われたくないんだよエヴァン!!俺より年下のクセに俺に命令すんじゃねぇ!!」  
 
ニコと呼ばれたニット帽の男がエヴァンという金髪の男に怒鳴る。  
 
「あのデブも何で小娘一人連れてくんのにこんなに時間かかってんだ!!予定時刻をとっくに過ぎてるぞ!」  
 
「Mrカツマタも言っていた。標的(ターゲット)も仲間だ。格闘技も使うらしいからな。一筋縄ではいかないということさ。それに彼は戦闘には向いていないしな。」  
 
その時外に一台の車が止まる音が聞こえた。  
 
「来たか…。」  
 
運転席からはフクオと呼ばれるあの男が降りてきた。  
 
「おせーぞ!!デブ!!」  
流暢な日本語で話しかけてくるニコ。  
 
『うっうるさいな!ボクの能力を知ってるだろ!?相手を支配するには相手の事を知ってなくちゃいけない!だからずっと調べてたんだよ!』  
 
「わかった、わかった。ところでちゃんと捕まえて来たんだろうな?」  
 
「後部座席にいるよ…」  
エヴァンが後部座席を見る。  
そこには意識を失った奈美が横たわっていた。  
 
「確かに…」  
 
「エヴァン!連れてこい!」  
 
言われた通りドアを開けて奈美を出そうとした時、  
「触るな!!」  
 
突然フクオがエヴァンに向かって怒鳴ってきた。  
 
「…すまない…。」  
 
「フン!!奈美ちゃんにはボクだけが触っていいんだ!お前らは触るんじゃないぞ!!」  
 
そう言うと奈美を後部座席から出して、お姫様抱っこで倉庫の中へ連れていった。  
 
「またか…フクオの"独占欲"。あの女をそうとう気に入ったらしいな…。」  
 
「ああなると手がつけられないしね。まぁ…しばらく彼の好きなようにさせとこう。」  
 

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